複国籍PT


2022年3月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
無料ブログはココログ

あわせて読みたい

  • あわせて読みたいブログパーツ

« 最近の迷惑トラバーさんお薦め(?)記事!! | トップページ | 【自公とともに、立ち腐れゆく日本】(2)レイシズム、ゼノフォビアと排外主義に毒された文科省 »

【自公とともに立ち腐れゆく日本】(1)SAY NO TO INHUMAN AND CRUEL JAPAN!

2009.2.17.22:30ころ

世界中を失笑させた鳩山邦夫法務大臣(当時)の「友人の友人がアルカイダ」記者会見に続いて、今度は世界中を爆笑の渦中に放り込んでくれたのが、中川昭一財務相(当時)の泥酔記者会見でした。AP通信配信のニュースでは、日銀総裁が回答している最中も、中川泥酔相の様子にずっとカメラが向けられていたのだとか。その気持ち、わかります(爆)。

そして、そのほんの数日前に、外国特派員協会で、カルデロンのり子ちゃんの記者会見がありました。

「退去命令による家族離散と闘う13歳の少女」会見 映像・音声(2009.2.13、TV JAN)

わが家のパソコンでは音声も動画も見れない状況ですが(涙)、

Japanese government may grant Noriko Calderon special permission for residence(Japan Probe、2009.2.13)

で紹介されているTBSニュースの記者会見映像を見る限り、鳩山、中川氏とカルデロンのり子ちゃんの人間としての格の違いを感じずにはいられません。

ここでふと思い出すのは、SIVAさんの次の記事です。

私たちの在留資格。(デザイン夜話、2008.11.21)

何だか理不尽。

残念ながら、法務大臣の決定は覆らなかったようです。

ニセ愛国者はいいかげん消えてくれ(NC-15、2009.2.15)
カルデロン一家の件について(Nameless Heve Forever Move U´Å`U、2009.2.15)
家族を分断することを なんともおもわない裁定を当然視する法務省がまた…(タカマサのきまぐれ時評2、2009.2.16)


海外メディアの関心も少なくないようで、「Noriko Calderon」等で検索した記事の中からいくつかピックアップして、リンクを張っておきます。

Lawyer blames Japanese 'discrimination' for Filipina's ordeal(ABS-CBS NEWS、2009.2.10)

Japanese ruling may split family(BBC NEWS、2009.2.13)

Japan may divide Filipino family(UPI Asia.com、2009.2.13)

Filipino family cannot stay together in Japan, Justice Ministry decides(JAPAN TODAY、2009.2.13 Kyodo News)

このJAPAN TODAYの記事には、条件反射的なコメントが多数付いていて……orz。詳しい記事じゃないからなんだと思います。
そこで、最後はこちらです。

Japan Times Zeit Gist on Noriko Calderon, born in Japan, child of overstayers, facing deportation(DEBITO.ORG、2009.2.13)

救われるコメント多数です。

紹介・引用されているDavid McNEILLさんの記事は『The JAPAN TIMES』に掲載されたらしいのですが、『The London Independent』『The Irish Times』『The Chronicle of Higher Education』のためにも書かれたとの注記があるので、おそらくそれらにも掲載されたのでしょう。
そしてその記事は、日本の政策の自己チューぶりを描き出していて、それがカルデロン一家なかんずくのり子ちゃんを問題の渦中に放り込んでしまったことを明らかにしています。また、FUJI TVの悪質な番組の話とか2ちゃんねるの記事の話とかもあって、かなり詳しいです。これらすべて、外国人特派員協会での記者会見で出た話なのかも知れませんが、記事内容の詳しさが、コメントの内容に大きく影響していると思います。

最後に、この件に関して私が民主・社民・共産各党に宛てたメールから、お願い部分を掲載しておきます。森法務大臣に宛てたメールも「そして、もし働きかけがかなわず、」の段落を除いた他は基本的に同じで、政府への働きかけとか野党共闘とかではなく「英断」をお願いする内容にしました。

今日は、日本で生まれ育ったにもかかわらず退去強制を強いられようとしている子どもとその両親のために在留特別許可が出されるように、そして、これまでに非人道的な退去強制を強いられた子どもやその家族に対する人道的対処をお願いしたく、この文章を作成しています。

TBSニュース等さまざまなメディアで報道されていますが、日本生まれ、日本育ちで日本語しか話すことができない中学1年生の女の子、カルデロンのりこちゃんが、不法入国した父母とともにフィリピンへ送還されるか、あるいは退去強制される父母とは離ればなれになって日本に残るかという極めて非人道的な選択を、法務省入国管理局によって強いられようとしています。

一家が地域に根ざして真面目に働き、暮らしてきたことは、その子の同級生や地域の人たちが在留特別許可を求める署名活動に積極的に協力してきてくれたことが、如実に示してくれています。そして、先月14日までに集まった署名は、ネット上では排外的な声が大きいにもかかわらず、16000筆を超えたといいます。昨秋の国籍法改正反対騒動を思い起こさせる状況です。

この一家が日本で家族で生活を継続できるような人道的措置を実現すべく、貴党から、そして可能であれば野党で共同して、政府に強く働きかけていただけないでしょうか。

今年1月14日のTBSニュースによれば、不法滞在(オーバーステイなど)で同様の状況に置かれている子どもは、全国で約5万人にのぼるそうです。
このような子どもや家族に対して人道的措置として在留資格を正規化することは、さまざまな人権条約を批准している先進国として、そして国連人権理事会の理事国として、当然の責務であろうと思います。

父母の入国の経緯はともかく、その後の真面目な働きぶりや暮らしぶりは、日本社会で暮らす私たち日本国民にとっても、心強いものだと感じます。入国経緯に問題があっても真面目に働き暮らすことで正規の在留資格を得られる可能性があることをマスメディアの注目も集まった今回のケースで示すことができれば、日本が先進国である限り流れが絶えることなどないであろう現在そして将来の不法移民に対して、日本での真面目な暮らしを維持しようとするインセンティブを与えることができるはずです。

また、市民の処罰感情を満たす必要があるとの声もあるかも知れませんが、在留特別許可は法務大臣の自由裁量で出されるものですから、たとえば一定期間の社会奉仕活動を条件として在留特別許可を出すとか、方法はいろいろ考えられるはずです。個人的には、退去強制の不安に怯える日々が続いていることで、十二分に社会的制裁を受け苦しんでいるのだろうと想像するのですが、そういう方法も考慮に値するのではないかと思います。

何よりも子どもの権利条約が目指す子どもの最善の利益のために、ぜひとも、一家のための人道的措置を強く働きかけてください。

そして、もし働きかけがかなわず、一家が非人道的処遇に追いやられた場合は、どうかぜひ、政権交代したあかつきに、この一家を含めてこれまでの自民・公明政権下で非人道的な形で退去強制された多くの家族のために、たとえば正規の入国資格・滞在資格を認めてその日本での生活の再スタートを支援するなど、何らかの人道的処遇をなし、侵害された子どもたちの人権の回復を実現し、それによって日本国・日本人の尊厳を取り戻していただきたいのです。

長文におつきあいありがとうございました。
末尾に参考となるであろうウェブサイトを挙げておきます。

子どもたちの人権のため、そしてさらには日本国・日本人の尊厳と将来のために、ご高配のほどを、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
【関連記事】
人道的な「もう一つの日本」へ、カルデロン一家に正規の滞在資格を!!(2009.1.15)
人道的な「もう一つの日本」へ、カルデロン一家に正規の滞在資格を!!(2)助けて、ドラえもん!じゃなくって、コメントに答えつつ、負けない夢を心に誓う!(2009.1.19)

【署名のお願い】

Creation of a Special Tribunal to try Israeli War Criminals(「イスラエル戦争犯罪特別法廷」設置を国連総会に求める署名)

ガザ封鎖解除のために、日本政府が積極的に働きかけるよう外務大臣に求めるオンライン署名(集約期限は2009年2月28日、アムネスティ・インターナショナル日本、パレスチナ子どものキャンペーン、ピースボート、ユナイテッドピープル株式会社・共同よびかけ)

Stop US helipad plan in Okinawa to save great nature.

すべてのアフガニスタン難民に在留資格を(第1次集約期限2009年2月19日、RAFIQ)

日本版US-Visitシステムの廃止を要望する国会請願署名、電子署名(集約期限2009年8月31日、国際結婚を考える会、IST請願の会)

複数国籍の容認を求める請願署名、電子署名(集約期限2009年8月31日、IST請願の会)

他にもサイドバーにいろいろあります。賛同いただける方は、どうかよろしくお願いしますm(_ _)m

Usagimasters

Banner2←CRUEL JAPAN に、うさキック!


ブログランキング・にほんブログ村へ←新たな連帯へ向けて、うさジャンプ!


R_bana_2←寒いどす……。

« 最近の迷惑トラバーさんお薦め(?)記事!! | トップページ | 【自公とともに、立ち腐れゆく日本】(2)レイシズム、ゼノフォビアと排外主義に毒された文科省 »

おすすめサイト」カテゴリの記事

ニュース」カテゴリの記事

外国人労働者・移住労働者」カテゴリの記事

差別、排外、レイシズム」カテゴリの記事

適正手続」カテゴリの記事

国際人権法」カテゴリの記事

お願い」カテゴリの記事

在留資格」カテゴリの記事

制度の不備」カテゴリの記事

粉砕! プロパガンダ」カテゴリの記事

連帯でGO!」カテゴリの記事

支援いろいろ」カテゴリの記事

監視社会」カテゴリの記事

海外事情」カテゴリの記事

外国人集住都市会議への危惧」カテゴリの記事

植民地主義」カテゴリの記事

外国人と住民台帳」カテゴリの記事

コメント

多文化・多民族・・・の趣旨には大いに賛同しますが、この件については異議ありです。

>犯罪者と言っても、日本国内で問題になるのは
>せいぜい「出入国管理及び難民認定法」違反
>でしょう。行政法違反であって殺人や傷害など
>の刑事犯とは性質が違います。
>不法なこと、よろしくないことをした場合に
>罰を受けるのは当然だとしても、その罰は罪に
>応じた「相応の罰」でなければなりません。

だから、刑務所に入れて自由を剥奪するような厳しい罰ではなく、フィリピンに送還するという寛大な罰になっています。
送還さえ厳しいというのは、ちょっと理解できませんね。脱税なら刑務所もありですし。

>「特別に在留を許可すべき事情」と認めて、在留
>特別許可を出すことは無理な話でも法外な話でも
>ないはずです。

子供がいれば「特別な事情」に該当する、ということならば、ですね。

>「カルデロン一家に在留特別許可を認めること」
>が、日本で子どもを出産することで在留資格を
>得ようとする不法入国者増大につながる

・・・という因果関係は、しっかり成立してしまいますよ。今後日本に不法入国者が来ても子供を作れば無罪放免ということになってしまいますよ。子供のいない不法入国者と比べてアンフェア、悪しき前例になるのではないですか。

>子ども権利条約

同条約は、親が罪を犯した場合に子供の権利を保護するために親に対する処罰を軽減または免除せよ、などとは述べていません。
同条約は、犯罪者である親への処罰、すなわち拘禁や追放等を、親子の不分離の原則に対する例外として認めています。

今回のケースに照らせば、仮に両親だけ強制退去させることによって親子分離させても、然るべき情報提供がなされれば、9条4項に適合します。あるいは、親子一緒に強制退去させることによって不分離を確保させても、10条1項に適合します。
すなわちどちらでも問題はないはずですが、子供の最善の利益としては後者でよいのでは。

親を送還するな、すなわち親が犯した罪に対する罰を免除せよというのは、子供の最善の利益の保護範囲を超える無茶な要求であり、同条約の理念に何ら関係ありません。
こういう無茶な要求は、同条約への誤解を助長するものです。

>今回の子どもが直面させられるあまりにも残酷
>な将来
>命の危険さえないならどんな過酷な状況に子ども
>を追い込んでもかまわないなんていう論には、
>やはり賛同しかねます。

児童売買の類とは違うでしょう。単に両親の母国に行くことが、どうしてそんなに残酷なのですか。

>すでに同様のケースで退去強制された子どもたち
>が大勢いて、大変な状況に置かれています

もしも実際に親と一緒に送還された子供が送還先で人権侵害されている、過酷な状況に追い込まれているなら、それは送還先の当該国が責任を持って改善すべき問題でしょう。フィリピンの子なら、まずフィリピン政府が社会的にケアすべき。

>強制退去という結果になったときに彼女が受ける
>だろう精神的ダメージや、待ち受けているだろう
>未来の困難さ(日本にいられた場合との落差とか)

そりゃ親が犯罪者として処罰されたら子は精神的ダメージも受けるでしょうが、それは子供の権利の侵害にはならない、条約にも何ら抵触しないですよ。
仮にあの子が文句を言うのなら、言うべき相手は親でしょう。親が正規の手続きに従っていれば、送還されることもなかったのだから。親の不正行為を棚に上げて日本国の法に基づく処分に文句を言うのは、筋違い、責任転嫁ですよ。

>子どもにとって、フィリピンは見たこともない
>外国でしかないのですし。
>そんな負担を子どもに課すより、慣れ親しんだ
>環境で子どもの可能性が開花するような支援

慣れ親しんだ環境とか言うなら、外国人が正規の手続きに従って子供を連れて日本に働きに来るのも、日本人が正規の手続きに従って子供を連れて外国に働きに行くのも、残酷、非人道的、親による児童虐待ということになってしまいますよ。

例えば、マニラの日本人学校に通っている子は、子供の可能性を潰されている訳ですか。
今回のケースにしても、あの子がフィリピンへ行ってフィリピンの教育を受けると可能性を潰されてしまう訳ですか。

http://www.jasso.go.jp/study_a/oversea_info_phil_d.html

どうにも、あの子がフィリピンで教育を受けること(留学みたいなものでしょう)を全くネガティヴに捉えるというのは、多文化・多民族・・・の趣旨に相応しくないと思うのですが、如何ですか。
あの子がフィリピンに行けば、あの子の可能性はむしろ広がるのではないですか。

latter_autumnさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。

>・・・という因果関係は、しっかり成立してしまいますよ。今後日本に不法入国者が来ても子供を作れば無罪放免ということになってしまいますよ。子供のいない不法入国者と比べてアンフェア、悪しき前例になるのではないですか。

今回のケース、不法滞在者をある意味ウェルカムというか、労働力として歓迎していたのか日本政府も厳しく取り締まらなかった時代に入国し、そこで生まれた子どもが日本で育ち、ところが途中で日本政府の方針が激変した、そんな事情があるわけです。不法滞在者に対する過剰な取締が始まっている今となっては、同様のケースが今後生じる可能性は大きくないと思いますよ。
http://www.47news.jp/CN/200902/CN2009021701000091.html


>>子ども権利条約
>
>同条約は、親が罪を犯した場合に子供の権利を保護するために親に対する処罰を軽減または免除せよ、などとは述べていません。

そんなことを主張してるつもりはないのですが。
ただ、刑事実務でも、初犯か否かなど犯情に加えて、幼子を持つ被告人には執行猶予をつけるとか、その類いの判決は普通にあるんじゃないかと思います。

> 同条約は、犯罪者である親への処罰、すなわち拘禁や追放等を、親子の不分離の原則に対する例外として認めています。

↓これ↓のことでしょうか。

子ども権利条約 第9条(親からの分離禁止と分離のための手続き)
1. 締約国は、子どもが親の意思に反して親から分離されないことを確保する。ただし、権限ある機関が司法審査に服することを条件として、適用可能な法および手続きに従い、このような分離が子どもの最善の利益のために必要であると決 定する場合は、この限りでない。当該決定は、親によって子どもが虐待もしく は放任される場合、または親が別れて生活し、子どもの居所が決定されなけれ ばならない場合などに特別に必要となる。

家族の分離に際しても、「分離が子どもの最善の利益のために必要である」ことが条件になっていますね。しかもこれって、子どもを親による虐待などから虐待を受けたりネグレクトを受けたりするのを防ぐために必要な場合、というように読めますね。

>親を送還するな、すなわち親が犯した罪に対する罰を免除せよというのは、子供の最善の利益の保護範囲を超える無茶な要求であり、同条約の理念に何ら関係ありません。
>こういう無茶な要求は、同条約への誤解を助長するものです。

同条約9条は「子どもの最善の利益」を争点とする構造なのですから、誤解ではありません。そして、在留特別許可は法によって定められた制度であり、人道的配慮を求めることは無茶な要求でもありません。
http://ukiuki.way-nifty.com/hr/2007/01/post_c18f.html


>もしも実際に親と一緒に送還された子供が送還先で人権侵害されている、過酷な状況に追い込まれているなら、それは送還先の当該国が責任を持って改善すべき問題でしょう。フィリピンの子なら、まずフィリピン政府が社会的にケアすべき。

上記の経緯を考えるとそこまで言い切れるとは思いませんし、そうでなくても、日本で生まれ育ち、日本語が母語になっているような子どもに対しては、日本政府がまず社会的にケアすべきと考えます。国籍国による保護のみを要求していくことは、かつての国際法体系では正論なのかも知れませんが、「多国籍」な社会の現実への対応として、もはや不十分なものになってきていると思います。
それに、少子高齢化が進む日本社会にとってもメリットのある話だと思いますよ。

>慣れ親しんだ環境とか言うなら、外国人が正規の手続きに従って子供を連れて日本に働きに来るのも、日本人が正規の手続きに従って子供を連れて外国に働きに行くのも、残酷、非人道的、親による児童虐待ということになってしまいますよ。

なりかねない側面はありますよ。それが許されるかどうかは、家族の結びつきや経済状況に左右されるものだと思います。

(今回の場合、旅券偽造の罪を彼の地で問われるおそれはもう時効でないのでしょうか。ないなら、そんな罪で日本側が処罰にこだわるのも妙な気がしますし、きっとあるんでしょうね。)

>今回のケースにしても、あの子がフィリピンへ行ってフィリピンの教育を受けると可能性を潰されてしまう訳ですか。
>
>http://www.jasso.go.jp/study_a/oversea_info_phil_d.html
>
>どうにも、あの子がフィリピンで教育を受けること(留学みたいなものでしょう)を全くネガティヴに捉えるというのは、多文化・多民族・・・の趣旨に相応しくないと思うのですが、如何ですか。
>あの子がフィリピンに行けば、あの子の可能性はむしろ広がるのではないですか。

結局、「子どもの最善の利益」が何であるかという点でlatter_autumnさんと私は意見が異なるようですね。

日本の公教育の状況を知っている身として、こちらの教育環境の方がマシだなどとはちっとも思っていません。今夜アップ予定の記事では、まさにその問題を採り上げています。

それでも、子ども本人の意思もありますし、言葉のわからない日本に学齢期途中で来ることになり、とてつもない苦労を強いられている(あるいは強いられてきた)子どもたちを少なからず知っていますので、できれば慣れ親しんだ母語の環境でもうしばらく教育を受けられるようにすべきだろうと考えるのです。本記事で紹介したDEBITO.ORGの記事のコメント欄に書き込まれた体験談も、参考になると思います。

>不法滞在者をある意味ウェルカムというか
>途中で日本政府の方針が激変した

出入国管理及び難民認定法の基本制度が近年180度変わった、などという事実はありません。今も昔も、不法滞在者は摘発されたら退去、が基本ですよ。取り締まり自体は当たり前。
ウェルカムも何も、知っていながら敢えて泳がせているというか黙認している訳じゃないのですよ。

入国者が皆法を守り正規の手続きに従って来ているのなら、厳しい取り締まりは不要ですが。
少なからぬ者が違法行為をしているのなら、取り締まり強化が必要になります。
そういう取り締まり強化は、政府方針の激変ではありません。法制度はそのままですから。今まで法的にセーフだったものがアウトに変わった訳じゃない。

>同様のケースが今後生じる可能性

子供がいることが在留特別許可のための「特別な事情」になるのなら、同様のケースは幾らでも出てきます。子供がいない人と比べてアンフェアになります。

>そんなことを主張してるつもりはないのですが。

仲さんにそのつもりがなくても、あの家族を庇う主張を要約整理すれば、「親が罪を犯した場合に子供の権利を保護するために親に対する処罰を軽減または免除せよ」という意味になってしまいますよ。

>幼子を持つ被告人には執行猶予をつけるとか

罪に対する罰の決定は、子の有無に左右されません。子供がいるからと言う理由で罰を与えないなら、子供がいない人と比べてアンフェアになります。
子供の権利条約は、そのような差別待遇を要求していません。

>在留特別許可は法によって定められた制度であり、
>人道的配慮を求めることは無茶な要求でもあり
>ません。

子供がいることが在留特別許可のための「特別な事情」として認められるべきだ、というのは、子供の権利条約の要求に関係ない、単なるアンフェアです。
「子のいる不法滞在者を送還するのは、人道的にアウト」
「子のいない不法滞在者を送還するのは、人道的にセーフ」
・・・そんなのは人道的配慮でも何でもない、ただの身勝手です。

>↓これ↓のことでしょうか。
>しかもこれって、子どもを親による虐待などから
>虐待を受けたりネグレクトを受けたりするのを
>防ぐために必要な場合、というように読めますね。

いいえ、9条の1項ではなく4項です。
私は9条1項に言及していませんが、9条1項の後段は分離の例(児童虐待)を挙げているだけです。その例以外では分離されない、という意味ではありません。
9条4項は、児童虐待以外でも分離されうる旨を述べていますよ。

>同条約9条は「子どもの最善の利益」を争点と
>する構造なのですから、誤解ではありません。

9条4項を見て下さい。
親が犯した罪に対する罰の決定によって親子分離されること自体は、ありです。「子どもの最善の利益」に反するから不可だとはなっていません。従って、親を送還することは同条約に抵触しません。

子が日本に残るなら9条4項、子がフィリピンに行くなら10条1項です。
私は、後者の方がよかろうと思いますが、後者にすべきだとまでは言いません。あの子が決めればいいことですから。
しかし、親を送還しないという選択はない、子供の権利条約はその選択の根拠になりえない。

>日本語が母語になっているような子どもに対して
>は、日本政府がまず社会的にケアすべきと考えます。
>慣れ親しんだ母語の環境でもうしばらく教育を受け
>られるように
>子ども本人の意思もありますし

あの子が親と離れても日本に残りたいと言うのなら、あの子については日本政府がケアしますよ。
親と一緒にフィリピンに行くなら、後のことはフィリピン政府の所管です。
親を送還しないという選択はない。

>許されるかどうかは、家族の結びつきや経済状況
>に左右されるもの
>日本の公教育の状況を知っている身として、こちら
>の教育環境の方がマシだなどとはちっとも思って
>いません。

それなら、あの子が親と一緒にフィリピンに行くのも、十分ありでしょう。「慣れ親しんだ環境を離れることになるのはけしからん、許されない」と断定できる訳じゃない。

>「子どもの最善の利益」が何であるか

「親が罪を犯した場合に子供の権利を保護するために親に対する処罰を軽減または免除せよ」という主張は、無茶です。そんなのは「子供の最善の利益」ではなく「親の身勝手な利益」です。子供の権利条約にも無関係。
親は潔く処分に服するべきです。そもそも自分が正規の手続きに従っていれば、処分されることもなかったのですから。子供をダシにして「人道的配慮」などを要求するのは、見苦しいです。

latter_autumnさん、こんにちは。

>そういう取り締まり強化は、政府方針の激変ではありません。法制度はそのままですから。今まで法的にセーフだったものがアウトに変わった訳じゃない。

2003年の不法滞在者半減計画を経て取締が強化されたこと、またその頃から雇用主に対する罰則強化や近年導入された雇用報告制度などを含めた不法滞在者あぶり出しも強化されていること、かなり劇的な変化だと思いますよ。
そしてそのような激変があった後である将来、どれほどの「不法滞在者」たちがのり子ちゃんのような年齢・状況になるまで、入管当局の追及を逃れて子どもを育てることができるのかを考えれば、今回のケースで正規の在留を認めることがlatter_autumnさんの危惧するような事態につながるとは思えない、ということです。

>子供がいることが在留特別許可のための「特別な事情」になるのなら、同様のケースは幾らでも出てきます。子供がいない人と比べてアンフェアになります。

子どもがどの年齢まで大きくなっているか。そこを見落としての議論は無意味に思うのですが。後の多くの返答についても同様ですね。

>仲さんにそのつもりがなくても、あの家族を庇う主張を要約整理すれば、「親が罪を犯した場合に子供の権利を保護するために親に対する処罰を軽減または免除せよ」という意味になってしまいますよ。

前のコメントに補足する必要を感じません。

>いいえ、9条の1項ではなく4項です。
>私は9条1項に言及していませんが、9条1項の後段は分離の例(児童虐待)を挙げているだけです。その例以外では分離されない、という意味ではありません。
>9条4項は、児童虐待以外でも分離されうる旨を述べていますよ。

失礼しましたm(_ _)m。
↓こちら↓ですね。

第9条(親からの分離禁止と分離のための手続き)3. 締約国は、親の一方または双方から分離されている子どもが、子どもの最善の 利益に反しないかぎり、定期的に親双方との個人的な関係および直接の接触を 保つ権利を尊重する。
4. このような分離が、親の一方もしくは双方または子どもの抑留、拘禁、流刑、 追放または死亡(国家による拘束中に何らかの理由から生じた死亡も含む)な ど締約国によってとられた行為から生じる場合には、締約国は、申請に基づい て、親、子ども、または適当な場合には家族の他の構成員に対して、家族の不 在者の所在に関する不可欠な情報を提供する。ただし、情報の提供が子どもの 福祉を害する場合は、この限りではない。締約国は、さらに、当該申請の提出 自体が関係者にいかなる不利な結果ももたらさないことを確保する。
第10条(家族再会のための出入国)
1. 家族再会を目的とする子どもまたは親の出入国の申請は、第9条1に基づく締 約国の義務に従い、締約国によって積極的、人道的および迅速な方法で取り扱われる。締約国は、さらに、当該申請の提出が申請者および家族の構成員にい かなる不利な結果ももたらさないことを確保する。

たしかに、親の追放などによる家族の分離があることを前提にしていますね。
条文読解が不十分だったことをお詫びします。

しかし、

>同条約は、親が罪を犯した場合に子供の権利を保護するために親に対する処罰を軽減または免除せよ、などとは述べていません。

が、そのような処遇をするなとも述べていないのではないですか。

そして、同条約の前文に掲げられた趣旨からして、具体的事例において子どもの最善の利益を考慮して措置をとることは、極めて自然な解釈だと考えます。

>「親が罪を犯した場合に子供の権利を保護するために親に対する処罰を軽減または免除せよ」という主張は、無茶です。そんなのは「子供の最善の利益」ではなく「親の身勝手な利益」です。子供の権利条約にも無関係。


「子どもの最善の利益」のためには「親の身勝手な利益」が保護されることになってもやむを得ないと思うのですが、そろそろ議論が堂々巡りになってきましたね。


そもそも親の処罰といいますが、退去強制によって裁こうとしている親の罪がいったい何であってどれほどのものであるか、そしてそれがもたらすものが何であるかが、やはり問われるべきではないでしょうか。

入国の経緯の違法性を裁くのであれば、国内的には時効にかかっているように思えますし、不法に残留し続けたことを裁くにしても、退去強制する以外に手段はないのか。

処罰感情を満たすことを最優先するのではなく、そのあたりに知恵を絞ることが大人の対応だと思うのですが、私としては。

人道的配慮に基づく在留特別許可が制度として認められている状況であれば、なおさらその方策は見つけやすいはずなのに、なぜあえてその道を閉ざそうとあれこれ理屈を積み重ねるのか。

そんなわけで、「見苦しい」と思っているのはお互い様、ですね。

失礼しました。

>子供をダシにして「人道的配慮」などを要求するのは、見苦しいです。

これ、カルデロンさんに向けられた言葉だったみたいですね。
てっきり私宛の一言だと、早とちりしてしまいました。

ですので、「お互い様」と〆るのはふさわしくありません。
「お互い様」を「私も同じ」に訂正します。思いの向けられた方向は、もちろん違います。

>かなり劇的な変化だと思いますよ。

不法滞在者が増えたら取り締まり強化が必要になるのは、当たり前です。しかしそれは、合法不法の基準を変えている訳じゃない。

>どれほどの「不法滞在者」たちがのり子ちゃん
>のような年齢・状況になるまで、入管当局の追及
>を逃れて子どもを育てることができるのか

「子供がいたらセーフ」というのであれば、基準を変更することになりますよ。これまで「不法」だったのが「合法」になる訳ですよ。追及を逃れるどころか、大手を振って滞在できるようになりますよ。

>子どもがどの年齢まで大きくなっているか。そこ
>を見落としての議論は無意味に思うのですが。

仲さんの発言は矛盾しているようですが。

>幼子を持つ被告人には執行猶予をつけるとか

先日のはこういう発言でしたよね。これだと、「子が幼いうちは親への処罰を寛大にせよ」ということでしょう。
それが今度は、「子がある程度大きくなっていたら親への処罰を寛大にせよ」というニュアンスに変わっているのではないですか。

逆に訊きますが、子が何歳なら親に在留特別許可を与えるべきか否か、仲さんはどう考えているのですか?
そしてそれは、許可に該当しないケースと比べてアンフェアではないと、説明できますか?
この説明が一番重要です。ここをぼかしたままでは、説得力はありません。

私の観察では、お人好しの仲さんは、結局「子がいたら何歳でも関係なく親に在留特別許可を与えるべき」という主張だと思いますが。仲さんは「貴方達は基準外だからダメ、出て行きなさい」なんて言えないでしょ。仲さん自身、自覚していないかもしれないけど。

>条文読解が不十分だったことをお詫びします。

「のり子さんだけ残るか、家族一緒に帰るか、どちらかだ」というのは、子供の権利条約に何ら違反していないことに留意して下さい。前者は9条4項に、後者は10条1項に、しっかり適合しています。

一緒に帰ることにしても、人道的な問題は何もない、全然非人道的ではない。ずっと日本の教育を受けてきた子が新たにフィリピンへ行ってフィリピンの教育を受けることで、その子の可能性が潰されてしまう、などというのも、根拠のない決め付けです。

仲さんの「いったいどうしたら、こんな血も涙もない決定ができるのか。まさに鬼、悪魔の所業ではありますまいか!!」というのは、お人好しの感情論としてはありですが、冷静に見れば筋の通らない、不当な言い掛かりです。

>具体的事例において子どもの最善の利益を考慮
>して措置をとることは、極めて自然な解釈だと
>考えます。

今回のケースにおける子どもの最善の利益は、あの子だけ日本に残って日本が社会的にケアする(情報提供含む)ことか、あるいは親子一緒にフィリピンに行く(不分離確保)ことによって、十分確保されます。どちらでも、条約違反ではない、条約に十分適合します。

>そのような処遇をするなとも述べていないの
>ではないですか。

特別在留許可の基準は何ですか?、子が何歳なら親に在留特別許可を与えるべきか否か、仲さんはどう考えているのですか?
許可に該当しないケースと比べてアンフェアではないと、説明できますか?

>そもそも親の処罰といいますが、退去強制に
>よって裁こうとしている親の罪がいったい何で
>あってどれほどのものであるか、そしてそれが
>もたらすものが何であるかが、やはり問われる
>べきではないでしょうか。

「泣いて馬謖を斬る」という故事成語もありますよね。しかし、別に死刑にする訳でもないし刑務所に入れる訳でもない、送還するだけです。送還は基本的かつ寛大な処罰、何の問題もない。子供の権利条約にも適合している。もっと寛大にすべき道理がありますか。それでもアンフェアではないと?

>「子どもの最善の利益」のためには「親の身勝手
>な利益」が保護されることになってもやむを得ない

「身勝手で何が悪い?」と開き直るのなら「アンフェアでいいんだよ、だから親が犯罪やっても大目に見ろよ」と言っているのと同じこと、説得力はありませんよ。同じ口で「非人道的」とか言っても、もう信用されなくなりますよ。「多文化・多民族・・・」の理念が泣きますよ。

latter_autumnさん、こんにちは。

昨日はバタバタしていて失礼しました。

>不法滞在者が増えたら取り締まり強化が必要になるのは、当たり前です。しかしそれは、合法不法の基準を変えている訳じゃない。

状況の変化を、ある時点以降の国に政策に都合の良い方向にだけ合わせて変更する。それが「血も涙もない決定」となったのが今回のケースだと認識しています。

>仲さんの発言は矛盾しているようですが。
>
>>幼子を持つ被告人には執行猶予をつけるとか
>
>先日のはこういう発言でしたよね。これだと、「子が幼いうちは親への処罰を寛大にせよ」ということでしょう。
>それが今度は、「子がある程度大きくなっていたら親への処罰を寛大にせよ」というニュアンスに変わっているのではないですか。

変わっていませんよ。

「子どもがどの年齢まで大きくなっているか。そこ
 を見落としての議論は無意味に思うのですが。」

の部分は、不法入国者増大につながるか否かに関する、

>子供がいれば「特別な事情」に該当する、ということならば、ですね。

というlatter_autumnさんの最初のコメントの一節をふまえて、さらに二度目のコメントでも同様の表現を使っておられることを見て、やはりlatter_autumnさんは今回のケースでは単に子どもがいるというだけではない、日本社会であの年齢まで成長しているという前提を無視しているんだな、と考えて述べたものです。そのような段階にまで入管の摘発を逃れて成長していくことが最早難しいということは、この件に関する最初の記事のコメント欄や前の記事で指摘しているのですが、そこをlatter_autumnさんは読まれていないのかもと思いまして。

そして、最初の返答で書いた「幼子を持つ被告人には執行猶予をつける」という例示は、その前段で書いているとおり、latter_autumnさんの読解に異を唱えた後です。そこで止めても良かったのですが、latter_autumnさんの文章が指摘するようなケースとしてどのようなものがありうるかを想像して出てきたのがこの例示でして、誤解を生む表現であったのなら私の失敗ですが、子どもの存在が親の処罰に影響することは現実にありうるのではないかとの推察は撤回する必要を感じません。

>逆に訊きますが、子が何歳なら親に在留特別許可を与えるべきか否か、仲さんはどう考えているのですか?
>そしてそれは、許可に該当しないケースと比べてアンフェアではないと、説明できますか?
>この説明が一番重要です。ここをぼかしたままでは、説得力はありません。
>
>私の観察では、お人好しの仲さんは、結局「子がいたら何歳でも関係なく親に在留特別許可を与えるべき」という主張だと思いますが。仲さんは「貴方達は基準外だからダメ、出て行きなさい」なんて言えないでしょ。仲さん自身、自覚していないかもしれないけど。

お人好しの私には厳しい質問ですが、年齢だけで区切るのは難しいでしょうね。
あえて区切るとすれば、6、7歳くらいでしょうか。ただ、やはり年齢だけでは無理でしょう。言語習得の状況や近隣・地域との交遊関係などで前後は出てくるだろうと考えますし、送還先となる国の状況や親の在留期間などを考慮して、具体的ケースによっては、もっと下げることも可能だと思います。

>「のり子さんだけ残るか、家族一緒に帰るか、どちらかだ」というのは、子供の権利条約に何ら違反していないことに留意して下さい。前者は9条4項に、後者は10条1項に、しっかり適合しています。

留意します。前に読んでいたんですが、今回、ざっと眺めて4項までチョックせずにコメントをしてしまいました。恥じ入るばかりです。

>一緒に帰ることにしても、人道的な問題は何もない、全然非人道的ではない。ずっと日本の教育を受けてきた子が新たにフィリピンへ行ってフィリピンの教育を受けることで、その子の可能性が潰されてしまう、などというのも、根拠のない決め付けです。

根拠のない決め付けではありません。
すでに同様に退去強制された子どものケースを、フォローしているニュース報道もありました。現在の状況をあえて破壊するのは、お人好しの私には、

「いったいどうしたら、こんな血も涙もない決定ができるのか。まさに鬼、悪魔の所業ではありますまいか!!」

と叫ぶに足る理由はあると思えます。たしかに、多少感情的な叫びではありますが。

>「身勝手で何が悪い?」と開き直るのなら「アンフェアでいいんだよ、だから親が犯罪やっても大目に見ろよ」と言っているのと同じこと、説得力はありませんよ。同じ口で「非人道的」とか言っても、もう信用されなくなりますよ。「多文化・多民族・・・」の理念が泣きますよ。

だから、その「犯罪」というものがどういうものか、それが問題だと思うのですよ。そして、それに対する日本政府のこれまでの対応も。そのあたりをひっくるめて「非人道的」と言ってるんです。そのあたりは、すでに

http://ukiuki.way-nifty.com/hr/2009/01/2009-3.html
http://ukiuki.way-nifty.com/hr/2009/01/post-f139.html

などで示しているところですし、ここのコメント欄でも書いてきたつもりです。
ですので、latter_autumnさんにそのようにコメントされても、再考せねばという気にはなりません。

補足です。
エントリにしようかとも思いましたが、別によそで話題になっている論点でもなさそうなので、ひとまずこちらでギャラリーの方向けに。

>不法滞在者が増えたら取り締まり強化が必要になるのは、当たり前です。しかしそれは、合法不法の基準を変えている訳じゃない。

不法滞在者の取締を強化した「不法滞在者半減計画」に関してのコメントと思いますが、参考情報として事実確認を。


      不法残留者数(法務省統計)
H 2 . 7 . 1   1 0 6 , 4 9 7
H 3 . 5 . 1   1 5 9 , 8 2 8
H 3 . 1 1 . 1  2 1 6 , 3 9 9
H 4 . 5 . 1   2 7 8 , 8 9 2
H 4 . 1 1 . 1  2 9 2 , 7 9 1
H 5 . 5 . 1   2 9 8 , 6 4 6
H 5 . 1 1 . 1  2 9 6 , 7 5 1
H 6 . 5 . 1   2 9 3 , 8 0 0
H 6 . 1 1 . 1  2 8 8 , 0 9 2
H 7 . 5 . 1   2 8 6 , 7 0 4
H 7 . 1 1 . 1  2 8 4 , 7 4 4
H 8 . 5 . 1   2 8 4 , 5 0 0
H 9 . 1 . 1   2 8 2 , 9 8 6
H 9 . 7 . 1   2 8 1 , 1 5 7
H 1 0 . 1 . 1  2 7 6 , 8 1 0
H 1 0 . 7 . 1  2 7 6 , 5 4 1
H 1 1 . 1 . 1  2 7 1 , 0 4 8
H 1 1 . 7 . 1  2 6 8 , 4 2 1
H 1 2 . 1 . 1  2 5 1 , 6 9 7
H 1 3 . 1 . 1  2 3 2 , 1 2 1
H 1 4 . 1 . 1  2 2 4 , 0 6 7
H 1 5 . 1 . 1  2 2 0 , 5 5 2
H 1 6 . 1 . 1  2 1 9 , 4 1 8
H 1 7 . 1 . 1  2 0 7 , 2 9 9
H 1 8 . 1 . 1  1 9 3 , 7 4 5
H 1 9 . 1 . 1  1 7 0 , 8 3 9
H 2 0 . 1 . 1  1 4 9 , 7 8 5

「不法滞在者」が急増したのは1991年から1993年にかけてで、1993年をピークに減少を続け、「不法滞在者=治安悪化の温床」というデマがさんざんばらまかれて不法滞在者半減計画が始まった2004年頃にはすでにピーク時の4分の3以下に減少していました。

http://ukiuki.way-nifty.com/hr/2008/08/2008.html 他。

外国人嫌悪と憎悪を煽る差別主義者たちの言動や悪辣な政策を忘れていたわけではないけれど、あらためて想い起こすきっかけをつくってくれて、ありがとう。

>年齢だけで区切るのは難しいでしょうね。
>あえて区切るとすれば、6、7歳くらいでしょう
>か。ただ、やはり年齢だけでは無理でしょう。
>言語習得の状況や近隣・地域との交遊関係など
>で前後は出てくるだろうと考えますし、送還先
>となる国の状況や親の在留期間などを考慮して、
>具体的ケースによっては、もっと下げること
>も可能だと思います。

これでは、実質的に「何歳でもOK、在留特別許可してよい」と言っているのと同じです。
こういう基準を適用するなら、やはり不法入国者は増えますよ(というか、正確には不法滞在だったのが合法になってしまう訳ですが)。

で、許可されない場合と比べてアンフェアでないということは、やはり説明できませんか。

>その「犯罪」というものがどういうものか

今回のケースでは処罰自体も寛大なものですよ。不法入国・滞在という罪に比べて、退去という罰が重過ぎる訳じゃない。子供の権利条約にも違反していない。残酷でも非人道的でもない。

「親を送還せず、在留特別許可を与えよ」というのは、「処罰自体するな」と同義。「子供がいない者は処罰してもいいが、子供がいる者は処罰するな大目に見ろ」というのは、アンフェアで無茶苦茶。

まあ「子供がいようがいまいが関係なく、在留特別許可を与えよ」なら、少なくともアンフェアではありませんがね。「罰する程の罪じゃない」と言うのなら、「子がいなくても送還せず許可せよ」と言えばいいものを。
しかしそれはそれでどうなることやら。いや実は、内心それを懸念していて、だからこそ入国管理と違反取締の法制度が必要だと思っているから、「子がいなくても送還せず許可せよ」とまでは言えないのですかね。

>たしかに、多少感情的な叫びではありますが。

いやもう、全くの感情論ですよ。お人好しの村野瀬さんなんかは、かなり頭に血が昇っているようですが。「理が全くない」のはどっちですか、と言いたいですね。

「泣いて馬謖を斬る」ですよ。泣くのは構わないけど、感情に流されて法を曲げるのはダメ。

>どうしても処罰感情が抑えられないという人
>たちを説得する必要があるのなら、たとえば
>一定期間の社会奉仕活動を義務付けるといった
>条件を付けるという手とか

法を手前勝手な感情で曲げてアンフェアな扱いをするのはダメです。同じような状況で同じような罪を犯して捕まったら、同じような罰を受けるのが当然。
今回のケースで、親を送還しないという選択はない。そんなアンフェアは当然認められないのです。

>根拠のない決め付けではありません。同様に
>退去強制された子どものケースを、フォロー
>しているニュース報道もありました。

今回のケースがどういう具合に「同様」になるのか、不可解です。「あの子がフィリピンに行くと人権侵害される」というのがほぼ必然的な結果として予見されるのならば、「あの子のフィリピン行きは人道的に不可だ」という結論にもなるでしょうけど。そういう根拠は何もないでしょう。
内戦の真っ只中に放り込まれる訳でもないし、人身売買される訳でもない。

仲さんはこうも書いていますが。

>抽象論、一般論では片付かない具体的状況への
>対応
>カルデロン一家のケースとは大きく異なっている
>と思われます。単純に比較して考えるのは問題が
>ありすぎます。

だったら、今回のケースがどういう具合に「あの子のフィリピン行きは人道的に不可だ」と断定できるのかも、問題の内容を明確にしないと説得力はありませんよ。抽象論や一般論を抜きにして、あの子がフィリピンに行くと具体的にどんな悲惨な目に遭うのか、説明できますか。

>現在の状況をあえて破壊するのは

私は、あの子がフィリピンへ行くのはあの子の新たな可能性を創造することになる、日本からフィリピンに留学する学生等と同じように自分の可能性を広げられる、と思っています。
そんなことは全く絶望的だと否定する根拠がありますか。

latter_autumnさん、

相変わらずの堂々巡りですね。
もうたいていのことは書き尽くしているので、
お互いの立脚点とその違いは十分に明らかになったことと思います。

もはや、あえて返信をする必要性を感じません。

コメントしておいてあげた方がいいかも知れないのは、国籍法における出生地主義の採用や非正規滞在者へのアムネスティの実施をなすべきと、当ブログでは主張してきてるよ、前のコメントで挙げてみた基準は、あくまで現行法制下で現時点に私が決定権者ならどうするかな、という仮定に基づくものだったんだよ、ということでしょうか。そのあたりに誤解があるかも知れませんので。

この他には、もう返信する必要を感じられません。
さて、どうしたものか。

今の私の率直な感想です。

参考情報です。

子ども権利条約の9条1項と10条1項については、日本政府は「解釈宣言」がちょっと話題になっています。
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1129.html

----
http://jfba-www1.nichibenren.jp/ja/kokusai/humanrights_library/treaty/child_ratification.html
子どもの権利に関する条約 日本の批准状況

【解釈宣言】
1.日本国政府は,児童の権利に関する条約第9条1は,出入国管理法に基づく退去強制の結果として児童が父母から分離される場合に適用されるものではないと解釈するものであることを宣言する。

2.日本国政府は,更に,児童の権利に関する条約第10条1に規定される家族の再統合を目的とする締約国への入国又は締約国からの出国の申請を「積極的,人道的かつ迅速な方法」で取り扱うとの義務はそのような申請の結果に影響を与えるものではないと解釈するものであることを宣言する。

関連条文の英語原文
http://www.savechildren.or.jp/about_sc/kodomono_kenri/genbun1_1.html
Article 9

States Parties shall ensure that a child shall not be separated from his or her parents against their will, except when competent authorities subject to judicial review determine, in accordance with applicable law and procedures, that such separation is necessary for the best interests of the child. Such determination may be necessary in particular case such as one involving abuse or neglect of the child by the parents, or one where the parents are living separately and a decision must be made as to the child's place of residence.

Article 10

In accordance with the obligation of States Parties under article 9, paragraph 1, applications by a child or his or her parents to enter or leave a State Party for the purpose of family reunification shall be dealt with by States Parties in a positive, humane and expeditious manner. States Parties shall further ensure that the submission of such a request shall entail no adverse consequences for the applicants and for the members of their family.

関連条文の民間訳
http://www.savechildren.or.jp/about_sc/kodomono_kenri/minkan1_1.html
第9条(親からの分離禁止と分離のための手続き)
1. 締約国は、子どもが親の意思に反して親から分離されないことを確保する。ただし、権限ある機関が司法審査に服することを条件として、適用可能な法および手続きに従い、このような分離が子どもの最善の利益のために必要であると決定する場合は、この限りでない。当該決定は、親によって子どもが虐待もしくは放任される場合、または親が別れて生活し、子どもの居所が決定されなけれ ばならない場合などに特別に必要となる。 

第10条(家族再会のための出入国)
1. 家族再会を目的とする子どもまたは親の出入国の申請は、第9条1に基づく締 約国の義務に従い、締約国によって積極的、人道的および迅速な方法で取り扱われる。締約国は、さらに、当該申請の提出が申請者および家族の構成員にいかなる不利な結果ももたらさないことを確保する。 


9条1項は、仲さんが最初に引用したものです。実際、1項の親子不分離原則は絶対ではない。9条4項でも述べていますが、児童虐待にしても犯罪者処罰にしても、親子分離が認められる例外ですから。
日本の例の解釈は、9条4項を無視していたら特異な解釈のように映るかもしれませんが、決して特異な解釈ではない、当たり前の解釈ですよ。

10条1項については、そのような申請を審査した結果却下する場合もありうる(申請は確かに取り扱うが必ずしも認める訳ではない)、という意味ですね。shall be dealtとshall be approvedでは違いますし。
例えば、出入国管理及び難民認定法の3条や5条の基準に引っ掛かるような人物だと、入国不可として却下されてしまうとか。それでもshall be dealtなら、結果としてのbe deniedはありです。

村野瀬さんは
「私不勉強で知りませんでした」
「この件については、日本政府は子どもの権利条約の意義を大きく損なっています」
「大人への罰則が咎のない子どもの人権を侵すとなったら、そこには「強制送還せよ」という罰則だけの単純な考えとは全く別の慎重な判断が必要だと思います」
と書いていますが、9条4項はまだ理解していないようで。

大人への罰則によって親子不分離の原則から逸脱するのは、9条4項で容認されています。それで子どもの人権を侵すことにはなりませんから。

latter_autumnさん、こんにちは。

>日本の例の解釈は、9条4項を無視していたら特異な解釈のように映るかもしれませんが、決して特異な解釈ではない、当たり前の解釈ですよ。

そうですよね。というか、9条4項を考えると、1項に関する日本政府の解釈宣言の意図が今ひとつわかりづらくなってしまいます。入管法違反による親子の分離が4項を基に許されるのなら、なんでわざわざ1項にああいう解釈宣言をしたのか。

except when competent authorities subject to judicial review determine, in accordance with applicable law and procedures, that such separation is necessary for the best interests of the child.

の部分を、除外したいと考えるのが素直でしょうね。つまり、裁判所が、その分離が子どもの最善の利益のために必要であると判断した場合以外でも、入管法違反においては親子の分離ができる、とすることに意図があるように思えます。
簡潔に言うと、子どもの最善の利益を考慮せずに親子分離ができる、としたいという。

ただ、その後に法務大臣による在留特別許可を禁じる規定はないのですし、同条約の趣旨を考慮しての在留特別許可を認めることは、latter_autumnさんも不可能とは考えていないのだと思いますが。

>その分離が子どもの最善の利益のために必要
>であると判断した場合以外
>簡潔に言うと、子どもの最善の利益を考慮
>せずに親子分離ができる、としたいという。

犯罪者処罰の場合は親子分離されますが、その分離自体は「子どもの最善の利益」によって否定されるものではありません。「子どもの最善の利益」に反するから処罰不可、なんてことにはならない。
犯罪者処罰の場合の「子どもの最善の利益」は、親子分離された場合の家族に関する情報の提供ですから。ちゃんと情報提供していれば条約上問題なし、それで「子どもの最善の利益」を考慮して分離していることになります。

今回のケースについて言えば、あの子には二つの選択肢が与えられていて、自分にとっての最善がどちらか自分で選ぶことができますし。

仮に親子一緒にフィリピンに行くことになっても、それであの子の可能性の花が枯れてしまうと決まっている訳でもありませんし。親が日本に来て地域社会に溶け込むことができたのなら、子がフィリピンに行って地域社会に溶け込むことも十分できるでしょう。
その辺りを全く否定的に捉える言説には、どうにも違和感を覚えます。フィリピンはそんなに酷いところなのか、フィリピンの地域社会は確実にあの子を排除してあの子の可能性を潰すのか、と。どうにも「差別と排外の煽動」と同じように聞こえるのですが・・・。

>その後に法務大臣による在留特別許可を禁じる
>規定はないのですし、

許可に値する特別な事情はないと判断した上で、在留特別許可を与えることなく強制退去処分を決定しているのです。子供がいることは特別な事情に該当しない、と。

>同条約の趣旨を考慮しての在留特別許可を認める
>ことは、latter_autumnさんも不可能とは考えて
>いないのだと思いますが。

いいえ、私はアンフェアだし不可能だと考えています。
「偽りその他不正の手段」や「不実の記載」を、あまりにも甘く見ているのではないですかね、仲さんは。それらの有無の方が子供の有無よりも決定的に重要でしょう。

「偽りその他不正の手段」がいかに重いものか。出入国管理及び難民認定法の中でいかに忌避されているかを見れば、「偽りその他不正の手段」がばれても子供がいたら不問に付され在留特別許可が与えられうる、とは、到底読み取れないと思いますが。

latter_autumn さん、こんばんは。

>その分離が子どもの最善の利益のために必要

>であると判断した場合以外

>簡潔に言うと、子どもの最善の利益を考慮
>せずに親子分離ができる、としたいという。

9条1項についてあえて解釈宣言がなされたことの意味についての、私の上記推測については、どうお考えでしょうか?
差し支えなければ、お時間のあるときに教えていただければありがたいです。

>その辺りを全く否定的に捉える言説には、どうにも違和感を覚えます。フィリピンはそんなに酷いところなのか、フィリピンの地域社会は確実にあの子を排除してあの子の可能性を潰すのか、と。どうにも「差別と排外の煽動」と同じように聞こえるのですが・・・。

せっかく日本で進学していく基礎が育まれていて、本人もそれを望んでいるのであれば、この地で成長していってほしいと考えること、また、言葉もわからぬ国に意に反して放り出されるような事態を避けてほしいと考えること、それが「差別と排外の煽動」のようにlatter_autumn さんには見えるわけですね。了解しました。

>許可に値する特別な事情はないと判断した上で、在留特別許可を与えることなく強制退去処分を決定しているのです。子供がいることは特別な事情に該当しない、と。

法律上の責任者は法務大臣ですが、実態はどうなのかなあと。そこに望みをかけています。

>>同条約の趣旨を考慮しての在留特別許可を認める

>>ことは、latter_autumnさんも不可能とは考えて

>>いないのだと思いますが。
>
>いいえ、私はアンフェアだし不可能だと考えています。

なるほど。了解しました。

>「偽りその他不正の手段」や「不実の記載」を、あまりにも甘く見ているのではないですかね、仲さんは。それらの有無の方が子供の有無よりも決定的に重要でしょう。

立脚点のあまりの違いに、やはりこれ以上の議論は不毛のようですね。

ですが、子ども権利条約9条1項の解釈宣言については、お手間でなければご教示よろしくお願いします。条約解釈の問題に関する単なる好奇心からですので、かまえなくて大丈夫ですので。

>9条1項についてあえて解釈宣言がなされた
>ことの意味

>裁判所が、その分離が子どもの最善の利益の
>ために必要であると判断した場合以外でも、
>入管法違反においては親子の分離ができる、
>とすることに意図があるように思えます。

分離自体が子どもの最善の利益のために必要でなくても分離される場合がある、という確認でしょうね。
such separation is necessary forとsuch separation is compatible withでは違います。後者、すなわち分離自体が子どもの最善の利益を損なわない、子どもの最善の利益と矛盾しない場合でも、分離されうる、と。

強制退去の場合は、分離自体が子どもの最善の利益と両立しうる、分離後の家族情報提供によって子どもの最善の利益のニーズは満足される、ということでしょう。

今回のケースで言えば、子どもの最善の利益はあの子だけ日本に残っても親子一緒にフィリピンに行ってもどちらでも確保されうる、裁判所がどちらが必要だと決めるよりあの子に選択させた方がよい、ということでしょう。あの子が一人で日本に残る選択をすれば、裁判所が必要だと判断した場合以外で分離されることになりますが、9条4項に照らせば何ら問題ないのは明白でしょう。

>せっかく日本で進学していく基礎が育まれて
<いて、本人もそれを望んでいるのであれば、
>この地で成長していってほしいと考えること、
>言葉もわからぬ国に意に反して放り出される
>ような事態を避けてほしいと考えること

ですから、あの子については一人で日本に残る選択肢もありますよ。残りたければ残ればいい。あの子が一人で日本に残って、日本政府が社会的ケアを提供するなら、それはそれで結構なことです。

しかしあの子が日本に残る理由にかこつけて、「フィリピンは外国から来た子を適切に受け入れられない、外国から来た子の可能性を潰してしまう偏狭で非人道的な国だ」みたいな、フィリピンを不当に貶めるような言説を広めるのは、「多文化・多民族・・・」に相応しくないのではないですか。
可能性が潰れるとか花が枯れるとか非人道的とか、フィリピンに対する誹謗中傷的な言い方はやめた方がいいのでは。
「あの子は日本が好きだから日本に残りたい」みたいに、日本への愛着を強調するだけでいいのでは。

latter_autumnさん、こんばんは。

>>9条1項についてあえて解釈宣言がなされた
>>ことの意味

>分離自体が子どもの最善の利益のために必要でなくても分離される場合がある、という確認でしょうね。
>such separation is necessary forとsuch separation is compatible withでは違います。後者、すなわち分離自体が子どもの最善の利益を損なわない、子どもの最善の利益と矛盾しない場合でも、分離されうる、と。
>
>強制退去の場合は、分離自体が子どもの最善の利益と両立しうる、分離後の家族情報提供によって子どもの最善の利益のニーズは満足される、ということでしょう。

その意図であれば、「9条1項が適用されるものではない」と宣言するのではなく、まさにlatter_autumnさんの書いておられるような解釈宣言をなすべきだと思うのです。

9条1項は、まず本人および両親の意思に反する家族の分離がなされないことを締約国に求めていて、その例外となるケースが、日本の場合は裁判所が、その分離が子どもの最善の利益のために必要だと決定した場合である、と定めていますよね。そして、裁判所がそのように決定する場合として、虐待やネグレクトのケースを例示している。

子どもの最善の利益のために必要だとの決定をしなくても、入管法に基づく退去強制はなしうる、という意図だったと解釈する方が自然に思えます。

もう一つ考えられるのは、解釈宣言がなされていない9条4項は、入管法による退去強制の結果家族に分離をもたらすことの根拠規定でないと解釈され、根拠規定を確保するために1項に解釈宣言をしたのではないか、ということです。

latter_autumnさんご指摘のとおり、9条4項そして3項は「家族の分離」が現に存在することを前提とした規定ですが、そのような「家族の分離」を退去強制の結果引き起こすことが、締約国には1項で禁じられてしまう(おそれがある?)。つまり、3項、4項の示す「家族の分離」は非・締約国(締約前の自国を含む)によって引き起こされた事態を想定したものであって……。

……もう少し調べてみます。

----------------

さて、記事のテーマについてはもう議論するつもりもありませんでしたが。

>ですから、あの子については一人で日本に残る選択肢もありますよ。残りたければ残ればいい。あの子が一人で日本に残って、日本政府が社会的ケアを提供するなら、それはそれで結構なことです。

提供するならまだしも、ね。
しかし、それでも、あの年代の子どもが両親と引き離されることはと、もう無限ループの返答を繰り出さざるをえませんね。

>しかしあの子が日本に残る理由にかこつけて、「フィリピンは外国から来た子を適切に受け入れられない、外国から来た子の可能性を潰してしまう偏狭で非人道的な国だ」みたいな、フィリピンを不当に貶めるような言説を広めるのは、「多文化・多民族・・・」に相応しくないのではないですか。

気はたしかですか? そんなこと、どこに書きましたか。
「慣れ親しんだ環境で子どもの可能性が開花するような支援」の方が望ましいとは書いても、そんなこと、私が書くはずがありません。
それこそ誹謗中傷です。これまで長々とコメントに答えてきたことがほんと、虚しくなります。新風関連の人たちとやりとりした時に匹敵する虚しさです。

>可能性が潰れるとか花が枯れるとか非人道的とか、フィリピンに対する誹謗中傷的な言い方はやめた方がいいのでは。

フィリピンに対する誹謗中傷と受け取るとは、そのような意識があなたにあるからではないですか?

>「あの子は日本が好きだから日本に残りたい」みたいに、日本への愛着を強調するだけでいいのでは。

法的・政治的決断を促す主張が必要な場面なのです。愛着の強調だけでは足りないでしょう。

さようなら。今後の書き込み、ご遠慮願います。

仲さんは自覚していないようですね。じゃあ具体的に指摘しましょう。
フィリピンから正規の手続きで日本に来ている人が、こういう発言を聞いたらどう思うか、今一度冷静に考えてみては如何ですか。

「人道的な「もう一つの日本」へ、カルデロン一家に正規の滞在資格を!!」より引用。

「日本で、今度は安心して暮らしつづける機会を持てるよう、人道上の措置(来日費用を日本政府が負担するとか定住支援の施策とか)を実施すべき」

フィリピンへ送還することは、何ら非人道的ではありません。

「人道的な「もう一つの日本」へ、カルデロン一家に正規の滞在資格を!!(2)助けて、ドラえもん!じゃなくって、コメントに答えつつ、負けない夢を心に誓う!」より引用。

「そんな負担を子どもに課すより、慣れ親しんだ環境で子どもの可能性が開花するような支援の方が、よっぽど人道的でしょうし」
「すでに荒海で溺れ苦しんでいる子どもたちを眼前にしながら、別の子どもを「これから救命ボートや救命胴衣をつくるからね」と言いつつ、荒れ狂う海に突き落とす、、そんな行為でしょう」
「強制退去という結果になったときに彼女が受けるだろう精神的ダメージや、待ち受けているだろう未来の困難さ(日本にいられた場合との落差とか)」
「こうやって彼女たちを見捨てて追い出してしまう、そんな社会、日本国に対して、署名活動を展開したり協力したりしてサポートしてきた同級生や近所の人たちが抱くであろう絶望感にも胸が痛みます」

フィリピンでも子供の可能性は開花できます。その際子供自身の相応の努力が必要になるのは、どこの国でも同じことです。
フィリピンは「荒れ狂う海」ではありません。姥捨て山のような「捨てる場所」でもありません。

発言の節々にフィリピンへの蔑視が窺われます。フィリピンの悪口に聞こえます。もちろん、仲さんとしてはそんなつもりは毛頭ないのでしょうが、無意識の差別に敏感な人は仲さんの表現に毒を感じ取るでしょう。そういう表現を繰り返されるほど、違和感が膨らむでしょう。聞き手がどう受け取るかをもっと慎重に考えて言葉と表現を選んだ方がよいのではないですか。

latter_autumnさん、こんばんは。

http://ukiuki.way-nifty.com/hr/2009/01/2009-3.html
>「日本で、今度は安心して暮らしつづける機会を持てるよう、人道上の措置(来日費用を日本政府が負担するとか定住支援の施策とか)を実施すべき」

これはすでになされた退去強制のうちそれが非人道的だったと将来の政権ないし第三者機関等が認定した家族について、その再来日を日本政府が持ちかけた場合に、その家族が応じたとして、その後の日本での生活が成り立つような支援をすべきという意味です。それを「人道上の措置」と書いているのです。
ですので、これについて、

>フィリピンへ送還することは、何ら非人道的ではありません。

という批判は、的外れです。

以下便宜上、番号を振ります。

http://ukiuki.way-nifty.com/hr/2009/01/post-f139.htmlより
(1)「そんな負担を子どもに課すより、慣れ親しんだ環境で子どもの可能性が開花するような支援の方が、よっぽど人道的でしょうし」
(2)「すでに荒海で溺れ苦しんでいる子どもたちを眼前にしながら、別の子どもを「これから救命ボートや救命胴衣をつくるからね」と言いつつ、荒れ狂う海に突き落とす、、そんな行為でしょう」
(3)「強制退去という結果になったときに彼女が受けるだろう精神的ダメージや、待ち受けているだろう未来の困難さ(日本にいられた場合との落差とか)」
(4)「こうやって彼女たちを見捨てて追い出してしまう、そんな社会、日本国に対して、署名活動を展開したり協力したりしてサポートしてきた同級生や近所の人たちが抱くであろう絶望感にも胸が痛みます」

>フィリピンでも子供の可能性は開花できます。その際子供自身の相応の努力が必要になるのは、どこの国でも同じことです。

それは否定しません。というか、言葉にするまでもない当然の前提です。

ただ、ここで議論しているのは、あくまでも、日本で生まれ、日本で育ち、日本語しか話せないあの年齢の子どもを、今の状況であればその慣れ親しんだ環境で、積み上げて来たもののうえに中等・高等教育を受けていくことのできる子どもを、その子どもが日本での両親との暮らしを望んでいるにもかかわらず、フィリピンに追放することの意味、です。
それゆえ、(1)(4)については、特別の弁明の必要を感じません。

(2)(3)については、latter_autumnさんの指摘を受けて、若干舌足らずだったかな、と思わないでもありませんので、補足しておきます。

(2)は、「フィリピンに家族一緒に送り返して、そちらでの教育支援を日本政府が行えばいい。 」という、実現性のない提案に対する批判として書かれた言葉であることをまず指摘しておきます。
日本にいれば積み上げて来たものの上に継続的に中等教育、高等教育を受けることができていたであろう子どもが、退去強制されたことによって(語学習得を一から強いられることなどによって)その流れの中断を余儀なくされる。そのような事態を引き起こすことは、まさに荒波に子どもを放り込むようなものであると考えます。その実例を、報道を通して見てしまったからには、なおさらです。
「フィリピン政府がそのような子どもを十分にフォローする力がないと暗に言っているようなものだ」と言われれば、そうかも知れません。しかし、そのような力がないのはフィリピン政府に限ったことではなく、日本政府も同様です。そこまできっちり個別の子どもに対してフォローできる教育制度を整えている国はまだまだ少ないのだと、私は認識しています。以前にコメントにも書きましたが、日本にやって来た子どもや帰国して来た子どもが学習上の困難に直面する場面を、ちょっとしたわけがあって、少なからず見ていますので。

(3)の、「待ち受けているだろう未来の困難さ(日本にいられた場合の落差)」とは、たしかに読みようによっては、追放先がフィリピンであるがゆえに困難な未来しか待っていないと読まれる可能性が今の日本社会ではあるかも知れません。そうならないように書いたつもりだったのですが、ご指摘、感謝します。

弁明させていただくなら、「未来の困難さ(日本にいられた場合の落差)」とは新たな語学の習得で中等教育の継続が中断することにともなう困難、さらには、両親が偽造パスポートを利用したための制裁を受けるおそれがあることの困難、それら、日本で両親とともに暮らし続けることができれば直面するおそれがなかったであろう困難にぶつかるであろうことを、日本での暮らしを続けることとの「落差」だと考えて、書いたものです。

一連の記事すべての出発点は、「あくまでも、日本で生まれ、日本で育ち、日本語しか話せないあの年齢の子どもを、今の状況であればその慣れ親しんだ環境で、積み上げて来たもののうえに中等・高等教育を受けていくことのできる子どもを、その子どもが日本での両親との暮らしを望んでいるにもかかわらず、フィリピンに追放すること」の是非を問う思いにあります。日本の方がフィリピンよりも教育環境が良いとか、そんな話をしているのではないことは、すでにlatter_autumnさんへのコメントでご理解いただけているものと考えていました。

>フィリピンは「荒れ狂う海」ではありません。姥捨て山のような「捨てる場所」でもありません。

「荒れ狂う海」については、上に書いたとおりです。そして、日本政府が日本で生まれ育ったあの子に対して行おうとしている行為は、「棄民」と呼ばれて仕方のないものだと考えます。自らのフォローの及ばない場所に、子どもを追放することになるのですから。日本政府にもともと庇護する義務はないと反論されるかも知れませんが、義務がある、との前提で私が書いていることは、すでにご理解いただけていると考えます。

>発言の節々にフィリピンへの蔑視が窺われます。フィリピンの悪口に聞こえます。もちろん、仲さんとしてはそんなつもりは毛頭ないのでしょうが、無意識の差別に敏感な人は仲さんの表現に毒を感じ取るでしょう。そういう表現を繰り返されるほど、違和感が膨らむでしょう。聞き手がどう受け取るかをもっと慎重に考えて言葉と表現を選んだ方がよいのではないですか。

最後のご忠告、ありがたくちょうだいしますm(_ _)m。
前回、感情的なコメントでしめくくったにもかかわらず、ご指摘に再度書き込んでくださったことにも深謝です。

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

» こんなのが武蔵野市長やってたんだ。( ´_ゝ`)フーン [vanacoralの日記]
昨日取り上げたバカウヨ代表『博士の独り言』氏、今日もせっせと「メディアによる『人間狩り』 」「イタリアでは昼食にワインが付きものだ」などと中川(酒)擁護に努めておりますが、自民党内からも、そこらへんのバカウヨと同レベルな八つ当たりが行われております。 ■中... [続きを読む]

» 中川(昭)問責 [酔語酔吟 夢がたり]
  入院するらしい- [続きを読む]

» [鳥居正宏のときどきLOGOS]
閣僚のみなさん。 国際社会の中で、私たち国民に恥をかかせないでください。 [続きを読む]

» 酔いは世界を駆け巡る!  (コメントを読んでね!) [kimera25]
ワールドニュースです。 この人が こんなになって 世界のコメディアン・デビューです。 *****「日経」********中川財務相辞任、主要国メディアも速報 「政権揺さぶる」 辞表提出後、記者の質問に答える中川氏=17日、首相官邸  中川昭一財務・金融担当相の辞任をめぐっては、主要国メディアが速報するなど海外の反響も相次いだ。  ロイター通信は辞任直後の日本時間午後6時31分、「(中川氏が)7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見の際に酔っ... [続きを読む]

» あれ程の醜態だったから、予想通りの結末で一件落着納得なのだが、米CIAあたりは中川の酒癖の悪さくらいは知っていた筈で、。 [雑談日記(徒然なるままに、。)]
 政局的には、一日も早い解散・総選挙を望む我々にとって、中川の辞任は歓迎すべきことではあります。しかし、欧米メディアの絵に描いたように見事なまでの報道ップリの流れに、一度立ち止まって「ん、何かあるかな?」と考えるくらいの余裕があってもいいでしょう。  ブッシュからオバマに代わったからと言って米国にとって日本と言うのはていのいい財布、ATMであると言うのは変わっていないと思う。であるなら、CIAあたりは中川だけでなく、一人一人の政治家の主張・性癖、また政局の動向まで事細かに観察・分析していると言うのは... [続きを読む]

» 底抜け。 [酔語酔吟 夢がたり]
 底抜け自民 [続きを読む]

« 最近の迷惑トラバーさんお薦め(?)記事!! | トップページ | 【自公とともに、立ち腐れゆく日本】(2)レイシズム、ゼノフォビアと排外主義に毒された文科省 »