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第1章 抑止力としてのICC〜ICCの傘の下へ移動せよ!/【豆知識6】「文民」と「文民たる住民」

 ここで言う「文民」と「文民たる住民」とは何か。
 ジュネーブ条約「第1追加議定書」の第50条第1項をかみくだいて説明すると、「文民」とは、次にあげる以外の者、だ。

(1) 「紛争当事者の軍隊」の構成員。「紛争当事者の軍隊」とは、部下の行動についてその紛争当事者に対して責任を負う司令部の下にある、組織され武装した戦力、集団、部隊すべてからなる。その紛争当事国を代表する政府または当局が、敵対する紛争当事者によって承認されているか否かは無関係。「紛争当事者の軍隊」の構成員(第3条約第33条の衛生要員と宗教要員を除く)は、戦闘員であり、すなわち、戦闘行為(敵対行為)に直接参加する権利がある。
(2) 紛争当事国の軍隊の一部をなす民兵隊または義勇隊の構成員。
(3) 紛争当事国に属するが「その軍隊」の一部ではない民兵隊、義勇隊、組織的抵抗運動体の構成員で、(a) 部下について責任を負う1人の者が指揮している、(b) 遠方から認識できる識別標章を付けている、(c) 公然と武器を携行している、(d) 戦争の法規と慣習に従って作戦行動をしている、という4つの条件を満たしている者。
(4) 正規の軍隊の構成員で、その者を捕らえて抑留している国が承認していない政府または当局に忠誠を誓った者。
(5) 占領されていない領域の住民で、敵接近にあたり、正規の軍隊を編成する時日がなく、侵入する軍隊に抵抗するために自発的に武器を取る者。ただし、それらの者が公然と武器を携行し、かつ、戦争の法規と慣習を尊重する場合に限る。

 かみくだいて説明って、うそだって? そんなことはないのだが、たしかにこれでもわかりづらい。簡単に図示してみよう。
Bunmin

 ちょっと読みづらいかも知れないが、上記説明とあわせて見れば、だいたいの感じはつかめると思う。灰色部分が、上記説明の(1)から(5)までを表している。そして、灰色以外が「文民」というわけだ。

 なお、「文民たる住民」とは、文民であるすべての者からなる住民であり、「文民」に該当しない者が「文民たる住民」の中に存在していても、その「文民たる住民」から「文民」としての性質は失われない(第50条第2項、第3項)。そして、「文民」は、「戦闘行為(敵対行為)」に直接参加していない限り、「文民」としての保護を受ける。

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