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カテゴリー「国際人権法」の243件の記事

朝鮮学校への「高校無償化」適用を妨げるもの、その招く未来

2013.1.4.23:30ころ

 昨秋は愛用のMacが壊れたうえ、ブログの更新も久しぶりなのに何かと忙しくて、記事をまとめるコツもなかなか思い出せない感じです。やれやれ。

朝鮮学校への「高校無償化」制度適用に関するQ&A(「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会 2012.1)


 で、日本政府の対応はというと、民主党政権から自公政権にもどって、ますます愚劣化の一途をたどっているようです、気持ち悪いくらいに。

 高校無償化:朝鮮学校、無償化せず 文科相発表「国民の理解得られぬ」(毎日新聞 2012年12月28日 東京夕刊)

 文部科学省は28日、高校授業料無償化について「朝鮮学校へは適用しない」と発表した。今後、意見を公募し、約1カ月後に「(朝鮮学校を)文科相が日本の高校に相当すると指定する」とした省令を改正する。下村博文文科相が閣議後の記者会見で明らかにした。

 高校無償化は民主党政権が10年4月に導入。公立高の授業料は無料にし、私立高生には世帯所得に応じて最高で年23万7600円が補助されている。朝鮮学校については適用を前提に教育内容の審査が始められたが、10年11月に北朝鮮による韓国砲撃で一時審査を中断するなど適用の判断が先送りされていた。

 適用しない理由について、下村文科相は▽北朝鮮による拉致問題の進展がない▽朝鮮学校は教育内容、人事、財政で朝鮮総連と密接な関連がある−−と指摘。「適用は国民の理解が得られない。政府全体の判断だ」と述べた。

 同日朝の閣僚懇談会で報告し、安倍晋三首相から「その方向でしっかり進めていただきたい」と指示を受けたという。

 省令改正後、朝鮮学校の無償化に必要な約2億円を来年度予算要求から減額する。

 ただし、今後北朝鮮との国交回復や朝鮮学校が都道府県知事の認可を得て日本の高校と同じ扱いになれば、適用対象とするとした。

 全国には朝鮮学校が10校(生徒数約1800人)ある。朝鮮学校の生徒らが早期の無償化適用を求め、再三にわたり文科省に申し入れていた。

 今後、朝鮮学校側が訴訟を起こすことなどが考えられるが、下村文科相は「法令にのっとって適切に対応したい」とした。

 現在、無償化の対象となっている韓国系の外国人学校は関西に1校あるが、省令改正後も、対象のままとする経過措置がとられる。【石丸整】

 「国民の理解が得られない」って、「得る」努力もしないでよー言うわ、ですわな。

 それに、「拉致問題の進展がない」って、慰安婦たちが死に絶えるのをじっと待つという悪辣極まりない政策を採り続けてきた自民党の方々が言える立場なんでしょうかね。

 しかも、省令改正で朝鮮学校の生徒の授業料無償化の可能性を摘み取る手はずを進めているなんて、マイノリティが自分のルーツや言語を学ぶ機会を保障することの意義をまったく理解せず、踏みにじるものであって、日本社会にとっても大きな損失にしかならないということすら、理解できていない。国際人権条約上の国家の義務すらも無視している。「知性のかけらもない」っていうのは、こういう方々を形容するための言葉なんだと思います。

 ま、こんな方々が政権の中心に居座り続けられ、その政策を「まっとうなもの」として受け入れてしまう意識が中心にどすんと座り込んでる社会だからこそ、この地震列島が原発列島になり、福島で原発事故が起き、放射能被爆も拡大こそすれ押しとどめようとする動きはごく一部の人たちにとどまるという、惨憺たる現状なんだと思います。
 それはやがて、福島原発事故後に「安全」を連呼した日本政府を信じて避難せずに日本に留まった外国人、新たに来日した外国人たちから責任追及される原因となり、日本の混迷と衰退を加速することになるのが見え見えなんですが。人を人として大切にしない社会をつくりあげて来た人々の行く末としては、悲しいかな、自業自得です。
 ……うぎゃっ! わが身にぶつかるブーメラン つД`)・゚・。・゚゚・*:.

【参考】https://twitter.com/ukiuki2009/status/287045435330285569

 でも、もしこの社会に延命や再生があるとすれば、それは、
(1)唱えられた「異」が広く受け入れられ、
 しかも、
(2)放射能汚染の拡大が抑制・停止された、
 という、2つの条件が揃った場合に限られるでしょう。

 それに、放射能汚染の拡大防止に力を尽くすにしても、その後に存在するのが今よりマシな社会でないと、努力も虚しい。

 そんなわけで、

高校無償化:朝鮮学校見送り 政治で左右、憤り 国に訴訟も(毎日新聞 2012年12月28日 東京夕刊)

 文部科学省が28日、朝鮮学校を高校無償化の対象にしない方針を決めたことを受け、朝鮮学校関係者や支援者からは「残念」「再考してほしい」と落胆の声が上がった。

 全国朝鮮高級学校校長会会長で、東京朝鮮中高級学校(東京都北区)の慎吉雄校長は「日本と朝鮮の懸け橋になろうという生徒たちの心が踏みにじられた。経済的支援が大きく後退してしまった。再考してほしい」と求めた。

 無償化適用の結論が出なかった民主党政権の3年間を「高校無償化の流れの中で、朝鮮学校が日本の社会に貢献できるようにと考えてきた」と振り返る。今回の方針で、拉致問題に進展がないことが無償化見送りの理由に挙げられた点については「両国間のことで、僕らは何の関係もない。政治問題の駒として利用されるのは納得できない」と憤った。今後は、国を相手に訴訟を起こすことも含めて検討し、年明けにも結論を出すという。

 神奈川県高等学校教職員組合の副委員長で「神奈川 朝鮮学園を支援する会」の佐々木克己事務局長は「無償化は理念的には生徒個人への支援。拉致問題とどう結びつくのか。無償化の基準を踏み越えた判断ではないか」と批判。「支援する会」は朝鮮学校を他の外国人学校と区別すべきではないと主張しており「今後も無償化適用に向けて働きかけを続けたい」と話した。【苅田伸宏】

 こうした異議申立は支援していかねばなあと思う、正月の夜でありました。長丁場になりそうで、orz ですが。


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今は戦時。「人権保障」と「人間の安全保障」、ニワトリとたまご

2013.1.2.23:30ころ
(2013.1.3.08:45ころ、参照リンク先を追記。下線【参照】部分)

 あけましておめでとうございます。
 本年もよろしくお願い申し上げます。

通告します。大阪府警との戦いを優先する人間はこのブログに来るな。ガレキ阻止の迷惑です。(2012.12.30、木下黄太のブログ  「福島第一原発を考えます」福島第一原発事故について考え続け、放射能防御を進めます。)

 こちらの記事を読んでいろいろと考えさせられました。

 警察による人権侵害が起きているとなると、「国際人権水準が日本国内でも守られるべき」と日頃から訴えている私としては、放っておくわけにはいきません。
 身柄拘束された人たちの釈放のために尽力してくれた石埼学さんたちの活動や、東京新聞の記事には、「ブラボー!」の喝采をいくら送っても送り切れません。

 ただ、よくわからないのは、「処分保留での釈放」が許せないのか、さらに大阪府警への対抗措置に力を注ぐよう、木下さんに働きかけている人たちがいるらしいという点です。

 こういう場合に、(1)警察への抗議活動を優先していくべきなのか、(2)がれき焼却阻止を優先していくべきなのか、あるいは、(3)よくわからないけど同じくらいの比重で力を注いでいくべきなのか。

 「おおもとが「がれき焼却阻止」にあるのだから(2)で行くべきで、(2)で勝てれば警察にも勝ったことになる」
 てなふうに私は考えるのですが、「人としての権利」の重要性を訴えている当ブログ主としては、悩ましいところがまったくないと言えば嘘になります。

 「人権保障」が「人間の安全保障」の基礎にあるのか、「人間の安全保障」あってこその「人権保障」なのかという、「卵が先かニワトリが先か」的な、理屈の上の悩ましさです。

 なんでここで「人間の安全保障」なんていう言葉が出てきたかといいますと、今の日本社会は人間の生存の基盤そのものが脅かされている「戦時」的な状況にあるのだと、私は認識しているからです。

 思い出したのが、軍事的占領下で、どうやって平和的なレジスタンスが可能なのか、考えていたときの話です。
 この問題について、戦時国際法を踏まえて、下記の文章を書きました。

第2章 ICCの傘に入って軍備オフ〜国際救助隊・国際人道支援隊を結成せよ!/1.「軍備オフ」への不安に答える(1) (『戦争の抑え方☆軍備オフ ICCでつくる戦争のない世界』)

 そして、占領者は、「戦闘員」ではない者たち(つまり文民)のなす平和的レジスタンスに軍事力で対抗することは許されない。せいぜい、警察力を使える程度だ。もし占領軍の目的が、被占領地の住民の虐殺などではなく、被占領国政府に占領者の言い分を認めさせること、あるいはそこの何らかの資源を奪うこと(こういう戦争はそもそも違法だが)だとすれば、占領地で住民の抵抗が平和的手段によって続けられている間は、傀儡政権でもつくらない限り、占領者は占領目的、戦争目的を達成することができない。抵抗を軍事力で鎮圧することも許されない。
Chohatsu

 つまり、抵抗(レジスタンス)の本質は、軍事力にあるのではない。占領に屈することなく、「自決の権利」を「守ったるんや」、戦時下であっても踏みにじってはならない「人間の尊厳」「人権」を「守りぬいたるねん」、「傀儡政権には協力しないもんね」、という強い決意があれば、国際法を武器に、平和的手段で、占領軍と渡り合える。


 この記事では、軍事的占領がなされてしまった後のシチュエーションを想定しているのですが、そうではなくて、たとえば、敵がいまだに空爆を継続している、なんていう状況下で、敵の「使い走り」となった同胞たちが民衆のレジスタンスに対して嫌がらせ、さらには弾圧をしかけてきた、そんなときに、どうしたものなのか。
 その「使い走り」との抗争を優先すべきなのか、空爆阻止、空爆停止に力を注ぐべきなのか。
 個別の状況にもよるのでしょうが、やはり後者を優先すべきように思えます。

 しかもその空爆が、核爆弾や劣化ウラン弾みたいなものによるもので、人が生存していくための環境を破壊し、人間の身体の本来的なメカニズムをも破壊し、将来の復興の可能性までも根こそぎ葬り去ってしまいかねないものであるのなら、なおさらです。

 今、日本では、まさに放射能汚染の拡散が絶賛推進中で、今回の「人権侵害」の原因となった大阪での「がれき広域焼却」は、汚染拡散を格段に進めるだけの愚挙、暴挙です。

 そして、焼却で舞い散った放射性物質は、空から舞い落ち、さらにまた舞い上がり、その繰り返しでホットスポットをつくるなどして、深刻で回復困難な環境汚染を引き起こします。さらに、それに触れた人たち、吸い込んだ人たちの生命、身体の本来的なメカニズムに、致命的なダメージを与えていきます。

 その本質は、まさに、生存の基盤を破壊する「空爆」と変わりません。

 こうした認識に立つとき、まさに今は「戦時」です。

 人の生存の基盤を破壊する愚挙・暴挙が推し進められる「戦時」にあるとの認識に立つのなら、この愚挙・暴挙、がれきの本焼却(「空爆」)を食い止めることこそが、まずなされるべきです。がれきの本焼却(「空爆」)開始が眼前に迫っている状況であれば、なおさらです。
 それこそが、人の尊厳や人としての権利を保障するための、大前提に他ならない。
 今はそう思えてなりません。

【参照】2013年、巳年の元旦に必読文献「チェルノブイリの長い影」。衆議院HPでわかる健康被害、東京の今後。(2013.1.1、木下黄太のブログ  「福島第一原発を考えます」福島第一原発事故について考え続け、放射能防御を進めます。)

 それにしても、この期に及んでいまだにがれき広域焼却なんて馬鹿げた施策が推し進められるなんて。。。
 開いた口が塞がりません ( ゚д゚)ポカーン。


 前回の記事で、こんなことを書きました。

 でも、とりあえずは、この国、この社会の人権状況を少しでも改善していく努力とか、目の前で苦しめられている人たちに手助けしたり共に戦ったりしていく積み重ねとかを、続けていって、それと同時に、馬鹿げた放射能汚染拡大政策を押しとどめる努力も並行してやっていく。  そんな2正面作戦というか、二兎を追う戦略というか、なかなか困難なことに取り組んでいかねば!

(中略) 

 これを機に、かつてのマイノリティがマジョリティになり人間の尊厳や人の権利が真に尊重される新時代が始まるのだと希望を持って、皆さまも身近なことからこつこつと、取り組んでいただければ幸いであります。


 今は戦時、非常事態との認識を前提に、前回書き忘れたお願いを、ここで追記しておきます。

 状況が許す方は、一刻も早く、福島第一原発から少しでも遠くへ、逃げますように。
 今は避難が無理な方も、いざというときに逃げるための準備を急ピッチで始めてくださいますように。
 そして、放射能汚染拡散を食い止める試みを、少しでも始めてくださることを。

 ぜひぜひ、お願いいたしますm(_ _)m。

 私もポルトガル語に加えて、中国語の勉強を始めようかな、なんて思っています。
 年末年始の香港旅行で、飲食店でおじさんたちと会話ができず口惜しかったのが直接の理由ではありますが、何はともあれモチベーションが第一ということで(^-^;

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書籍紹介で再開!

2012.12.26.22:30ころ

 忙しくて本を読む時間もない!!!

 つーわけで、休眠からばっちり目を覚ましていよいよ再開の本ブログ。
 まずは「積ん読(つんどく)」状態の書籍の紹介から、ゆる~くスタートです。

   

 『インパクション』186号は、「「慰安婦」問題の解決と国際法手続き 地域の平和と信頼関係の醸成のために」(戸塚悦朗)と、「改定入管法は何をもたらすか 外国人の社会的振分け」(旗手明)がおすすめです。
というか、そこだけ読んで、あとはつんどく~ヽ(;´Д`ヽ)(ノ;´Д`)ノ

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ロスタイム、延長戦、さらなる一押しを

2012.07.03.21:00ころ

国民と人類と(2012.06.30)
【緊急のお願い】非正規滞在者の正規化を求めるアムネスティ署名(オンライン署名)(2012.6.27)

でお願いした、署名。
 最終集約の期限が、7月5日(木)に延長されました。

 間に合わなかった方、どうかご署名くださいますよう、
 また、署名された方も、どうかお知り合いにご紹介くださいますよう、
 よろしくお願い申し上げます。m(_ _)m

非正規滞在者の正規化を求めるアムネスティ署名(オンライン署名、最終集約は2012年6月30日7月5日に延長されました!!


【思い出した関連記事】
【「人間使い捨て」への分水嶺2003年】労働者派遣法改定と「不法滞在者半減計画」(2009.02.26)


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国民と人類と

2012.06.30.15:00ころ

 前回の記事の補足です。

 実のところ、昨年の大震災・原発事故以来、こんな国で生活を続けるより、帰れる場所がある人たちは早く帰った方がいいのではないか、と考えることがあります。

 人類史に残るような大事故を起こしたにもかかわらず、その被害を小さいものに抑え込もうとするよりも、小さく見せかけることに腐心して、ほんとうになすべき対応をしようとしないこの国の政府と、それを許してしまう有権者の圧倒的多数。むしろ被害をじわじわと拡大させていくばかりのこの国の政府と、それをやはり認めてしまう有権者の圧倒的多数。

 意思決定にかかわれるわけでもない立場の人たちに向けて、「大地震も原発事故も放射性物質拡散も○○人が日本を滅ぼそうとしているからだ」などと狂った世迷い言を投げつけるレイシストたちの跳梁跋扈と、また、ナチス勃興期を思わせるような、政党政治の行き詰まりと、そこにつけ込むようにマスメディアの寵児となる、スケープゴートをつくって叩くしか能のない政治屋集団の出現。

 こんなところで巻き添え食うより、「三十六計逃げるに如かず」じゃないのか。

 そんなふうに思ってしまうのです。

 でも、帰るかどうかは、本人たちに選ぶ機会があるべきなんだと、やはり思えてなりません。

 そしてそのためにも、今回の抜本的な法改廃を機に、非正規滞在状態にある人たちに、アムネスティとしての在留特別許可を、認めるべきだと思うのです。

 長年日本社会で生活して、生活の基盤ができてきている人であれば、あるいは、非正規滞在の身分とはいえ日本社会に長く貢献してきた人たちであれば、なおさらです。日本で子どもたちが育ってきた家族なら、なおのことそうです。
 非正規滞在者を生みだし、利用してきたのは、私たちの社会なんですから。

 しみじみと思うのは、国籍なんてもの、国境なんてものの、虚しい限界です。

 日本人が起こした原発事故の被害は、日本人だけが受けているわけではありません。日本で暮らす外国籍・無国籍の人たち、外国で暮らしている○○人も▼▼人も、それぞれ影響を受け、被害を受けてしまいます。

 最近、外国籍の子どもたちの就学義務に関する戸塚悦朗氏の論文を読んだのですが、「国民を育てる教育」ではなく「人類の後継者を育てる教育」を公教育は目指すべきだという旨の指摘がありました。(この論文、ヨーロッパのインターナショナル・スクールについてすごく興味深く、驚かされる事情も紹介しています。機会があればあらためて紹介したいと思います。)

 この視点は、実は「政治」のあらゆる分野であてはまるのではないかと、福島原発の事故を経た今、強く思います。前からぼんやり思っていた視点ではあるのですが、確信に変わりつつあります。

 日本の政治も、「国民」のためだけにあるのではない。
 もっと広く、「人類」のためにあるのだ、と。

 たとえば、「異常気象の度合いと頻度が激しくなってきているのに備えて、日本も食糧生産に適する地域やそのための産業を維持していくことが、人類規模での食糧の安全保障にとって必要だ」と、実は前々から考えていました。hatenaブックマークのどこかで、そんなことを書いた記憶があります。

 ところがあろうことか、日本ではあの福島原発事故が起き、さらにあろうことか、放射性物質の付着したガレキを広域処理などしてあちこちにセシウムさんやらをバラまくとも絆だ! みたいな話になってたりして、もう何をかいわんや、と。

orz

 長くなってきたので、ここらで止めます。

 「国益」という名の下に人間を圧迫するのではなく、人類社会にとって何が有益で必要なことなのかを考え、それを追求するなら、それは人間の存在そのもの、そして人間の営みを尊重する社会を築き、広げていく。
 そこに行き着くんじゃあないでしょうか。

 人間が人間として尊重される社会を目指して、とりあえず今は、そこへ向かってまず、この社会で現に生きている人たちの生存権はじめ人としての権利を守り、人が尊重される社会をつくっていこうという意志・決意を示すべく、一人でも多くの方に、この署名にご協力いただければと思っています。

 どうかよろしくお願い申し上げます。

非正規滞在者の正規化を求めるアムネスティ署名(オンライン署名、最終集約は2012年6月30日7月5日に延長されました!!

【続きの記事】
ロスタイム、延長戦、さらなる一押しを(2012/07.03)


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【緊急のお願い】非正規滞在者の正規化を求めるアムネスティ署名(オンライン署名)

2012.6.27.22:50ころ

 最終集約が今月末だそうで、緊急のご協力お願いです。

 移住労働者と連帯する全国ネットワークが、法務大臣宛の署名への協力を呼びかけています。


非正規滞在者の正規化を求めるアムネスティ署名(オンライン個人署名)

改定入管法の施行に当たり

非正規滞在外国人への幅広い在留特別許可を

お願いします


法務大臣 殿

 2012年7月9日より改定入管法が施行され、日本に住む外国籍者への管理がより厳しくなろうとしています。わたしたちは、この法の施行が、多民族・多文化共生の時代に逆行することを深く憂慮します。

 とりわけ、在留資格のないまま日本に長く住んで来た非正規滞在者にとっては、生存権を奪われる結果になりかねません。この人びとの多くは日本社会に定着しており、長年働いて社会に貢献してきました。今回のような、例を見ない大きな入管制度の変更に当たっては、その影響を緩和するためにも、旧法下での違反者への救済策が考えられるべきです。

 この機会に、貴大臣の権限に属する在留特別許可の制度を幅広く弾力的に運用して、正規の在留を認める措置をとって下さるようお願いします。

 来月施行される入管法・住民基本台帳法の改定そして外国人登録法の廃止が非正規滞在者の「生存権」を奪うおそれがあるとの指摘の根拠としては、こちらが挙げられると思います。

 うっかりしていて、お願いするのを忘れていました(;<>;)……つーか、まだ半休眠中のつもりなんですが。。。

 人間が人間として尊重される社会を目指して、とりあえず今は、そこへ向かってまず、この社会で現に生きている人たちの生存権はじめ人としての権利を守り、人が尊重される社会をつくっていこうという意志・決意を示すべく、一人でも多くの方に、署名にご協力いただければと思います。
 
 よろしくお願い申し上げます。


【続きの記事】
国民と人類と(2012/06.30)
ロスタイム、延長戦、さらなる一押しを(2012/07.03)

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「米アリゾナ不法移民取り締まり強化法 連邦最高裁判決」『しんぶん赤旗』の解説

2012.06.27.19:00ころ

前回の記事の続報。

米アリゾナ 不法移民取り締まり強化法
連邦最高裁 「一部有効」と判断
権利擁護団体 偏見捜査に道
(しんぶん赤旗、2012.6.27)

【ワシントン=小林俊哉】秋の米大統領選に向け、不法移民対策が焦点の一つに浮上する中、連邦最高裁は25日、アリゾナ州が制定した不法移民の取り締まり強化法について、一部を有効、その他を無効と判断しました。同法には、移民の権利擁護団体などから偏見に基く捜査に道を開くとの批判が出ていました。

 判決で無効とされたのは、(1)犯罪が疑われる場合の移民に対する令状なしの逮捕(2)滞在資格に関する公文書の常時携帯の義務付け(3)不法移民が公園など公の場所で職を求めることの禁止、の3項目です。判事の見解は分かれましたが、多数意見は「(同州が)連邦法を損なうような政策を追求することは許されない」としました。



 一方、警察が別件で職務質問などをした者について、その滞在資格についても調べることを求める条項については、判断に参加した判事8人全員が支持しました。同条項には、同州人口640万人のうち、200万人に上るといわれるヒスパニック(中南米)系を狙い撃ちにした偏見に基く恣意(しい)的な運用が行われるとの批判が上がっていました。



 オバマ大統領は同日、声明を発表し、「いかなる米国人も、その容姿によって猜疑(さいぎ)を受けるようなことはあってはならない」と強調。判決が有効とした条項が、偏見に基づく捜査につながらないよう求めました。



 アリゾナ州のブリューワー知事(共和)は、法律の核心が生き残ったとして歓迎の談話を発表しました。



 今回の訴訟は、同州の法律が連邦法に反するとしてオバマ政権が訴えていたもので、違憲性を争ったものではありません。同様の法律は、アラバマ、ジョージア、インディアナ、サウスカロライナ、ユタ州でも導入されており、今後、違憲訴訟に発展する可能性もあります。



 移民の権利を擁護する全米移民法センターは「人種偏見に基く捜査の条項を支持したことは重大な誤りだ」とする声明を発表しています。



 今回の訴訟の背景には、1120万人に上る不法移民に対する包括的な対策が、与野党対立によって連邦議会レベルですすまないこともあります。オバマ氏は15日、自身に落ち度のない不法移民の子ども世代の国外強制退去措置を一時的に免除すると発表したばかりでした。

 違憲訴訟ではなく、連邦法に違反するかが争われたのであり、違憲訴訟はこれから起こりうる、ということのようです。つーことは、AFPさん、しっかりしてよ。。。(-_-;)

 記事によると、違法とされたのは、

(1)犯罪が疑われる場合の移民に対する令状なしの逮捕
(2)滞在資格に関する公文書の常時携帯の義務付け
(3)不法移民が公園など公の場所で職を求めることの禁止

の3項目。

 (2)は、日本の入管法が規定していて、1990年代から国連自由権規約委員会から不当な差別であり撤廃すべき、との勧告を受けつづけているのと同じ条項ですね。

 もうひとつの争点になってたという「警察が別件で職務質問などをした者について、その滞在資格についても調べることを求める条項」って、日本でならほとんど問題にすらされない類いの条項に思えますね。。。。気のせいかしらん。。。

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自公民&霞ヶ関やりたい放題にorz.../アリゾナ移民法違憲判決とWhat would YOU DO?

2012.06.26.18:00ころ

 しょせん民主党が官僚いいなりの政権しかつくれないだろうことは、民主党が政権をとる直前の、入管法等の改定(官僚のつくったスケジュールに無理矢理合わせてなんら緊急性のない法案を自公政権が通すのに、「はいはいはい」と応じてしまった!)で、十分すぎるほどわかっていました。ぷんぷん!

 いろいろ意見はおありでしょうが、おそらくは日本共産党か社民党あたりに政権とらせないと、たぶんこのまま日本はおしまいです。
 スケープゴートをつくってはそれを叩いて大騒ぎするしか能のない橋下・維新の会なんかもってのほかですよ、はい。

 まあ、それはともかく。

 太平洋の向こう岸、アメリカ合衆国からのニュースです。

米アリゾナ州移民法に違憲判断、争点の条項は容認(2012年06月26日 12:15 発信地:ワシントンD.C./米国)
【6月26日 AFP】米アリゾナ(Arizona)州が不法移民の取り締まり強化を目的に制定した新たな移民法について、米連邦最高裁は25日、大半の条項が違憲との判断を下した。


 米オバマ政権は、移民政策は連邦政府の管轄下にあり、アリゾナ州の新移民法は連邦法への干渉だとして差し止めを求めていたが、その主張の大半が認められた。


 一方、不法滞在が疑われる人物に対し、警官に身分確認を義務付ける条項が最大の争点となっていたが、この条項については違憲とまでは言えないとして容認した。


 これについて、アリゾナ州のジャン・ブルワー(Jan Brewer)知事(共和党)は新移民法の「核心」の部分が合憲と判断されたことは「法的勝利」だと歓迎した。他方、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領は、いかなる米国人も外見から疑いをかけられるようなことがあってはならないとし、懸念を表明した。(c)AFP

 たしか、身分証明証の常時携帯を刑罰の威嚇で義務づけるとか、日本の入管法を真似て造ったんじゃないかと思えるような法案だったと思います。合憲とされた部分は施行されてしまうのかとか、詳報、知りたいですね。
 判決原文pdfは、76ページもあって、すぐには読めません。ぷぎゃー!


【続報記事】「米アリゾナ不法移民取り締まり強化法 連邦最高裁判決」『しんぶん赤旗』の解説(2012.06.27)


 これに関連して、アメリカの社会派ドッキリ番組をご紹介。
 上記判決が「合憲」としてしまったらしい部分についてのものです。

John Quinones Goes Undercover for Racial Profiling Scenario(ABC NEWS, What would YOU DO?)

 この企画は昨年、NHKのBS夜10時からのワールドなんとかで、紹介されていました。また放映してくれないかな。

 ちなみに、上記ページは英語版です。
 もはや日本語のみでは豊かな人生を生きてはいけない、そんな時代になりつつあるんだよなあ、なんて感じつつ。

 それにしても、こういう番組、日本でつくっても、じみーで重苦しいものにしかなりそうにないですね。みーんな、黙り込んで、他人のふりをするだけ、あるいは警官の後押しをするばかり、となりそうな。SIGH...

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パブコメの 締切すぎて ううううう。。。。

2012.6.16.08:40ころ

 前回の記事の続きです。

 週末、一休みつける状態になって、頭が回りはじめたせいか、あれこれ思いついたり気づいたりして、すっげームカついてます。自分に。

 来月施行される新在留管理制度は、「外国人の適正な在留管理」とともに「外国人の利便性の向上」を図ったものなんだそうです(平成21年7月7日、森英介法務大臣@参議院法務委員会)。

 法案の趣旨説明は、こんな感じ。

 第一は、新たな在留管理制度の導入に係る措置であります。これは、外国人の公正な在留管理を行うため、法務大臣が必要な情報を継続的に把握する制度を構築し、併せて外国人登録制度を廃止するとともに、在留期間の上限の伸長その他の適法に在留する外国人の利便性を向上させるための措置を講ずるものです。
 その概要を御説明いたしますと、まず、法務大臣は、在留資格をもって我が国に中長期間在留する外国人に対し、基本的身分事項、在留資格、在留期間等を記載した在留カードを交付いたします。在留カードの交付を受けた外国人は、上陸後に定めた住居地を一定期間内に市町村の長を経由して法務大臣に届け出なければならず、また、在留カードの記載事項のほか、その在留資格に応じて所属機関や身分関係に変更があった場合には法務大臣に届け出なければならないこととしております。さらに、これらの情報の正確性を確保するため、届出事項について事実の調査をすることができるようにしたほか、在留資格の取消し制度、罰則・退去強制事由等を整備することとしております。
 その一方で、適法に在留する外国人については、在留期間の上限を五年に引き上げるとともに、有効な旅券及び在留カードを所持する外国人については、一年以内の再入国を原則として許可を受けることなく可能とするなど、その利便性を向上させるための措置をとっております。
 (以下、略。平成21年6月25日、森英介法務大臣@参議院法務委員会)

 個人情報等を在留カードを使って集中管理し、その正確性を確保するために入管に調査権限を付与したりする。これ、管理する側、日本政府側の利便性向上のためですね。このことが、同じ趣旨説明で、こう語られています。

 近年、我が国の国際化が進展し、平成十九年の新規入国者数は平成二年と比べ二・五倍以上、外国人登録者数は約二倍となっており、在留外国人の国籍も多様化してきております。このような中で、転職、転居を頻繁に繰り返す方も少なからず見受けられる等、在留外国人の方々の在留状況の正確な把握が困難になってきており、適正な在留管理を行う上で支障が生じております。また、とりわけ居住実態を正確に把握することができないため、国民健康保険、児童手当等の市区町村の個別事務に支障を来し、在留外国人に対する行政サービスの提供や義務の履行の確保に困難を生じさせている等の問題も生じており、これらの問題への対処が喫緊の課題となっております。
 (平成21年6月25日、森英介法務大臣@参議院法務委員会)

 一方、在留期間の上限を5年に引上げるのは、「外国人の利便性の向上」のためなんだそうです(平成21年6月25日、森英介法務大臣@参議院法務委員会)。

 とすると、5年への引上げは、国の利便性のために在留外国人に新たに課す負担や権利制約に対する代償、とみるのが自然なんじゃないでしょうか。

 とすると、「5年の在留資格をこそ基本にすべきであり、それに従来以上の厳しい要件を付加するのは許されない。より短期のものはあくまで例外的なものとする」、と考えるべきなんじゃないでしょうか。

 細かい要件に気をとられすぎて、本質的な問題を見落としちゃってたようです、ううう。。。

 パブコメの締切すぎて気がつくマヌケ。それが私。

 こういう意見が寄せられていなかったら、何か考えます。


【参考サイト】aacpニュース 排除ではなく「共生」のための制度を


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(追記・修正あり)パブコメ「在留期間「5年」を決定する際の考え方(案)」に、うさパンチ!うさキック!うさ水鳥拳!

2012.6.13.01:30ころ
(2012.6.14.22:40ころ追記。あっ!3年、1年、3カ月の在留資格は一応残るって……(汗)。とすると、ちょっと突っ込みどころを修正しなくてはならない部分がありますね(汗)。そして、違う問題も見えてきました。後ほど、改めます。うう、明日が締切っつーのに……ドタバタorz)
(2012.6.15.07:50ころ、この文字色の部分<カコミ部分を除く>を追記。)

ますます牙をむく、法務省、日本政府の排外主義。(←ちょっと言い過ぎだったかも。法務省と日本政府の骨髄からにじみ出る排外主義を感じさせる動きです、というくらいが適当でしょうか。)
その記録として、下記をご紹介。お怒り・ご懸念の方は、ぜひパブコメを。今週金曜日18時15分必着です。

在留期間「5年」を決定する際の考え方について(意見募集)(法務省入国管理局入国在留課 電話:03-3580-4111)

「在留期間「5年」を決定する際の考え方(案)」をざっと読んで、問題だと思うところを挙げてみます。

1 学齢期の子を有する親にあっては、子が小学校または中学校に通学しているもの。

(1) この要件を充たす者には5年という最長期の在留資格という、極めて有利な在留資格が与えられます。それゆえ、これは、在留外国人にその保護する子どもの教育への権利を保障する義務を果たすよう、誘導する要件といえます。

 これを機に日本政府が、日本に在留する外国人にも、その子らに初等教育を受けさせる義務(就学させる義務)を課し、それを日本政府も支援するというのであれば、従来の日本政府が採用してきた解釈を変更するものであり、条約法に関するウイーン条約31条1項違反の状態や、社会権規約13条2項(a)違反の状態を解消するものであり、喜ばしいことであります。

 ただ、日本政府は従来、外国人学校やインターナショナル・スクールなど「非1条校」へ子どもを就学させても就学義務を果たしたことにはならないという扱いをしてきました。
 これを前提とすると、本要件は、子どもを日本の公立学校へ就学させるよう誘導する性格のものと考えられます。

 一方、日本政府は、子ども権利条約をはじめとする国際人権条約により、外国籍の子どもを含めたすべての国内在住の子どもの教育への権利を保障する義務を負っていますが、日本の公立学校はあくまで「国民」を育成するための教育の場として位置づけられていて、多様な背景を有する外国籍の子どもたちが必要とする教育を提供する場とはなっていません。
 母語・継承語教育など外国籍の子どもたちのニーズに応じる外国人学校やインターナショナル・スクールなどの「非1条校」は、国庫からの補助もなく、せいぜい各種学校となって自治体からの財政支援をいくばくか受け得るだけ。外国人は納税しても、それは自分たちの望む教育のためには活用されないという状況が長く固定化されてきたのでした。
 日本政府は、外国籍の子どもたちの教育への権利保障の義務を、まったく怠ってきたというほかありません。

 このような背景を前提に考えると、就学義務に関する本要件は、日本政府が本来はたすべき、すべての子どもの教育への権利を保障すべき義務を怠り放置したまま、その義務の懈怠の上に居直って、その放置を正当化し、その義務違反・責務の放置を甘んじて受け入れる者のみを優遇するものにほかなりません。

 国際人権法上の責務の違反を甘受するよう推奨する本要件は、国際人権法上の義務の懈怠を促進する性質を持つものですから、憲法98条2項に違反します。
 また、利益誘導によって保護者の教育選択権を歪めるおそれもあり、適切な教育を受けるという子どもの権利自体を侵害することにもつながりかねません。

 削除すべきでしょう。

(2) 仮に、この要件が、「非1条校」である外国人学校やインターナショナル・スクールなどに子どもを就学させている場合もこの義務を果たしていると認めるということであれば、それはひとまず喜ばしいことです。
 それでも、「案」にある文言のままでは、やはり問題があります。

 たとえば、子どもの世界にも子どもの世界なりの問題があり、いじめにあって不登校・不就学になってしまった子どもたちに「通学」を強制するのは虐待に等しい場合がありますもん。

 「通学」という文言は「就学」というより広いものに置き換えたうえで、「小学校または中学校」についても「小学校または中学校あるいは外国人学校やインターナショナル・スクールなど」とより広い概念を含むものに置き換えるべきです。

 こうすると、「子どもの教育を受ける権利を保障するためには「学校」を適切な教育を提供するものに限る必要がある! 各種学校の認可を得た学校や本国で一定の認可を得たものに限るべきだ!」とする意見が出てきそうです。

 ですが、子どもの居住地域にそのような学校がない場合もありますし、高い学費(公的支援がない!)の問題でそれらの学校に通えない場合もあるでしょう。
 国際人権条約上の義務の履行を日本政府が怠けてきた事実をほっかむりして、その責任を保護者にのみ押し付けるのは公正ではありませんっ。

 外国人学校等への支援が欠如した現状が続き十分な支援がなされないかぎり、「学校」を各種学校の認可を得た学校や本国で一定の認可を得たものに限ることは許されないというべきでしょう。

 これって、日本に在留する外国人にも、その子らに初等教育を受けさせる義務(就学させる義務)を課すものだと思います。世界的な人権基準に、ようやく日本政府もならうつもりになったのか……。などと喜ぶのは大間違い。

 せいぜい各種学校や、私塾に近いものが多くある外国人学校やインターナショナル・スクールなどに就学させている場合、はたしてこの義務を果たしていると認められるのか。後者についてはともかく前者については、従来の日本政府の態度からみて、極めて疑問です。

 これを機に、「非1条校に子どもを入学させても親は就学義務を果たしたことにはならなかった」という従来の扱いを改めるのでなければ、外国人学校で学ぶという子どもの教育への権利、保護者の教育選択権を侵害している現実を、さらに苛酷なものとするでしょう。
 従来でさえ、国庫からの補助がなく、せいぜい各種学校となって自治体からの財政支援をいくばくか受け得るだけでした。外国人は納税しても、それは自分たちの望む教育のためには活用されない。そんな状況が長く固定化されてきたのを、この法務省告示(案)は追認・強化してしまいます。

 日本政府の、子どもの就学支援の責任をほっかむりして、保護者のみに責任を押し付けるつもりにしか思えません。外国人学校への支援策や、公立学校での母語・継承語教育支援策なんかがまったくないなかでの、この告示(案)なんですから。
 

2 主たる生計維持者が所得税及び住民税を納付しているもの(扶養控除その他の控除を行った後の所得が少ないため税の納付を要しない場合はこれに適合しないものとして扱う。)

 日本人の配偶者、永住者等の配偶者、日本人の子(日本人の特別養子を含む。)、永住者等の子、定住者について、設けられた項目です。

(1) この要件は、ひとまずは5年の在留資格に関してのみのものとされてますから、一応の合理性があるようにも見えます。

 ですが、これまで何年、何十年と日本で暮らし、「主たる生計維持者」が所得税等の納税を続けていたにもかかわらず、何らかの事故や失業などで不本意にも納税できなくなってしまった人たちに、わずか1年の納税の欠如を理由に5年の在留資格を拒否し3年以下の在留資格しか与えないということは、ほんとうに公正な処遇といえるんでしょうか。
 リーマンショックのような例もあります。これまでの納税期間によっては、5年の在留資格を認めてしかるべき場合もあるんじゃないでしょうか。

 また、いかに低所得層であっても消費税は生活の中で否応なく負担しているんです。

 こうした事情を考慮するなら、この要件はやはり削除すべきではないでしょうか。

(2) 仮に削除しないとしても、3カ月、1年、3年等の在留資格にこの要件が拡張されていくことのないよう、何らかの明確な歯止めを設けるべきだろうと思います。

 これまで何年、何十年と日本で暮らし、「主たる生計維持者」が所得税等の納税を続けていたとしても、何らかの事故などで納税できないことになったら、はい、お払い箱。そーいうことみたいです。

 いやー、日本政府って、やっぱ怖いです。原発事故のときの日本人に対する扱いをみて「外国人にだけ厳しいんじゃなかったんだ」と思いましたが、やはり外国人に対してはすごみが違います。

 そうそう。消費税を払っても、あれは税金じゃあないんでしょうか。
 ないんですか。へー。

3 未成年の者を除き,一定以上の日本語能力(法務大臣が告示で定める日本語教育機関において6月以上の日本語教育を受けたもの,日本語能力検定N2に合格したもの又は財団法人日本漢字能力検定協会が実施するBJT ビジネス日本語能力テストJLRT 聴読解テスト(筆記テスト)の400点以上を取得しているもの)を有しているもの

 定住者について設けられる要件です。

(1) 長年日本で真面目に働き平穏に暮らしていても、日本語能力が優れているとは限りません。職場環境やライフスタイルにより、日本語能力はまちまちですから。

 「法務大臣が告示で定める日本語教育機関において6月以上の日本語教育を受けたもの」という点をクリアすればよいとの考えかも知れませんが、仕事や家族の状況によってはそれすらかなわない成年外国人も少なくありません。

 しかも、「定住者」が日本での生活の安定を求めて「永住者」の在留資格を得ようとする場合、「永住許可に関するガイドライン」によれば、「5年」の資格を得ていることが前提になります。この日本語能力要件が導入されてしまうと、「定住者」が「永住者」の在留資格を得ることはほとんど不可能になってしまうおそれが大きいです。

 日本で安定した生活基盤を築いている、あるいは築きつつある「定住者」の「永住者」資格取得の途を閉ざしかねないこの要件は、少子高齢化が進む日本社会の将来にとって、有害無益以外のなにものでもないでしょう。
( ひょっとすると、この要件を設けることで、「永住者」資格取得より日本国籍取得へ誘導しようとしてるのかも知れませんが、複国籍を認めていない日本においてそんな誘導が人道上あるいは人権上許されるとは、ちょっと思えません。)

 また、そもそも最長期であれ最短期であれ、在留資格を求めようとする者に日本語能力を要求するよりもむしろ、日本語能力が乏しくとも安心して生活できる社会環境を、国が率先して築いていくべきではないでしょうか。
 そうでない限り、原発事故で放射能汚染が広がっていることが知れ渡っている今、「高度人材」を招くことさえおぼつかないでしょう。

 やはり、この要件は削除すべきです。


(2) 仮に削除しないとしても、万が一にもこの要件が3カ月、1年、3年等の在留資格に拡張されていくことのないよう、明確な歯止めをかけておくべきでしょう。
 そうでないと、事実上、特定の在留資格を有する人たちを日本から追放する差別的な結果になってしまい、場合によっては、国家間の紛争の種にもなりかねません。

 これもまた、成年の外国人、おそらくは日系人を中心に、追い出そうとするための要件ですね。長年日本で真面目に働いていても、日本語能力が優れているとは限らない。職場の環境、ライフスタイルによりますから。

 「法務大臣が告示で定める日本語教育機関において6月以上の日本語教育を受けたもの」という点をクリアすればよいというかも知れませんが、仕事や家族の状況によってはそれすらかなわない成年外国人も少なくないんじゃないでしょうか。

 それに何かこれ、天下り先確保とか、支援ビジネスのにおいもそこはかとなくただよってきますね。「多文化共生」とかいいながら、外国人を生かさぬよう殺さぬよう、自分たちの収益の種に使う、パラサイトみたいな人たちが背後にいそうな気配。

(3)配偶者として在留する者(定住者告示第5号該当者)にあっては,家族構成,婚姻期間等婚姻を取りまく諸状況からみて,婚姻及び配偶者の身分に基づく生活の継続が見込まれるもの(婚姻については,婚姻及び同居期間が3年を超えるものに限る。)

 日本人の配偶者、永住者等の配偶者、日本人の子(日本人の特別養子を含む。)、永住者等の子、定住者について、設けられた項目です。

 入管職員が家族関係について判断してくれるわけですね。すごいですねー。

 この要件も、ひとまずは5年の在留資格に関してのみのものとされてますから、それには一応の合理性があるかに見えます。

 とはいっても、やはり万一この要件が3カ月、1年、3年等の在留資格についても拡張されていくことになれば、深刻な人権侵害が生じることになってしまいます。

 なぜかというと、まず第1に、婚姻関係を得ることによって、姻族等との人間関係が深まり、婚姻の相手方との関係以上の深く密接な人間関係が姻族との間に生まれる場合があります。このような場合には、「婚姻及び配偶者の身分に基づく生活の継続」が見込まれなくても、新たに定住者としての在留資格を認めるのが望ましいはずです。ところが、上記要件の適用範囲が拡張されていくと、そのような場合の在留資格の取得・更新がむずかしくなってしまい、日本人姻族等にとっても不幸な結果を強いることになりかねません。

 さらに第2に、そもそも婚姻関係は、破綻していると見えても思わぬきっかけで復活することもある、人間性の機微に深く関わるなんともビミョーなものであります。にもかかわらず、法的な決着がつく前に、法務省入管当局の判断で当事者の一方に国外退去を強いることになりかねなくなってしまえば、婚姻関係の修復の機会を不当に奪うことになってしまいますし、慰謝料や財産分与の交渉・決定など、婚姻関係解消手続の公正な実践も事実上不可能になってしまいます。そんなことになれば、著しい人権侵害です。

 まあ、万が一にもそんな非道な運用はなされないだろうと思いますが、当事者が泣き寝入りする危険を少しでも小さくするため、明確な歯止めを設けておくべきです。
 1カ月、1年、3年の在留資格にこの要件が拡張されていくことのないよう、何らかの明確な歯止めを設けておくべきです。


(4)2012年6月1日に案を公示して6月15日まで、わずか2週間の意見募集。

 任意の意見募集だから、これでもいいいんですって。
 入管関係は「意見提出が30日未満の場合その理由」も書く必要がない、と。在留外国人の立場に大きな影響を与えかねない「案」だというのに、そんな運用でかまわないなんて、とても適切とは思えません。いやあ、ほんと、法律上、とっても強力な権限が与えられてます。すごいですねー。こわいですねー。

 締切迫ってパブコメの存在を知ったせいで、こちらも焦ってしまい、事実誤認をしたまま、最初の記事を書いてしまいました。パブコメも送りなおすという恥ずかしい羽目になりました(-<>-;) しかも、再送信した後でさえ、もうちょっと書き足りなかったこととか、もっとわかりやすい書き方とかを思いついたりしてる有様! だけど、もう再送信してる余裕がない!! みんなこの短い募集期間のせいであります!!! ぷぎゃー!!!!

 応募の方法も謎ですね。

 ここからは意見提出フォームに誘導がされてるんですが、pdf版の意見公募要領では、この意見提出フォームを用いた意見提出が認められていないように読めないこともありません。

 でも、まさかそんなことはないでしょう。

 次回のパブコメ募集からは、電子政府経由の意見提出も「意見の提出方法」に明記するべきでしょう、はっきりと。

 なんか、もーほとほと日本がいやになってきてます。

 こんな書き直しでドタバタふらふらになってしまう自分のおマヌケ加減もいや!!
 
 こんなときこそ、この曲で。ひゃっはー!!(<違)


【後日談、というかパブコメ締切後に気づいた本質的問題(-_-;)】

パブコメの 締切すぎて ううううう。。。。(2012.06.16)

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