2007.11.24.18:00ころ
来年2月に予定されている京都市長選挙。
すでに立候補を表明している中村和雄候補(共産党推薦。外国籍住民の支援グループにも関わっていた弁護士さんで、私の聞く限りではかなり信頼できそうな人です。ブログも興味深い記事、並んでいます)のほか、ムーンバット相談役の岡田登史彦氏が「共産対非共産」とは違う選択肢になりたいとして立候補の意向を語っているそうです。
そんな中、大阪市長選での平松候補の勝利を受けて、民主党京都府連が独自に擁立しようとしているのが、この人です。<(T◇T)>わぁああああ!
門川教育長に立候補要請へ 京都市長選 民主、実績を評価(京都新聞、2007.11.22.夕刊)
来年2月に行われる京都市長選で、民主党京都府連は22日までに、京都市教育長の門川大作氏(56)に出馬要請する方針を固めた。門川氏も立候補に前向きな姿勢を示している。近く、正式に要請するとみられる。
一方、自民、公明両党は統一候補の擁立を目指しているが、自民にも門川氏を擁立する動きが出ている。民主の方針に対してどう臨むのか、自民、公明の出方が注目される。
これまで民主府連では、門川氏に出馬を打診してきた。
府連幹部によると、「21日夜に協議し、府連として門川氏を擁立する方針を固めた。門川氏に確認し、腹を固めた」と話し、近く、正式に出馬要請するとみられる。
門川氏は政府の教育再生会議委員などを務めており、教育改革の取り組みや行政手腕で評価を受けていることなどから、自民党などからも推す声が上がっている。
門川氏は京都市出身。立命館大法学部卒。1969年、市教委に採用され、総務部長などを経て99年4月から教育次長、2001年4月から現職。
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たとえ門川氏が自民・公明推薦の候補を破り勝利を収めても、大阪市長選における平松候補の勝利のように喜べるもんじゃあありません。いや、自民推薦候補が勝利したのといったい何が違うのやらと、沈む気分に襲われるのが、もう見えています。
だって、この門川教育長の下で、京都市ではトンデモない事態が進行してきたのですから。
「心の教育」はいらない!市民会議のホームページから、その一部を紹介してみます。
◆「草の根右翼団体」と京都市教委のおかしな関係 ---「モラロジー研究会」と「教育研究会未来」
◆京都府教委の『心の教科書』作成・配布に反対して---京都版『心のノート』
◆内閣府・京都市教委による「タウンミーティングイン京都」不正抽選問題
◆こんなん学校でやってええんやろか?京都市・市教委による「ジュニア日本文化検定」に異議あり!〜「日本を愛する子どもたちの育成」を目指した、京都版「つくる会歴史教科書」〜
最後の「ジュニア日本文化検定」については、
◆京都市教委『ジュニア日本文化検定』の問題点---「日本を愛する子どもたちの育成」を目指す財界に従属した公教育(北上田 毅(「心の教育」はいらない!市民会議)、心のノート ガラガラポン、2007.1.4)
がわかりやすくまとめてくれており、また、門川氏についての貴重な情報も教えてくれます。
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これらの情報からうかがえるのは、「弱肉強食の思想」と「妄想の上に立つ復古的極右思想」です。
言葉を替えるなら「復古的教育制度への回帰」「格差拡大のための教育システムの導入と確立」の2つが門川氏の下で進められた京都市の教育施策を方向付けるものであり、そのための手段としての、国家による教育内容への介入と管理の強化、学校間競争の拡大だ、となりましょうか。
それはまさに、安倍晋三たちが血眼になって推進しようとしていた路線と軌を一にするものです。さらに京都出身のぬらりひょん、いや、そんなことを言ってはぬらりひょんに失礼か、人権ダメポな妄想系自民党議員、伊吹文明氏とも思想的背景を同一にするところが門川氏にはあると見るのが自然な気がします。
そして、だからこそ門川氏は、安倍晋三肝いりの教育再生会議の委員に任ぜられた他、以下に掲げるように、教育基本法改定案を審議する特別委員会などで「憲法否定の言動」を繰り返してきたのでしょう。
◆『モラロジー研究会で、京都市教育長が祝辞・講演会』の深刻な問題性(心のノート ガラガラポン、2003.11.15)
今年の8月7日、モラロジー研究所の主催で行われました「第40回教育者研究会」に、門川大作京都市教育長が祝辞を述べ、講演を行ったことは、本HPで紹介したとおりです。「心の教育は、いらない!市民会議」のみなさんは、それに対し、強く抗議・申し入れをされ、10月24日に、京都市監査委員会へ、職員監査措置要求を出されました。(「京都市職員措置要求書」をご覧下さい。)
またその後、11月11日の監査委員会で口頭陳述されました。
以下、市民会議のみなさんの熱のこもった陳述をご覧下さい。
この間の道徳教育の動きと、違法不当な公共機関の右傾化が、見事にリンクしている様子が現れているかと思います。(以下略)
◆門川教育長の、教基法「特別委員会」での発言に抗議する!(京都 市教組、2006.6.9)
教育基本法に関する衆議院「特別委員会」での門川教育長発言について
2006年6月9日
京都市教職員組合中央執行委員会
5月30日、教育基本法「改正」案を審議する衆議院特別委員会に、京都市教育委員会の門川教育長が与党側の参考人として意見陳述を行いました。その中で、学校や教職員の教育論議や合意抜きのトップダウン方式で一方的に進めてきた、「京都市の教育改革」の内容を自画自賛し、こうした押しつけの「改革」や行政施策の内容が、与党の「改正」案に含まれているとして、全面的な期待感を表明しました。
具体的には、『道徳、家庭教育、伝統文化の尊重、郷土や国を愛する態度の育成・・中略・・などが国民の教育に対する目標、理念を共有するものとして改正されることは心強いことだ』、『京都の教育改革の取り組みは、改正案の内容と軌を一にする』、『改正案に盛り込まれている教育振興基本計画に多くの期待をしている』など、今、国会審議でも国民的にも議論が分かれ焦点にもなっている、教育基本法「改正」案の中心的な内容を、すべて歓迎するという姿勢を明らかにしました。今回、現職の教育長の肩書きで行われた意見陳述の内容は、今日まで憲法・教育基本法の遵守を教職員に求めてきた教育長として不見識であり、断じて容認されるものではありません。同時に、私たちとの交渉の席上で、「憲法・教育基本法にもとづく民主教育を実施する」ことを確認してきた姿勢を覆すものであり、京都市民や父母・教職員に対する重大な背信行為です。
また、『徹底した論議をし、すべての学校で国歌君が代が立派に斉唱され、不起立の教職員は一人もいない』などと陳述していますが、これは全く事実に反するものです。1986年から京都市教育委員会による、卒・入学式に「日の丸・君が代」の押しつけが行われたとき、多くの市民、父母・教職員が押しつけ反対の声をあげ、様々な取り組みが行われました。しかし、こうした声を一切無視し、管理職を徹底的にしめつけて、式場の飾り付け、式次第の記載事項、日の丸の旗の設置、式場の座席配置の形式にいたるまで指導し、教職員には処分も辞さない姿勢で強制しているというのが事実であり、論議を尽くしてあたかも京都市のすべての教職員が、「日の丸・君が代」導入を容認しているかのような発言は許すことはできません。市教組は、市高教組とともに6月7日付けで門川教育長に対して文書による抗議申し入れを行いました。
門川教育長は、今進めている京都市の「教育改革」が、あたかも教育基本法の理念に即しているかのような表現を行い、組合の交渉の席上でも「教育基本法を変えなくても京都市の教育改革は進められる」などとしてきました。しかし、市内中心部の統合校や西京中高一貫校に見られるように、一部の学校に巨額の財政支出を行い「モデル校」や「エリート校」づくりをおこない全国に宣伝し、他方で一律に学校運営費を削減し教育条件の低下を招いています。中でも、西京高校付属中学校では同じ公立中学校でありながら、入学選抜が行われ、カリキュラムも他の中学校とは異なるなど、まさに公教育による格差づくり・エリート教育が行われています。これらの「モデル校」・「中高一貫校」設置は、どこから見ても「教育の機会均等」を破壊するものです。
これまで市教委は、すでに「格差」が解消しているにもかかわらず、同和地区児童・生徒のみを対象とした「学力向上を至上目標」にした同和施策を行い、現在でも同和奨学金を実施しています。こうした「格差解消」と称する教育施策と、今の格差拡大・エリートづくりの教育施策の関係をどう説明するのでしょうか。
また、市教委は、この間の「二期制」・「授業日数205日以上」の規則化、「京都ジュニア検定」の一斉実施など、教育課程や教育内容に関わる課題を一方的に学校現場に押しつけるなど、教育の管理・統制を強化しています。京都市では、1986年の「日の丸・君が代」の学校への押しつけ以降、教育施策の一方的な押しつけや教育内容に対する管理・統制が強められ、子どもを中心にした自主的・創造的な教育実践が押しつぶされてきました。これこそ、教育基本法第十条が禁止している「不当な支配」と言わなければなりません。さらに、教育基本法には、「教育行政は必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない」とされ、国や教育行政の教育内容への介入を戒めています。こうしたことからも、京都市教育委員会の姿勢は明らかに教育基本法の理念に反するものであり、強権的な教育行政を直ちに改めるべきです。
今、すすめられている京都市の「教育改革」が、与党・文科省が教育基本法改悪後にすすめようとしている、教育施策を先取りしたものであることが、今回の門川教育長の発言で明らかになりました。まさに与党・文科省と一体となった戦後の民主教育の破壊の動きを、京都市から全国に発信しようとするもので断じて許すことはできません。
京都市教組は、多くの京都市民や全国の仲間にこうした京都市の実態を知らせるとともに、何としても教育基本法「改正」案の廃案と、京都市の教育行政の転換に向けて全教職員、父母・市民のみなさんとともに奮闘する決意です。
以上(下線は当ブログ主)
◆門川京都市教育長、戦争肯定の催しに参加・発言(京都民報Web、2007.9.248)
門川大作京都市教育長が9月1日、大阪市で開かれた侵略戦争を正当化・賛美し、日本国憲法否定を主張する団体の催しに提言者として出席。また同教委が催しの後援をしていたことがこのほどわかりました。
京教市教職員組合(新谷一男委員長)と京都市立高等学校教職員組合(関民夫委員長)は27日、京都市教委にたいし、公平・中立の立場で公教育にかかわるべき市教委の後援が適否かどうか、教育長の公的参加を止めるよう求める抗議を行いました。
門川氏が出席したのは、「取り戻そう日本の心 教育再生民間タウンミーティングin大阪」(日本青年会議所近畿地区大阪ブロック協議会主催、日本教育再生機構共催)。侵略戦争を正当化する「新しい歴史教科書をつくる会」元会長の八木秀次氏が理事長を務める「日本教育再生機構」が、その特異な主張を普及するために全国各地で開催しているもので、門川氏は、森田健作元衆院議員や西村眞悟衆院議員らとともに提言者として発言しました。
抗議文では、同タウンミーティグで、戦争をすることや軍隊を持つことを当然の前提として、憲法9条の平和主義の理念や国民主権の原則を否定する議論が行われたことを指摘。タウンミーティグの内容やねらいが、京都市教委がかかげる「1人ひとりの子どもを徹底的に大切にする」とした方針にも反すると批判し、▽市教委の後援が適否であったかどうか、当日の主催者発言や提言者の発言に即して検証し市民的説明を行うこと。また後援の基準を明らかにすること▽憲法や民主教育を否定する団体や特定の政治勢力の催しなどに対して、後援や教育長の公的立場での参加をやめること、を申し入れました。
このような門川教育長の実績を評価する民主党っていったい……(-_-;)。
少なくとも京都市政に関する限り、民主党は自民党と大同小異、同じ穴のムジナと呼ぶしかなさそうです。
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そして、実は国政においても「同じ穴のムジナ」がいることが、2007年11月23日の京都新聞朝刊の特集(ウェブには未掲載)からうかがえてしまって、ため息こぼれるばかりなり、です(-_-)。そこでは、民主党京都府連の福山哲郎会長と前原誠司常任顧問に対する報道陣の質問とそれへの回答の主なものが、次のように掲載されていました。
—民主党単独の推薦か。
福山 前原氏と私で、民主の推薦を受けて市長選を闘ってほしいとお願いしている。単独が前提。今月に入って断続的にやってきた。ほぼ前向きにとらえていただいていると思っている。
—理由は。
福山 京都の教育行政が全国的に注目されていること。地域とのつながりや人柄、自分の言葉で教育問題を語られる熱い思いも含めて、京都市政をお任せするのに適切な人物と判断した。
—中央の対立や大阪市長選の結果が候補者選びに影響しているか。
福山 国の動きを持ち込むつもりはない。
—候補者の一本化を望む声もある。
前原 大阪市長選で選択肢が増え投票率が10ポイント上がったことを考えれば、政党が押しつけ談合で候補者を選ぶことから京都もそろそろ卒業しなければ。市民の思いに応える意味で三極選挙をやりたい。
前原氏の最後の発言を受けて、現職の桝本市長は、「自公民が協力して幅広い市民に支援されると、政策実行のた担保になる。市政が混乱しないためにも、三極選挙はあってはならない」と、記者団に語ったそうです。前に財界からも同様の発言がありましたし、公明党は与党三会派(自民・民主・公明)での統一候補擁立を目指しているそうです。地方における「大連立」状況を、なんとしてでも維持したい、ということでしょう。それに期待を持たれてしまうような民主党京都府連っていったい……。
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おそろしい話はまだあります。
『ジュニア日本文化検定』のテキスト『歴史都市・京都から学ぶジュニア日本文化検定テキストブック—ジュニア京都検定』は、なんと京都新聞の関連会社の発行だそうで、上掲の京都市教委『ジュニア日本文化検定』の問題点---「日本を愛する子どもたちの育成」を目指す財界に従属した公教育には、次のような指摘があります。
さらに、このテキストの編集・出版についても多くの疑問があります。
出版にあたって市教委は、多くの出版社に公平に声をかけるのではなく、当初からK社とだけ話をすすめてきました。入札などの手続もいっさい行われていません。
普通、本を出版する場合、著者と出版社との間で文書による契約をかわします。しかし、今回は、出版社と市教委の間には、出版の条件等について何の文書もかわされていないのです。
また、テキストの原稿は、ほとんどが京都市小学校社会科教育研究会の教員らが執筆したというのですが、その原稿をK社の関連会社が編修・校閲しました。しかし、執筆した教員からは、知らない間に原稿が大幅に変えられてしまったという苦情も寄せられています。
市教委は、この出版社に原稿を無償で提供、さらに教育長による企業への協賛広告依頼や、2回にわたる6万部もの大量買い取りなど、同社はこのテキスト出版によって大きな利益がみこまれます。
これは、市教委による特定の民間会社への過剰な便宜供与ではないでしょうか?
来る市長選に際して、京都新聞の報道が門川氏に有利なものになってしまうのではないか、市教委と京都新聞社との関連を思うとき、どうしても懸念が生じてしまいます。新・入管システムについては至極真っ当な社説を書いてくれた京都新聞ですが、地元の財界、政界、行政とのしがらみを断ち切ってジャーナリズムの本分を果たしてくれるのか。注意深く見守らねばなりません。もし懸念が杞憂に終わらないようなことになれば、それこそ京都市における住民自治の死を意味するでしょう。
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ここらでもう一度、現在ニホンの政治状況の中で対立軸となるべきものだと私が考えるアレを掲げておきます。それは京都市政においても変わらぬものだと思いますので。
与野党、新たな対立軸!「人の多様性をどうとらえるか/国家と人間の関係をどうとらえるか」(2007.2.9)
ぜひとも忘れないでほしい視点であります。
←民主党京都府連に、うさキック!
←うきうき連帯へ向けて、うさジャンプ!
←地方では大連立が常態なのかも入れないけれど、そんなままでいいんかいな……。