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第2章 ICCの傘に入って軍備オフ〜国際救助隊・国際人道支援隊を結成せよ!/1.「軍備オフ」への不安に答える(3)

(その3)
 日本本土が安全だとしても、海外にいる日本人を守るためには軍隊が必要じゃないの?

 その理屈でいけば、世界中の国が、異国で自国籍者が何かの事件に巻き込まれるたびに、その国に向けて軍隊を派遣しその国の中で軍事活動を展開することを認めなきゃならなくなると思うが、それでいいのか? 日本にも外国の軍隊が、ガンガンやって来るぞ〜

 そもそも、たとえば在外邦人がどこかの武装勢力や犯罪組織に誘拐されたとしても、その救出のために日本から派遣された 軍隊が何かをできると期待するなど、言っちゃあ悪いが、見当違いもはなはだしい。軍隊はそもそも、人質救出作戦のプロではないし、現地の事情がよくわからないのは、今の日本の在外公館と同レベルだろう。現地の警察に任せるか、警察機構の国際的な協力を通して解決するのが、最も現実的な方策だ。

 どこかの国の内乱に巻き込まれた 日本人救出に、日本の軍隊を派遣すべきか。

 「自己責任」などと冷たいことを言えない性分の私は、思わず「はい」と言いそうになるが、第2次大戦後、内乱に巻き込まれた日本人が自衛隊が来てくれないから海外で酷い目に遭った、などという話を、寡聞にして聞いたことがない(あったら、教えてね!)。

 第2次大戦後、イラク侵略までの間、日本人ジャーナリストや日本のNGOがさしたる敵意に直面することなく海外で活動してこれたのは、「平和憲法」を掲げる日本が海外に軍隊を送ることがなかったからだ。丸腰で来る相手っていうのは、武力に頼ろうとしている連中からは、一目置かれやすいものなのだ(絶対、ではないが)。

 それに、もし世界中の在外邦人を軍隊使って救出だの保護だのするとすれば、それこそ世界中に軍隊を常時派遣しておかねば、どうにもならない。火ダルマ状態の財政赤字にトドメを刺す、とんでもない負担になるぞ。

 そもそも、領事館や大使館が、平時から現地状況に鋭くアンテナを張り巡らせ、現地政府関係者以外の人脈も広く築いておけば、内乱の切迫具合は察知できるし、在留邦人の脱出用航空チケットをあらかじめ押さえておくなど、在留邦人保護の手はずをととのえることもできる。いざ、国外への脱出が必要になった場合には、わざわざ自衛隊機を日本から派遣せずとも、その国や近隣諸国の民間機を利用することもできる。そちらの方が迅速かつ安価な場合がほとんどだろう。電話一本で手配はすむし
Reserv

 また、第3章「外国籍者・在外邦人と戦争」で見るように、「ジュネーブ第4条約」は、内乱時に、滞在している外国籍者の国外脱出を確実にするための措置を、現地政府に課している。現地政府の協力を求めることも十分可能だ。

 だいたい、在外邦人の保護、なんていう大義名分が、あまたの 侵略の口実に使われてきたという歴史を、忘れてはならない。

 9.11以降のアメリカのテロ対策もそうだが、警察機構や文官組織で対処すべき問題に軍隊を持ち出すことは、無用な混乱と戦乱を呼び寄せて、憎悪と暴力の連鎖を生むだけだ。それに、そもそも テロを根絶するには、(1)その背景にある憎悪と、その憎悪を生み出す社会構造とをどうにかするか、あるいは、(2)すべての人間の行動を細かく監視できるシステムを導入するか、しかない。どちらを選択するにしても、それは 軍隊が出てきてどうこうできる問題ではない

 外国で怨みを買うような商売をするから、その用心棒に自衛隊を使いたい、などという発想が、経済界の一部にはあるようだが、そんなものは本末転倒どころかあまりに外道。けっして許されることではない。

 要するに、ICC規程を批准すれば、莫大な軍事予算を使うことなく、せいぜい専守防衛の軽武装さえあれば、在外邦人を危険に陥れることもなく、日本で暮らす人びとの安全も十分に守れる。そして、他の分野、特に教育や福祉に予算を回すことで、社会の活力も暮らしやすさも増すことができる。
 もう一度、言う。第2次大戦後の日本の 高度成長の背景に、憲法9条とアメリカ様の傘の下、軽武装でいられたことがあるのを、思い出してほしい。イラク侵略以降、国際的に孤立を深めるアメリカ様の傘の下から出て、国際法と国際人道法、ICCの傘の下に移る方が、日本国民、日本住民の安全のためになるのだ。

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