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第1章 抑止力としてのICC〜ICCの傘の下へ移動せよ!/【豆知識10】大笑い「国民保護法」(「国民保護を反故にする法律」?)

 2004年9月、「武力事態等における国民の保護のための措置に関する法律」、通称「国民保護法」が、いよいよ施行された。
 それに先立つ2004年8月、日本政府は、「国民保護法」に基づく「国民保護計画」作成にあたって、「日本有事」の「武力攻撃事態」を、

 (1)弾道ミサイル攻撃
 (2)航空機による攻撃
 (3)地上部隊の上陸
 (4)ゲリラや特殊部隊による攻撃

 の4つに分類する「基本指針」を作る、と発表している。

 これをICC規程との関連で見てみると、「(1)弾道ミサイル攻撃」「(2)航空機による攻撃」は、世界最強のハイテク兵器を備えたアメリカ軍のピンポイント攻撃ですら誤差がありすぎる現状では、日本のような人口密集国への攻撃は「軍事目標主義」の違反だと判断される可能性が大きい。「(3)地上部隊の上陸」も、やはり民間人を巻き込む可能性が小さくないし、そもそも軍隊の日本上陸自体が、日本側の先制攻撃に応じたものでない限り、国連憲章の下では明らかに違法だ。

 となると、ICC規程の犯罪リストにひっかからずに「攻撃国」側ができる正当な攻撃と言えば、「(4)ゲリラや特殊部隊による攻撃」を明白な軍事目標に対して、日本の先制攻撃に応じてやり返すこと、となる。そして、ゲリラや特殊部隊の攻撃に対応できるのは、軍隊なんかではなく、いくぶん重装備の警官隊や、対テロ用の特殊部隊だ。対処するには、戦車もいらん空母もいらんミサイル防衛(MD)システムなどとことん論外空中給油機や戦闘機だって無用の長物。ただでさえ「火だるま状態の借金国家」が、貴重な財源を使うべき品目ではない。

 しかも、ぶっちゃけた話、「世界的規模の武力紛争が生起する可能性一層遠のいて」おり、日本への大規模侵略の可能性「低下している」ことは、2004年版『防衛白書』ですら認めている。

 まあ、そういう状況だからこそ、既得予算を確保しさらには権益を拡大していくために、防衛庁や軍需産業の「死の商人」の皆さんが、「海外派兵」を自衛隊の主力任務にしよう、「武器輸出3原則」(1967年)と「全面的に武器輸出を慎む」という1976年の政府方針を見直して「武器輸出解禁して儲けさせろ!」などと躍起になっている、という流れが、はっきりとあるわけだ。武器の拡散が、各地で「人道危機」をもたらしている内戦や、大国市民相手の無差別攻撃を激化させるだけなのは、これまでのアルカイダの戦いやアフガニスタンの例からも、そして、イラクの「昔はあった」大量破壊兵器(父ブッシュたちが売り込んだ)などからも、明らかであるのに。

 「軍隊は国民を守らない。自分たちを守るだけ」

 沖縄戦の教訓が、満蒙開拓団の教訓が、歴史の彼方から今、甦る。

 ……。
 ちょっと脱線してしまったが、つまり、「国民保護法」が想定する武力攻撃事態のほとんどが、発生する可能性そのものが小さくなっている。それどころか、日本がICC規程を批准するだけで十分に抑止できるのだ。
 「国民保護法は、結局は軍隊(在日米軍と自衛隊)の活動をスムーズにするために作られたもので、国民保護には役立たないし、国民は刑罰の威嚇の下で協力を求められるだけだ」
 という批判があちこちで展開されるのも、もっともなことなのだ。

 上述の背景事情を度外視して条文を読むだけでも、同じ批判にたどり着く。
 「国民保護法」は、政府や軍隊の利益にはなっても、国民1人ひとりの保護には、悲しいほどに役立たない。しかも、「国民保護」に名を借りて、「国民」の行動を制限しようという意図が、条文からも見え見えなのだ。

 たとえば、稼働中の原子力発電所が占拠された場合、半径数百キロが、ほんの数時間で被爆する事態が起こりうるのだが、そんな事態に必要なのは、まずなにをおいても、住民の避難のはずだ。しかし、どうやって?
Hogomuri

 朝日新聞の試算では、880万人の大阪府民を避難させるには大型バス5400台をフル動員しても1週間かかるという。東京都ではどうだろう? 結局、秩序だった迅速な避難など荒唐無稽な夢物語であり、せいぜい「屋内に退避して指示を待ってください」とお茶を濁されるのが落ちだろう。原発に関しては、廃炉を進めることこそ、最善の「国民保護」策。そこに取りかかろうともせずに「国民保護」をうたうとは、いかなる了見か。しかも、この「屋内退避」は、ソフトな装いの「戒厳令」としても、使われかねない、危なげなしろものだ。もうまったくもって、なにをかいわんや。

 また、「武力攻撃事態などですよ〜」と宣言されると、あちこちで立入禁止措置などがとられる可能性があるが、その対象には、ジャーナリストたちも含まれる。となると、その立入禁止区域で何が起きても、ジャーナリズムによる監視はとどかない。起きている事態、起こされている事態は、国民の目に触れなくなって、内部告発でもない限り、永遠の闇に葬られる。(今も同じだというツッコミはまたの機会に。なお、立入禁止命令違反には罰則があり、退避命令違反に罰則はナシ。)

 さらに、「国民保護法」は、市町村レベルにも、緊急事態に対処するための計画立案を命じており、こんな、 住民保護にはほとんど役立ちそうにないものに、かなりの人員と予算が割かれる自治体にとっては、 迷惑千万。しかもそこに、自衛隊や防衛庁関係者が絡んでくるとなると……。

 まあ、要するに、「国民保護法」は「国民保護という約束を反故にする法律」、つまり「国民ほご法」でしかないのではないか、というお話だ。

 あっ、座布団持ってかないで!
Zabuton

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