人道的な「もう一つの日本」へ、カルデロン一家に正規の滞在資格を!!(3)助けて!諸葛亮!!じゃなくて法務大臣!!!法務官僚の判断を人道配慮で覆して!!!
2009.2.28.23:00ころ
蕨のフィリピン人一家不法滞在:退去通告、変わらぬ入管の対応 /埼玉(毎日新聞.埼玉版、2009.2.28)
◇地元には同情の声 「滞在認めてあげて」
蕨市のフィリピン人、カルデロン・アランさん(36)夫妻は27日、東京入国管理局に出頭し、「3月9日までに家族全員か、娘を残し帰国するか決めなければ強制収容する」と通告された。都内で記者会見し、「3人で日本にいたい気持ちは変わらない」と改めて訴えた。地元蕨市では「一家での滞在を認めてあげれば」と同情する声が聞かれた。【稲田佳代、和田憲二、桐野耕一】
厳しい表情で会見に臨んだアランさん。「残念です」と声を絞り出した。妻サラさん(38)は終始うつむいていた。
一方、森英介法相は閣議後会見で、両親との日本での生活を熱望する長女ノリコさん(13)について「(日本にいる)親せきらの元で学業を続けるなら、在留特別許可を出す」と語った。国連人権理事会から一連の経緯について政府に照会がされており、「関係省庁間で対応を協議する」と述べた。
一家が在留特別許可を求めて署名集めをしてきたJR蕨駅前では、同情と困惑の声が交じった。11歳の娘がいる自営業の男性(50)は「子供がいるんだから日本に置いてあげたらいい」。アルバイトの女性(30)も「不法入国は悪いけれど、長くいたんだからもう在留を認めてもいいのでは」。別の会社員の男性(42)は「法的には帰るべきだけど、感情的には気の毒」と話した。
◇「帰国」も選択肢--専門家 外国人問題に詳しい団体や入管行政の専門家に意見を聞いた。
在日フィリピン人を支援する蕨市のNGO「KAFIN」の太田直子さん(44)は「両親に過失はあるが、強制退去は人道的におかしい。在留を認める代わりに地域貢献を義務付けるような対応があってもいいのでは」。不法滞在者の子供の日本国籍取得を支援するふじみ野市のNPO法人「ふじみの国際交流センター」の石井ナナヱ理事長(61)は、不法滞在で逮捕された人やその家族が強制退去させられる例を数多く見た経験から、「正規に入国して定住すれば社会保障も受けられる。ノリコさんには試練だが、両親は一度帰国し、再入国した方が彼女の将来のためにもなる」と話す。
元東京入国管理局長で外国人政策研究所(東京)の坂中英徳所長は、一家に在留特別許可が出ない理由について、「一家に在留特別許可を与えなかった法務省の裁決を適法とする判決が、08年9月に最高裁で確定している。行政は司法の判断に従わざるを得ないからでは」と解説する。
強制退去で帰国すると、法律で5年間再入国できない。だが、坂中所長によると、人道上の観点から大臣が特別に許可し、1年ほどで再入国できることもあるという。
NPO法人「ふじみの国際交流センター」の石井ナナヱ理事長の言う、
「正規に入国して定住すれば社会保障も受けられる。」
というのはその通りなのですが、在留特別許可が得られて定住した場合でも社会保障は受けられるはずです。まあ、最悪の状況から少しでも前向きに考えたいというう文脈の中のコメントであれば、ツッコミを入れるのは野暮ですが……。
一方、マタンゴ坂中氏は、最高裁の判断には最終決定として従わねばならぬ、ということにしたいようですが、最高裁は「一家に在留特別許可を与えたら違法」との判断までしちゃっているんでしょうか。判例情報がネットで公開されていないようなので断言するのは躊躇しますが、おそらく「在留特別許可を与えることが違法か適法か」は裁判の争点になってなかったのではないでしょうか。もし争点になっていたら、マタンゴ坂中氏のコメント中にその旨が出ているでしょうから。
どうも、最高裁に責任を押し付けて法務官僚による決定を押し通したい、という願望が、元・法務官僚で元・東京入管局長であった氏のコメントから読み取れる気がします。
ですので、法務官僚の判断に森法務大臣がどこまで従うか。
そこが最終的な争点なんだと思います。さあ、英断、あるか、ないか。
それはそうと、国連人権理事会も顔を出してきたようですね。
関係省庁で対応を協議するって、人権理事会の理事国を辞退するっていう協議でしょうか。もしそうなら、大賛成です。はい。
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ちょっと軽めの話題をここらで。
カルデロン一家を追い返す/追放することについて、
「泣いて馬謖を斬る」
という故事成語を持ち出して、正当化する論がありました。
『三国志』ファンの私としては、これ、ここで持ち出すのは無理がある故事成語だと思います。
なぜなら、これ、蜀の宰相・諸葛亮孔明が、魏との戦争に国を挙げて挑む際に、命令違反をして大敗を招いた将を個人的な情愛をこらえて斬罪に処して、蜀の将兵に軍法の重さを示した、という故事に基づくものでして、士大夫階級の一種のノブリス・オブリジェに基づく話だという側面があるわけです。
それを、国家がそこで暮らす庶民を処罰することを正当化するために持ち出すのはふさわしくないと思いますし、
何より、自国に根付き、そこで生きていきたいと言う異国ルーツの庶民を追放するなんてこと、諸葛亮先生がやるなんて(;<>;)、私にはとても思えないのです。
仮に、諸葛亮先生が、今の日本の法務大臣だったとしたら、カルデロン一家に在留特別許可を出してるんじゃないかと。そうでない諸葛亮孔明って、私には想像できません。
『レッドクリフ』に登場した金城くん演ずるお茶目な諸葛亮ですら、「イメージ通りだな」なんて思ってしまう、守備範囲の広い私でありますのに。
それに、この論を持ち出している方が、「泣いて」法務省の決定を支持しているなどとはとても思えないぞ、なんてこともありますが、それはまあ誤解かもしれないので横におきます。
【署名のお願い】
NEW!●Creation of a Special Tribunal to try Israeli War Criminals(「イスラエル戦争犯罪特別法廷」設置を国連総会に求める署名)
●ガザ封鎖解除のために、日本政府が積極的に働きかけるよう外務大臣に求めるオンライン署名(集約期限は2009年2月28日、アムネスティ・インターナショナル日本、パレスチナ子どものキャンペーン、ピースボート、ユナイテッドピープル株式会社・共同よびかけ)
■Stop US helipad plan in Okinawa to save great nature.
★すべてのアフガニスタン難民に在留資格を(第1次集約期限2009年2月19日、RAFIQ)
◆日本版US-Visitシステムの廃止を要望する国会請願署名、電子署名(集約期限2009年8月31日、国際結婚を考える会、IST請願の会)
◆複数国籍の容認を求める請願署名、電子署名(集約期限2009年8月31日、IST請願の会)
他にもサイドバーにいろいろあります。賛同いただける方は、どうかよろしくお願いしますm(_ _)m
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皆さん、 当ブログを訪れるネトウヨさんの殆どは「教養」「学識」「常識」「学習能力」に、著しく欠陥をお持ちになっておられます。例えば「辞書の定義」を自分勝手に歪曲し、あるいは捏造解釈し、誤った主張を「強弁」する。その挙句、己が妄想で作り上げた土俵で延々と「一..... [続きを読む]
» 在留特別許可というもの [yubiwa_2007の日記]
一昨年(2009年)、埼玉県蕨市のフィリピン人、カルデロンさん一家の問題の時にずいぶん話題になったネタです。この時は蕨市で在特会が「不法滞在外国人は出て行け」のデモをやったことからヘイトクライムとも呼ばれ、ネットなどで関心を集めました。 在留特別許可という... [続きを読む]
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>士大夫階級の一種のノブリス・オブリジェに
>基づく話
個人の感情で法を曲げて運用するのはダメだ、という話ですよ。将や役人に限らず、兵や庶民に対しても。
>そうでない諸葛亮孔明って
三国志を編纂した陳寿は諸葛亮を
「どのように小さい善でも賞せざるはなく、どのように小さい悪でも罰せざるはなかった。」
「賞罰は明らかで公平であった。」
と評価しました。
>この論を持ち出している方が、「泣いて」法務
>省の決定を支持しているなどとは
私があの一家と親しくしていたなら、私も涙くらいは出るかもしれませんが、それでもやはり「法を曲げろ」とまでは言えませんね。私はアンフェアが嫌いなので。
>おそらく「在留特別許可を与えることが違法か
>適法か」は裁判の争点になってなかったのでは
>ないでしょうか。
退去処分の取り消しを求めて訴えたということは、在留特別許可を要求したのと同義です。それで敗れたということは、「在留特別許可を与えず退去処分とすることは適法」と認定されたということです。
投稿: latter_autumn | 2009年3月 2日 (月) 17時54分
latter_autumnさん、
繰り返し書いていることですが、人道的配慮に基づいて在留特別許可を出すという制度は現行法上存在するものでして、それを適用することは「法を曲げる」ことではありません。たとえ司法の判断を経た後であっても。
ですので、アンフェアが嫌いというより、やはり罰するために送還/追放したいとしか見えませんね。
>退去処分の取り消しを求めて訴えたということは、在留特別許可を要求したのと同義です。それで敗れたということは、「在留特別許可を与えず退去処分とすることは適法」と認定されたということです。
それを前提に、
「在留特別許可を与えることが違法か適法か」は裁判の争点になってなかったのではないでしょうか。
と書いたわけですが。
投稿: 仲@ukiuki | 2009年3月 2日 (月) 23時24分
>人道的配慮に基づいて在留特別許可を出すという
>制度は現行法上存在するものでして、それを適用
>することは「法を曲げる」ことではありません。
出入国管理及び難民認定法に基づく強制退去は、子供の権利条約にも、人道にも、何ら反しません。人道的にOKです。子供がいるからという理由で「偽りその他不正の手段」を不問に付すのならば、それは「法を曲げる」ことになります。人道的配慮どころか、アンフェアであるだけです。
ゆえに今回のケースで「人道的配慮に基づいて、強制退去を撤回し在留特別許可を出す」余地はありません。そんなのは「人道」の履き違えです。
>やはり罰するために送還/追放したいとしか見え
>ませんね。
孔明先生は、どのように小さい悪でも罰せざるはなかった、のです。
まあ孔明先生はともかく、法律で罪と罰が明確に規定されている以上、それに従うのは当然でしょう。
投稿: latter_autumn | 2009年3月 3日 (火) 19時10分
latter_autumnさん、
>孔明先生は、どのように小さい悪でも罰せざるはなかった、のです。
>まあ孔明先生はともかく、法律で罪と罰が明確に規定されている以上、それに従うのは当然でしょう。
法に定められた規定を使って、自国が批准した条約の精神に則って、法に定められた規定を人道のために行使してほしい、ということなのです。
法務大臣の人道上の裁量に基づく在留特別許可という、「今回のケースについて罰するか罰しないかという二者択一」とは異なる道が現行法に定められている根底には、杓子定規な法の適用の限界を超えねばならぬ場合がありうるからでしょう。そして、目の前にあるのがそのような場面であるか否かを適切に判断することが、法務行政の責任者たる法務大臣に求められているのであって、私は今回のケースはまさに「杓子定規な法の適用の限界を超える」事例だろうと考えるのです。『蜀書』諸葛亮伝で陳寿は、孔明先生を「政治のなんたるか」を熟知している良才であったと評していますが、今の時代に求められる「政治」とは、そのようなものであると考えます。別記事でも書きましたが、このような事態を招くに至った日本政府の責任もあるだろうと考えればなおさらです。
孔明先生がらみで何か見えてくるかと期待したのですが。立脚点のあまりの違いに、やはりこれ以上の議論は不毛のようです。
ともあれ、諸葛亮談義に反応してくださり、ありがとうございました。
また、
http://ukiuki.way-nifty.com/hr/2009/02/say-no-to-inhum.html
のコメント欄でのお願いにも反応いただけるとありがたく思いますm(_ _)m。
以下、ギャラリーの方向けに、諸葛亮伝の人物評部分を井波律子さんが訳されたものを紹介しておきます。最後の一文に対する反論は、ちくま学芸文庫等でどうぞ。
--------
「評にいう。諸葛亮は丞相になると、民衆を慰撫し、踏むべき道を示し、官職を少なくし、時代にあった政策に従い、まごころを開いて、公正な政治を行った。忠義をつくし、時代に利益を与えたものは、仇であっても必ず賞を与え、法律を犯し、職務怠慢な者は、身うちであっても、必ず罰した。罪に服して反省の情をみせたものは、重罪人でも必ずゆるしてやり、いいぬけをしてごまかす者は、軽い罪でも必ず死刑にした。善行は小さなことでも必ず賞し、悪行は些細なことでも必ず罰した。あらゆる事柄に精通し、物事はその根源をただし、建前と事実が一致するかどうかを調べ、うそいつわりは、歯牙にもかけなかった。かくて、領土内の人々は、みな彼を尊敬し合い愛した。刑罰・政治は厳格であったのに恨むものがいなかったのは、彼の心くばりが公平で、賞罰が明確であったからである。政治のなんたるかを熟知している良才であり、〔春秋時代の〕管仲・〔漢の〕蕭何といった名相の仲間といってよいであろう。しかし、毎年軍勢を動かしながら、よく成功をおさめることができなかったのは、思うに、臨機応変の軍略は、彼の得手ではなかったからであろうか。」
投稿: 仲@ukiuki | 2009年3月 3日 (火) 23時50分
>法務大臣の人道上の裁量に基づく在留特別許可
>杓子定規な法の適用の限界を超えねばならぬ場合
あの一家が難民であれば、定住者の在留資格が与えられない場合に、代わりに在留特別許可が与えられる可能性もありますが。それにしたって「偽りその他不正の手段」はタブー、不正がばれたら許可取り消しですよ。
まあ、そもそも難民ではない、全然違いますから、無理でしょう。無理が通れば道理引っ込む、という訳にはいかない。子供がいることは特別事情にならない。
どう足掻いても、泣いて親を斬る、じゃなくて親を強制退去させるしかない訳で。
「偽りその他不正の手段」は、罪としてそれなりに重いのです。子供がいようがいまいが不問では済まない。しかし強制退去処分だけなら、罰としては軽い。
殺人や窃盗のような犯罪とはちがって被害者がいるわけではない「罪」とかいうなら、脱税にしても通貨偽造にしてもドラッグ密売にしても政治資金規正法違反にしても希少生物不正捕獲にしてもそうですが、やはり子供がいようがいまいが不問では済みませんし。
投稿: latter_autumn | 2009年3月 4日 (水) 19時06分
latter_autumnさん、
どこまで書いても、悪しき法治主義から抜け出してくれそうにありませんね。
しかも、
http://ukiuki.way-nifty.com/hr/2009/02/say-no-to-inhum.html
のコメント欄ではそれこそ誹謗中傷をぶつけてきてくれてますし。
さようなら。今後の書き込み、ご遠慮願います。
投稿: 仲@ukiuki | 2009年3月 4日 (水) 23時16分