♪社民党に、おっきな、おっきな、うさエール♪
2007.9.4.09:45ころ
「野党に♪うさエール♪」シリーズも、ようやく社民党の番が巡ってきました。
なんといっても、先の参院選での「政策一致度」調査で、私は社民党のマニフェストとの一致度がおそろしく高かったわけでありまして、また、社民党からとある選挙に立候補したことのある人物が「うさちゃん騎士団SC」会員になってくれたりもするわけでして、真っ先に「うさエール」を送るのもなんだか気恥ずかしい思いもあり、ついつい後回しになっちゃっいました。
皆さまご存知のように、社民党はこの1、2年、野党共闘を実現する接着剤となるべく、あるいは、民主党を戦争国家化への道に踏み込ませないためのストッパーとなるべく、民主党との選挙協力を展開してきています。
これは、小選挙区制が大きなウェイトを占める現行選挙制度の下では、これまた皆さまご承知のとおり、かなり危険な選挙戦略です。小さな政党は大政党の影に埋没してしまいがちですから、比例区での投票をいくら呼びかけてもそれが成果に結びつくとは限りませんし、小選挙区を捨ててしまえば、地方の組織の弱体化傾向は早まるでしょう。
にもかかわらず、社民党がこの危険な戦略に打って出たのはなぜなのか。
私が見ますに、何としても、戦争国家化、軍事中心の国家になるのを防ぐためであると同時に、もう一つ、民主党の中にはまだまだ社民党の掲げる政策と同様のものを自ら掲げるだけの素地が広範にあるので、それを利用して社会民主主義的政策が進められる、そう考えたからだろうと思います。
そして、前者については、まだまだ予断は許しませんが、今回の参院選で憲法9条改正は遠のいたとの話がありますし、後者も、実は成果を上げつつあるように思います。というのも、参院選での社民党のマニフェストと民主党のマニフェストを見比べてみると、年金や労働、農業など、意外なほど似通った内容になっているからです。
両党のマニフェストの大きな違いは、
1)日米安保を不可欠なものとして考えるか。民主党イエス、社民党ノー。
2)原発を不可欠なものとして考えるか。民主党イエス、社民党ノー。
3)有機農業を積極的に拡充しようと考えるか。民主党ノー、社民党イエス。
4)大企業に対する優遇税制を改めようと考えるか。民主党ノー、社民党イエス。
5)「人権」を基本理念に掲げるか。民主党ノー、社民党イエス。
などです。
他に、社民党のマニフェストにあって民主党のマニフェストにないものとしては、
1)住民訴訟の国政版である国民訴訟制度の導入検討
2)公職選挙における立候補休職制度の導入や、供託金引き下げ、親と同じ選挙区からの世襲立候補の制限、18歳選挙権・20歳被選挙権の実現
3)NHK受信料の義務化や政府・行政によるメディアへの権限を強める放送法改正に反対
4)農業農村を壊滅させる日豪EPAに反対
などがあります。(民主党のマニフェストにあって社民党のマニフェストにないものとしては、「被爆者援護」(Good Job!)、「検挙率の回復」(Bad Job...orz)など。)
社民党マニフェストの上記の内容は、「社会民主党宣言」(2006年2月)に沿って掲げられた政策のようで、私にはどれも好ましいもの、実現してほしいものばかりです。
この「社会民主党宣言」では、「小選挙区制度から比例代表制度への転換」も掲げられています。
こんなことを言っていると、「社民党や共産党はもう消滅するだけなんだから、あきらめてしまえ、その後で新たな政党が国民の中から生まれてくるんだから」なんていう乱暴なことを言われたりもしそうですが、しかし、ゼロから全国規模の政党組織を立ち上げていくのがどれほど大変なことか。「みどりの会議」の敗北が、如実に物語っている気がします。今回の「9条ネット」の敗北もその例でしょう。しかし、「9条ネット」と社民党、そのマニフェストはどれほど違ったものなのか。私には皆目見当つきません。
思えば、川田龍平くんと社民党の関係も残念でした。社民党から出てもいいんじゃないかと思っていたのですが、参院厚生労働委員会には福島代表が所属しているので、そのあたりがひょっとするとネックになったのかも、とも思います。小政党の中で、厚生労働関係の専門家を複数抱える余裕がなかったのかなあ、と。
私も、無所属で当選した川田龍平議員も、すぐにでも厚生労働委員会に入れてあげた方が国民のためにもなるだろうと思うのですが、最初の所属はなんと、ヤンキー先生と同じく環境委員会なのだそうです。これを「雑巾掛け」とか言うのかも知れませんが、何とも「もったいない」。
国会における少数政党、無所属議員の悲哀を感じさせられます。
私としては、「平和・自由・平等・共生」を政策理念として掲げる社民党に、ぜひともこれから生き残ってほしいですし、勢力を拡大して、政権をとっちゃってほしい、と強く思います。
そう遠くない日、自民党が消滅してしばらくしたら、おそらく民主党の中で、国家あるいは企業を中心に政策を考えるか、人を中心に政策を考えるか、そのあたりで新たな離合集散が始まるだろうと予測しています。
そしてその時、民主党の中から社会民主主義的な発想の持ち主たちが、社民党と合流することになるはずです。なんとしてもそのときまで、社民党には持ちこたえてもらいたいし、勢力を拡大していってもらいたい。
勢力拡大につながる種は、上に挙げたマニフェストの一部のように、山ほどあるんですから。あとは、それをどう国民にアピールしていくか、です。
今回、この記事を書くために社民党のマニフェストを読んでみたのですが、いいこと、多くの人が納得してくれそうなこと、しかも実現できそうなことがたくさん書かれています。
しかし、なぜかもう一つリアリティが感じられない。リアリティがあるはずのことが単なるきれいごとに思えてしまう、この社会の表層を流れる分厚い現実の前に流されていってしまいそうな、そんなわけのわからない感覚に襲われてしまいました。
私の心が真っ暗闇だから、かも知れません。でも、ひょっとするとそのあたりが、今回の参院選の敗因の一部分くらいにはなっているのかも、とも思います。
思えば、小泉政権時代、「改革」という言葉が、その中身を知らぬまま多くの人に期待を抱かせ、政権支持率アップの原動力となりました。はっきり言えば「まやかし」なわけですが、あんな「まやかし」でない何かで有権者を惹きつけていくアピール術が、社民党には必要不可欠なんだと思います。
今回の参院選挙、社民党は組織の弱体化を補うべく、候補者の個性を打ち出す戦略に出たと見ています。その戦略と人選にシビレた私ですが、シビレは広く伝わらず、選挙結果は議席減となってしまいました。
どうやってシビレを伝播させていくか。悩ましいところですが、そこさえどうにか突破できれば、勢力拡大は難しくないはずです。
何はともあれ、まずは国会内勢力を拡大しないことには、質問時間も限られますし、委員会での活動や国民への情報発信、国民との情報交換も困難が続きます。
また、社民党が独自に掲げる上記の政策の実現は遠のくばかりです。
てなわけで、ここは一つ、
脱原発のため、農業・農村を守り有機農業を拡充して「地産・地消」の流れを全土に張り巡らせるため、人権重視の社会システムを築くため、武力でなく対話と法とによる「人間の安全保障」を実現するため、おっきな、おっきな、うさエールを、社民党に送りたいと思います。
へこたれたら、あきまへんでえ〜!!!
「野党に♪うさエール♪」シリーズ
★♪ガンバレ♪小沢民主党♪世界平和へ、うさエール♪(2007.8.9)
★信憑性高まる? 小池防衛相「疫病神」説 ♪日本共産党に、うさエール♪(2007.8.17)
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★♪社民党に、おっきな、おっきな、うさエール♪(2007.9.4)
★信なくば立たず/小沢民主党に喝!うさエール、撤回!!(2007.10.11)

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