2006.12.8.11:30ころ
先週金曜日発売の『週刊金曜日』2006.12.1号に、【教育があぶない!2006】という特集が掲載されていました。
◆教育基本法改正は子どもの権利条約違反! 安倍首相は子どもたちを〝怪物〟の餌食にする気か(木附千晶)
教育基本法を改正したい安倍首相は、どんな子ども時代を過ごしたのだろう。
著書からはやはり、自己肯定感や信頼感を保障するようなおとなとの関係は見られない。
「子どもの権利条約」の視点から、改正案を読み解いた。
◆保坂展人衆議院議員インタビュー 「教育基本法改正は戦前復帰のはじまりだ 」
◆井上哲士参議院議員インタビュー「 道徳心ない文科省に教育語る資格なし 」
など、教育基本法改定を考えるうえで、重要な記事が掲載されています。
ここでは、「教育基本法改正は子どもの権利条約違反!」という記事に添えられた表「改正案は子どもの権利条約とこんなに違う」(子どもの権利のための国連NGO・DCI日本支部代表、福田雅章氏・作成)の内容を紹介します。
この表の改正案に関する記述は、各種諮問機関の答申および国会での政府答弁などを参考に、子どもの権利条約については2回にわたる勧告や乳幼児の権利と教育に関する注釈を参考にしたものだそうです。限られた紙面スペースの関係か、わかりづらくなっている部分もありますが、そのまま転載してみます。
【子ども観】
子どもの権利条約:尊厳を持った一人の人間主体
教育基本法改定案:未熟にして、管理と選別の対象
【教育目標】
子どもの権利条約:個人の尊厳を持った市民として生きることができるように、一人ひとりの子どもの心的・肉体的能力を最大限に引き出すこと。
教育基本法改定案:(1)分に応じて国・経済界・社会に貢献できる人材の育成。(2)国定の道徳および公共心を身につけた日本国民の育成。
【教育手段】
子どもの権利条約:親や教師等との間に「安心と自信の持てる受容的な人間関係(居場所)」を形成し、そこに生まれる自己肯定感(生きる力・好奇心)と共感能力(痛みの心・同苦)を通して、人としての自律性と道徳性を開花させる。
教育基本法改定案:教育内容と達成度の基準を国が定め、競争と規律を用いて指導・教化し、選別・序列化する。
【子どもの地位】
子どもの権利条約:意見(非言語的・理不尽な欲求を含む)表明権を行使することによって受容的な人間関係を形成し、自らの成長発達(教育)のプロセスに主体的に参加する存在。
教育基本法改定案:公教育における指導教化の客体であり、規範意識(学校の権威に服従する術)を身につけていない子どもは、公教育の場から直ちに排除される。
【教育の場の形成】
子どもの権利条約:成長発達主体である子ども自身、およびその援助者である親および教師を中心に、相互関係生の中で形成される。
教育基本法改定案:(1)法律の規定と命令、(2)内閣府に設置される振興計画会議の決定する、競争と統制に関するシステム・基準と人事・予算配分基準、および(3)それらの下達を受けた教育委員会や校長の命令によって形成される。
【親・教師の地位】
子どもの権利条約:子どもの成長発達の場における不可欠な受容的な対応者として、親および教師は相互補完的に教育の第一次的な責務を負い、国はその責務の遂行を物質的・精神的に援助する。
教育基本法改定案:(1)教師は、上記「教育の場の形成」の(1)〜(3)の上意下達に基づく命令の執行者。(2)親は、公教育の担い手ではなく購買者となり、家庭で子どもに規範意識を植え付ける責務を負う。
【地域との連携】
子どもの権利条約:子どもの受容的な人間関係の形成を援助・補完する(居場所や生活の場としての学童保育の保障)とともに、子どもの遊びの権利を担保する場やサービスの提供。
教育基本法改定案:(1)規範意識を欠く子どもに対する警察等の介入の強化。(2)子どもの安全および“心の教育”のための地域的取り組み。(3)学童に代わる全児童対策としての遊び場の提供。
【教育における平等】
子どもの権利条約:親の資力、男女、障害を持った子ども、その他社会的弱者に対する積極的な援助、教育の質の保障、および差別の禁止。
教育基本法改定案:(1)親の資力による教育格差の増大。(2)男女共学規定の意識的削除。(3)障害児教育の峻別。
いよいよ今年も師走に入り、バタバタしてるうちに紹介が遅れてしまい、とうとう今日から書店にはこの次の号が並びはじめる事態に陥ってしまいました(汗)。
未読の方はどこぞで2006年12月1日号を入手して、記事本文をぜひお読みください。
また、こんにちは、DCI事務局です!によると、木附氏が、教育基本法「改正」で子どもが育つか?という記事の掲載を開始しています。こちらもあわせてご覧ください。
※関連エントリー
「多民族共生教育フォーラム2006愛知」開催のお知らせと教育基本法改定論議(2006.10.26)
「寛容の精神」のない国と、他の人間を平気で「人間以下」と見下す者/「多民族共生教育フォーラム2006愛知」から教育基本法改定を目論む日本政府へ(2006.11.13)
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