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第1章 抑止力としてのICC〜ICCの傘の下へ移動せよ!/5.ICCの傘の下に入れば……?

 日本がICC規程を批准すれば、さまざまなメリットが期待できる。ぱっと思いついたものを、ぱあっとあげてみよう。

1.本土攻撃を受ける可能性をほとんど皆無にできる!
 ネズミ〜皇帝たちの物語、そして、前節「抑止力としてのICC!」が示すとおりである、ハイ。

2.軍縮が可能になり、予算と人材を他に回せる!
 本土防衛のための費用を最小限に抑えることが可能になり、他の分野(たとえば教育や福祉、学術研究など)に予算と人材を回すことができる。その結果、日本社会の活力増大と、暮らしやすさアップを追求できる。
 第2次大戦後の日本の高度成長の背景に、憲法9条とアメリカ様の傘の下、軽武装でいられたことがあるのを、思い出してほしい。

3.戦争加害者となる可能性を抑えることができる!
 これまでの日本は、いや、現在の日本も、国際人権条約違反の常習国だ。しかし、ICC規程を批准すれば、ネズミ〜皇帝たちがそうだったように、第2次大戦時みたいな国際法違反のオンパレードを他国で展開することは日本政府もさすがに控えるだろうから、日本自体が戦争に踏み出す危険を抑止できる。それはつまり、再び加害者になる可能性を抑えることであり、その結果、各地で無用な恨みを買う可能性も小さくなって、在外邦人の安全な暮らしと旅行、在外ジャーナリストやNGOの安全な活動の保護にもつながる。
Ansin

4.東アジア地域の安全保障体制構築を促進できる!
 日本がICC規程を批准することには、再び外国の国土を蹂躙し惨禍をまき散らすようなことを日本政府はしない、そう対外的にアピールする効果がある。小泉政権になって一層高まったアジア諸国の対日不信を、解きほぐすきっかけになる。そこから、アジア地域の非戦条約をつくるイニシアティブをとりでもすれば、日本に対する不信感の根深い国々からさえ、感謝されるだろう。戦争なんて、ほとんど誰も望んではいないのだから。
 さらには軍隊組織の国際的な人命救助隊や国際人道支援隊への転換を進めでもしたら、温暖化が加速して気象異変による自然災害が増大している昨今、 過去の罪を贖う機会も生まれていこう。救助活動や復興作業を通じて、崩れ去っていた信頼関係も再び築けよう(参照『きみはサンダーバードを知っているか もう一つの地球の守り方』サンダーバードと法を考える会・編/水島朝穂・コーディネート、日本評論社)。
 ちなみに、韓国は、すでにICC規程を批准している。日本のマスコミが報道するところの「狂気の独裁国家」との軍事的緊張の最前線にいるはずの、あの韓国が。
 その心情と現状認識とを、日本人は察し、くむべきだ。十数世紀に渡る友、隣人として、そして明治以降、とてつもない被害を与えてしまった加害者として。かの国の人びとの平和への願いを、踏みにじるべきでは、ない。

5.世界規模の、非軍事的安全保障体制構築を促進できる!
 日本がICC規程を批准し、ICCがきちんと機能するようにICCを支える決意を示し、実際にそうしていけば、その果実は東アジア諸国にとどまらず、世界中の国々が享受できる。ICCへの信頼が高まれば、ICCによる安全保障、国際人道法に基づく安全保障を、世界規模で早期に実現できるからだ。戦乱の時代に終止符を打つうえで日本は重要な役割を果たすことになり、国際社会での「名誉ある地位」も得られよう。

6.傘の修理も補強も、皆にありがたがられる!
 アメリカ様の属国としてその傘の中にいるうちは、怨みを買うのも憎しみを買うのも、アメリカ様のやり方次第だ。イラク侵略戦争で、アメリカ様にご奉仕することを選んだ日本政府は、イラクにあったせっかくの親日感情を、一気に自分でたたき壊してしまった。アメリカ様への支援は、すなわち、アメリカ様の敵にとっては、許されざる敵対行為となるのである。
 ICC規程を批准してICCという傘の下へ移動すれば、事情は異なる。戦争のためではなく平和と人道のために活動するICCを支援することは、世界中の平和を望む人たちに喜ばれこそすれ、恨まれることはない。戦争でうるおう者たち以外から、間違っても、敵対行為などと受け止められる心配はない。
 どちらを選ぶのが賢いか? 私は、後者だと思うが、あなたは?
Kasa

7.憲法の平和主義と第9条を変えなくてすむ!
 日本国憲法の前文には、次のような一節がある。

 「恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」

 「平和ぼけ」して戦争の悲惨さを忘れてしまった好戦的な武力信奉主義の「自称」リアリスト、なんてものがこの世に存在するとすれば、そういう方たちからは、「馬鹿げた夢想だ」と足蹴にされちゃいそうな、「平和主義」だ。だが、そこには、ようやく実現したICCの基本理念と、相通じるものがはっきりと、ある。
 ICCを国の安全保障の中核に据えるなら、現行憲法の平和主義も第9条も捨てなくてすむ。第9条に愛着のある方にとっては、格別な利点だろう。

8.アメリカの属国状態から抜け出せる!
 安全保障について、アメリカの傘の下から出ることが可能になり、属国状態を発展的に解消し、アメリカと真の友人になる道がひらける。しかも、冷戦構造下でまったく死文化していた現行憲法の平和主義と第9条を、再生させることも可能になる。第9条に愛着のある方にとっては、これもまた、格別な利点だろう。

9.沖縄をはじめ各地の基地負担をなくせる!
 となると、沖縄にいつまでも米軍基地を押しつけておく、じゃなくて、置いておく理由もなくなるわけで、アメリカ様の基地を沖縄からお引き取り願うことも、難しくなくなる。長年「ヤマトンチュ」が使い捨てにしてきたウチナンチュと、対等の関係を結べるときが、ようやく、やって来るのだ。しかも、本土側の痛みをともなわずに……。おおっ、なんとすごいことでしょう。ね?

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