人道的な「もう一つの日本」へ、カルデロン一家に正規の滞在資格を!!(2)助けて、ドラえもん!じゃなくって、コメントに答えつつ、負けない夢を心に誓う!
2009.1.1819.23:00ころ
(記事の↑日付を間違えていたのに気づき、修正(-_-;)。2009.1.20.00:10ころ……orz)
(2009.1.21.22:00ころ、在留特別許可を求める署名、続いていました(大汗)。これまでに署名された方は無理かも知れません。まだの方でご協力いただける方は、どうぞよろしくお願いします。)
(2009.1.21.22:30ころ、JANJANニュースなどへのリンクを追加。)
「佐藤優現象」の金光翔さんによる追加分析も気になりますが、当ブログとして今、緊急を要するテーマはやはりこれでしょう。
人道的な「もう一つの日本」へ、カルデロン一家に正規の滞在資格を!!(2009.1.15)
のコメント欄に、カルデロン一家に在留資格を与えることに異を唱える、つまり自民・公明政権下にある法務省入国管理局の「お達し」に賛意を表するコメントが、いくつかありました。
また、昨年の国籍法改正反対運動を「世論」扱いしたココログニュース秋井貴彦記者のこちらの記事にも、同様のコメントがいくつか寄せられています。
それらの主張に、コメント欄だけでは読者も少ないでしょうから、ここで各別に反論しておきます。
以下、コメント欄で書いたことを補足しつつの反論・回答です。
●カルデロン一家に在留特別許可が認められたら、不正入国した人たちは、仕事もそこそこに子どもを生みまくる。
そうなれば少子化対策も一気に解決し……じゃなくって(-_-;)、
仕事しないでこの高物価の日本で子どもを育て上げるなど、なかなか難しいと思います。共働きの日本人でさえ大変ですし、現行制度では未認可滞在の人たち、生活保護の対象外です。
この反論を受けて、
だからこそ犯罪に走る。
と推測する声もありましたが、犯罪に走ると検挙される危険性が目に見えて大きくなるのですから、それだけ強制送還される可能性が大きくなります。
今回のケースのように子どもが日本社会に溶け込んで大きく育っていく前に、犯行が原因で強制送還されてしまいやすくなるだけです。
ですから、「カルデロン一家に在留特別許可を認めること」が、日本で子どもを出産することで在留資格を得ようとする不法入国者増大につながる、ましてやそういう人たちが犯罪に走る、という因果関係はないと思います。
●正規の在留資格を得るためにいろいろつらいことをガマンしている外国人が不満を持つ。
このような声を当の外国人から私は聞いたわけではありませんので、何とも言葉を選びづらいのですが、「カルデロン一家に在留特別許可を認めること」が、正規入国している他の外国人の権利を縮小させるものではない点を確認しておきたいと思います。
むしろこの非人道的な措置を見て、『ブリジット・ジョーンズの日記』に登場する主人公の母親の言葉そのままに、日本人のことを「cruel race!」(残酷な人種)なんて思う人の方が多いんじゃないでしょうか。私の周囲には、この非人道的な措置に異を唱える在日外国人の方が多いですし。
(ブリジットの母親のあの台詞、映画では字幕化されていませんでした。話の核にかかわるエピソードと関係する台詞なんですが、まあ、なくっても話の展開上問題はない台詞だと判断されたんでしょう。日本の観客が引いちゃうんじゃないかとも。あの発言を引き出したと思われる「cruel」な行為にイギリス人も関わっていたという落ちでもありましたし。ただ原作は読んでませんので、別の意味が原作では与えられていた可能性があります。)
このコメントを読んでいて思い出したのですが、正規の滞在資格を奪われるのが怖くて、夫のDVに必死で耐えている妻のケースとか、耳にすることがあります。そういう状況に置かれた女性は、カルデロン一家に在留特別許可が下りれば、羨むかも知れませんし、妬むかも知れません。
しかし、そういう女性が直面している問題は、また別のアプローチで解決すべきことでしょう。そもそも、ある人に対する人権侵害が現実にあるからと言って、他の人に対する人権侵害、非人道的な措置が許されるわけではありません。
●親は犯罪者。強制送還は当然。違法入国者に人道的対処は不要。 日本人の雇用を不当に奪っている。 本国で命の危険があるわけでもない。
犯罪者と言っても、日本国内で問題になるのはせいぜい「出入国管理及び難民認定法」違反でしょう。行政法違反であって殺人や傷害などの刑事犯とは性質が違います。反論が来そうですが、ある意味、(国家以外に)被害者のいない犯罪という側面・特殊性もあるわけです。
しかも、その「出入国管理及び難民認定法」自体が、違反を犯して退去強制処分を受けるような者に対しても法務大臣が自由裁量で在留特別許可を与えることができると規定しているのです。
(コメント欄で、私が同法違反を軽くとらえているように見えるのが気にかかるとの声がありましたが、私の意見は、同法のこのような仕組みや性質を踏まえたものです。)
不法なこと、よろしくないことをした場合に罰を受けるのは当然だとしても、その罰は罪に応じた「相応の罰」でなければなりません。
そこで「出入国管理及び難民認定法」の上記のような性格を考えると、同法違反の場合に課される罰は刑事罰よりももっと制限されても良いと思いますし、「法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき」(同法50条第1項第4号)に法務大臣の自由裁量で在留特別許可が出されるものなら、今回の子どもが直面させられるあまりにも残酷な将来を、人道上の見地から、あるいは子ども権利条約の精神から、「特別に在留を許可すべき事情」と認めて、在留特別許可を出すことは無理な話でも法外な話でもないはずです。
どうしても処罰感情が抑えられないという人たちを説得する必要があるのなら、たとえば一定期間の社会奉仕活動を義務付けるといった条件を付けるという手とか、知恵の働かせどころはいろいろあると思います。自由裁量なら、こうした条件を課すことも可能なはずですし。
違法入国者に人道的対処は不要、なんてことを、勢い余ってかも知れませんが書き込む方もいるわけですが、刑事犯の場合だって犯人に人道的対処が求められるのは、現代刑法体系・刑事政策の基本ですし、命の危険さえないならどんな過酷な状況に子どもを追い込んでもかまわないなんていう論には、やはり賛同しかねます。
また、日本人の雇用を不当に奪っているとの説ですが、どれだけの日本人が、この両親がやって来た仕事に進んで志願していたんでしょうか。
今なら、親たちを強制送還させたいがために、両親の雇用先に雇ってほしいなんて持ちかける極右さん、少なくないかも知れませんが、そんな人、きっと長続きしないでしょう。
また、不況が深刻化するにつれて志願する日本人も増えていくかも知れませんが、不況が来たからというのを今回在留特別許可を認めない理由にするのは、ちょっと悲し過ぎます……。
●子どもの今後は「日本人」ではないので日本国の問題ではない。
子ども権利条約を批准した国として、この国内にいる子どもの最善の権利のために配慮し措置をとる責任が日本国にはあります。仮に子ども権利条約を批准していなくても、人道上の配慮をなす道を選択すべきだろうと私は思います。
ココログニュースのコメント欄で「法務省入国管理局のお達し」に賛意を表している方たちも、基本的に同じような論調ですね。
そんな中で、ちょっと面白いなと思ったのが、これです。
●海外支社に配属になった日本人の子どもが、現地の学校で教育を受け、日本語を話せない。ところが、その本店が倒産または海外支社がなくなった。そんなときに、この一家のように滞在資格を認めるなんてことはないでしょう。
おお、そういう場合にも、在留特別許可、事情次第では使えますね。思いもしなかった方法を教えてもらえて得した気分です。
ただ、コメントで提示されている事例を、今回のケースと比較してあれこれ論じるのは、思考実験としてはともかく、現実への取り組みとしては問題があります。
と言うのは、今回のケースは、あくまで具体的なケースへの対処が問題になっているわけです。抽象論、一般論では片付かない具体的状況への対応が論じられているわけですから。
それに、コメントで提示されている事例では、一家の生活の基盤が日本にあるのか、実際には移民と呼べるような状況だったのかとか、カルデロン一家のケースとは大きく異なっていると思われます。単純に比較して考えるのは問題がありすぎます。
ところで、上のコメントの中にある次の説明、趣旨には関係ないでしょうが、間違ってます。
しかし、日本の法律では子供は日本で生まれているため滞在できます。
そうなればいいのになと思いますが、
日本の国籍法は出生地主義をとっていません(-_-;)。
ここで参考資料として、出生地主義を採用しているアメリカ合州国における非正規滞在者の合法化(アムネスティ)や、非正規滞在の親の退去強制に関するEU諸国の状況について、参考サイトを挙げておきます。前回の記事に追記したものに、もう一つ追加したものです。
【参考資料】
◆超過滞在者の在留許可 ◇EU情報 ◇正規化の基礎データ◆韓国、先を行く。そして、酷暑の季節にぴったりの、ぞ〜っとするお話。(2007.8.17)
◆イギリスの移民労働者受け入れ制度/イギリス政府の非正規労働者を保護するための政策/「移民」と呼ばない日本の実情〜これは遠い世界のできごと?(映画『この自由な世界で』公式サイト)
他に、村野瀬さんの記事のコメント欄を見ていると、
フィリピンに家族一緒に送り返して、そちらでの教育支援を日本政府が行えばいい。
なんていう論もあるようですが、非効率ですし、ちょっと現実的な話には思えません。そんな負担を子どもに課すより、慣れ親しんだ環境で子どもの可能性が開花するような支援の方が、よっぽど人道的でしょうし、そんな形の支援をなすために必要な資源を考えたとき、在留特別許可を出すことの方がはるかに合理的だと思います。
だいたい、子どもにとって、フィリピンは見たこともない外国でしかないのですし。
それに、すでに同様のケースで退去強制された子どもたちが大勢いて、大変な状況に置かれています(その苦境は以前NEWS23でも報道していたと記憶しています)。そういった子どもたちの支援をなそうともせず、上のような提案でお茶を濁そうとすることは、すでに荒海で溺れ苦しんでいる子どもたちを眼前にしながら、別の子どもを「これから救命ボートや救命胴衣をつくるからね」と言いつつ、荒れ狂う海に突き落とす、、そんな行為でしょう。しかも、しかも、救命ボートや救命胴衣をつくるという約束が守られるとも作られた救命ボートなどが本当に役に立つとも限らないのです。
【関連コメント欄】
人道的な「もう一つの日本」へ、カルデロン一家に正規の滞在資格を! (by 仲@ukiukiさん)のコメント欄
【関連ニュース&ブログ】
★カルデロン家3人と友人達の願い「日本で暮らし続けたい」埼玉県蕨市(JANJAN、荒木祥、2008.11.28)
★日本で暮らし続けたい、在留特別許可を求め続けるカルデロン家(JANJAN、荒木祥、2009.1.16)
強制退去という結果になったときに彼女が受けるだろう精神的ダメージや、待ち受けているだろう未来の困難さ(日本にいられた場合との落差とか)を思うと、言葉すら絞り出せそうにありません。
また、こうやって彼女たちを見捨てて追い出してしまう、そんな社会、日本国に対して、署名活動を展開したり協力したりしてサポートしてきた同級生や近所の人たちが抱くであろう絶望感にも胸が痛みます。人間不信、国家不信に陥るんじゃあるまいか、とも思います(おっと、「国家不信」は、立憲主義国家ではある程度ないと困るんですが)。
そして、知恵も知識も、困難に直面している人を手助けするために、使っていかなきゃなあと、
ここ数日でありました。。。
タンポポの詩 THE ALFEE
(フルコーラスはこちらで。歌詞はこちら)
【署名のお願い】
●ガザ封鎖解除のために、日本政府が積極的に働きかけるよう外務大臣に求めるオンライン署名(集約期限は2009年2月28日、アムネスティ・インターナショナル日本、パレスチナ子どものキャンペーン、ピースボート、ユナイテッドピープル株式会社・共同よびかけ)
●イスラエルに軍事行動中止を求めるWEB署名(「戦争に正義は存在しません—ガザ空爆—」鳥居正宏のときどきLOGOS、2009.1.3)
●ガザ地区停戦国際署名和訳(【追記】イスラエル軍による動画配信が!)(Like a rolling bean (new) 出来事録、2008.12.31)
■東村高江【通行妨害仮処分】緊急署名(第1次集約期限2009年1月26日、なごなぐ雑記、2009.1.3)
★すべてのアフガニスタン難民に在留資格を(第1次集約期限2009年2月19日、RAFIQ)
◆日本版US-Visitシステムの廃止を要望する国会請願署名、電子署名(集約期限2009年8月31日、国際結婚を考える会、IST請願の会)
◆複数国籍の容認を求める請願署名、電子署名(集約期限2009年8月31日、IST請願の会)
他にもサイドバーにいろいろあります。賛同いただける方は、どうかよろしくお願いしますm(_ _)m