国際刑事裁判所(ICC)に関する公開セミナー(参加報告)を踏まえて考える
2004.12.12.11:00前。
先週の公開セミナーの報告で、コメントした点について、ちょっと補足を。
1)上記報告中の、
◎規程の解釈の問題を検討している。EUが高官の免責の問題にどう対処したか、軍事コマンダーの責任とか。日本の準備に対する姿勢は、正しいと考える。
は、日本政府の準備状況について、会場から質問を受けたEUの人が答えていたものだ。EUのスタッフは、日本政府に国際刑事裁判所規程(ICC規程)の批准を促すために来日していたわけで、交渉の過程で、日本政府が批准に進まない理由が見えてきたのでは、という質問である。
これに対して、EUの人は、当日のそれまでの発言では触れなかった問題を指摘した。それがつまり、日本政府が、「規程の解釈の問題を検討している。EUが高官の免責の問題にどう対処したか、軍事コマンダーの責任とかを」という回答だったわけである。
前回のコメントが雑な文章になってしまったことを反省。
それにしても、責任者処罰を大きな目的とする国際刑事裁判所規程(ICC規程)において、責任者の免責にこだわるその魂胆はいかに!?
……とまあ、非常に重大なポイントであるのだが、日本国民の皆様はほとんど気づいておられぬようで(報道もないことだし)、たいへん危惧する次第である。
2)やはり上記報告中の、
◎遠山清彦参議院議員(公明党)「自民党以外はICCを支持している」
日本の準備状況について、「集団殺害罪やその煽動罪を刑法に入れなければならないが、議論のある問題」と、日本政府の立場をフォロー。
→集団殺害罪については、複数人に対する殺人ととらえれば、先の国会で成立した改正刑法でも、ICC規程によるのと同じ、30年または終身の拘禁刑を科すことが可能では? 煽動罪も、教唆犯ととらえれば、同様。
ともかくそのあたりは、批准したあとでも対処はできる。賠償命令は民事訴訟で対応できるし、罰金や公訴時効などについては別途考慮が必要としても、批准を遅らせるほどの問題なのか。国際法による安全保障体制構築を目指すという、姿勢を示すことが必要では。
遠山議員のこの発言は、上記EUスタッフの発言を受けてのものだ。遠山議員は与党公明党の一人として、さすがにヤバイと気づいたのかも知れない。だが、突然の展開に動揺したためか、単に日本政府のこれまでの発言をそのまま代弁して会場の皆に教えてくれただけなのかはわからないが、「国際刑事裁判所規程(ICC規程)の批准をするかどうかは、日本政府の判断にかかっている」と語ったあと、理由にもならない(と私には思える)理由を語った、というわけ。なお、「自民党以外はICCを支持している」は、もっと前に語っていたものだ。
「理由にもならない(と私には思える)」と言うのは、国際刑事裁判所規程(ICC規程)の定める犯罪類型を刑法に入れることを考えるなら、他にもっと場違いだったり難しそうだったりする犯罪は、山ほどあるからだ。たとえば、第6条(d)とか、全部挙げるのもなんなのではしょってしまうと、第8条のあれこれとか。
刑法に取り入れることを考えるよりもむしろ、国際刑事裁判所規程(ICC規程)やその付属文書「犯罪の要素」が定める犯罪行為を、「国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律」に取り込むかたちで同法を改正するほうが(国際的でない武力紛争にも適用するとしたうえで)、よっぽどシンプルだし簡単だと思うのだが。
にもかかわらず、日本政府はそこに踏み込まずに、「刑法の改正がどうのこうの」と言うことで、批准に向けて努力してるポーズを国会議員の方々に見せてるつもりになってるわけで、ここでもまた、その魂胆はいかに!?
と唸ってしまうわけである。う〜む……。
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Comments
自己レスです。
外務省のサイトのココに、今回のEU及びICC関係者の訪日に関する「概要と評価」が掲載されています。
今回のセミナーなどを企画・運営した外務省スタッフの方々の今後の踏ん張りに期待し、エールを送ります。
ガッツだ!ガッツだ!ガッツだ!!!!!
Posted by: 仲@ukiuki | January 04, 2005 at 08:46 PM