自民党の限界と内閣府「人権擁護に関する世論調査」
2007.8.29.20:40ころ
改造内閣だそうですが、なんだかなあ。。。しょせん、「お飾りの大臣」を取っ替え引っ替えしてるだけ、の気がします。けっきょく、「お友だち論理」と「派閥の論理」を越えられないのが自民党なんでしょう。
それに比べれば、まだ民主党のネクスト・キャビネット・システムの方が、各分野の専門家を育てようとしてるみたいで、期待が持てる気がします(前原・前代表には自民党に移ってほしいですけど)。
がんばれ、民主党!
内閣府が、こんな調査をしていました。
人権擁護に関する世論調査(平成19年6月調査)
その中の、
2.主な人権課題に関する意識について
について、とあるMLで、大略、次のような意見を読みました。
(1)高齢者や障害者、同和問題やアイヌ、ハンセン病などなどいろいろな差別について調査が行われているが、それらの質問項目と外国人に関する調査だけ、質問の方法がまったく違う。他の差別については、「現在どのような問題が起きていると思うのか」なのに、外国人のところだけ「人権を守るべきか、守られなくても仕方ないか」という問いかけからスタートして、しかも「不利益な扱いについてどう思うか、いけないか、それとも仕方ないか」というふうな流れになっている。これは、現状を日本政府自体が容認しているとも読める質問設定とはいえないか。
(2)「日本の事情に慣れるまでトラブルがあっても仕方がない」という回答設定について、そういうトラブルがあるのは仕方がないと思うが、外国人に日本に慣れることを一方的に求めるのでなく、そこをどう乗り越えていけるかが多文化共生の一歩だと思う。
同感です。
(1)については、「外国人の人権は、入管法による在留許可制度の枠組みでのみ、認められる」という趣旨の最高裁判決(つまり、外国人の人権は在留制度を盾にすればいくらでも制限できる、とすら解釈できるマクリーン事件判決。日本政府が国際人権規約を批准する直前に、慌てて出された判決です。人権規約批准で、もう賞味期限切れだと思うんですが。)を前提に、自民・公明ネオナチ政権が「外国人の人権」というものを考えている証でしょう。
自民・公明連立政権の、入国する外国人の生体情報を採取し、70年も80年も蓄積していく、なんていう発想は、そこからしか出てこないでしょうし、実はそこからさえ許されないもののはずです。「適正な出入国管理」という(建前上の)目的と比べて、採用される手段があまりに人権侵害的すぎる点は、いかにマクリーン判決を前提としても、憲法違反、人権条約違反のものと断ぜざるを得ないでしょうから。
とっとと、自民・公明ネオナチ政権を消滅させねばなりません。
各党の、生体情報採取・蓄積システムに対する見解、そして、国際人権規約についての「不思議な豆知識」は、在日コリアンの団体が政党にアンケート(OhmyNews)(2007.7.19)
でどうぞ。
(2)については、
●人権ルールを拒む社会、対話を拒否する文化(2007.8.24)
で書いたとおりです。なんとか、この一方的な関係を改善していかなければと思います。
以下に、2.主な人権課題に関する意識についての、外国人の人権擁護に関する部分を、引用しておきます。
(8) 外国人の人権擁護についての考え方
日本に居住している外国人は,生活上のいろいろな面で差別されていると言われているが,外国人の人権擁護について,どちらの意見に近いか聞いたところ,「日本国籍を持たない人でも,日本人と同じように人権は守るべきだ」と答えた者の割合が59.3%,「日本国籍を持たない人は日本人と同じような権利を持っていなくても仕方がない」と答えた者の割合が25.1%となっている。なお,「どちらともいえない」と答えた者の割合が10.8%となっている。
前回の調査結果と比較してみると,「日本国籍を持たない人でも,日本人と同じように人権は守るべきだ」(54.0%→59.3%),「日本国籍を持たない人は日本人と同じような権利を持っていなくても仕方がない」(21.8%→25.1%)と答えた者の割合が上昇している。
性別に見ると,「日本国籍を持たない人は日本人と同じような権利を持っていなくても仕方がない」と答えた者の割合は男性で高くなっている。
年齢別に見ると,「日本国籍を持たない人でも,日本人と同じように人権は守るべきだ」と答えた者の割合は20歳代,30歳代で,「日本国籍を持たない人は日本人と同じような権利を持っていなくても仕方がない」と答えた者の割合は60歳代で,それぞれ高くなっている。(図14,表14−1,表14−2)
(9) 外国人が不利益な取扱いを受けることについての考え方
日本に居住している外国人が不利益な取扱いを受けることがあるが,このことについてどう思うか聞いたところ,「外国人に対する差別だ」と答えた者の割合が31.7%,「風習・習慣や経済状態が違うのでやむを得ない」と答えた者の割合が33.7%,「日本の事情に慣れるまでトラブルがあっても仕方がない」と答えた者の割合が20.2%,「外国人だから不利益な取扱いを受けても仕方がない」と答えた者の割合が3.2%となっている。なお,「わからない」と答えた者の割合が10.0%となっている。
前回の調査結果と比較してみると、「風習・習慣や経済状態が違うのでやむを得ない」(28.3%→33.7%)と答えた者の割合が上昇している。
性別に見ると,「風習・習慣や経済状態が違うのでやむを得ない」と答えた者の割合は男性で高くなっている。 年齢別に見ると,「外国人に対する差別だ」と答えた者の割合は20歳代から40歳代で高くなっている。(図15,表15−1,表15−2)
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