2007.12.20.18:00ころ
(2008.2.27.23:30ころ、この文字色の部分を追記。)
自分の耳に 心地よく
胸にすとんと 入る話に
人は誰でも 弱いもの
で あるがゆえ
世に詐欺話の 種は尽きまじ
世にトンデモの 種は尽きまじ
(詠みうさ知らず)
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今年9月の記事ですが、「陰謀論」と平和運動、レイシズムのコメント欄で、先週後半から今週にかけて、ちょっとしたコメントのやりとりをしました。
私が「9.11陰謀論」という言葉をどういう意味で使っているか、上記記事のコメント欄をご参照いただくとして、そこでもちょっと書いたように、私は「9.11陰謀論」sそのものについて徹底的に議論を戦わせることに向く性格ではないといいますか、言葉を変えるなら、そのような議論を今なすことに大きな関心を持っていません。
と言うのも、
「陰謀」があろうがなかろうが、9.11を契機としたアフガン侵略やイラク侵略はそれ自体としてけっして許されることではなく、「陰謀」の噂はどんな事件の陰でもささやかれるものだろううから、そうした「陰謀」あるいはその噂があろうがあるまいが武力行使を防止できるシステムの構築こそ、重要だ
と、個人的な嗜好もあって、考えているからです。
そんな個人的な割り切りから、9.11以後は、国際法や国際刑事裁判所などについてあれこれ調べることに力を注いでいたわけですが、そんな間にも、「陰謀論」&「自作自演説」とその否定説との間で論争は続いていたわけでして、そのありがたいまとめの一つが「陰謀論」と平和運動、レイシズムで紹介している『陰謀論の罠』(奥菜秀次・著)であり、また並行して、9.11に発生した「事象」の研究は専門家の間では続いており今も続行中のようでありまして、やはり「陰謀論」と平和運動、レイシズムで紹介している「爆裂」現象も、おそらくその過程で確認されたものではないかと想像しています(←下線部の推測、外れだったようです。リンク先に追記しました)。
ちなみに、ここ数日、この問題についてあれこれ読む機会を持ちまして、TBをいただいた以外にも、kiku logさんのこちらを知ることができたのは幸いでした。コメント欄に、貴重な情報がいろいろあります。
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で、個人的には「9.11陰謀論」や「自作自演説」はガセネタだ、と今では考えるに至ったわけですが、そんな私でも、一時は「WTC発破解体説」を信じてしまっておりました。orz...
「インチキ選挙で勝つようなブッシュ政権ならやりかねん」との発想があったからではありますが、その根底に「重要な情報は政府やマスメディアによって操作・隠蔽されている」というもう一つの思い込みがあった、そっちの方が重大な要因だった気がします。
たしかに、当ブログで幾度も取り上げてきた「外国人犯罪急増」説や「不法滞在者は治安悪化の温床だ」説など以外にも「少年犯罪の凶悪化」説など、「嘘」を信じさせるための政府・マスコミによる「情報操作やプロパガンダ」(←本記事では「嘘をばらまくもの」を指します)が展開されているのは、疑いようのない事実です。
そして、おそろしいことに、これらの「言説」が「嘘」であることは公式文書からも明確に判断できるのに、多くの市民に「真実」と思われちゃっている。
また、政府による情報操作の例は他にもありまして、たとえば、ヤメ蚊さんが記事にしておられるこちらの事件なんかもその一つと言えましょう。
当ブログで最近取り上げた「アルカイダ」誤認報道で損害賠償を払う義務を負うことになった産経新聞社のケースも、構造は似たような話でしょう。「警察発表」に依存するマスメディア報道の限界と、そこに潜む陰謀や情報操作の影。世の中、一筋縄ではいきません。
こうした現実を知っているだけに、ついつい、政府・権力者側の発表を見聞きするときは眉に唾をつけてしまうわけですが、しかし、情報操作を試みているのは、何も政府・権力者の側だけとは限りません。
それを知る格好の素材となりうるのが『陰謀論の罠』だと思います。
そもそも現代社会は、さまざまな主体が自らの目的を達成するために活動している場なわけでして情報操作を展開してガセネタで「恐怖を煽って他人を動かす」とか「金儲けを企む」とか「歴史修正・歴史歪曲を試みる」とか「組織の権勢の維持や拡大を企む」とか、そういう活動を正義だと考える人もいる、「嘘も方便」なんて割り切れる人もいる、権力側にあるなしに関わらず。それがこの現実社会なのです。
生き馬の目を抜くと言いますか、そういうやり口は、イラク開戦へ向けてのブッシュ政権のやり口と同じように思えて、私にはためらわれますし、そんな私の感覚に共感してくれる読者もいるでしょうが、そういう人ばかりではない。
そして、実はかく言う私だって、己の主張を理解してもらうために何らかの情報偽造や情報改変を行っているかも知れませんよ〜(なんちゃって。後述する理由で、ガセネタをばらまくようなことをせぬよう、私なりに細心の注意は払っているつもりです)。
いや、そうでなくても、実は「私」に化けた何者かが、このブログをいつ頃からか更新するようになっているかも……うわ、私はエレア(^^;)???
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まあ、「9.11陰謀論」や「自作自演説」を聞いたとき、私のようにひねくれていないたいていの人たちは「常識的に考えてそんなことないだろう」とすぐに見切ってしまうのかも知れません。
しかし、常日頃から政府やマスメディアが行っている情報操作や情報隠蔽に意識的な人ほど、「ひょっとするとそんなことがあったのかも」「いや、そうに違いない」と考えてしまうのではないか。そんな気がします。
そして、これは保守も前衛も極右も極左も電波も非・電波も、まあ何らかの政治的関心を強く持っている人ほど落っこちやすい陥穽のように思えます。そういう人ほど(私を含めて)、現状に対して抱いている不満が強いはずですから。
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では、どうすればその陥穽にはまらず、情報操作に乗っけられたりデマの流布を手伝っちゃったりするおそれを回避できるのか。
ここ数日、そんなことをつらつら考えてみたわけですが、答えは単純なところに落ち着きました。
「自分に都合のよさげな情報は、まず疑ってみる。そして、裏をとってみる。情報の出所は信頼できるか、一次情報はどう語っているか、情報の加工や隠蔽はありはしないか」そういう細心の注意を払うこと。
です。
ソースを自分で確認するのが最善なんでしょうけど、常になんでもかんでも原典・ソースにあたるのは難しいのもまた事実ですから、そんな場合には情報元のこれまでの発信内容を検証する、なんてことが次善の策となるでしょうか。
こういったことは、まあ、情報に接したときはいつでも求められる姿勢のはずですが、ついついガードが甘くなる瞬間を、常に意識しておく。そうするだけで、ガセネタに引っかかる危険性は小さくなるはずです。
とくに、何らかの政治的主張、社会的主張を持って、それを訴えていきたいと考えている人は、細心の注意を払うに如くはなし、です。
その重要性は、昨年春に「ガセメール」をつかまされた民主党が陥った窮地を思い出してもらえれば、わかってもらえるのではないかと思います。
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私の場合、私がこのブログを通じて他人にガセネタをつかませることは、私が共にありたいと思っているマイノリティの人たちを取り巻く状況をややこしいものにしちゃいかねないと考えていますので、情報の扱いと取捨選択には可能な限り慎重を期しています。
しかし、そんなふうに心がけていても、やはり甘さからガセネタをつかまされちゃってそれを記事に組み込んじゃうことがあるわけでして、そんな場合には、訂正記事を書く、あるいは記事の修正を目に見える形で行う、なんていうことが必要になります。
ガセネタ対策は、まっこと、言うは易く、行うは難し、そしてメンドー、であります。
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ちなみに『陰謀論の罠』の著者・奥菜氏は、アメリカ政府はCIAやFBI、NSAなどが互いに反目しあってるのがために「テロ関連情報」が統合されず、しかもアラビア語に堪能なスタッフが不足していたために未訳の情報が累積で全体の7割に達し、「テロ決行が迫っている」との情報が英訳されたのも9.11の数日後だった、と指摘しています。
「テロ情報があった」→「自作自演」
ではなく、
「テロ情報があった」→間抜けなために活用できなかった
である、というわけです。
その間抜けっぷりとお粗末さ、なんとなく理解できますし、マイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画『華氏911』の冒頭で、「9.11テロ発生」のニュースを聞いてどこかの小学校か何かで伝えられて茫然自失、目がうつろになっていたブッシュ大統領の姿を思い出すと、やっぱりそうだったのかなあ、と思えてきます。
しかし、これについても巻末に参考文献がたくさん挙げられていますが、今の私にその内容をチェックすることは不可能です。
さあ、そんなとき、私はこの情報をどう扱うべきでしょうか。
「陰謀論」「自作自演説」に関する著者の記述を信用できると考える私としても、「うん、そうかもね」ぐらいにとどめておくのが無難でしょう。
ブログで紹介するとしても「電文形式」ニスル、じゃなくて「伝聞」だとはっきりわかるような形式で書く。そんなことになるでしょうか。この著者の本、まだ1冊読んだだけですし。
ちなみに、『陰謀論の罠』には、『ホロコーストの真実 大量虐殺否定論者たちの嘘ともくろみ』(デボラ・E・リップシュタット・著、滝川義人・訳、恒友出版。上下巻構成)からの孫引き形式で、こんな記述もあります。
「(注・ホロコースト)否定者は、読者の圧倒的大多数が文献へのアクセスを持たない点につけこみ、あるいは読者が真偽の区別をつける努力をしないのをいいことに、勝手放題のことを言うのである」(これは下巻からの引用です)
興味を持たれた方は、『陰謀論の罠』あるいは『ホロコーストの真実 大量虐殺否定論者たちの嘘ともくろみ』(上下巻)をお読みください。
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最後に念のため書いておきますが、「政府・権力者による“自作自演”なんてない」などと私が考えているわけではありませんので、その点、誤解をなされませぬようご理解くださいませ。
たとえば、戦後日本政府による「陰謀」「自作自演」の実例として、菅生事件というのがあったそうですし、また、平沢勝栄議員が何とも怪しげな発言を国会で行っているのもまた事実でありまして、考えすぎかも知れないけれど、なんともいや〜な予感がぬぐえなかったりもするわけです。
そうそう、最近のアメリカ政府の例で言えば、イラク侵略を始める前に「イラク政府が大量破壊兵器を製造している証拠がある」とか、いけしゃあしゃあと嘘の情報を流そうとして、国連安保理であれこれ突っ込まれていた記憶もありますねえ。
たしか外交官とかからも反対の声が上がっていた気がします。あっ、民主党の大畠章宏・衆院議員のサイトにこの件に関する記事があります。毎日新聞の記事にあったみたいです。さらにうろうろ見ていると、国民に「うそ」をつく「国家」は滅びる!(2007.10.8)という記事が目に入りました。思えば、信なくば立たずなんて言い回しもあります。ブッシュ共和党は静かに末路をたどっていますし、自民・公明連立政権もその後追いをしそうだなあ、なんて考えると、少しは明るい2008年への展望が見えてくる……のかな?
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この記事も長くなってしまいました。
年初の目標もどこへやら(汗)。
来年は、記事を毎回100字以内に収めるのを目標にしてみようかな、なんて野望を抱いたりして。
えっ、野望じゃなくて無謀(^^;)??
【関連記事】
「陰謀論」と平和運動、レイシズム(2007.9.27)
【お願い】地震火災によるビル倒壊を「テロ攻撃」と早合点しないでネ!!(2007.12.12)
←「うかつな自分」に、うさキック!
←情報を じっくり見極め、うさジャンプ!
←寒い季節は、頭の回転が悪くなり、情報操作にひっかかりやすくなるので要注意です……って、そんなことはない(^^:)?