国際刑事裁判所に関する公開セミナー(参加報告)&『Publicity』
2004.12.4.13:00頃。
(1)
「PUBLICITY」(自由な言論はどこにある?)No.1065(2004/11/29/月)で、メインサイトと『戦争の抑え方☆軍備オフ ICCでつくる戦争のない世界』を紹介していただけた。多謝。
竹山徹朗・同誌編集人の指摘するとおり、たしかに、分量の多い作品なので、紙の書籍にできればとも思うのだが、あのお茶目なイラストとマンガ(自画自賛!)付きで、ああいう内容の作品を出版してくれる出版社があるのかどうか。
それを探すのが面倒なので電子書籍で突っ走った、という面がある。時代がどんどんきな臭くなってきてるので、あまりのんびりもしてられないかなあ、と思って。
(2)
昨日、東京で開催された、国際刑事裁判所に関する公開セミナー。
都合がつくかわからなかったが、とりあえず申し込んでおいて、招待状をゲット。
その後、どうにか時間の都合をつけることができたのだが、無理がたたったのか、風邪をこじらせて、熱は出るわ、喉は痛いわ。直前まで行くかやめるか逡巡していたが、「もったいない!」との相棒の一喝を受け、追い立てられるように、行ってきた。
会場に到着すると、予定(約100人)をはるかに越える申し込みがあったとかで、抽選に漏れて来れなかった人もいたらしい。たしかに会場は満席。机なしイスのみの席が、最後列につくられていたくらいだ。抽選に漏れて無念の涙をのんだ人のことを思うと、無理して遠出して、まずはよかった。
4時間半近くあったセミナーなので、さすがにその内容をすべて紹介することはむずかしい。とりあえず、私の印象に残ったことのみ、あげていくことにしよう。とくに断りのない限り、すべてEUまたはICCから来日した人たちの発言である。ただし、同時通訳を通して書き取ったものを自分なりに再構成しているので、その点、ご了承を。また、「→」の後の緑色の文字は、私のコメントである。
◎冒頭、外務省の方から、「日本は国際的な約束や条約をきちんと守ることを心がけているから、法律の整備などに準備がかかり、批准が遅れている」という趣旨の発言があった。私は、人種差別撤廃条約や子どもの権利条約などのことを思い出して、即座に吹き出したのだが、他に笑った人はいなかったようで、大人げない対応だったかと、ちょっと反省。みんな、我慢強いのかな。◎検察局には、これまでに1,000件以上の通報があた。現在、コンゴ、ウガンダの事件以外に、4つの大陸での6つの事態について分析を進めている。ICCの裁判権(管轄権)は(場所的、時間的に)非常に限定されているので、裁判権外の事態に関する通報については、その旨、返答している。
◎現在のスタッフや資金で、同時に3つの事態にまで対応できる。これら資源の限界を考えると、訴追する事件に優先順位をつけなくてはならない。そこで、一番責任のある者をターゲットに、捜査、訴追を進める方針をとっている。
◎事件のあった現地の裁判所が裁判をするのが、コスト的にも、被害者や証人の参加という面からも望ましい。そこで、締約国がまず裁判権を行使するというのがやはり原則。国際司法は最後の手段。国家システムとは競争しないので、国家との分担を望む。
◎捜査や情報収集などには、締約国や国際社会、NGOなどの協力が不可欠。
◎正義は和平の障壁になってはならない。平和のために正義(裁判)を待たせるべきときもある。
◎和平プロセスには、アムネスティなど、さまざまな方法がある。ICCは、その新たなオプション。
◎公平性、中立性、独立性。実践を通して、これらを示すことが、ICCの信頼を高め、イスラム圏の国(中東では、アフガンとヨルダンのみが批准)やアジアの国の参加を増やしていくだろう。
◎アラブ諸国の多くも、日本と同様、批准の準備作業は進めている。おそらく、侵略の罪の定義が確定するのを待っているのではないか。
◎ICCは、コストも安く、平和構築にもつながる。
◎国際テロについては、将来的には、ICCの管轄にも入りうる。人道の罪として。ただ、現在、テロに関する条約を作成する作業の中でさえ、テロの定義を確定する段階で止まっており、それがネック。
◎ICCのスタッフには、非締約国から10%採用。日本の皆さんも、ぜひ参加を。
◎司法で暴力の悪循環を断ち、健全な国家再建、和解へ。
◎ICCでは、訴追・公判手続での被害者の役割が重視されており、この影響で、各国の国内の司法制度がアップグレードしうる。
◎被害者に平和をもたらす。これだけでも意義深い。
◎ICCは国連からは独立した機関だが、緊密な協力関係にある。10月に共助のための協定を結んだばかりだし、侵略の罪の定義が定まれば、国連安保理の役割も大きくなるだろう。
◎EUは、ICCにさまざまな協力を提供している。域内犯罪捜査ネットワークにICCも参加できるとか、共助や情報交換を行うとか、2国間の責任免除協定(アメリカが躍起になって結ぼうとしているもの)を制限するとか。
◎なぜEUが批准したか。ICCのコンセプトが刺激的だった。(戦争犯罪を防ぐ?)究極の手段、セーフガードである。平和・安全保障を推進する手段である。団結・連帯するための手段である。ユーゴやルワンダでの戦犯法廷のような臨時裁判所と違い、コスト効果の高い代替選択肢である。
◎日本の官僚の準備作業には大変感銘を受けている。どの部署も、ICCについて知識が豊富で、EUがやったものよりはるかに多くの準備をしている(ここで、会場から爆笑)。あとは政治的リーダーの決断だけ。
◎規程の解釈の問題を検討している。EUが高官の免責の問題にどう対処したか、軍事コマンダーの責任とか。日本の準備に対する姿勢は、正しいと考える。
→よく理解できないのだが、日本政府にとっては、やはり日本軍がなにかをしでかしたときの政治家・官僚の責任逃れが重大な関心事だということだろうか? 確認する余力がなかったのが、悔やまれる。◎遠山清彦参議院議員(公明党)「自民党以外はすべて、ICCを支持している」
遠山議員は、日本の準備状況について、「集団殺害罪やその煽動罪を刑法に入れなければならないが、議論のある問題」と、日本政府の立場をフォロー。
→集団殺害罪については、複数人に対する殺人ととらえれば、先の国会で成立した改正刑法でも、ICC規程によるのと同じ、30年または終身の拘禁刑を科すことが可能では? 煽動罪も、教唆犯ととらえれば、同様。
ともかくそのあたりは、批准したあとでも対処はできる。賠償命令は民事訴訟で対応できるし、罰金や公訴時効などについては別途考慮が必要としても、批准を遅らせるほどの問題なのか。国際法による安全保障体制構築を目指すという、姿勢を示すことが必要では。
喉が痛いししんどいしで、セミナー後のレセプションに出られなかったのが、残念。
ともあれ、ICCのスタッフやEUのスタッフの、ICCの活動を通して新しい時代をつくっていくのだという決意と喜びが伝わってきて、個人的には非常に感銘を受けた半日だった。
やはり、希望とビジョンを持ち、それに向かって、立ちふさがる問題に粘り強く取り組んでいこうとしている人たちの姿は、年齢を問わず、若々しい。
今の日本では、なかなか見られない人間の姿だったのでは。
力のつきたドラえもんみたいな声になりつつ、そんなことを考えながら、満員の新幹線で、とんぼ返り。
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Comments
Jukiさん、コメントありがとうございます。
風邪は、その後、やはり悪化しました(自業自得……)。でも、どうやら峠は越えたようです。2、3日中には全快するのではと期待しています。
参加者の年齢性別は、老若男女、幅広かったです。若いかたは女性が多かったという印象を受けています。
質問に立ったのは、赤十字社やアムネスティの人、弁護士さん、参院議員の秘書のひと、だったでしょうか。他のNGOからの参加もあったようです。
本題からはそれますが、ビルマの民主化運動にかかわっているかたが、何とか手助けしてほしいと叫ぶように訴えておられたのが、痛切でした。夫が軍事政権の拷問を受けて、失明してしまったのだとか。
彼女の質問には、ICC検察局のかたが、残念だが裁判権(管轄権)の関係でICCにはどうすることもできない旨、答えました。外務省のかたから、発言を求められて。
Posted by: 仲@ukiuki | December 06, 2004 at 11:36 PM
お疲れ様でした。風邪が悪化していませんように・・・
会場の参加者たちはどんな人達が多かったでしょうか?抽選になるくらいの人の多さに、希望を見い出してしまうのは早いかもしれないけれど、嬉しい知らせでした。
Posted by: Juki | December 06, 2004 at 08:45 AM