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カテゴリー「議会制民主主義の破壊」の22件の記事

【自公とともに、立ち腐れゆく日本】(2)レイシズム、ゼノフォビアと排外主義に毒された文科省

2009.2.18.22:30
(2009.3.20,19:00ころ。塩川鉄也議員議員と中川正春議員による国会での質疑の情報を追記!)

未曾有の経済危機下の事態の緊急性・逼迫性というものが現在の自公政権にはまったく理解できとらん!

とお嘆きの読者が多いと思います。
今日はそこにさらなる嘆きの素を付け加えさせていただきますm(_ _)m

すでに
「外国人学校への公金投入は違反」?(タカマサのきまぐれ時評2、2009.2.17)
が採り上げてくれている、あの問題です。

まずは、

苦境の「ブラジル人学校」 不況下、国の支援が必要(取材ノートから、新里 健記者。京都新聞2009.2.17)

をお読みください。ぜひ。それから本文に入らせていただきたいと思います。

読んでくれましたでしょうか?

派遣切りのツナミが外国人労働者をも襲っていることはあらためて言うまでもありませんが、その結果、日本全国に100校以上あったブラジル学校では学費を払えなくなる保護者が急増。退学を余儀なくされる子どもたちが増え、ブラジル学校という母語での学びの場の存続が急激に危機にさらされはじめています。

ブラジル学校を退学したからといって、その子どもが日本の公立学校に通うようになるかと言えば、そこにはまた大きな壁があります。言葉の問題、サポートするスタッフの確保の問題、さらには、日本の公立学校の教育内容の問題などです。

言語の問題やサポート体制をどうにかするには大規模な予算と時間が必要ですし、緊急時に子どもたちの教育への権利を保障するには、ともかく今ある人的・物的資源を活用することが最善の策でしょう。その意味で、現に存在するブラジル学校の活用が第一に考えられ実施されるべきことと思います。

これについては、こちらの記事でも書きました。

ところが、それを妨害しようとしているのが、文部科学省です。

産経新聞のこちらの記事にありますが、岐阜県がブラジル学校への公的支援を実施しようとしたところ、「憲法に違反する」「憲法改正がないと許されない」などと妄言を叩きつけて、支援を踏みつぶそうとしたのです。

これについては、東京新聞そして中日新聞が、今月に入って記事にしてくれました(東京新聞では11日、中日新聞では12日)。

そこでは、文科省の妄言・妨害が生んだ結果について、次のような一節があります。

 外国人が集住する群馬、長野、静岡、愛知、三重、滋賀の各県も、不就学のブラジル人児童急増に悩む。失業保険の給付が切れる3月、4月に「不就学急増の“第2波”が来る」と危機感を募らせる。支援に知恵を絞り、学校への財政支援も検討したいが「文科省の憲法判断がある」と各県とも検討をストップ。岐阜県がどうクリアするかに目を凝らしている。

文科省の罪深さ、あまりにも酷過ぎます。

文科省によるそのような憲法解釈がデタラメなものであることは、東京新聞そして中日新聞の上記記事中で厳しく指摘してくれています。
ウェブでは有料記事になっているのが残念です。しかも、ウェブのリード文だけだと、まさに文科省の憲法解釈が正しいかのごとき印象を与える点が問題だとも思います。ですので、全文引用したいところですが、長くなり過ぎますので、関連部分だけ引用してみます。

 学校への直接的援助が有効なのは確か。それが憲法89条に抵触するというのは本当だろうか。

 考える教材となるのが、幼児教室への公金支出をめぐる東京高裁判決(1990年1月)。「私的な教育事業に対して公的な援助をすることも一般的には公の利益に沿う」とし、対象についても「各法(私立学校法など)による以外には許されないと解すべきものではない」などとして、支出は問題なしと判断、幼児教室に軍配を上げた。最高裁も同様だった。

 この例をぶつけると、文部科学省は「憲法に抵触する可能性があるので、そこを踏まえ自治体は判断してほしいと申し上げただけ。抵触するというのが文科省の最終スタンスではない」と答えた。

 幼児教室と今回の問題との違いは、通う子どもが日本人かブラジル人かだが、労働力として日系人を招いたのは日本政府。母語教育を認めなければ国際社会からの批判にさらされるところ、ブラジル人学校のおかげで、行政は公立学校に特別教室を設ける負担が軽減されていることを忘れていいのだろうか。

文科省は非常に苦しい言い訳をしていますが、結局、外国人に対する差別だったということなのでしょう。

採り上げられている判例は、権利能力なき社団が営む幼児教室に対する公的支援が憲法89条に違反するかどうかが問題となったものでして、判決では、権利能力なき社団のなしている教育事業に対する地方自治体による公的支援(補助金や土地貸与)を、公費の濫費を防ぐシステムがあれば問題ない、とされています。その件では公的支援が許されたのに今回に限り有無を言わせず「憲法違反」になるとすれば、国籍による差別と見るほかなくなります。

そしてそれは、人種差別撤廃条約(あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約)に違反する行政指導がなされたと、そう非難することもできそうです。(外国人差別はこの条約では禁止されていないって、また言い逃れを図られそうですが。)

何にせよ、最も適切な措置が採られねばならぬ時に、あえて嘘デタラメな憲法解釈を掲げてブラジル学校への公的支援を阻害し、それによって子どもたちの「教育への権利」を踏みにじった事実は消えません。その責任は厳しく問わねばなりませんし、仮に「そんな憲法判例があることを知らなかった」というのであれば、その不勉強と職務怠慢をも厳しく厳しく責めねばなりません。その監督者たる文部科学大臣の責任も当然です。

日本においてブラジル学校が果たしてきた役割などについては、
在日ブラジル学校の現状からみる課題(リリアン テルミ ハタノ、世界人権問題研究センター『研究紀要』13号 / 世界人権問題研究センター 編)
が詳しいので、興味のある方はどうぞお読みください。図書館などで取り寄せできると思います。


上で引用した東京新聞・中日新聞の記事にもあるように、来る3月、4月には、さらなる派遣切りのツナミの到来が予測されるほか、失業保険の給付も途切れる家庭がどんどん出てきかねないとかで、事態はさらに急激に悪化しそうです。

事態は急を要しています

超党派で、文科省の愚行がもたらした災いを取り除き子どもたちの「教育への権利」の保障実現に向けて動いてくれる政治家さんたち、おられないものでしょうか。。。

文科省の姿勢に対する批判は、内閣府が提示した「定住外国人支援施策」についても言えます。教育に関するものを見る限り、文科省が中心にまとめあげたもののようですね。当然の結果というか、公立学校の受入れ態勢の充実が挙げられている程度で、緊急に何が必要か何ができるのか、考えた形跡がまったく見えません
子どもたちの時間があっという間に過ぎ去ってしまうことを、まったく認識していない。こんな連中に教育問題を任せるのは、あまりにも罪深い

しかも、派遣切りにあって日本での暮らしに展望が持てなくなった保護者が、帰国を決意し、子どもにポルトガル語を学ばせなくてはと考えはじめる、そのための場を求める、なんていうケースが、実は出て来ているのです。

公立学校の受入れ態勢充実も急がねばならぬでしょうが、他に並行してやるべきこともあるだろうと、指摘せずにいられません。

ちなみに、この支援施策の担当大臣は小渕優子・少子化問題担当相の兼任だそうです。その若さをあてにして過去の因習に囚われない発想やまっとうな指導力を期待しちゃっていいのでしょうか。

それとも、しょせんはレイシストやゼノフォビアンたちに支配された自民党の二世議員だと、見切らねばならないのでしょうか。

思えば、「(1)分に応じて国・経済界・社会に貢献できる人材と、(2)国定の道徳および公共心を身につけた日本国民の育成」を目指して教育基本法を改定し、日本国民以外は納税者ではないなどという刷り込みを試みている そこの議員さんに「ゼノフォビややレイシズムや排外主義といった枠」を超えた発想を求めるのは、自民党政治家に政治倫理を求めるのと同じくらいに難しいような気もします。。。

ああ、やるせない……。

【関連記事】
「寛容の精神」のない国と、他の人間を平気で「人間以下」と見下す者/「多民族共生教育フォーラム2006愛知」から教育基本法改定を目論む日本政府へ(入管法改定案に関する国会会議録より)(2006.11.13)
教育基本法改正は子どもの権利条約違反!(『週刊金曜日』2006.12.1号)(2006.12.8)

ところで、上記記事の東京新聞版には、【デスクメモ】として、こんな一節が付け加えられていました。

 よい機会だ、低所得層の学費を公費負担してしまえばいい。麻生、開成、栄光、桜蔭に慶大医学部。名門校に受かる学力がありながら、貧しさに涙をのむ子はあまたいる。金持ち子弟が進学校に行って東大や医学部に入り、その子弟も進学校に行き…この循環を断たねば階級社会になってしまう。(隆)

隆慶一郎さんのこのコメントに、激しく同意です。

え、それは故人ですって?

だが、それがいい。 ……なあんてネ(^^;)


最後に、判例情報を提示しておきます。

<事実の概要>(『別冊ジュリスト 憲法判例百選II[第5版]』(No.187 2007/3)(有斐閣)より)

 埼玉県吉川町(現在の吉川市)では、幼児教室の増加に伴い公立幼稚園設置の要望が高まっていたが、予算上困難であったため、同町長は
幼児の保護者および教員をもって構成される「権利能力なき社団」である幼児教室(以下「本件教室」という)に対して、同町所有の土地および建物を無償で使用させるとともに、毎年補助金を支出した。これに対し、吉川町の住民であるXら(原告・控訴人)は、本件教室に対する同町の上記助成措置は憲法89条に違反するとして、地方自治法242条の2第1項1号および4号(平成14年法4号におる改正前のもの)に基づき、Yら(町長および前町長—被告・被公訴人)を相手取り、本件教室に本件土地・建物を無償で使用させることの差止めと、昭和58年度の補償金258万8000円相当額の損害賠償を求めて出訴した。

 第1審(浦和地判昭和61・6・9判時1221号19頁)は、吉川町による本件教室に対する助成措置は、公の支配に属する事業に対するものということができ、憲法89条に違反しないとして、
請求を棄却した。これに対し、Xらが上訴した。

東京高裁平成2年1月29日判決
(昭和61年(行コ)第51号:公金支出差止請求事件)

(高民集第43巻1号1頁、判時1351号47頁、判タ733号52頁)
は、控訴棄却(Xら敗訴。町長ら勝訴)

Xらは高裁判決を不服として上告したが、最高裁は原審(東京高裁)の判断を正当として上告棄却(最判平成5・5・27保育情報206号25頁)。
(2009.3.20、追記)
今国会の会期中にも、衆議院で、ブラジル学校をはじめ外国人学校への公的支援の話、採り上げられていました。

まずは、平成21年2月12日、衆院本会議で塩川鉄也議員が日本共産党を代表して行った代表質問(発言番号58)の中。

(引用開始)…(略)…

 大企業が大幅な生産減と大量の首切りを行うもとで、自治体は、税収が落ち込む一方、失業者への緊急生活支援策などで大幅な財政負担を強いられています。大企業は、企業誘致では自治体の世話になりながら、その負担を住民と自治体にツケ回しをするだけです。地域社会に対する企業の責任を厳しく問うべきであります。同時に、企業立地の促進を地方財政措置などであおってきた国の責任も問われなければなりません。

 大量の失業者が生み出されているもとで、セーフティーネットの機能は極めて重要です。住所が定まらない人でも生活保護の対象となることをすべての自治体に周知徹底し、国と地方の協力で一人も路頭に迷わすことのないようにすべきであります。

 学業保障のための就学援助を受ける子供は、この十年で二倍に急増し、百四十二万人に上っています。この急激な増加に対して、準要保護の所得基準を引き下げる自治体が相次いでいます。私の地元の埼玉県内でも、所沢市、鳩ケ谷市、さいたま市、富士見市、狭山市、川口市などが準要保護の基準を引き下げ、この六市だけで約九百人の子供たちが対象から外されました。

 文科省に、改めて、今日の状況のもとで就学援助の基準の切り下げや支給実態の調査を要求します。就学援助の基準をもとの水準に戻すため、国として必要な財政措置をとるべきではありませんか。

 また、日系ブラジル人など定住外国人は、景気悪化を理由に真っ先に解雇され、言葉の壁で再就職も難しく、教育費が負担できずに子供たちの就学も困難になっています。定住外国人に対しても、生活保護制度を周知し、公立学校への就学支援、ブラジル人学校などへの支援を抜本的に強化すべきです。定住外国人に係る自治体の負担に対応した交付税措置を拡充すべきではありませんか。

…(略)…
(引用ここまで)

塩川鉄也議員は、カルデロン一家の件で法相に申入れに行ってくれた議員の一人です。

塩川鉄也議員はさらに、平成21年02月25日、衆院予算委員会での質疑(発言番号363-367)でも、国際自由権規約と、国際社会権規約委員会の最終見解を引いて、ブラジル学校等への政府による支援を行うべきではないかと、日本政府の姿勢を追及してくれています。

さらに、民主党からも、平成21年02月23日の衆院予算委員会で、中川正春(民主党三重県第2区)が、地元の状況を引きながら、緊急の支援策の必要を訴えています(発言番号69〜83)。
質疑に現れる、日本政府と、現場をより知っていると思われる中川正春議員との意識の差が、絶望的です。しかし、そんな中でも、外国人をどう日本社会が受け入れていくかの基本法を策定していく時期になっていると指摘しています。

くわしくは、国会会議録検索システムでどうぞ。

では、皆さま、どうかご一緒にお願いします。

塩川鉄也衆院議員と、中川正春議員に、

熱く、激しく、

うさエール!!

(追記ここまで)

【署名のお願い】

Creation of a Special Tribunal to try Israeli War Criminals(「イスラエル戦争犯罪特別法廷」設置を国連総会に求める署名)

ガザ封鎖解除のために、日本政府が積極的に働きかけるよう外務大臣に求めるオンライン署名(集約期限は2009年2月28日、アムネスティ・インターナショナル日本、パレスチナ子どものキャンペーン、ピースボート、ユナイテッドピープル株式会社・共同よびかけ)

Stop US helipad plan in Okinawa to save great nature.

すべてのアフガニスタン難民に在留資格を(第1次集約期限2009年2月19日、RAFIQ)

日本版US-Visitシステムの廃止を要望する国会請願署名、電子署名(集約期限2009年8月31日、国際結婚を考える会、IST請願の会)

複数国籍の容認を求める請願署名、電子署名(集約期限2009年8月31日、IST請願の会)

他にもサイドバーにいろいろあります。賛同いただける方は、どうかよろしくお願いしますm(_ _)m

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「人身売買促進法」説と「ドイツの法改正が他山の石になっとらん」説に関する参院法務委員会質疑。小沢代表の怪しい約束

2008.12.08.12:00ころ

今回の国籍法改正に関する参議院法務委員会の会議録、読んでみました。

ほんと、田中康夫(敬称不要)と新党日本にはがっかりです。
今回の国籍法改正が「人身売買促進法」「小児性愛黙認法」だなんて、どこからそんな発想が生まれてくるんだか。

この説はネットで流布してたものらしいですから、支持基盤を思うように広げられずにいる焦りか何かでレイシストたちの妄想にすり寄っていく、たぶんそんなところなんでしょうね、

『「“人身売買促進法”だ」説』に対する反論というも悲しい批判は、

国籍法改正問題について、ある方の質問に応えて送ったメール(一部改変)(*minx* [macska dot org in exile]、2008.11.30)
ほんとうは人身売買のことなんてどうでもいいくせに〜“No pude quitarte las espinas”(いしけりあそび、2008.12.2)

がまとめてくれています。

また、村野瀬さんやたんぽぽさんが紹介してくれている記事も参考になります。

知識不足と不安は差別反動の温床だと思いました。(国籍法改正の趣旨を理解せず反対の理由だけを探す態度はいただけないと思います。(2))(追記あり)(村野瀬玲奈の秘書課広報室、2008.12.5)

国籍法改正案(7)(たんぽぽの涙〜運営日誌、2008.12.7)

これでもう十分にも思えますが、せっかく参院法務委員会会議録を読んだことですし、ここで少し、会議録から情報を紹介しておきます。
まずは、参院法務委員会で社民党・護憲連合の近藤正道議員が田中康夫の発言(というよりアジテーション)に対して指摘してくれた件です。

 このこと、偽装認知については、公正証書原本不実記載とか、あるいは今回の法案の中で新たな罰則もありますし、あるいはこれが全体として人身売買という形で行われるということであれば、この国の刑法には、第三十三章で略取、誘拐及び人身売買の罪、こういう規定がびっしり規定されております。だから、そういう人身売買的な意図を持ってやるということであれば、先ほどの言わば公正証書原本不実記載などというそういうことよりも、むしろ人身売買の罪という形でそれは厳正に対処をされるわけですよね。

 ですから、私は、今回のこの法案が人身売買を誘発するという、ちょっと聞いて驚いたんですけれども、そんなことにはならないだろうと。よりきめ細かく、こういうことができないような、そして、かつ、故なく国籍を取得できない、そういう法の谷間に落とされている子供たちをやっぱり救済する、そういう大きな、人権保障にとってやっぱり大きな一歩をしるすそういう法案ではないかと、私自身はそういうふうに思っております。(近藤正道議員、2008.11.27)

人身売買の罪(刑法262条の2)と、認知手続や国籍取得手続に関する公正証書原本不実記載罪(刑法157条)、そして今回新設される罰則が、併合罪(刑法47条)になるでしょうから(まさか牽連犯(刑法54条)ってことはないでしょう)、買い入れ側だと1件につき最大15年、売り飛ばし側も刑法262条の2第5項が適用されるようなケースであれば最大30年の刑を受ける可能性があります。そして、刑法における人身売買の罪が、今回の国籍法新設によってなくなることも適用除外になることもないのです。どこが人身売買促進法なんだか。

さらに、共産党の仁比聡平議員のツッコミも紹介します。

仁比議員は、政府答弁で語られた、2003年から2007年までに警察庁が偽装認知事件として把握しているものが3件しかなかったこと(田中康夫の後に質疑に立った松野信夫議員への答弁で出て来た数字です。ちなみに、同期間の偽装結婚事件とされているものは173件だったとか)を踏まえたうえで、今回の法改正が人身売買推奨法になってしまうという批判に根拠があるとは思えないが、どうですかと法務大臣に尋ねています。(ちょっと難しく意訳すると、ブローカーが絡んで人身売買促進法になってしまうと恐れねばならぬような、そしてDNA鑑定を義務付けるというプライバシー侵害の程度が極めて強度な義務を課すに足る具体的な事実はないでしょう、という質問だと言えるでしょうか。)

すると、森英介法務大臣(民法の300日規定に関して近藤正道議員がこの日投げかけた問いかけに対して、まったく非論理的な返答をして逃げ出してしまうような腹立たしいところもある人物なのですが)「ちょっと十分理解できてないのであれですけれども、私は直接関係ないというふうには思いますけれども、直接的にはですね」との返答です。なんだか笑ってしまいました。そりゃあ、十分理解するのは難しいですよねえ、その説の根拠が全然示されていないんですから。

国籍法改正案に関して一部で流れていた、「血統主義を基本にしてきたドイツで認知による国籍取得を認めた後、偽装認知が相次いだので対処する法改正がなされた、しかし今回の改正案にはドイツの失敗が活かされていない」という説については、中央大学の奥田安弘教授が参考人として、次のように解説しています。

 一部の報道では、今回の国籍法改正が成立すると仮装認知が増えるおそれがあるとして、ドイツにおける今年三月の法改正を取り上げております。しかし、このドイツの法改正は国籍法の改正ではありません。国籍法の方は、相変わらずドイツ人父親による認知だけでドイツ国籍の取得を認めております。今年三月に行われたのは民法の改正でありまして、ドイツの官庁が認知無効確認の訴訟を提起できるようになった、そういう内容でございます。

 すなわち、ドイツの民法では、改正前は、認知をした父親本人又は認知を受けた子供、さらに母親しか認知無効確認訴訟を提起することができなかったのです。これは法律上、明文の規定による制限です。そこで、新たに官庁もこういう訴訟を起こせるようにしたわけです。

 第二に、ドイツでは認知無効確認の提訴権者が制限されておりますが、日本法にはこのような制限がありません。それどころか、公正証書原本不実記載などの罪により刑事裁判で有罪判決が確定した場合は、裁判所から本籍地の方に通知がなされまして、本籍地の市町村では職権によって認知の記載を抹消することになっております。

 今回の国籍法改正が成立した場合は、さらに日本国籍を取得したとして戸籍が作成された子供についてもその戸籍は抹消されることになります。したがって、ドイツの三月の法改正はある意味では日本法では必要のないことであり、またある意味では仮装認知の防止と国籍取得を安易に結び付けるべきではないということを示しております。

 第三に、ドイツではドイツ人父親の認知があれば自動的にドイツ国籍の取得を認めており、我が国のように更に加えて国籍取得届を出させるというようなことはしておりません。これは極めて大きな違いであります。

 国籍取得届の詳細は、我が国の場合、国籍法施行規則一条や昭和五十九年の通達などに定められておりまして、これらも改正が予定されているようですが、この国籍取得届の取扱いは市町村への認知届とは大きく異なります。すなわち、届出人は必ず自分で法務局に出頭し、届出の際に届書や必要書類の点検を受けるだけでなく、いろんな質問をされた後に受付をしてもらいます。さらに、受付後も法務局の職員は届出人や関係者の自宅に赴いて事情聴取をするなどの権限が与えられています。このように慎重な手続を経て初めて国籍取得証明書が交付され、子供の戸籍をつくることができるのです。したがって、認知のみで国籍を与えるドイツと比較いたしますと、かなりハードルが高いと言えます。

もう十分でしょう。

ところで、田中康夫が質疑というか演説、アジテーションの中で語っている次の言葉が気になります。国民新党の亀井静香と民主党の鳩山由紀夫両氏から、「是非とも、いささか形骸化しつつある良識の府参議院で法案修正を勝ち取って衆議院に差し戻してほしいと、私、昨日、直々に、直に激励を受けました」と。

両氏、気はたしかなんでしょうか。

まあ、民主党は最終的に改正法案に賛成していますが、国民新党は田中康夫と一緒に反対しちゃってるんですよね。上に挙げたような情報に接した後でなお。
国民新党にもやはり激しくガックリです。。。orz

田中康夫によると、反対・棄権もしくは欠席した議員は、

院内会派「民主党・新緑風会・国民新・日本」の中から新党日本の私 田中康夫。国民新党グループの亀井亜紀子、亀井郁夫、自見庄三郎、長谷川憲正、森田高。無所属の外山斎の7名。会派に属しない議員の中から川田龍平、田中直紀の2名。計9名です(敬称略)。
他方、棄権若しくは欠席が、民主党5名、自由民主党6名でした。

ああ、川田龍平議員まで!

偏見に加担する「言い訳」を考えるリベラル系議員(*minx* [macska dot org in exile]、2008.12.1)

さらに、同じ文章で田中康夫が書いている、小沢民主党代表の語ったところも気になります。

小沢一郎さんも、両党(新党日本と国民新党のこと。当ブログ主注記)が反対票を投ずる方針に理解を示し、政権奪取後は速やかに国籍法の再改正を行う意向を示している。新党日本は、「DNA鑑定制度の導入と父親の扶養義務を本則に明記する国籍法の『改正』」を、総選挙のマニフェストで宣言する、との。

政権奪取したら速やかに国籍法改正を行う意向を示してるって、DNA鑑定義務付けの法改正をするってことなの??? それって、今回の法改正には賛成しておきながら、政局次第でどうにでも動くってこと????
小沢代表らしいねえ……って、呆れてるだけじゃマズいですよね(-_-;)。

田中康夫(そして山谷えり子)の質疑にうんざりさせられた参院法務委員会会議録でしたが、それでも衆議院よりは希望を感じました。子どもの人権を立脚点にしての質疑が、「ねじれ現象」のおかげか、明らかに多いです。

これについては、また別の記事で紹介できればと思います。
「好意認知」なる現象と、日本の家族制度についての話も、ちょっと興味深かったですので、機会があればぜひそれも。

そんないつになるかわからない記事を待ってられるかい!
という至極もっともなツッコミを入れてくださるうえ、ちょっとでも関心を持たれた方は、会議録原本にお当たりください。
今ならこちらでお読みになれます。(会議から30日を経過した今年の12月27日以降は、国会会議録検索システムで検索するほかなくなるようです。)衆議院法務委員会の分も併せて読むと、また一興だと思います。

【「2008年国籍法改正」関連記事】
国籍法改正で「ネットの闇」に、くわばら、くわばら/反婚デモと格差論(2008.12.8)
「国籍法改正」問題と、うさぎのおしゃれ倶楽部。(2008.11.18)
星を見上げてSAY NO TO RACISM/国籍法改正/犯罪対策と非正規・未認可滞在者、外国人(2008.12.7)
「人身売買促進法」説と「ドイツの法改正が他山の石になっとらん」説に関する参院法務委員会質疑。小沢代表の怪しい約束(2008.12.8)

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大阪市の棄民政策(続)

2008.2.5.18:00ころ

古い話になりますが、

大阪市の棄民政策(2007.2.26)
大阪市の棄民政策(再)(2007.3.1)

の続報です。

住民票問題のその後も、やはり「棄民をつくる政策」に対抗する闘いが現地では続行中なわけですが、今の自分に直接関わらない問題という理由もあって、日常の暮らしが忙しかったりいろんな問題が次々に目の前に飛び出して来たりして、ついつい目が離れていってしまってます。

そんなとき、こんな情報が流れてくることは、非常にありがたい。

というわけで、きっと皆さまもそうであろうと思い、AMLから「転送歓迎」とのことですので、転載します。

Kさん不当逮捕を許すな!抗議声明

 大阪府知事選の前日、1月26日(土)に大阪・西成の釜ヶ崎労働者、Kさんが逮捕されてから、はや十日間が経つ。逮捕容疑は「屋外広告物条例」違反とある。名目は仰々しいが実際のところ、大阪府知事選への投票を呼びかけたビラを電柱に貼っていただけのことである。町に氾濫するピンクチラシや広告ビラを普段全く放置していながら、このような微罪で1人の労働者を狙いうちで逮捕したのだ。

 大阪府警・西成警察署はいい加減にしろ!Kさんを今すぐ釈放しろ!不当な逮捕・勾留を許さないぞ!

 何故、Kさんは逮捕されたのか。10人もの刑事に取り囲まれて!
 それは、Kさんが住民票消除との闘いを最先頭で闘い続けてきたからであることは疑いない。

 大阪市は昨年3月29日、2088名もの釜ヶ崎労働者や野宿労働者の住民票を奪った。住民票を奪われた労働者は、選挙権をはじめ社会的諸権利を剥奪されたうえ、身分証の提示を求められる現場で働くこともできない。携帯電話の契約や銀行口座の開設もできず、日常生活を送る上でも著しく制限がある。住民票は、そんな当たり前の生活をしていくうえで不可欠のものだ。住民票消除とは、これら社会制度からの押し出しであり、市民権の剥奪である。
 住民票を奪われた多くの人々は、不安定な就労形態を強いられているが故に、安定した住居を持つことができないでいた。そのためにこそ住民票を奪われている。この住民票取り上げは、すべての不安定な仕事・不安定な居住を強いられている仲間に向けられた攻撃だ。
 日本で生まれ日本に暮らしながら、就労が不安定で収入が少ないが故に選挙権を行使することができないのであれば、日本ではいまだに“普通選挙”が行われていないということである。前時代的な“制限選挙”に他ならない。誰もが中学生のときに習う、日本国憲法に明文化されている“法の下の平等”はどこにあるのか。そもそもこの国の“普通”選挙制度は、長きにわたり暮らしこの社会の一部を担ってきた在日コリアンすら排除した差別制度ではなかったか。

 こんな仕打ちに対し、怒りをもって行動に移るのは当たり前のことだ!
私たちは大阪市や国に対して、権利や生きるための条件を回復するために繰り返し抗議してきたが、現状は何ら改められることなく、そればかりか一般の市民でも「現住所と住民票記載の住所と一致していない」という理由で、なし崩し的な住民票消除が繰り返されている。
 Kさんはこの住民票消除に反対し、消除差し止めの仮処分裁判を起こし、勝訴判決を勝ち取った当事者である。彼の裁判結果により、大阪市の当初の思惑は大きく揺るがされ、多くの釜ヶ崎・野宿労働者が昨年夏の参議院選挙においても選挙権を行使することができた。それ以降もKさんは、住民票消除反対をかかげて一貫して運動の先頭に立ってきたし、闘いの過程で起こった市が雇った警備員による暴行事件を告発する裁判や、他の当事者との共同して住民票消除に異議を唱える裁判を継続している。逮捕のその瞬間も、釜ヶ崎労働者に選挙権を行使し、民主的な社会を実現することを呼びかけていた。
 今回、大阪府警・検察・裁判所が強行した逮捕・勾留は、彼が中心となって展開している闘争を妨害を狙ったものであることは明白だ。
住民票消除について、本当に責任を取るべきなのは誰だ!それは釜ヶ崎・野宿労働者でもなければ、Kさんでもない。大阪市行政はもとより、不安定な仕事、不安定な住居を生みだしているやつらこそ被告台に上らせなければいけない!

 だいたい、電柱へのビラ貼りなど「注意」程度で済むはずだろう。ましてや、10人の刑事も10日間の勾留もなんの必要もない。そもそも、金持ち連中が新聞やテレビなどのメディアを使ってデマを垂れ流すのに対抗して、私たちがビラでも何でもばらまいて労働者に訴えようとするのは当たり前のことだ。

 私たちは大阪府警・大阪地方検察庁・大阪地裁に強く抗議するとともに、Kさんの即時釈放を求める。


2008年2月5日
Kさんを支える会(仮称)
連絡先:長居公園仲間の会


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外国人地方参政権に反対する議員って「保守派」なの??

2008.1.14.18:00ころ

「治者」と「被治者」が同一であるべし。
これは民主主義の基本のはずです。
その意味で、民主党内の下記記事表題中の動き、自然かつ当然の、応援すべきものだと思います。

外国人の地方参政権法案、民主内で再提出の動き(2008.1.5、読売新聞)

 永住外国人に地方参政権を付与する法案を巡り、民主党内で次期通常国会に再提出を目指す動きが活発化してきた。
 地方参政権付与は公明党が強く求めており、「参院に民主党が法案を提出し、公明党に賛成を呼びかければ、与党の分断を図ることができる」との狙いからだ。ただ、党内の保守派議員は「憲法上も、国のあり方という観点からも、絶対に認められない」として阻止する構えだ。
 民主党は、同法案を1998年と2000年の2度にわたって衆院に提出したが、いずれも成立せず、廃案となった。一方、公明党は05年に衆院に「永住外国人地方選挙権付与法案」を提出、今国会でも継続審議になっている。自民党を中心に慎重論が根強いことが背景にある。
 民主党の川上義博参院議員は、党内の有志議員に呼びかけ、民主党案の再提出を目指す議員連盟を近く結成する方針だ。今回の法案には、相手国で外国人に対する選挙権を認めている場合にのみ、その国の国籍を持つ人に選挙権を付与する「相互主義」を新たに採用することを検討している。「公明党案にも、当分の間は相互主義をとることが盛り込まれており、公明党も民主党案に反対できなくなる」との判断がある。
 民主党の小沢代表は、「一定の要件のもとに地方参政権を与えるべきだ」と主張してきた経緯がある。川上氏らは、党執行部の賛同を得て、参院先議で法案を提出したい考えだ。
 これに対し、党内の保守派議員は「選挙権は、日本国籍を有する者に対してのみ保障されている。政局的な狙いから、『国のかたち』をゆがめるべきではない」と反発している。

この、続報(?)です。

外国人に地方参政権法で議連 民主有志設立準備(2008.1.13、京都新聞)

 民主党の有志議員が、在日外国人など永住外国人に地方参政権を付与する法案を通常国会に提出するため議員連盟の設立準備を進めていることが、12日、分かった。
 法案は、野党が過半数を占める参院に提出する考えで、小沢一郎代表も理解を示しているという。同法案は公明党が強く成立を求めているが、自民党には慎重論が強い鵜。参院で採決されれば「与党分断につなげられる」(民主党関係者)との指摘もある。ただ、民主党内の保守系議員は「国家主権にかかわる問題」として議連設立と法案提出に対抗していく構え。執行部の対応によっては逆に党内に亀裂が入る恐れもある。
 中心となっているのは川上義博、白真勲両参院議員ら。既に参加を呼び掛ける趣意書を党内に配布、月内にも設立総会を開く。
 民主党は地方選挙権付与法案を1998年と2000年に提出、いずれも廃案となったが、その後は保守系議員の反対もあり提出を見送ってきた。しかし2005年に韓国が永住外国人の地方選挙権を認めたことから、川上氏らは「相互主義の観点からもこれ以上放置できない」として法整備を働きかけることにした。

記事から察するに、「永住資格」を取得した外国人に対象が限られているらしい点が、個人的にはどうかなあ、と思いますが、それでも望ましい動きには違いありません。

ちなみに、地方参政権については、1994年2月28日の判決で、あの「マクリーン事件判決」の最高裁判所でさえ、地域との密接な関わりを持つに至った外国籍住民に与えることは違憲ではない、としています。その判決のPDFファイルから、該当部分を抜き出してみます。下線は、ブログ主がつけました。

憲法第八章の地方自治に関する規定は、民主主義社会における地方自治の重要性に鑑み、住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共団体が処理するという政治形態憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出たものと解されるから、我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。

それでもなお、民主党内の保守派議員は「憲法上も、国のあり方という観点からも、絶対に認められない」として阻止する構えだそうです。

しかし、こういう議員さんたちを読売新聞の記事のように「保守議員」と言っていいんでしょうか? 

「現状を変えない」という意味では「保守派」なのかも知れません。ですが、国政選挙でもない地方選挙で、しかも、極めて排外的な思想を基軸とする最高裁ですら外国籍住民の参政権を容認している地方選挙において、「外国籍住民の排除を当然のこと」とする姿勢は、むしろ「極右」とか「レイシスト」とか、あるいは「国家主義者」とか呼ぶのがふさわしいのでは?なんて思います。

まだ、京都新聞が書いているように「保守議員」とする方が、こちらだと「今現在の思想や政治的立場」よりも「政界におけるその出自や経歴」が「保守派と呼ばれるところ」にあった、というようなニュアンスになって、適切のような気がしまして。

なにはともあれ、おそらくは通信社系の京都新聞の記事と、読売新聞の記事。
今回の表記に関わらず、細かいところで、微妙な違いがあるんでしょうね、やっぱり。


【関連記事】

在日コリアンの団体が政党にアンケート(OhmyNews)(2007.7.19)

「日本人でよかった」まるたまちゃんvs.「外国人参政権」?♪田中康夫に、うさエール♪「国際救援隊」もあるよ(2007.8.27)

『週刊ポスト』「在日韓国人・朝鮮人「住民税 極秘半減」の免税密約を撃つ!」( ̄ー ̄)ニヤリ。そして、この秋、小学校教科書に登場したウソ( ̄_ ̄|||) どよ〜ん(2007.12.7)

「護憲派アマゾネス軍団」参加のお知らせ(はーと)(2008.1.7)

【関連サイト】
アンニョンハセヨ参政権-----定住外国人に参政権を----

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『週刊ポスト』連載「厄人天国ニッポン」解体新書/STOP!法務省の暴走!

2008.1.3.19:05ころ
(2008.1.4.17:30ころ、「厄人天国」解体新書の第4回目タイトルを追記。すぐ上のアップ日時の「年」も修正。2007年にしちゃってました…新年早々、orz
2008.1.15.21:30ころ、最終回のタイトルを追記。)

新年です! 今年もよろしくお願いいたします!!

帰省から帰って、あちこち巡回してましたら、おなじみ非国民通信さんの>昨年大晦日の記事で、びっくりするニュースに出くわしました。

判決前の強制送還に「遺憾」=異例の苦言−中国人女性の不法就労訴訟・東京地裁(gooニュース、2007.12.28。時事通信社)

 不法就労していたとして東京入国管理局に摘発された中国人女性(28)が強制収容の差し止めを求めた訴訟の判決が28日、東京地裁であった。定塚誠裁判長は不法就労には当たらず、収容令書の発付を違法と認定した。しかし、女性は判決期日指定後に強制退去させられたため、訴え自体は却下。裁判長は「違法な手続きで、遺憾」と異例の苦言を呈した。
 定塚裁判長は、女性が週に28時間以内の労働に従事できる許可を得ていたと指摘。「女性が実際に接客していたのは、認められた時間内だった」と述べ、不法就労には当たらないとした。
 その上で、判決前に入管が女性を強制送還したことについて、「違法な手続きが強行されたことは、遺憾であると言わざるを得ない」と批判した。

国連マンデート難民をトルコに追い返したのに匹敵する、そして、「日本にいる外国人を煮て喰おうと焼いて喰おうと勝手」の精神を法務省が今も堅持していることを、アピールしたいかのような愚挙、暴挙です。もはや日本は法治国家ですらない、「厄人天国」になっちゃってる、その証でもありましょう。

【関連記事】
自民党の限界と内閣府「人権擁護に関する世論調査」(2007.8.29)

今年中には始まる予定の「法務大臣によるテロリスト認定・退去強制システム」の運用にも、また、すでに稼働している「指紋・顔写真採取・蓄積・流用システム」の運用にも、不信が募ります。
さらに、こんな役所に「人権擁護」のための部局を新設するような「人権擁護法案」、百害あって一利なしだと断言できるんじゃないでしょうか。

【関連記事】
新・入国審査システム稼働1カ月。法務省、人権擁護法案、鳩山法相スキャンダル。在日「障害者」無年金訴訟最高裁判決(2007.12.27)

おそらく法務省は、

「外国人の在留の許否は国の裁量にゆだねられ、わが国に在留する外国人は、憲法上わが国に在留する権利ないし引き続き在留することを要求することができる権利を保障されているものではなく、ただ、出入国管理令上法務大臣がその裁量により更新を適当と認めるに足りる相当の理由があると判断する場合に限り在留期間の更新を受けることができる地位を与えられているにすぎないものであり、したがつて、外国人に対する憲法の基本的人権の保障は、右のような外国人在留制度のわく内で与えら れているにすぎないものと解するのが相当」

としたマクリーン事件判決を根拠に、「入管行政」は「司法権」の外にある、とでも考えているのでしょう。

しかし、このマクリーン事件判決のあった翌1979年、日本政府は、国際人権規約を批准しています。この条約の遵守を、日本政府は(その一部に過ぎない法務省も含めて)、国際的に約束しているわけです。ならば、その限度で、マクリーン判決の「上記部分」を変更する「法令や行政指針」の変更があったと見なすべきはず。

そして、その国際人権規約の1つ、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(自由権規約)には、次の条項があります。

第13条【外国人の追放】 合法的にこの規約の締約国の領域内にいる外国人は、法律に基づいて行われた決定によってのみ当該領域から追放することができる。国の安全のためのやむを得ない理由がある場合を除くほか、当該外国人は、自己の追放に反対する理由を提示すること及び権限のある機関又はその機関が特に指名する者によって自己の事案が審査されることが認められるものとし、この為にその機関又はその者に対する代理人の出頭が認められる。
第14条【公正な裁判を受ける権利】 1 すべての者は、裁判所の前に平等とする。すべての者は、その刑事上の罪の決定又は民事上の権利及び義務の争いについての決定のため、法律で設置された、権限のある、独立の、かつ、公平な裁判所による公正な公開審理を受ける権利を有する。(略)

今回法務省がとった措置が、この下線部分に反すること、明らかじゃないでしょうか。

そうだ、ついでにこれも挙げておきましょう。

第16条【人として認められる権利】 すべての者は、すべての場所において、法律の前に人として認められる権利を有する。

あんまりむかついたので、『週刊ポスト』の連載記事を紹介しておきます。
題して、「厄人天国ニッポン」解体新書。これまで、3回続いています。皆さま、ぜひお読みください。(2008.1.4.17:30ころ、4回目を追記。)

『週刊ポスト』バックナンバー一覧
第1回 「薬害肝炎局長」は250万円! 悪徳官僚の「高額ボーナス」(2007.12.14号)
第2回 明治政府の「永久官の特権」が平成日本で大暴走!(2007.12.21・28号)
第3回 キャリアVSノンキャリ「犯罪を生み出す残酷な壁」に法的根拠なし!(2008.1.4・11号)
第4回 キャリア官僚「天下り」で国民は6兆円損している!(←手元にないけど、たしか「半年で6兆円の損」だったと記憶してます。2008.1.18号)
最終回 「官僚は大臣より偉い!」閣議さえ支配する「主権在官」の構造——いかにして事務次官は政策決定への「拒否」という特権を手にしたか(2008.1.25号)

by 武冨薫と本誌取材班

『週刊ポスト』「在日韓国人・朝鮮人「住民税 極秘半減」の免税密約を撃つ!」( ̄ー ̄)ニヤリ。そして、この秋、小学校教科書に登場したウソ( ̄_ ̄|||) どよ〜ん(2007.12.17)

で取り上げた記事もそうでしたが、長いスパンで因果の様相をきっちり見つめたうえで、現在起きている事象をとらえようとする。そんな姿勢が、この連載でも貫かれています。

今年の『週刊ポスト』に、皆さま、どうぞご注目とご声援を!!

(アダルトな情報も豊富な雑誌なので、お子様はゴメンね!!)


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外国人の生体情報採取・蓄積・流用システムの問題点(「入管法改定案に関する国会会議録」より)

2007.9.4.16:10ころ
しばらくの間この記事を冒頭に置きますが、どうかご了承くださいませ。

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2008.2.6.START!

日本版U-Visitシステムの廃止と、蓄積されたデータの完全廃棄を要望する国会請願署名、電子署名

(国際結婚を考える会、IST請願の会)




Privacy International

日本版US-VISITの実施に対する国際抗議署名

PI leads coalition of organisations against Japanese Government plans for fingerprinting at border(English)





WEB署名アクション始動!!ご協力くださいませ!!!

Abolition for Non Japanese fingerprinting program

日本入国外国人の指紋採取義務付けに反対する電子署名運動に、どうかご参加ください。よろしくお願いいたします。


「日本版US-VISIT」施行の中止を求める!
10.27シンポジウム アピール(日本語)

STOP THE "JAPAN VERSION OF THE US-VISIT PROGRAM"
APPEAL FOR THE OCTOBER 27, 2007 SYMPOSIUM
(English)


日本版US-VISITの停止と見直しを求める(反住基ネット連絡会)


日本政府に新入国審査制度の撤回を求める書(東京華僑総会)


日本入国審査における個人識別情報採取による入国審査実施に反対します(日本キリスト教協議会)



【「鳩山爆弾発言」解読シリーズ】
やっぱこんなヤツかいな(鳩山邦夫法相の巻)(2007.9.5)
テロ予告と鳩山法相/世界に広がる衝撃恥(やっぱこんなヤツかいな(鳩山邦夫法相の巻part2))(2007.10.30)
鳩山記者会見映像(OhmyNews)でまたびっくり!罷免しないでいいんかいな、こんなヤツ。。。(2007.10.31)
私の友だちの友だちが、ある怪談……/世界に広まる!新・入管システムの危険性(2007.11.1)
うようようようよテロリスト・リスト(トコトン阿呆どす鳩山法相)(2007.11.7)
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本記事とは直接の関係はありませんが(日本で暮らす者の安全という意味でならおおいにあります)、【署名のお知らせ】 柏崎刈羽原発停止を求める坂本龍一さんたちによる呼びかけ(Like a rolling bean (new) 出来事録)も、まだの方はなにとぞよろしくお願いします。(2007.9.5.00:24、2007.10.2.20:00更新)

こちらも同様です。「岩国市新市庁舎建設を勝手に支援する会」の口座番号決定〜「基地誘致交付金」に抗議する寄付募集開始!(情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊))。賛同いただける方はなにとぞよろしくお願いします。(2007.11.23.13:10)

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日本の法務省は指紋採取に対する反発を懸念し、今月初めに日本への入国者が多い韓国・中国・台湾・香港に入国管理局職員を派遣し、現地旅行会社やメディアを対象に説明会を開く予定との昨日紹介した報道に続き、
日本政府関係者は「指紋採取を通じて不法入国者を源泉封鎖し、追跡する効果もおさめられるようになるだろう」と話している。との報道もありました。

そこで、昨日アップした過去記事(こちらこちらを足したもの)を差し替えて、昨年から今年初めにかけて私がまとめてみたものをPDFファイル(1.5MB)にして、公開したいと思います。

内容の抜粋は以下のとおりです。
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【はじめに】採取した生体情報はどう使われるか? 法律に明記されていないので、国会会議録から拾ってみました。

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【1】外国人からの指紋採取・蓄積・利用システムは 抜け穴だらけのテロ対策です。

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【2】外国人からの指紋採取・蓄積・利用システムは 人権を著しく侵害します。
 (1)入国審査時の指紋採取は、国際自由権規約が禁止する「品位を傷つける取り扱い」に当たります。
 (2)個人の私生活・プライバシーを侵害する危険性が極めて大きい利用方法が予定されています。
  (ア)生体情報を長期間保有するのは、危険すぎます。
  (イ)生体情報の外国捜査当局・司法当局への提供が予定されており、採取された生体情報の利用の歯止めが失われるおそれがあります。外国人登録法で指紋押捺が義務づけられていた時代にはなかった事態です。
  (ウ)生体情報の犯罪捜査、不法滞在者対策への流用が予定されており、インテリジェンスシステム(後述)と一体化すれば、在日外国人の私生活やプライバシーを監視する強固なシステムが生まれてしまいます。
 (3)日本に生活の基盤を持つ永住者など外国人登録者に、極めて大きな不利益をもたらすおそれがあります。

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【3】外国人からの指紋採取・蓄積・利用システムは 外国人差別、人種差別、民族差別を助長します。
  (ア) 外国人差別を日本政府が煽動してきました。
  (イ)指紋採取システム導入で差別と偏見が強化され、在日外国人の置かれた状況はますます悪化します。
  (ウ)日本には、外国人嫌悪や人種差別に対抗する法制度すらありません。
  (エ)正すべきはマジョリティの偏見であり、その責任は外国人ではなく日本政府にあります。

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【4】外国人からの指紋採取・蓄積・利用システムは 日本人をも被疑者扱いする監視社会への入口です。
 (1)在日外国人を監視する「諜報システム」が生まれようとしています。
 (2)自動化ゲート導入によって、日本人をも対象にする監視社会が生まれようとしています。

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【5】外国人からの指紋採取・蓄積・利用システムは 憲法13条、14条、31条、98条2項に違反します。
 (1)プライバシーの制約が最小限とは言えず、目的と手段の均衡がとれていないので、13条違反です。
  (ア) テロ対策目的で採取した生体情報を、不法滞在対策、犯罪捜査に流用するのは不当です。
 (2)長期間(70~80年間)にわたり生体情報を保有しつづけると情報流出のおそれが高まります。また、保有しつづけるための必要性がそもそも乏しいので、プライバシーに対する過度な危険性をもたらす制限として13条違反です。
 (3)生体情報提供義務づけの対象が過度に広範であり、13条違反です。
 (4)再上陸拒否期間を経過した者の指紋情報を蓄積・照合するのは、過度な規制として、13条違反の疑いがあります。
 (5)テロ対策、不法滞在対策には人権制約の程度が小さい他の方法があります。にもかかわらず指紋情報の提供を義務づけるのは、個人の私生活上の自由およびプライバシーに対する過度な侵害であり、13条違反です。
  (ア)侵略戦争加担についての真摯な反省と謝罪が、テロのおそれを解消します。
  (イ)不法滞在対策は、滞在基準・入国基準の改定などで図るのが合理的です。
  (ウ)外国人登録者の再入国時における本人確認は、生体データを使わずとも可能です。
 (6)外国人に対する極めて悪質な差別的取り扱いであり、差別を助長するものとして14条に違反します。
  (ア)日本政府は、アメリカ政府がUS-VISITを導入する際、アメリカ政府に対して、アメリカへ入国する日本人の指紋データを出国時に消去すべきであると伝えています。その一方で、日本へ入国する外国人の指紋データは、70~80年間保有する方針です。
  (イ)生体情報を採取・蓄積して犯罪捜査に役立てたいのなら、日本人の生体情報を集める方がはるかに効果的です。刑法犯検挙者数の97〜98%は、毎年、日本人だからです。にもかかわらず、外国人の生体情報のみを採取・蓄積し犯罪捜査に使うのは、憲法14条が禁じる「不合理な差別」に当たります。
 (7)適正手続が保障されておらず、31条違反。
 (8)議会制民主主義を破壊する議事運営がなされており、41条に違反します。
 (9)国際人権法や難民法などへの配慮が十分なされないままテロ対策を行うのは、98条2項違反です。

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【6】法務大臣によるテロリスト認定・退去強制システムは 共謀罪以上に著しく人権を侵害します。
  (ア)共謀罪類似の危険性があります。
  (イ)あいまいな認定基準と萎縮効果
  (ウ)誤って認定された場合の防御権行使の基礎が欠如しているうえ、不服申立手続が不十分です。

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上記は、あくまで国会会議録から私が読み取った問題点です。

この生体情報採取・蓄積・利用システム(いや、「流用システム」と呼ぶべきでしょう)については、日弁連が、下記の意見書・会長声明を公表しています。
外国人の出入国・在留管理を強化する新しい体制の構築に対する意見書(PDFファイル)(日本弁護士連合会、2005.12.15)
入管法「改正」法案の徹底した審議を求める会長声明(日本弁護士連合会、2006.5.15)。

また、移住労働者と連帯する全国ネットワークが、次のようなリーフレットを作成しています。
「テロ対策 」問題を考えるリーフレット
「『テロ対策』があれば、安心して暮らせるのでしょうか?」
(2006.1,26)

ご参照ください。

「入管法改定案に関する国会会議録より」シリーズ
1.【入管法問題】参院・衆院与党議員への宣戦布告(2006.05.09)
2.平沢勝栄議員の「テロ予告」!?(2006.09.22)
3.「またテロですよ!」(非国民通信)を読んで(2006.10.15)
4.共謀罪強行採決阻止のためのお役立ち情報、かも。(2006.10.20)
5.共謀罪審議に松島みどり議員が登場(2006.10.22)
6.教育基本法をイジる前に「外国人・民族的マイノリティ人権基本法」「人種差別撤廃法」の制定を!(2006.11.12)
7.「寛容の精神」のない国と、他の人間を平気で「人間以下」と見下す者/「多民族共生教育フォーラム2006愛知」から教育基本法改定を目論む日本政府へ(2006.11.13)
8.河野洋平・太郎父子、塩崎恭久&石原伸晃、議会制民主主義の破壊(2006.11.16)
9.「望ましい監視社会」!? 荒井正吾・参院「教育基本法に関する特別委員会」委員長(予定←変更アリマシタ)(2006.11.16)
10・外国人実習生への性暴力/植草一秀氏事件から見える「適正手続」問題(2006.12.27)
11.外国政府・メディア・市民に知られまいと日本政府が隠す目的(2006.12.30)
12. 「永住者」の扱いに関する立法事実と、政府による議会制民主主義の破壊(2007.1.10)
13.衝撃or当然(?)の検索フレーズ/政府と女性蔑視/国民投票法案バナー(by SOBAさん)(2007.1.28)
14.テロ犯と誤認、11億円賠償:カナダ首相、第三国移送で謝罪(2007.1.31)
15.テロの種まき、テロ対策!?(2007.3.17)
16.注釈「不法滞在、どう対応」/【逆転の提言】「労働」資格!(2008.8.19)
17.い立場に置かれた人たちのために奮闘してくれる議員こそ!日本版US-visit廃止へ向けた請願署名と院内集会(2008.11.14)
18.飛べ!「宙船」連帯!!「今年、私の聞いたベスト・ソング」&署名のお願い、院内集会レポート(2008.12.31)
19.ザルの「テロ対策」。今こそ世界人権宣言が提示する「テロをなくす方法」への転換を!(2009.1.4)


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検閲はじまる!? パブコメ締切本日17時

2007.7.20.13:00ころ

目の前で一つのブログが消された!(津久井進の弁護士ノート、2007.7.20)

うさぎ鑑定士試験(仮称)の山場を越えて、噂に名高い名物ブログを訪問した私でしたが、どうしてもページが表示されません。メンテか何かのせいかと思いたかったのですが、いやはや、やはりおそろしいことが起きているんでしょうか、やっぱり。

すでにご存知の皆さまがほとんどだと思いますが、情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊))さんが、呼びかけている「ネット規制反対のパブリック・コメント」。

前回の記事で書いたように、レイシズムを煽動するような表現を野放しにしちゃっていいものかいなと思うところ大な私でさえ、総務省の研究会の中間とりまとめの内容には絶句してしまいます。これがほんとうに、21世紀の自由主義国家、民主主義社会で公然と進められている政府の計画なのかい、と。

で、ヤメ蚊さんの記事や津久井弁護士の記事を参考に、パブコメを送ってみました。

 今回の中間取りまとめについて、これがほんとうに21世紀の自由主義国家、民主主義社会で政府によって進められる方針なのかと、驚いています。政府が言論の統制に乗り出すことの危険性は、先の世界大戦ですでに経験済みのはずなのに。
 ちょっと考えるだけでも、政府が、時の政治家たちの都合で情報をねじ曲げたり真実を隠したりしようとするおそれが極めて大きい機関であることは、否定しがたい事実のはずです。たとえば最近でも、「イラクに大量破壊兵器がある」とのウソを見抜けず国民をミスリードしたのは政府でした。「原発の安全性」に関するウソを見抜けなかったのも政府でした。「従軍慰安婦の強制性」や「沖縄の集団自決」に関するウソを浸透させようとしたり、「外国人犯罪の急増が治安悪化を招いている」などと統計をねじ曲げてまでデマを流してきたのも政府でした。表現規制の主体に政府が登場し、「何が有害か」などを決める決定権を持つような世界は、もはや自由主義の社会でも民主主義の社会でもありません。
 研究会の人選をやり直し、基本からあらためて再検討するべきです。それが無理でも、規制の審査に政府が介入することこそ絶対に禁止すべきです。規制が必要だとしても政府から完全に独立した中立機関に実施をゆだねるべきです。さらに、現在の放送行政の所管事務も、政府から完全に独立した機関に委ねるべきです。
 以上、簡単ですが、思うところを書いてみました。ご検討のほど、よろしくお願い申し上げます。

締切は本日17時までだそうです。可能な方は、ぜひお送りください。

※送り先など内申書制度の廃止を求めますさんがポイントを書き出してくれているのを発見。この部分を更新しました。2007.7.20.13:20ころ)
■   ■
(3)電子メールを利用する場合
電子メールアドレス:houseikikaku_atmark_soumu.go.jp
総務省情報通信政策局情報通信政策課通信・放送法制企画室 あて

※スパムメール防止のため、「@」を「_atmark_」と表記しています。
※メールに直接意見の内容を書き込むか、添付ファイル(ファイル形式はテキストファイル、マイクロソフト社Wordファイル又はジャストシステム社一太郎ファイル(他のファイル形式とする場合は、担当までお問合せください。))として提出してください。
なお、受取可能な電子メールの最大容量は、5MBとなっていますので、それを超える場合は、ファイルを分割するなどした上で提出してください。

4 意見募集の期限
平成19年7月20日(金)午後5時必着
(郵送の場合は、平成19年7月20日(金)必着とします。)

5 留意事項
意見が1000字を超える場合、その内容の要旨を添付してください。
提出されました意見は、電子政府の総合窓口[e−Gov]パブリックコメント・意見募集案内(http://www.e-gov.go.jp/)の「パブリックコメント欄」に掲載するほか、総務省情報通信政策局情報通信政策課通信・放送法制企画室にて配布します。
御記入いただいた氏名(法人等にあってはその名称)、住所(所在地)、電話番号、メールアド レスは、提出意見の内容に不明な点があった場合等の連絡・確認のために利用します。
なお、提出された意見とともに、氏名(法人等にあってはその名称)やその他属性に関する情報は公表する場合があります。公表する場合に匿名を希望される場合には、その旨を記入してください。
(細かい要項はこちらからダウンロードできます。)

また、この手の策謀はまだまだ続くと思いますので、今後とも総務省はじめ日本政府の動きに目を光らせていきませう。

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立憲政治ニ異変アリ。科学特捜隊、出動せよ!

2007.3.17.12:00ころ

-------------------------------------------------------
科学特捜隊本部にて


イデ隊員
「ムラマツ・キャップ。どうも妙ですよ。国民投票法案などという、われわれの未来を決しかねない法律が、ほとんど話題にもならないまま、強行採決されようとしてるみたいなんです」

ムラマツ隊長
「そんなバカな! われわれ人類は、そこまで愚かではないはずだ!」

ハヤタ隊員
「何者かが、背後でマスメディアや国会議員を操っているのかも知れませんね」

アラシ隊員
「何者かって、そいつは何者だ?」

イデ隊員
「それがわかりゃあ苦労しませんて」

アキコ隊員
「まさか、侵略者の魔の手がマスメディアや日本政府に及んでるってことかしら」

ムラマツ隊長
「う〜む。よし、われわれ科学特捜隊が、その何者かの正体を暴いてやろう! 科特隊、出動だ!!」


-------------------------------------------------------
ビートル号発進!


勇壮な科学特捜隊マーチ
たったらたー、たったらたー、たったたー、たらららった、たっ、たっ、たったらたー、たったらたーん♪


ムラマツ隊長
「イデ隊員、国会議事堂に到着する前に、その国民投票法案とやらがいったいどんなシロものなのか、ちょっと説明してくれ」

イデ隊員
「はい。ちょっとこれを見てください」

一同、イデ隊員に言われて、コンピュータ画面を覗き込む。

 問答無用の安倍さんがコワイ。百地章の話もコワイ。 (とむ丸の夢、2007.3.17)

イデ隊員
「このブログが、自由法曹団の「国民投票法案の修正合意を許さず断固廃案を求める声明」のポイントを要約してくれています。


1.マスコミによる有料広告が野放しにされたまま。
2.国民投票運動をした公務員・教育者が行政処分の対象になりうる。
3.白票・棄権票をカウントしない。最低投票率の制限が設けられていないので、ごく一部の賛成で改憲される危険がある。
4.一括投票の余地を残している
5.修正案は何が何でも壊憲を実現しようとする不公正な手続法である。
6.修正案そのものが憲法に反する悪法である。

アラシ隊員
「イデ、ちょっと待ってくれよ。こんなやり方で、国の基本原則たる憲法を変えてしまおうって企みがあるっていうのかい? そんなバカな! 国民の大多数を蚊帳の外に置くようなこんな法案、お偉い国会議員の先生方が通すわけないじゃないか!」

イデ隊員
「アラシ隊員、そこなんですよ。国民の意思を尊重しよう、国民の間で未来についての真剣な議論を巻き起こして、そこから憲法について考えていこう、そういう法案なら、ぼくだって理解できます。しかし、これはそうじゃない」

アラシ隊員
「だいたい今、ワーキングプアとか年金の財源とか自治体の財政破綻とか環境破壊の問題とかウルトラマンメビウスがもうすぐ終わっちまう問題とか、今すぐ取り組まなきゃならない重要な問題が山積みじゃないか? こんな国民投票法案なんて、仮にも選挙で選ばれたお偉い先生方がかかずらあってる余裕なんてないはずだ。イデ、この法案が強行採決されそうっていうの、お前の思い過ごしじゃないのか?」

イデ隊員
「そうだといんだけど、皆さん、こちらも見てください」

一同、あらためてコンピュータ画面を覗き込む。

 憲法調査特別委員会・抗議の中で公聴会を強行採決(保坂展人のどこどこ日記、2007.3.15)

国民投票法案の公聴会の議決をめぐって先週から国会は緊迫していた。先週の木曜日にたった3時間の公聴会を開催して採決に持ち込みたいという与党に野党側が反発し、ぎりぎりのところで1週間延期したという経過があった。昨日の夕方4時すぎに衆議院の予算委員会の強行採決をめぐっての混乱が「正常化」したという与野党国会対策委員長会談の確認の直後、憲法調査特別委員会の理事会は職権で今日の公聴会議決のための委員会をセットした。お互いやり直しましょうという直後にぶん殴るという与党の背景には「官邸」からの強い要請があるものと思われる。

このようにして重要法案の手続きが進むと国会は、多数を握る与党の力で何でもやれることになる。5月3日の憲法記念日までに国民投票法案を通したいという安倍総理の意向自身が、国会に対する内閣の介入でありルール違反そのものだが、与党はあくまでも「職権」「強行採決」の連続で突破をはかろうとしている。対象的なのは、松岡大臣の「光熱水費問題への開き直り」を徹底擁護している姿でもある。今日は触れないが、国民投票法案は単なる手続き法ではない。この法案は改憲のためのスイッチを入れる「作業法」であり、憲法審査会という改憲作業の閉会中の常時設置も定めた法案なのだ。
(文字色の変更は、当ブログの管理人が行いました)


アラシ隊員
「公聴会を開くんだろ? ってことは、国民から広く意見を求め、それを議論に役立てる、ってことじゃないか。ほら見ろ、国会議員の先生方は、やはりちゃあんと考えてくれてるんだ」

ハヤタ隊員
「いや。そうとは言えないぞ」

アラシ隊員
「えっ? どういうことだ?」

ハヤタ隊員
「昨年末の教育基本法改定を思い出してみろ。公聴会終了直後に、強行採決がされたじゃないか」

アラシ隊員
「あ……」

ナレーション
それ以前、昨春の入管法改定に関する国会審議でも、公聴会で問われた国際人権法や難民法とのかかわりについては、何ら議論が深まることなく、法案はそのまま採決されてしまった。しかもその公聴会に、担当の杉浦法務大臣(当時)、河野太郎副大臣(当時)は、出席さえしていなかったのである(2006.3.24@衆院法務委員会、2006.5.11@参院法務委員会)。

アキコ隊員
「もはや公聴会は、単なる形だけのお飾り、アリバイ的な儀式でしかないってことね」

静かにうなずく、イデ隊員とハヤタ隊員。

アラシ隊員
「ちくしょう、国会議員のやつら!」

アキコ隊員
「ちょっと、アラシ隊員! スパイダーショットを人間に向けちゃだめよ!」

アラシ隊員
「あ、ああ……。ん? 官邸からの強い要請があるものと思われるってことは、官邸が何者かに操られてるってことなのか?」

ハヤタ隊員
「その可能性が大きいな」

イデ隊員
「ぼくもそう思います。そして、さっきの記事の最後の部分、憲法審査会という改憲作業の閉会中の常時設置も定めた法案っていう部分が、今の国会情勢や政府の姿勢を考えると、ものすごく危険だと思うんで……うわっ、キャップ、あぶない! 前を向いて操縦し……!!」

ムラマツ隊長
「え?」

「うわあああああああああああああっ!!!!!!!」
「きゃあああああああああああああっ!!!!!!!」

ナレーション
一同、悲鳴を上げる中、脇見運転をしていたムラマツ・キャップ操るビートル号の行く手に現れたのはいったい何か!? 緊迫の次回へ続く(かも)!!!


Shuwappy_1

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テロの種まき、テロ対策!?(入管法改定案に関する国会会議録より)

2007.3.17.01:50ころ

【2006年5月9日、参議院法務委員会、発言番号162】

 亀井郁夫議員(国民新党:公式サイト2010年選挙で改選

「テロリストの入国の阻止の問題、ないしまた強制退去を命じられた人間の再入国をチェックしようということで非常に頑張っておられるということは多としますけれども、……初めて来る人間が、ごまかして来た人間はなかなかチェックできないわけですね、この制度でもね」

これまでも何度も紹介してきました(末尾を参照してね!)が、
上掲のような国会質問がなされたにもかかわらず成立した改定「出入国管理及び難民認定法」によって、
「テロリストの入国阻止!」を名目に、入国審査時に外国人から指紋などの生体情報を採取・蓄積・流用するシステムが、今秋より運用開始される予定です。

そして、亀井郁夫議員が上で指摘しているように、このシステムは、「ブラックリストに指紋が搭載されているテロリスト」の入国阻止にしか、役立ちません

しかし、そんな間抜けな「テロリスト」がどれだけいるでしょうか?

「テロリストのリスト」がひとまずあるとしても、そこで指紋データまで把握できているのは、ほんの一握りでしょう。

そして、日本で本当にテロを起こそうとする外国人グループがあれば、そらあ「リストに載っていない人物」を日本に送り込んでくるのが、自然でしょう。

だって、日本軍は、多国籍軍を支援するという形で、今もイラクで侵略軍の後押しをして、「テロリスト」と呼ばれる「レジスタンスの戦士たち」を生みつづけているのですから。「テロリスト」をリクルートするのは、その気になれば、たやすいはずです。


イラクでの空自輸送活動  7、8割が多国籍軍支援(しんぶん赤旗、2007.3.13)

 航空自衛隊がイラクで実施している輸送活動のうち、多国籍軍への支援を目的にしたものが七、八割に達することが、防衛省の国会への報告で分かりました。これまで政府は、空自のイラク派兵継続を正当化するため国連支援を強調していましたが、実態は米軍を中核とする多国籍軍への支援が大半を占めていることを示すものです。
 防衛省の報告によると、空自は、クウェートのアリ・アルサレム航空基地を拠点に、イラク国内のアリ(別名タリル)、バグダッド、エルビルの各航空基地・飛行場へ、多国籍軍や国連の人員・物資をC130輸送機で輸送しています。
 国連支援は昨年九月に初めて実施。それ以降の輸送実績は月あたり十七—二十回程度で、うち四、五便が国連支援となっています。
 日本共産党の赤嶺政賢衆院議員の質問に対し久間章生防衛相は、空自の輸送活動では「国連(支援)以外の分野については多国籍軍を運んでいる」と答弁しており、残りの十二—十六回程度は多国籍軍支援となり、全体のおよそ七、八割に当たることになります。
 また、週あたりの運航は四、五便程度。行き先別では(1)バグダッドへの運航(昨年七月三十一日開始、多国籍軍兵士を輸送)が週一便程度(2)バグダッド経由のエルビルへの運航(昨年九月六日開始、国連の職員・物資を輸送)が週一便程度(3)そのほかがアリへの運航—となっています。米軍の拠点基地であるバグダッドとアリへの運航((1)と(2))は、多国籍軍支援が中心とみられます。
 空自の活動は、罪のない多くの民間人を殺傷し、イラクの「内戦状態」を招いた米軍の「掃討作戦」を支援するのが狙いです。イラク戦争とその後の占領支配の破たんにもかかわらず、ブッシュ米大統領はバグダッドを中心に二万五千人を超える米軍増派を発表しています。空自の活動は、米国内でも反対が多数の米軍増派に直接加担し、これを支えることにもなります。


何が本当の「テロ対策」なのか。
真剣に考えるべき時が、もう来ているのではないでしょうか。

『戦争の抑え方☆軍備オフ ICCでつくる戦争のない世界』


「入管法改定案に関する国会会議録より」シリーズ
1.【入管法問題】参院・衆院与党議員への宣戦布告(2006.05.09)
2.平沢勝栄議員の「テロ予告」!?(2006.09.22)
3.「またテロですよ!」(非国民通信)を読んで(2006.10.15)
4.共謀罪強行採決阻止のためのお役立ち情報、かも。(2006.10.20)
5.共謀罪審議に松島みどり議員が登場(2006.10.22)
6.教育基本法をイジる前に「外国人・民族的マイノリティ人権基本法」「人種差別撤廃法」の制定を!(2006.11.12)
7.「寛容の精神」のない国と、他の人間を平気で「人間以下」と見下す者/「多民族共生教育フォーラム2006愛知」から教育基本法改定を目論む日本政府へ(2006.11.13)
8.河野洋平・太郎父子、塩崎恭久&石原伸晃、議会制民主主義の破壊(2006.11.16)
9.「望ましい監視社会」!? 荒井正吾・参院「教育基本法に関する特別委員会」委員長(予定←変更アリマシタ)(2006.11.16)
10・外国人実習生への性暴力/植草一秀氏事件から見える「適正手続」問題(2006.12.27)
11.外国政府・メディア・市民に知られまいと日本政府が隠す目的(2006.12.30)
12. 「永住者」の扱いに関する立法事実と、政府による議会制民主主義の破壊(2007.1.10)
13.衝撃or当然(?)の検索フレーズ/政府と女性蔑視/国民投票法案バナー(by SOBAさん)(2007.1.28)
14.テロ犯と誤認、11億円賠償:カナダ首相、第三国移送で謝罪(2007.1.31)
15.テロの種まき、テロ対策!?(2007.3.17)
16.外国人の生体情報採取・蓄積・流用システムの問題点(2007.9.4)

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「永住者」の扱いに関する立法事実と、政府による議会制民主主義の破壊(入管法改定案に関する国会会議録より)

2007.1.10.02:10ころ

昨春の入管法改定に関する国会審議において、議会制民主主義はどのように殺害されたのか

その手口として、河野洋平・太郎父子、塩崎恭久&石原伸晃、議会制民主主義の破壊では
「質問にまっすぐ答えず、自己の主張を延々と語ることで時間をつぶす」という手法を紹介しました。

今回は、その記事で予告しておいた、
「審議の前提となる重要な情報を隠して野党議員に教えない」という手法について、紹介したいと思います。
共謀罪審議でも、同様の手法が使われたようですね。
タウンミーティングで脚光を浴びたヤラセ、自作自演「質問にまっすぐ答えず、自己の主張を延々と語ることで時間をつぶす」と合わせて、もはや自民・公明政権のお家芸と言ってもよい手法かも知れません。こんな政権、やはり議会制民主主義の国にはふさわしくありません。

この「審議の前提となる重要な情報を隠して野党議員に教えない」という手法は、実は、上記の記事中の「塩崎恭久&石原伸晃」vs.高山智司議員(民主党:公式サイト)の項でも、使用例を紹介しています。

これから紹介するのは、それとは別の場面で使われたものです。
参議院法務委員会において仁比聡平議員(日本共産党:公式サイト、2010年改選)が追及した、外国人登録者の扱いの不可思議さに関する審議の中から、「永住者」に関する情報の隠蔽(もしくは偽装)工作を取り上げます。

まず前提として、「永住者」とは何か、説明しておきます。
これは、「出入国管理及び難民認定法」が設けた在留資格の一つでありまして、その認定基準について、問題の質疑が行われる一カ月ほど前の2006年3月31日に法務省が公表した「永住許可に関するガイドライン」は、


1. 法律上の要件
(1) 素行が善良であること:法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること
(2) 独立生計を営むに足りる資産又は技能を有すること:日常生活において公共の負担にならず,その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること
(3) その者の永住が日本国の利益に合すると認められること:
   ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし,この期間のうち,就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
   イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。納税義務等公的義務を履行していること。
   ウ 現に有している在留資格について,出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
   エ 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと
 ※ただし,日本人,永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には,(1)及び(2)に適合することを要しない。また,難民の認定を受けている者の場合には(2)に適合することを要しない。
2. 原則10年在留に関する特例
(1) 日本人,永住者及び特別永住者の配偶者の場合,実態を伴った婚姻生活が3年以上継続し,かつ,引き続き1年以上本邦に在留していること。その実子等の場合は1年以上本邦に継続して在留していること
(2) 「定住者」の在留資格で5年以上継続して本邦に在留していること
(3) 難民の認定を受けた者の場合,認定後5年以上継続して本邦に在留していること
(4) 外交,社会,経済,文化等の分野において我が国への貢献があると認められる者で,5年以上本邦に在留していること。
 ※「我が国への貢献」に関するガイドラインを参照して下さい。

としています。
つまり「永住者」とは、かなり厳しい条件をクリアしたうえで、しかも法務大臣および法務官僚の気が向いてようやく、初めて許可が下りる在留資格なのです。

こうした条件の厳しさや日本社会での定住度合いを考慮してのことでしょう。警察庁の定義する「来日外国人」から、永住者は除外されています。

「永住者」の中には、旧植民地出身者とその子孫が取得できる「特別永住者」という在留資格もあるんですが、その取得にもいろいろ陰湿な制限があると噂に聞いています。たとえば、以前、外国人登録法上の指紋提供義務(2000年に廃止されました)に反抗した者は、特別永住者としては認められないとかなんとか。

それでも、この「特別永住者」は、今回の入管法改定が定める生体データの採取対象から外されています。
何でも、「危険性の程度が低いこと、配慮の必要性の程度が高いこと」が認められるからだそうです(杉浦法務大臣(当時):2006年5月9日発言番号060など)。
審議全体の印象からすると、「うるさそうだから、今はひとまず外しておけ」となったのでは?と思えます。私見ですが。

一方、それ以外の外国人は、「永住者」(本記事では、「特別永住者」以外の「一般永住者」をこう表記します)であれ「日本人配偶者」であれ何であれ、みな、入国審査時に生体データの提供を義務づけられることになります。(ただし、16歳未満の者も「特別永住者」と同じ理由で、提供義務を免除されます。政府関係者などにも例外があります)。

その結果、たとえば、日本国の利益に合致するとして永住を許可されて生活の本拠が日本にある「永住者」も、いったん本国に里帰りし、その後日本に帰ってこようとした場合、指紋提供を拒否すれば、それだけで上陸を拒否されるという著しい不利益が課されることになります。

ちなみに、「永住者」は、「アメリカでは移民の方が我が国の永住者に近い立場になるんだろうと思います」(三浦入管局長、2006年3月22日)とか「アメリカでは永住権取得者に該当する」(難波満参考人:2006年5月11日、発言番号006)とも位置づけられる定住外国人です。

そして、アメリカのUS-VISITという生体データ採取・保管システム(日本が今回導入するシステムのひな形)では、移民(永住権取得者)は入国審査時の生体情報提供義務を免除されています。

ただ、上と同じ発言中の三浦入管局長の説明によれば、アメリカでは「移民」も「永住権取得」手続きで指紋を採取され、それがUS-VISITと「同じシステムのもとに保管されているというふうに承知しております」だそうでして、アメリカと日本とではいつどこでどんなふうに指紋を採取するかが違うだけだ、と言いたいようです。、

しかし、どうもこれは後付けの理由くさいです。なんとならば、杉浦法務大臣(当時)は、こんな発言を繰り返しているからです。

「義務づけも、我が国に上陸するためには指紋を提供しなければならないことをあらかじめ承知の上で来られた外国人が、それにもかかわらず提供しなかった場合に、我が国への上陸を認めないというものでございます」(2006年3月22日、発言番号005/2006年5月9日、発言番号054も同様)

なんともあからさまに、日本人の家族や、生活の本拠が日本に築かれている人たちの事情についてさえ、まったく考慮する気がない旨を白状しているわけでして、私が怒り狂うのも無理はない、ですよね?

おっと、またしても記事が長くなってきました。

以下に、国会審議に表れた「永住者」の扱いに関する情報をまとめていきます。
その過程で、「審議の前提となる重要な情報を隠して野党議員に教えない」という手法が登場しますので、どうぞご注目ください。

昨春の入管法改定で、特別永住者と16歳未満の者などを除くすべての外国人に入国審査時の生体情報提供が義務づけられることになりました。このシステムは2007年11月23日までに稼働予定です。

上で述べたように、このシステムは入国時の生体情報提供義務を、US-VISITでは免除されている「移民」に相当する「日本の永住者」や、2007年導入予定の「EUの査証情報システム」で免除されるであろう「観光、商用等の短期滞在者」にも課すものであり、その対象の広範さは世界に類を見ない厚かましい(傲慢な)ものです。

その結果、たとえば、日本国の利益に合致するとして永住を許可されて生活の本拠が日本にある「永住者」も、いったん本国に里帰りし、その後日本に帰ってこようとした場合、指紋提供を拒否すれば、それだけで上陸を拒否されるという著しい不利益が課されるのも、これまた上述のとおり。

こういう著しい人権侵害・人権制限を生じるおそれのある法案を提出する者は、その侵害ないし制限を理由づけるだけの明確な根拠(立法事実)を示すのが、基本的人権の尊重を原則の1つに掲げる日本国憲法下の議会制民主主義においては、求められます。

ところが、このような不利益を正当化する立法事実は、なんら示されません

それどころか、杉浦法務大臣(当時)は、上で見たように、永住者はもちろん、日本人の外国籍家族や、生活の本拠が日本に築かれている外国籍住民の事情についてさえ、まったく考慮する気がない旨を白状しています。

そしてその一方で、「永住者等に成り済ました外国人が不法入国する事案が頻繁に発生している」ことが永住者にも生体情報提供義務を課す理由だと言います(杉浦法務大臣(当時)、2006年5月9日:発言番号060)。
テロリストなんかが「永住者等」に成り済まして入国してくるかも知れない、というわけです。

しかし、危険性を言い出したら切りがなく、それこそ「日本人の成り済ましはどうなんだ?」という話になってきますし、
そもそも今回導入予定のシステムは、「ブラックリストに掲載されていないテロリストの侵入は防げない」システムなのです。

こんな穴の大きいシステムを「テロ対策」だなどと打ち出し導入しようとしておきながら「永住者等」を「特別永住者」などと区別して特に危険視するのは、ほとんど言いがかりに過ぎないんじゃないでしょうか。

結局、「永住者等への成り済まし」が「頻繁に発生している」ことを示す立法事実示されないまま、法案は可決されてしまいました。
極めて重大な人権侵害を引き起こしかねないシステムを導入しようとしているにもかかわらず。

はい、「審議の前提となる重要な情報を隠して野党議員に教えない」という手法、ですね。

これではまともな法案審議など、できるわけがありません。

それでも、仁比議員の追及に耐えきれず、数字の一部が漏れてきました。
その数字を元に、「頻繁に発生している」がどの程度のことを指すのか計算してみます。

「漏れてきた数字」とは、これです。


「平成17年(2005年)中に成田空港におきまして……他人の再入国許可を受けた旅券を悪用して外国人が不法入国を行っていたことが発見された事案が53件……そのうち永住者の再入国許可及び旅券が悪用されていたことが確認された事案は8件」(三浦入管局長、2006年5月9日:発言番号133)

この数字と、2005年の外国人入国者総数に占める成田空港経由の入国者数の割合を使って計算すると、2005年の永住者への「成り済まし」事案の発見総数は16件程度となります。

また、港別上陸拒否数を見ると、成田空港は全体の60.3%を占めているので、この比率から単純計算すると、2005年の外国人への「成り済まし」事案発見数は全国で88件程度、うち永住者への「成り済まし」は13件程度ということになります。

しかも、政府はこの件に関する実数を隠蔽しようとしていたようでして(仁比聡平議員、日本共産党、2006年5月9日:発言番号132)、それもかなわず追いつめられるようにして提出されたのが、成田で8件という数字なのです。

成田空港以外ではほとんどなかったのではないかと、強い疑念が生じます。

ちなみに、第4次出入国管理政策懇談会第5次出入国管理政策懇談会のメンバーである多賀谷参考人によると、「日本人への成り済まし」は「年間で数十枚か若干多いぐらい」だそうです(2006年3月24日:発言番号012)。

「頻繁に発生している」と言いやすいのは、むしろ「日本人への成り済まし」のようです。

今回のシステムが、結局は「日本人すべてをも対象とする総監視社会」への入口になるのではという危惧は、ここからも生まれます。

「成り済まし」の件数を追及した仁比聡平議員(日本共産党:公式サイト、2010年改選)の質疑は、他にも興味深い事実を示してくれています。

「入国審査時に指紋なんて採取しなくても本人確認できるんじゃないの?」という至極最もな指摘はその一例です。
これについてはまた後日、あらためて紹介させていただきたいと思います。

どうも皆さま、長文に最後までおつきあいくださり、ありがとうございました。
おやすみなさい!

「入管法改定案に関する国会会議録より」シリーズ
1.【入管法問題】参院・衆院与党議員への宣戦布告(2006.05.09)
2.平沢勝栄議員の「テロ予告」!?(2006.09.22)
3.「またテロですよ!」(非国民通信)を読んで(2006.10.15)
4.共謀罪強行採決阻止のためのお役立ち情報、かも。(2006.10.20)
5.共謀罪審議に松島みどり議員が登場(2006.10.22)
6.教育基本法をイジる前に「外国人・民族的マイノリティ人権基本法」「人種差別撤廃法」の制定を!(2006.11.12)
7.「寛容の精神」のない国と、他の人間を平気で「人間以下」と見下す者/「多民族共生教育フォーラム2006愛知」から教育基本法改定を目論む日本政府へ(2006.11.13)
8.河野洋平・太郎父子、塩崎恭久&石原伸晃、議会制民主主義の破壊(2006.11.16)
9.「望ましい監視社会」!? 荒井正吾・参院「教育基本法に関する特別委員会」委員長(予定←変更アリマシタ)(2006.11.16)
10・外国人実習生への性暴力/植草一秀氏事件から見える「適正手続」問題(2006.12.27)
11.外国政府・メディア・市民に知られまいと日本政府が隠す目的(2006.12.30)
12. 「永住者」の扱いに関する立法事実と、政府による議会制民主主義の破壊(2007.1.10)
13.衝撃or当然(?)の検索フレーズ/政府と女性蔑視/国民投票法案バナー(by SOBAさん)(2007.1.28)
14.テロ犯と誤認、11億円賠償:カナダ首相、第三国移送で謝罪(2007.1.31)
15.テロの種まき、テロ対策!?(2007.3.17)
16.外国人の生体情報採取・蓄積・流用システムの問題点(2007.9.4)


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