在留特別許可のガイドライン(イラン人一家、強制退去へ)
2006.12.11.07:00ころ
2006.12.12.00:30ころ。関連記事へのリンクを末尾に追記
イラン人一家、強制退去へ 猶予1カ月、夫婦と娘2人(東京新聞、2006.12.08)
約16年前に来日して不法残留状態となり「帰国すると生活が困難になる」との理由で1家4人の在留特別許可を求めているイラン人のアミネ・カリルさん(43)=群馬県在住=夫婦が8日、東京入国管理局に出頭し、入管側から在留を許可しない方針が伝えられた。
この日は強制退去の猶予措置である仮放免期限に当たり、約1カ月の延長は認められた。アミネさんの長女マリアムさん(18)は群馬県内の短大に合格し、保育士を目指しているが、4人は仮放免中に準備を整え、出国しなければならない。
アミネさんは1990年に来日。翌年に妻(39)と当時2歳だったマリアムさんを呼び寄せ、96年に2女(10)が生まれた。4人は99年に在留特別許可を求めて東京入管に出頭したが認められず、強制退去処分を受けた。
2000年に処分取り消しを求め東京地裁に提訴したが、今年10月の最高裁決定で敗訴が確定。これまで仮放免の延長を重ね、在留特別許可の再審査を求めていた。
2女も地元の小学校に通っており、アミネさんは「日本語しか話せず、日本の文化しか知らない子どもたちはイランで生活するのは不可能」と主張している。
(共同)
法務省の在留特別許可に係るガイドライン(在留特別許可に係るガイドラインの策定について参照)を読むと、積極要素(4)に該当するように思えるのですが、日本政府としては消極要素(2)に挙げられている2つ目の例にあたるとして、これを重視したということでしょうか。
もしそうであれば、積極要素(4)など、ほとんど意味をなさない無意味なお飾りに思えてきます。
新たな賤民層がつくられる時代を、今まさに私たちは生きているのだと思わずにいられません。
(関連記事)
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インターネット新聞『JANJAN』:
★『マヤカシの「外国人犯罪増加」論〜「人種差別」と「棄民」を生む社会の行方〜』(2004/04/15)
★『マヤカシの「外国人犯罪増加」論〜「人種差別」と「棄民」を生む社会の行方〜』(全4回の第2回)(2004/04/16)
★『マヤカシの「外国人犯罪増加」論〜「人種差別」と「棄民」を生む社会の行方〜』(全4回の第3回)(2004/04/17)
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いろいろな本や現地所在の日本人でニュースをいつも見ている人によると、今は北欧でも工場が東欧・インド・中国等の人件費が安いところに工場が移っている
現在の政権が格差を作っていることが確実だが、企業が海外に工場を移転するのはどんな政権であっても防ぐことはなかなかム図貸しのではないでしょうか?
その結果、労働力はあまって賤民が生まれると思います
今日の労働力があまっているかそれとも不足しているのか十分に見極める必要があると思います 今後会計士などもパソコンなどで需要が減少し、先進国ではより少ない労働力で経済が運営される可能性もありえると思います
もし、労働力があまっているのらば、海外の事例のように移民は雇用の調整弁となって真っ先に解雇されます。
ひょっとしたら、移民にとっては母国のほうに仕事が移っているので就職しやすいのかもしれません
移民それぞれの母国の事情を考慮していく必要があると感じました
投稿: 熊山次郎 | 2006年12月11日 (月) 19時21分
すみません 訂正です
なかなかム図貸しのではないでしょうか?(誤)
なかなか難しいのではないでしょうか(正)
投稿: 熊山次郎 | 2006年12月11日 (月) 19時26分
熊山次郎さん、はじめまして。コメントありがとうございます。
熊山さんの書かれているように、たしかに、移民政策を考える場合は、国内・国際経済システムの現状がどうなっているのか、どう推移していくだろうか、慎重に検討する必要があると思います。国内にどんな産業を確保していくかという国家戦略も重要になってきます。
海外での移民の例だけでなく、この日本においても、たとえばこの十数年、日系人たちに代表される外国人労働者(研修生も含めてよいと思います)が、雇用の調整弁として扱われてきました。
最近では日本人も同様の扱いを受けはじめてきているようで、非正規雇用がどんどん増えてきていると聞きます。
ワークシェアなどのシステム導入で、格差拡大は抑えられるのではないか、もっと人らしい暮らしができるようになるのではないか、日本人も、今、日本で働いている外国人も含めて、などと思いますが、
話題のホワイトカラー・エグゼプションなどを見ていると、どうも日本の政策は真逆の方向に向かっているようです。
ともあれ、移民政策や、人の国際的な移動の流れにどう対処していくかという問題を考えるときは、本ブログで提起している人権・人道の視点に加えて、熊山さんの書かれているように、国際経済全体や各国経済をも見渡そうとする視点が必要です。なかなか難しいことではありますが……。
今後ともよろしくお願いいたします。
投稿: 仲@ukiuki | 2006年12月12日 (火) 00時17分
こんばんは。
>国際経済全体や各国経済をも見渡そうとする視点
そうそう、要りますよ、絶対に。
一国ケインジアン政策は資本(直接投資や金融の)と労働の移動が自由化されると無効になるんです。
低金利にしても、貸出しが国内投資に行かず、海外に抜けていくとか・。エロ産業等の地下経済に潜り込むとか・・。
遠い分監視の目も行き届かないし・・。
武器や麻薬・人身売買とかの資金にさえなりうる。
政治経済学が必要不可欠です。国際司法センターも必須でしょう。もはや。内向きの議論よりもね。派兵論議よりもね。
では。また。
投稿: ivanat | 2007年1月13日 (土) 21時31分
ivanatさん、おはようございます!
というか、仕事に追われてまだ今夜(?)は眠れそうにない中、気分転換にとやって来ました。
たしかに、ivanatさんが提起された視点からの議論を一刻も早く本格的に始めていかないと、数えきれないほどの犠牲者がどんどん生み出されていくだけですね。闇の世界(というか、一種のアウトロー? 外国人研修生なんかを酷使・搾取している企業やその上納金を受け取っているような政治家たちも含みます)は、強く、したたかに、しかも素早く動きますから(風林火山!)、その弊害をなくそうとしても後手後手になりがちな側としては、大局的な、しかも合理的な戦略が必要になってくる……。
ivanatさんの指摘で、政治・経済学の、しかも従来のそれを越えうるものの必要性が、考えれば考えるほど重要に思えてきました。徹夜明けでモウロウとしているからだけではなく!!
これこそ、今にも始めるべき議論です。「国家百年の計」を、私たち庶民の暮らしの視点から立ち上げるためにも、今夏の参院選の争点にするくらいの勢いが必要だと思います。
しかし、なかなか手強そうな議題であるのもまた事実で、もうちょっと頭のはっきりしている時に、あらためて考えてみます。
では!
(このコメント欄を、新しくアップするエントリーでも紹介させていただくつもりです。)
投稿: 仲@ukiuki | 2007年1月14日 (日) 05時58分