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「毎日世論調査:外国人労働者容認63% 雇用悪化に懸念も」を読む

2007.12.19.01:15ころ

毎日世論調査:外国人労働者容認63% 雇用悪化に懸念も(毎日新聞、12.16.21:02)

 労働力不足の分野では、外国人の単純労働者を受け入れてもよいと考える人が63%いることが、毎日新聞の全国世論調査(電話)で明らかになった。政府は、単純労働者を認めない方針だが、労働力不足の分野で容認する人が半数を超えていた。しかし、日本人の雇用に悪影響があるなどの理由で、受け入れに反対する人も31%あり、方針の転換に慎重な人たちも少なくない。

 外国人労働者については、88年6月に閣議決定された「第6次雇用対策基本計画」で「専門的・技術的労働者は積極的に受け入れ、(単純作業の繰り返しである)単純労働者は慎重に対応する」とし、単純労働者は事実上受け入れない施策が続けられてきた。

 政府方針について聞いたところ、労働力不足の分野での受け入れ容認が58%あり、「条件を付けずに単純労働者を受け入れるべきだ」が5%だった。一方、「現行通り、受け入れるべきではない」は31%だった。

 「受け入れるべきでない」と回答した人に理由を聞くと、「日本人の雇用や労働環境に悪影響を与える」が51%と最も多く、次いで「治安が悪化する」35%、「風習の違いによるトラブルが起きる」10%、「社会保障費や教育費などの負担が増える」3%だった。

 社会保障や教育費の負担を主に誰が担うかは、「雇い入れる事業主」と「労働者が必要な産業界」がいずれも38%。「外国人労働者自身」「国民全体」は双方11%と低かった。

◇若者は容認傾向

 毎日新聞の世論調査では、約6割が外国人の単純労働者受け入れを「労働力不足の分野」という条件付きで容認したが、特に若者にその傾向が強かった。しかし、受け入れ拒否の理由に、労働環境悪化を挙げる人が多かったことは、労働力不足への懸念に加え、雇用不安が広がったことを示している。

 労働力不足の分野で容認した人を年代別でみると、70代以上は44%と半数以下だが、20代は73%に達していた。若者に抵抗感が薄まっているとみられる。

 04年5月の内閣府世論調査では、(1)「単純労働者は受け入れるべきでない」26%(2)「労働力が不足する分野では受け入れてもよい」39%(3)「条件を付けずに受け入れるべきだ」17%--だった。

 調査方法が違うため単純比較はできないが、今回調査では、(2)の条件付き受け入れが19ポイント増え、逆に(3)の条件なし受け入れが12ポイント減ったのが目立つ。

 また、受け入れ拒否の理由は、内閣府調査では、「治安が悪化する」が74%と突出し、「風習の違いによるトラブルが起きる」49%、「日本人の雇用や労働環境に悪影響を与える」41%だったが、今回は、治安悪化は少なく、雇用への懸念が半数あった。

 04年当時は不法滞在者が急増しており、内閣府調査では治安悪化への懸念が色濃く出た。今回は雇用不安が影響したとみられる。【外国人就労問題取材班】


若い世代に「外国人単純労働者」受け入れに対する容認傾向が見えるというのは、嬉しい報告です。「右傾化している」とか「プチ・ナショナリズムが広がっている」などと喧伝される若年層にはひょっとするとこの問題でも排外主義的傾向が強いのではないか、なんて不安を感じていた私にとって、とくに。

まあ、どれだけ精度のある調査だったかわからないので楽観しすぎるのはマズいでしょうが、クリスマス・シーズンでもありますから、ちょっと前向きに考えさせてくださいませ。

さて、外国人単純労働者を受け入れる新制度を導入するとした場合、それをどう評価すべきでしょうか。
評価は、その新制度(ビザの認定基準など)を具体的に検討してはじめて詳細な「是非」が論じられることになります。

この調査では「「専門的・技術的労働者は積極的に受け入れ、(単純作業の繰り返しである)単純労働者は慎重に対応する」とし、単純労働者は事実上受け入れない」という政府の方針を元になされたもののようです。

単純労働者を「受け入れるべきでない」と回答した人に理由を聞くと、

(1)「日本人の雇用や労働環境に悪影響を与える」51%
(2)「治安が悪化する」35%
(3)「風習の違いによるトラブルが起きる」10%
(4)「社会保障費や教育費などの負担が増える」3%

だったそうです。第4位から順にコメントしてみますと、

まず、「社会保障費や教育費などの負担が増える」かどうかは、政府の施策にかかっていまして、一概には言えません。現在、年金や社会保障費を負担する人口の減少を理由に、外国人労働者を導入すべきだ、との議論があるわけですし、また、教育費の負担が増えるという点については、たとえば「就労ビザ」の発給条件をどうするか(期間、年齢など)で大きく変動するわけでして、そのあたりの情報が不足している中で漠然とした不安を語っているのではとの印象が拭えません。

次に、「風習の違いによるトラブルが起きる」というのは、まあ、ありそうなことです。ただ、初期対応を丁寧に行い、また、日本社会側も自ら進んで変化を受け入れていこうという明確な意思をもって動けば、トラブルの拡大を防ぐことはできるのではないでしょうか。

「治安が悪化する」は、もう政府・警察などによる悪質なプロパガンダの結果だとしか言いようがありません。

で、最も回答が多かったという「日本人の雇用や労働環境に悪影響を与える」ですが、これもまたありそうな話です。労働基準法が適用されない「外国人研修生」という制度が、国内の労働条件を悪化させる現実は、「底辺への競争」の一例として、NHKの「ワーキングプア2」でも放映されていました。アメリカ型の「市場原理主義」を目指す自民・公明連立政権が続く限り、また、旧来型労働運動の無力な状態が続く限り、その懸念は拭えないように思います。

しかし、世界最初のメーデーは移民労働者が始めたなんていう話もありますし、外国人単純労働者の導入が労働運動に新たな息吹を吹き込んでくれる、なんていう可能性も実は少なくない気がします。

【関連記事】
「ワーキングプアII」再放送のお知らせと中国人研修生、「地獄への競争」(2006.12.17)
『経済』12月号「外国人労働者と日本」(2007.11.10)
世界最初のメーデーは移民労働者が始めた(2007.11.14)
【緊急アクション】韓国の移住労働者、ドミニカのハイチ人移民の権利のために(2007.12.14)

つまるところ、政府の政策次第で良い方にも悪い方にも転がりうる、そして、労働運動や社会運動が、状況の悪化を食い止めるだけでなく、現状より好ましい状態へと導きうる、ということなんじゃないかと思います。

まあ、私は、ひとまず、今ここにいる人の人権を保障できる方向へシステムを切り替えてから、初めて外国人単純労働者の導入を実施すべきだと考えていまして、それについては近年の韓国での実践例がおおいに参考になると思います。

【関連記事】
韓国、先を行く。そして、酷暑の季節にぴったりの、ぞ〜っとするお話。(2007.8.17)
韓国、先を行く(2)& 在日ブラジル人から見るニホン(2007.10.19)
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あと、外国人労働者の受け入れ問題を考えるとき、忘れてはならないのが、「単純労働力」への門戸が開かれようと開かれまいと、世界的な経済格差が現実に存在する中では、法の枠の外で移住労働者が生まれることは避けがたい、という現実です。はたして、そうした人たちの存在を、高みから切り捨てて良しと言えるのか。労働条件の悪化を憂えるなら、むしろそういう人たちの労働法上の権利、人としての権利を保障することこそ、肝心なのではないか、と。

【関連記事】
人として!(「もうひとつの日本は可能だ! 人間尊重の多文化・多民族・多国籍社会へ!」より)(2006.8.14)

とまあ、そんな観点から、私は「外国人集住都市会議」を口を酸っぱくして批判し、また、すべての移住労働者とその家族の権利保護に関する条約の批准をすべきだと主張しているのです。

なんだか、まとまりのあるようなないような、そんな記事になってしまいました。

ここは年の瀬の慌ただしさに免じて、ご容赦くださいませ。ふ〜。


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