原発事故隠し→SLOW SMALL SIMPLE、そして人の連帯を!(『さらば、欲望の国』中村敦夫)
2007.3.15.18:00ころ
志賀原発で99年に臨界事故/北陸電、国に報告せず(京都新聞、2007.3.15)
経済産業省原子力安全・保安院は15日、北陸電力志賀原発1号機(石川県志賀町)で1999年、定期検査中に89本ある制御棒のうち3本が誤って抜け、炉心の一部で核分裂反応が持続する「臨界」に達し、制御不能のまま約15分間、臨界状態が続く事故があったと発表した。
当時の原発所長も経緯を認識していたが、事実関係を国に報告せず、引き継ぎの資料にも記載していなかった。
保安院は記者会見で「臨界事故だった」との認識を示し、原子炉等規制法違反の疑いがあるとして15日午後、同社社長を呼んで厳重注意、1号機の運転停止と安全総点検、再発防止策の策定を指示する。また、北陸電から同日、報告書の提出を受けた石川県も、同原発に立ち入り調査した。
緊急停止の隠ぺいは東京電力や東北電力で相次いで明らかになったが、保安院の担当者は「(臨界事故隠しは)東電、東北電より悪質だ」としている。(共同通信)
原発で大きな事故でも発生したら……。この列島社会で暮らす人たち(私も含めて)、どうなっちゃうのでしょう?
2つほど、原発関連のサイトを紹介します。
さて、上のようなイヤなニュースが飛び込んできたのも、この本を紹介するうえでの天の助けなのかも知れません。
『さらば、欲望の国』(中村敦夫・著、近代文芸社新書)
2003年6月に出版された新書です。
今月初めに、BLOG BLUESさんの
革新リストラクチャリング(2007.3.1)
で紹介されていたその内容に、
「なんでもっと前に読んでなかったんだあっ!」
と激しく後悔。さっそく書店で取り寄せてもらいました。
新書判でありながら、すっごく読み応えがあります。けっこう時間がかかりました。
2003年の参院選直前に発行された本で、その時の選挙で、中村氏を代表とする「みどりの会議」は消滅してしまったわけですが、まさに「国家百年の計」「人類一千年の計」をもって政治を語り、創っていこうとした中村敦夫氏の視点と姿勢には、強く共感するものを覚えます。
そして、残念なことに、この本で指摘されている官僚国家の弊害なんか、今も何にも解決されぬままに放置されています。暴威を増しているとさえいえるかも知れません。
(「人類一千年の計」は私の造語です。こんな言葉でも使わないと、中村氏の構想は表現できないのではないかと思い、つくってみました。)
以下、同書の一部を紹介します。
文字色を変えてあれこれ強調したくもなりますが、今回は、それはナシで。
SLOW SMALL SIMPLE の頭文字、私たちのスローガンです。 日本語にすれば、「ゆっくり」「小さく」「簡素に」ということでしょうか。
これまでにお話してきたのは、無限欲望教に取りつかれてきた人類が、その限界を超えてしまい、戦争拡大や生命環境の破壊によって自滅しつつあるという事実です。
こちらは、3Sとは対照的に、「もっと早く」「もっと大きく」「もっと高度」にと表現してもよいでしょう。禿山から急降下するこの流れの岸辺には、「新自由主義」とか、「グローバリズム」「アメリカン・スタンダード」「成長」「GDP」「開発」「科学技術」「競争こそ活力」「遺伝子時代」「核兵器」「大量生産・大量消費・大量廃棄」などとケバケバしい色彩で書かれた看板が林立しています。
この流れはすでに汚染され、生物が消滅し、死臭が漂っています。いわば、「死の河」と言えるでしょう。
3Sは、この流れの対極にある価値観であり、緑豊かな山から悠々と流れる「生の河」です。私が主張しているのは、人類史五百年で汚濁した流れから這い上がり、清流へ移動しようという大胆な提案です。
それは、「人間の幸せとは何か?」という根本的な問いかけが根拠になっています。
無限の経済成長神話を奉ずる信者たちは、人間の存在を「経済人」と断定しています。
こうなれば、生産性の低い人間、効率の悪い人間は価値のない存在になります。中小零細企業に従事する人も、大企業に都合のよい時だけは人間扱いを受けますが、そうでなければ斬り捨てられるゴミのような存在です。
年寄りも身障者も、経済人としては失格の邪魔者扱いです。女性は、将来の労働者を生産する妊娠用の器具と見られます。
立派な経済人?になるには、人間性にまつわるすべてのものを排除する必要が出てきます。日常生活、社会生活の時間、行動、命、いや一喜一憂する感情ですら、貨幣価値に置きかえられ、数値として純化されてゆきます。
私が言いたいのは、このような社会で、果たして人々は幸せに暮らせるだろうか、ということです。
そんなはずはありません。
私は人間の存在を、「経済人」ではなく、「自然人」だと考えています。
人間は、自然の生態系の一部に過ぎないという考え方です。もちろん、動物として生き残らなければなりませんでしたから、知恵が発達し、自然に対して最も影響力の大きな生物として突出しました。しかし、ものには限度があります。世話になっている地球に負荷をかけすぎれば、自然から報復を受けます。
二一世紀はそういう時代に入ったのです。
他の動物は「小欲知足」ですが、人間は欲望を拡大することを目的化したため、大欲に狂って不幸になったと言えます。
「無限欲望教」が何を指すかなどは、ぜひ同書を読んでたしかめてほしいと思います。
ここで引用した部分を読んだとき、私の頭の中には、ワーキングプア、柳沢発言、「不都合な真実」、大阪市の棄民政策など、つい最近考えさせられたばかりのさまざまなことが、次つぎに浮かんできました。
そして、経済成長至上主義の世の中のつらさが、人を人として扱わぬ差別的な意識や排外主義をも生み出しているのではないか。そんなことも思いました。
「人間性にまつわるすべてのものを排除する必要」を強いられるこの社会の中で、今もって、あちこちで、他人の痛みをわが痛みと感じ、あるいは、明日のわが身と想像力を働かせて、苦境に置かれている他者との連帯を求め、築き、人が人として幸せに生きられる世界へ変えていこうとする無数の努力が、あきらめることなく、続けられています。希望は、そこにこそあるのだと思います。
そうした無数の努力が、連帯が、広がり、そして一日も早く、できれば今夏の参院選の前にひとまずの実を結び、新たな社会変革への第一歩となることを、強く願います。
そして、その一助に、当ブログもなればと決意をあらたにした所存。
しゅわっぴょん!
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