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日米同盟に「ICC規程の精神・趣旨」の潜脱を許したら、あきまへんで〜!

2006.2.23.23:55ころ
(2006.2.24.00:30ころ、参考情報を追加しました)

日米2国間免責協定に明確な「ノー」を!にいただいたコメントへのコメントに書いたことを、もう少し具体的に記してみよう。
「ICC規程は批准した後がこれまた重要」、という(たぶんいくつもある)お話の1つである。
そしてこれは、日本政府のICC規程批准よりも中国政府のICC規程批准の方が、地域の安全保障や安定にとっては、口惜しいけど、よっぽど大きなインパクトがある、という理由の1つでもある。

近い将来、日本政府はICC規程(国際刑事裁判所規程)を批准したが、それと並行して日本軍(自衛隊の未来形?)とアメリカ軍(ICC規程未批准)の一体化がますます進んだ、とまず仮定してみる。現状で、現政権が進もうとしている未来図である(※1)

では、そのような状況下、日米両軍が共同で、日本国外のICC規程未批准国で軍事作戦を展開し、そこでICC規程の裁く犯罪が日本軍も関わって実行される、というケースが、はたしてあるのか?
私は、日本政府がICC規程を批准していれば、その危険性は少ないだろうと高をくくっていたのだが、迂闊だった。よくよく考えると、これって、けっこうありそうなのだ。

まずはこちら(↓)の記事をご覧いただきたい。

イラクの自衛隊 陸自も空自も即時全面撤退を(しんぶん赤旗「主張」、2006.2.21)

すでにイラク侵略戦争において実現しているこの現実を起点に、想像力を働かせてみよう。

日本軍がアメリカ兵やその携行武器を、戦地にどんどん輸送する。あるいは、日本軍の艦船が、戦場近くでアメリカ軍の艦船や航空機にどんどん給油する。そして、そのアメリカ兵やアメリカの戦闘機なんかが、現地でたとえば市民に無差別攻撃を加え、あるいは虐殺を展開する。そんなケースを想定してみる。

もちろん仮定であるが、仮にこのような事態が生じたとき、輸送部隊・給油部隊の兵隊や指揮官や司令官、さらにはその大本にいる日本政府の責任者が、責任を免れていい道理はないと思う。
そして、その活動に関与した者たちを処罰するとすれば、ICC規程第25条3項(a)あるいは(d)、そして28条によることになるだろう(※2)

しかし、もし、そのとき、日本軍の指揮官、兵隊、そして政府のトップが、アメリカ軍の詳細な活動目的をあえて知ろうとせず、「同盟上の都合で輸送しただけだから、どんな作戦が実行されたかは関知しない」などと「コイズミ流」にすらっとぼけでもしたら、そのオトボケ無責任軍団を処罰することが、簡単にはできそうにない。難儀を極めそうなのだ。

ICC規程(国際刑事裁判所規程)
【第25条】個人の刑事責任

 1 国際刑事裁判所は、この規程に従い、自然人に対する裁判権を持つ。
 2 国際刑事裁判所の裁判権の及ぶ犯罪を犯した者は、この規程に従い、個人として責任を負いかつ処罰される。
 3 以下の者は、この規程に従い、国際刑事裁判所の裁判権の及ぶ犯罪について刑事責任を負いかつ処罰される。
  (a) 個人として、または他者と共同し、もしくは他者を通して、上記犯罪を行った者。なお、ここで言う他者が刑事責任を負うか否かにかかわらない。
  (b) 実際に行われている上記犯罪の遂行または企てられている上記犯罪の遂行を、命令、依頼または誘導した者。
  (c) 上記犯罪の遂行を容易にする目的で、その遂行または未遂を、教唆・幇助あるいはその他の方法で援助した者。犯罪遂行のための手段の提供を含む。
  (d) 共通の目的で行動する者のグループによる上記犯罪の遂行または未遂に、他の方法で寄与した者。ただしこの寄与は、故意に行われ、かつ、以下のいずれかでなければならない。
   (i) 寄与が、そのグループの犯罪活動または犯罪目的を助長する目的で行われ、しかも、その活動または目的が、国際刑事裁判所の裁判権の及ぶ犯罪の遂行を含んでいる。
   (ii) 寄与が、そのグループのその犯罪遂行の意図を知りながら、行われた。
  (e) ジェノサイドの罪に関しては、ジェノサイドの実行を直接または公然と他者に対して煽動した者。
  (f) 実質的な手段を使って実行にとりかかることで上記犯罪の完遂を試みたが、その者の意図とは無関係な事情のせいで既遂にならなかった者。ただし、犯罪遂行の努力をやめた者、あるいは、そうでなくても上記犯罪の完成を妨げた者は、犯罪目的を自発的かつ完全に放棄したのであれば、この規程により未遂として処罰されることはない。
 4 個人の刑事責任に関する、この規程のいかなる条項も、国際法による各国の責任に影響を与えるものではない。
【第28条】司令官その他の上官の責任
 国際刑事裁判所の裁判権の及ぶ犯罪について、この規程により刑事責任を発生させる他の根拠に加えて、以下を定める。
 1 軍指揮官または事実上の軍指揮官として行動している者は、国際刑事裁判所の裁判権の及ぶ犯罪が、その者の事実上の指揮・統制下にある軍隊によって、あるいは、場合によってはその者の事実上の権限と統制の下にある軍隊によって、その者がその軍隊を適当に統制するのに失敗した結果、行われた場合であって、以下に当たるときは、その犯罪について刑事責任を負う。
  (a) その軍指揮官<司令官,commander>または事実上の軍指揮官<司令官,commander>として行動している者が、上記軍隊が上記犯罪を行っていることまたは行おうとしていることを、知っていたか、または当時の事情から知っているべきだった。かつ
  (b) その軍指揮官<司令官,commander>または事実上の軍指揮官<司令官,commander>として行動している者が、その犯行を防止もしくは鎮圧するのに必要かつ合理的なすべての措置で自らの権限内にあるものを、怠った。または、捜査と訴追のためにその問題を権限ある当局に提出するのに必要かつ合理的なすべての措置で自らの権限内にあるものを、怠った。
 2 本条第1項に記述されていない上官と部下との関係に関しては、上官は、自らの事実上の権限と統制の下にある部下を適当(proper)に統制することを怠った結果、その部下が国際刑事裁判所の裁判権の及ぶ犯罪を行った場合であって、次に当たるときは、刑事責任を負う。
 (a) 上官が、部下がその犯罪を行っていることまたは行おうとしていることを、知っていた。あるいは、上官が、部下がその犯罪を行っていることまたは行おうとしていることを明確に示す情報を、意識的に無視した。
 (b) その犯罪が、上官の事実上の責任と統制の内にある行為に関係しており、かつ
 (c) その上官が、その犯行を防止もしくは鎮圧するのに必要かつ合理的なすべての措置で自らの権限内にあるものを、怠った。または、捜査と訴追のためにその問題を権限ある当局に提出するのに必要かつ合理的なすべての措置で自らの権限内にあるものを、怠った。
【第33条】上官命令と法の規定
 1 国際刑事裁判所の裁判権の及ぶ犯罪が、政府または上官(軍人か文民かを問わない)の命令に従って行われたとしても、その犯罪実行者の刑事責任は免除されない。ただし、次のすべてを満たす場合は、免責される。
  (a) その者が、政府またはその上官の命令に従う法的義務を負っていた。
  (b) その者が、命令が違法だと知らなかった。かつ
  (c) その命令が明白には違法でなかった。
 2 本条の目的のために<本条の目的に関して,for the purposes of>、ジェノサイドまたは人道に対する罪の実行を命ずることは明白に違法である。

うきうき書房仮訳。途中にアルファベットが見えるとしたら、ちょっとしたワケありということで、ご容赦を。そのワケに興味を持たれた方は、T-Time版の解説をどうぞ。また、リズムの悪さは、直訳調を心がけた自家製仮訳だからということで、ご容赦を。もっとこなれた訳を読みたいという方は、こちらもおなじみ、kazumaさんのサイトをご覧ください。英語原文もついてます。)
しかし、いかに難儀で厄介な障害が立ちふさがろうと、いわゆる汚い仕事をアメリカ兵に押し付けることで自らの免責を図るというような、ICC規程の精神・趣旨を潜脱し空洞化する恥ずべき振る舞い、言い逃れが、許されていいわけがない。国際人道法の発展を助けるうえでも、断じてあってはならない

そこで、かような言い逃れを封じるべく、日本政府の言動を厳しくチェックしていく必要が生まれてくる。
人道主義に燃える人も、武士道精神に燃える人も、騎士道精神に燃える人も、茶道に燃える人も、華道に燃える人も、弓道に燃える人も球道に燃える人も何かの求道に燃える人も、ひょっとしたら極道に燃える人も、そうでない多くの人も、力を合わせて。

具体的には、たとえば、


1)現在の日米同盟のあり方を見直して、日本軍(自衛隊)が運んだアメリカ兵が何をするか、何をしたかを日本政府がチェックし、問題を発見したら軍事協力を拒否するというシステムをつくる、とか、
2)アメリカ軍がこれまでにどんな作戦をどんなふうに実行してきたかを、国民全体で(は無理でも国会で)きちんと見直す。そして、「アメリカ兵なら、通常そういう犯罪を犯すんじゃないかとは思ってました。ICC規程を批准してないし、さんざん違法行為をイラクでも展開してきてたし」という認識があったことを、日本軍の兵隊や指揮官、日本政府の責任者が後になってとてもじゃないけど否定できないような状況・環境をつくりだし、ICC規程第30条(下に引用)の適用可能性を確保しておく、

とかすれば、日本側関与者の責任を問いやすくなり(※3)、そこでようやく、日米合作の「戦争犯罪・人道法違反など」を防ぐ見込みが出てくることになろう。
ICC規程(国際刑事裁判所規程)
【第30条】 心理的要素

 1 別の定めがない限り、人は、物質的要素<具体的要素,meterial elements>を、意図的に、かつ、知ったたうえで行った場合にのみ、国際刑事裁判所の裁判権の及ぶ犯罪について刑事責任を負い、処罰される。
 2 本条において<本条の目的のために,for the purposes of>、人
は、次の場合には意図を持っているものとする。
  (a) 行為との関係において、その者が、その行為に従事しようとしている場合。
  (b) 結果との関係において、その者が、その結果を生じさせようとしている場合、または、右の結果が通常なら生じるだろうことに気づいている場合。
 3 本条において<本条の目的のために,for the purposes of>、「知」とは、ある事情の存在に気づいていること、または、通常であればある結果が生じるだろうと気づいていることをいう。「知る」また「知って」は、これに沿って解釈する。
うきうき書房仮訳)

もちろん、

3)日本軍(自衛隊)の海外派兵は断固拒否する、とか、
4)日米「軍事」同盟を解消する、とか、

そういうことができれば、話は早いのだが、さて。

私としては、本ブログで「もうひとつの日本は可能だ!/アメリカの傘の下からICCの傘の下へ、移動するメリット」に書いたとおり、「4)日米「軍事」同盟を解消する」を、声を大にして主張していくつもりだが、そんな世論がこのニッポン社会で高まり得るのか否か。マスター・ヨーダもおっしゃる通り、「未来は常に揺れ動いている」ようで、流動的な情勢の行く先は、まったく読めてません。人間だもの。

(※1)日米同盟:未来のための変革と再編(外務省仮訳)(ライス国務長官、ラムズフェルド国防長官、町村外務大臣、大野防衛庁長官、2005.10.29)
(※2)イラク侵略戦争のケースにあっては、「侵略の罪」(第5条1項d)の内容が今後確定すれば、その幇助犯として日本政府の責任者を裁くことができる、という話もあります。(イラク国際戦犯民衆法廷『GENJINブックレット43 イラク戦争・占領の実像を読む ブッシュ・ブレア・小泉への起訴状』(現代人文社)参照)
(※3)日本の刑事訴訟手続では、
「訴訟上の証明は、自然科学者の用いるような実験に基づく論理的証明ではなく、いわゆる歴史的証明であって、前者が「真実」そのものを目標とするのと違い、後者は「真実の高度な蓋然性」をもって満足する。通常人なら誰でも疑いを差し挟まない程度に真実らしいとの確信を得ることで、証明できたとする」とか、
「「犯罪の証明がある」とは「高度の蓋然性」が認められる場合をいい、それは反対事実の存在の可能性を許さないほどの確実性を志向したうえでの「犯罪の証明は十分である」という確信的な判断に基づくものである。」
とかいう、判例理論が確立されています(『判例六法2006年度版』有斐閣より)。ICCの裁判で犯罪の成立につきどの程度の証明が求められるかは、不勉強で知りません。関連のありそうな条文を挙げておきます。

ICC規程(国際刑事裁判所規程)
【第74条】 判決のための必要事項

 1 第1審判事団の裁判官は全員、公判の各段階に在席しなければならなず、かつ、審議中は最初から最後まで、在席しなければならない。統括部は、個別的な事情に応じて、可能なら、1人または複数の補欠裁判官を公判の各段階に在席させ、第1審判事団の構成員が出席を継続できなくなった場合に交替させることができる。
 2 第1審判事団の判決は、証拠と訴訟手続全体の評価に基づいて行う。判決は、起訴内容や修正された起訴内容が描く事実や事情を越えてはならない。国際刑事裁判所の判決は、公判に提出された証拠と公判で議論された証拠のみに基づいて下すことができる。
 3 裁判官は全員一致での判決を追求し、全員一致が達成できなかった場合は、裁判官の過半数の賛成で判決を下す。
 4 第1審判事団の審議は非公開である。
 5 判決は文書化される。判決には、証拠に基づく第1審判事団の事実認定と結論に関する、完全で詳細な理由を付した声明を、含む。第1審判事団が下すのは1つの判決であり、判決が全員一致でない場合は、第1審判事団の判決には、多数派と少数派の見解を記載する。判決またはその要約は、公開の法廷で言い渡す。
うきうき書房仮訳)

【追加情報】
(1)世界一の気前よさ 米軍駐留経費負担 他の米同盟国26カ国分より多い(しんぶん赤旗、2006.2.21)
(2)なんとも凄い軍事費のムダです(ブログ「吾輩は猫である」、2006.2.23)
(3)また米兵による民間地(市民)への強圧行為(ブログ「ちゅら海をまもれ!沖縄・辺野古で座り込み中!」、2006.2.20)

【閑話休題】上記「しんぶん赤旗」の「主張」の結論について。
「ODA(政府開発援助)など平和的方法でイラク復興に尽力すべきです。」
という部分に、個人的には違和感おおあり。
「ありもしない大量破壊兵器」を「ある!」と言い切って違法な戦争をしかけ、さんざん人を殺して国土を破壊し汚染したアメリカ軍を、日本政府は終始、全面的にサポートしてきたのだ。まずは、謝罪と賠償から入るのがスジだと思うのだ。しんどいことではあるけれど。

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