<アルカイダ報道>産経新聞に330万円賠償命令(東京地裁)と、誤認、情報操作の恐怖
2007.12.11.18:00ころ
前回の記事に関連するお話です。こわいですよ〜……。
まずは、2年前のライブドア・ニュースからお伝えしましょう。
「私はアルカイダじゃない!」(livedoorニュース、2005.12.9)
日本で生活するマイノリティの体験談8日、弁護士やNGO(非政府組織)関係者らが作った、外国人らの人権を保障する法律の制定を目指す「外国人人権法連絡会」の結成記念集会で、日本に暮らす外国人ら4人が自らの体験などを話した。
“共生”にかかるコストと労力
コリアNGOセンターの郭辰雄さんは大阪生まれの在日コリアン3世。戦後60年が経ったが、韓国、朝鮮の民族学校が各種学校に分類されていたり、入居差別を受けたり、在日コリアンに対していまだに差別的な処遇が残されていると話した。1990年以降に来日した“ニューカマー”も、同じ生活上の問題に直面していると指摘した。
昨今の韓流ブームでコリアに対する関心の高まりに期待感を示す一方、ブームに一抹の寂しさを感じるという。郭さんは「あなたが会ったコリアンは、ペ・ヨンジュンが最初じゃないでしょう。何十年も前からすぐ隣にいたはず」と語った。
“共生”の意味について、郭さんは「お互いが違うという前提があって初めて成り立つ言葉。“仲良く”という美しいことだけではなく、コストと労力がかかる。それでも一緒にいようと思えるかどうか。問題があったとき、力のある者が、ない者を押さえ込むのが今の日本だ」と話した。
誤認逮捕の悪影響は続く
バングラデシュ出身のイスラム・ヒムさんは、国際電話のプリペイドカードを販売するリョウ・インターナショナルの社長。バングラデシュとマレーシアでも、会社を経営していた。2004年5−6月に、「登記簿謄本の偽造」と「就労ビザを持たない労働者の雇用」で2度、逮捕された。合わせて43日間警察に拘留されているうちに、7億円の損害を受け、バングラデシュとマレーシアの会社は倒産したという。
拘留中、「アルカイダと関係があるか」と何度も聞かれ、1度はショックで息ができなくなり、救急車で運ばれたとヒムさんは話した。新聞やテレビなどで「ヒムは地下銀行をやっている」とCNNなど世界のメディアに報じられたため、出身国にも帰れない状態が続いているほか、いくつもの国でビザ発給拒否などの処遇を受けているという。「私はアルカイダじゃない!」とヒムさんは訴えた。誤認逮捕の悪影響は今も続いている。
現在、警察やメディア関係者は、ヒムさんにとても優しく接してくるという。食事をおごってくれるし、プライベートでは謝ってくれるという。しかし、ヒムさんは「私にではなく、記事を読み、テレビを見た一般の人に謝ってほしい。私の罪は何ですか。自分たちが間違っていたことを、きちんと伝えるべきだ」と話した。
子どもの認知と国籍取得は別
フィリピン人のタピル・ロサーナさんは、フィリピン人の互助組織「カフィン」で、同じ地域に住む日本人との交流や、在日フィリピン人の自己啓発などをしている。日本人との間にできた2人の子どもがいるが、日本人の父親が認知しながらも、子どもに日本国籍を与えないのは「すべて国民は、法の下に平等である」という憲法14条に反すると主張し、現在係争中だ。
ロサーナさんは「在日フィリピン人は住居、教育、健康保険などさまざまな問題を抱えている。日本人男性と結婚し、ドメスティックバイオレンス(家庭内暴力)を受けている女性が、夫の支援を得られないために、ビザの延長ができず、オーバーステイになる例もある」と話した。
難民支援なしで国連安保理常任理事国入りは無理
内戦がひどくなった祖国を離れ、1997年に来日した男性(本人の希望により、出身地と名前は伏せています)は、難民認定まで4年も不安定な立場にいた。これまで生活や教育の支援を政府から受けたことは一度もなく、04年に日本に帰化した後も、不安感を持ったままという。
男性は、数人の難民認定のために、数億円もコストをかけている政府のやり方に、疑問を呈した。この費用は、難民のために使われているわけではない。難民は、日本国籍を取得した後、生活をゼロから作らねばならない。「数億円ではなく、数百万円だけで難民を助けることができることを、一般の人は知らない」と男性は嘆いた。
男性は「日本政府は難民を馬鹿にしている。平和のために不可欠な、難民の教育やサポートもしないで、国連の安全保障理事国の常任理事国になろうというのは無理がある。外国人を排除して、日本だけが安全ならよいという考えは間違っている」と語った。【了】
この記事中に出てきたヒムさんに関して、昨日、下記の地裁判決がありました。
<アルカイダ報道>産経新聞に330万円賠償命令 東京地裁(2007.12.10、毎日新聞)
国際テロ組織アルカイダと関係があると実名報道され名誉を傷付けられたとして、バングラデシュ国籍の会社社長、イスラム・モハメッド・ヒムさん(37)が産経新聞社に330万円の賠償を求めた訴訟で東京地裁は10日、全額支払いを命じた。裁判長は「慎重な裏付け取材を続ける必要があった」と指摘した。
しかもそこへ『ウルトラセブンX』ばりの情報操作が行われる可能性も少なくなく、実際、アルカイダの脅威を煽るべくヒムさんが陥れられ、それにマスメディアがどどっと乗っかっちゃった「実績」を顧みたとき、「可能性が少なくない」どころか「危険性がきわめて大きい」と考えるのが自然な気がします。
「共謀罪」と同根のおそろしさではありますまいか。
【関連記事】
◆うようようようよテロリスト・リスト(トコトン阿呆どす鳩山法相)(2007.11.7)
そうそう、「テロリスト誤認」について、このニュースも添えておきます。
【関連記事】
◆テロ犯と誤認、11億円賠償:カナダ首相、第三国移送で謝罪(追記:中国残留孤児訴訟・東京地裁判決と日本政府)(2007.1.31~2.1)
世の中いろいろ、ってことでしょーか。

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一瞬目が点になりましたよ、うささん。
「asahi.com>政治>国政> 記事
鳩山法相のアルカイダ発言『面白い』 福田首相が擁護
2007年12月15日00時20分」
http://www.asahi.com/politics/update/1214/TKY200712140357.html
この軽さ?! 狂句芸でもやってる感覚かな? じゃない虚公家~だ。あ、じゃない、曲芸。
権力者がこの様だと、好からぬ輩が、うじゃうじゃ蠢くっていうのが『保元物語』以降、軍記モノの主題だそうです。
源氏物語の時期、愛しの君へ『もの思い』に耽ってたのに対し、
平安末期から誰も信じられなくなって『物狂い』に苦しむ。それをくっきり描こうと和漢混合文で、新しい日本語表現[仕種の象徴とかも織り交ぜて]が開発されつつあった。そんな話が藤田省三氏の『史劇の誕生』の主題かな? 中世当時のメヂアこそが琵琶法師。
ましまさんとこにもコメしましたけど、ラジオ放送で数万人を鉈で殺した、フツ・ツチ人の悲劇って例[92-3年ごろでしたっけ?]がありますから、『煽動』への警戒は大事ですね。ふ~。
投稿: 三介 | 2007年12月15日 (土) 01時51分
三介さん、おはようございます。
なんとまたこれは……orz。
先日の「公約違反じゃない」発言に続き、もう何でもありの様相を呈してきましたねえ。好からぬ輩がこれ以上蠢きはじめたら、この先いったいどうなっていくことやら……。気分はもう『物狂い』まで一直線……となる前に何とか踏みとどまって、うん、これから生まれてくるかも知れない新しい文学やら何やらを待ち焦がれるとしましょうか。イヤイヤ、世俗から逃げ出しちゃうのもまだ早いかなあ……。
フツ・ツチ人の悲劇、94年だそうです。年末年始、『ホテル・ルワンダ』を借りて来てみようかななんて一瞬思いましたが、それはちょっとつらいかも。セブンX全話鑑賞には相方がつき合ってくれそうにないしなあ……。
投稿: 仲@ukiuki | 2007年12月15日 (土) 11時19分