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2006年12月

外国政府・メディア・市民に知られまいと日本政府が隠す目的(入管法改定案に関する国会会議録より)

2006.12.30.01:40ころ

まもなく2007年です。

2007年の11月23日までに、日本政府は、昨春の入管法改定で導入された、来日する外国人から指紋データなどを採取・長期保管するシステムを運用開始する予定です。

となると、「改定入管法をひっくり返す!」と考えている私にとっては、これからの1年弱が正念場なわけで、「入管法改定案に関する国会会議録よりシリーズ」を本格的に展開しなければなりません。

そこでまず、今日は、議論の基礎として、「指紋データ採取・蓄積システム」の隠された目的について、国会会議録から拾ってみたいと思います。

(表向きの目的)

それは、入国審査時の指紋チェック(ブラックリストとの照合)でテロリストの入国を阻止すること、とされています。
日本語版はもちろん、英語のパンフレットでも、最近発表されたひらがなつき日本語解説でも、そう書かれています。
国会審議での法案の趣旨説明でも、そう語られていました【杉浦法務大臣、2006年3月15日:発言番号100、2006年4月27日:発言番号003】。

しかし、それはあくまでも「表向き」のものに過ぎません。

国会会議録を読み解いていくと、「広報用パンフレットからは隠された」下記のような目的が、くっきりと浮かび上がってきます。
外国語のできる方は、どうか以下を翻訳して、外国語メディア関係者に情報提供していただければ幸いです。


(外国政府・メディアには教えられない、隠された目的)

1) 入国審査時にブラックリスト(テロリスト、退去強制者)と照合します。


退去強制者のリストとの照合については、法案の趣旨説明にありません。しかし、河野太郎副大臣【2006年3月17日:発言番号039】は、これまでに退去強制された者の違法な再来日を防ぐのが「最大の目的」だと説明しています。

2) 入国許可後・出国後も保有しつづけ、複数人名義の旅券で出入国を繰り返している者がいないかをじっくりチェックするために使います。「名寄せ」という利用方法です。

これも法案の趣旨説明にも国会への配付資料にもなく、委員会審議の過程で明らかにされました。生体情報の保有期間は70〜80年になるようです【河野太郎副大臣、2006年3月17日:発言番号029、3月22日:発言番号095ほか】。
「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」8条2項2号に基づき提供されることになります。

3) 外国入管当局、捜査・司法当局へ提供します。

これも法案の趣旨説明にはありませんが、「出入国管理及び難民認定法」61条の9に基づき、提供されることになります【杉浦法務大臣、2006年3月28日:発言番号278】。

4) 犯罪捜査に流用します。

これも法案の趣旨説明にはありませんが、三浦正晴・法務省入国管理局長【2006年3月17日:発言番号112、3月22日:発言番号049】は、蓄積したデータの入管業務以外での利用方法として「犯罪捜査」を真っ先に挙げました。
また、杉浦正健法務大臣は、入国審査時の生体情報採取は「政府全体として取り組んでおります治安対策、外国人犯罪対策及び不法滞在者対策にも資する」【2006年3月17日:発言番号005】と説明し、法案の趣旨説明に「それ(不法滞在者対策および外国人犯罪対策)もつけ加えておけばよかったかなと思っています」【2006年3月17日:発言番号122】と述べています。
「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」8条2項3号に基づき提供されることになります。

5) インテリジェンスシステム(在日外国人を監視する諜報システム)に組み込まれ利用されると予想されます。

インテリジェンスシステム構想については、衆院法務委員会には存在が秘匿されたまま、参院法務委員会においても内容が明確に語られないまま、入管法改定案の採決がなされました。これはおそらく、遠くない将来、日本人にも向けられるシステムではないかと思います。
【参考情報】外国人にICカード 登録情報の一元管理へ政府原案(2006.12.19、asahi.com)
 外国人労働者らの居住地などを正確に把握するため、外国人登録情報を法務省入国管理局が一元管理する新制度の政府原案が19日、分かった。入管が氏名や国籍などを電子データとしてICに登録した「在留カード」を発行、外国人を雇う企業や市町村の情報も法務省が集約する。政府は、外国人労働者の受け入れ拡大に備えた体制整備の一環としている。
 原案は、首相が主宰する犯罪対策閣僚会議の作業部会がまとめ、19日午後に同会議に報告した。政府は、関連する外国人登録法や出入国管理法の改正案を08年度に国会に提出する方向だ。
 「在留カード」の対象者は、朝鮮半島を中心とした日本の旧植民地の出身者や子孫などの「特別永住者」や旅行などの短期滞在者を除き、主に80年代以降に来日した日系人やその家族。単純労働者を受け入れない政府方針の事実上の例外となっており、転居などのため居住地や滞在期間の把握が難しいとされる。
 原案によると、対象者を市町村での外国人登録制度から除外。一方で市町村を窓口に氏名や生年月日、国籍、居住地、家族、在留期間・資格を届け出る制度は残し、届け出に入管発行のICカードを使う。入管は転居情報も含め一元管理し、在留更新の判断材料などにする。ICカード発行は05年に自民党内の検討チームが携帯の義務化を含めて提案しているが、「管理強化につながる」と警戒する声もある。
 また、政府は来年の通常国会に提出予定の雇用対策法改正案で、外国人労働者の雇用状況報告を全企業に義務づける。内容も従来の人数や性別に加え氏名や年齢、国籍、在留期間・資格などに広げ、この情報も法務省が厚生労働省から得られるようにする方針だ。

【さらに参考情報】TIAプログラム
ACLU、米国一般市民に対する監視システムに警鐘
問題山積、米国防総省の国民データベース計画

もし昨春の法改定が「ブラックリストに搭載されているテロリストの入国阻止」を目的とするのであれば、入国審査時にブラックリストとの照合のすんだ指紋データなどの生体情報は、即刻消去してしまうのが論理的です。また、長期間保管することによるプライバシーなど人権侵害の可能性を考えるなら、即刻消去する方がはるかに合理的です。

しかし、あえて長期間保管して、さまざまな用途に流用しようとしているわけで、
この流用にこそ、自民・公明政権の本当の目的があると考えるのがこれまた論理的かつ自然です。

「テロ対策」と言ってしまえば何でもできると、きっと大喜びなんでしょう、アメリカに媚を売ってイラク侵略戦争を押し進めた結果、日本人がテロに狙われる危険性を高めてきた自民・公明政権の皆さんは。

もし本当にテロの危険を減らしたいなら
「ありもしない大量破壊兵器をあると言ってイラクを侵略し、無辜の民を大勢虐殺することに加担しちゃってごめんなさい」
と謝罪することから始めるのが、国際的な信義のうえから最も筋が通っていると思うのですが、自民・公明政権には、そんな誠実さのかけらなどあるはずもない、というわけでしょう。

だいたい自民・公明政権は、アメリカ政府には「渡米する日本人の指紋データは、アメリカ出国時には消去してほしい」などと言っておきながら、日本に入国する外国人の指紋データは70年も80年も保管するよなどと主張するような一派なわけですし(これについては、河野洋平・太郎父子、塩崎恭久&石原伸晃、議会制民主主義の破壊の塩崎恭久&石原伸晃の項をご参照ください)。

これも外国政府・メディア・市民に日本政府が隠そうとしていることですね。

次回以降では、上記の目的をふまえたうえで、はたして昨春の入管法改定で導入された生体情報採取・保管・利用システムに合理性があるのか、批判を加えていくことにします。

これにて、本年の更新は終了です。

2007年が、皆さまにとっても素晴らしい年になりますように!
よい年をお迎えください。

「入管法改定案に関する国会会議録より」シリーズ
1.【入管法問題】参院・衆院与党議員への宣戦布告(2006.05.09)
2.平沢勝栄議員の「テロ予告」!?(2006.09.22)
3.「またテロですよ!」(非国民通信)を読んで(2006.10.15)
4.共謀罪強行採決阻止のためのお役立ち情報、かも。(2006.10.20)
5.共謀罪審議に松島みどり議員が登場(2006.10.22)
6.教育基本法をイジる前に「外国人・民族的マイノリティ人権基本法」「人種差別撤廃法」の制定を!(2006.11.12)
7.「寛容の精神」のない国と、他の人間を平気で「人間以下」と見下す者/「多民族共生教育フォーラム2006愛知」から教育基本法改定を目論む日本政府へ(2006.11.13)
8.河野洋平・太郎父子、塩崎恭久&石原伸晃、議会制民主主義の破壊(2006.11.16)
9.「望ましい監視社会」!? 荒井正吾・参院「教育基本法に関する特別委員会」委員長(予定←変更アリマシタ)(2006.11.16)
10・外国人実習生への性暴力/植草一秀氏事件から見える「適正手続」問題(2006.12.27)
11.外国政府・メディア・市民に知られまいと日本政府が隠す目的(2006.12.30)
12. 「永住者」の扱いに関する立法事実と、政府による議会制民主主義の破壊(2007.1.10)
13.衝撃or当然(?)の検索フレーズ/政府と女性蔑視/国民投票法案バナー(by SOBAさん)(2007.1.28)
14.テロ犯と誤認、11億円賠償:カナダ首相、第三国移送で謝罪(2007.1.31)
15.テロの種まき、テロ対策!?(2007.3.17)
16.外国人の生体情報採取・蓄積・流用システムの問題点(2007.9.4)


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【再度】在留支援のための署名のお願い

2006.12.29.22:50ころ

【「こういう人たちも不法滞在者であり犯罪の温床だ」と??】在留支援のための署名のお願い(2006.8.12)

で紹介した、ベトナム人一家の在留を支援するための署名が続いています。

前回に紹介したときと違って、メールによる署名も可能になっています。

署名の趣旨に賛同してくださる方は、どうかよろしくお願いします。

今年、私の聞いたベスト・ソング/「自由の国」を作ろう!(どこへ行く、日本。(安倍とマスゴミの動向に要注意!)

2006.12.29.18:00ころ
(2007.12.28.22:00ころ、この文字色の部分を追記)

今年もいよいよ終わりに近づいてまいりました。
本日は、2006年に私の聞いたベスト・ソングを、紹介したいと思います。

それは、あるステージで、歌手が、
「これは私の歌であり、そして皆さんの歌でもあります」
と語ってから、歌いだした歌でした。

タイトルは、「I am what I am」

訳すなら、「私は、あるがままの私、それ以外の何ものでもない」とでもなるでしょうか。

ステージのシチュエーションもあいまって、実に感動的な、心揺さぶる熱唱でした。

聞いた場所は、タイはバンコクの、某ニューハーフ・ショー。

YouTubeにShirley Bassey - I AM WHAT I AMという映像があります。たぶん彼女の歌がオリジナル。歌詞はこちらです。

多様な人のあり方が受け入れられる、そんな社会へと向かうビッグウェーブが、
2007年、この日本に訪れる、あるいはこの日本から湧き起こることを、願ってやみません。

「自由の国」を作ろう!(どこへ行く、日本。(安倍とマスゴミの動向に要注意!)、2006.12.28)

同感です。
皆さまもぜひ、お読みください!


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外国人実習生への性暴力/植草一秀氏事件から見える「適正手続」問題(入管法改定案に関する国会会議録より)

2006.12.27.10:30ころ
(2006.12.29.00:30ころ、このカッコ書き部分を追記。下記本文中で使った「不安倍増内閣」というネーミングの出所を、記事をアップするときは思い出せなかったのですが、「カポーティ」不安倍増内閣(「再出発日記」2006.12.26)がきっかけとなって、見つけました。こちらです!)
(2007.1.22.植草氏は、131日ぶりにようやくひとまず保釈されたそうです。雑談日記AAA植草一秀氏を応援するブログAAAを参照ください。)


外国人実習生 役員から性的暴力(2006.12.26、スポニチ)

 農業技術習得のため来日したアジア人女性(35)が、希望した実習を受けられなかっただけでなく、実習先の会社の役員から性的暴力を受けたとして25日、役員や研修監督機関である財団法人国際研修協力機構(JITCO)などに対し総額約3800万円の損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こした。
 女性の代理人弁護士によると、女性は04年11月に来日。1次受け入れ機関となった農産物共同販売の協同組合を通じて、2次受け入れ先である東日本の建設会社の実習生になった。希望と異なる業種であることを女性はこの時初めて知ったという。8日間の日本語講習以外に研修は全くなく、命ぜられたのは役員宅の家事や廃材の焼却といった雑用ばかりだった。
 さらに、役員所有の民家に住んでいたが、今年3月、合鍵を持つ役員が入り込み「言うことを聞かないと国に送り返す」などと脅し性的関係を強要。7月に東京入国管理局に駆け込むまで62回にわたり繰り返し暴行を受けたという。女性は国に夫と子供を残していた。
 JITCOによると、研修生には半年〜1年間の研修期間中、生活費等として月約6万〜8万円が支払われ、その後の実習期間には日本の労働基準法で保証された条件で就労することができる。女性に対しては出身国にある政府外郭団体と、受け入れ先の組合との間で11万2000円の基本給が支払われる契約が結ばれていたが、実際には家賃などが差し引かれて“赤字"にさせられた状態。休みも月に数日しかなかったという。
 外国人研修生・技術実習生制度に関しては、単純労働者を安い賃金で酷使しているとして、受け入れ先や研修生とトラブルになるケースが相次いでいる。

この問題については、非国民通信さんが、もはや平等ではない(2006.12.26)というエントリーで、愛知県岡崎市のホームレス殺害事件と合わせて、詳しく論じてくれています。私が追加すべきことなど、ちょっと思いつかないくらいに。

皆さま、ぜひご参照ください。

話変わって、雑談日記のSOBAさん作成のGIFアニメ・バナーをまず1つ、紹介します。

このバナーを初めてご覧になる方は、まずは植草一秀氏の不当長期拘束は共謀罪ファッショ体制の先取りである。一体何時まで?日数をカウント毎日更新バナーを作りました。(雑談日記(徒然なるままに、。)、2006.11.28)をご覧ください。

この話が、なぜ当ブログのテーマに関連があるかと言うと、
性暴力つながりで上の外国人実習生の記事と関連があるから、と言えないこともないですが、そうではありません。

人権に重大な侵害をもたらす強制力を持つ手続のあり方に関する問題として、実は深〜く本ブログのテーマに関わってくるものなのです。

植草氏が実際に痴漢をはたらいたのであれば、当然、処罰を受けるべきです。

しかし、国家による刑罰権の行使は、適正な手続に基づいてなされねばなりません(憲法31条ほか)。
証拠隠滅のおそれがさしてあるとは思えない痴漢犯罪で、しかも被疑者逃亡のおそれがさしてあるとも思えない状況で、この勾留日数の長さは、あまりにも異常ではないでしょうか。

これはやはり、小泉・安倍政権にとって都合の悪いことを語る経済評論家を抹殺するための長期勾留ではないか。そう思えてきます。

今春の入管法改定では、法務大臣が「テロリスト」と認定した在日外国人を退去強制するシステムが導入されました。
しかも、そのシステムでは、刑法で処罰される「予備行為」にさえあたらない何かをした、あるいはそのおそれがあると認定されただけでも、外国人は「国外追放(退去強制)」されてしまうことになったのです(三浦正晴・法務省入国管理局長(当時)、2006.5.9、発言番号073)。

共謀罪にも似た性格の新システムが、外国人に対してはすでに成立してしまったというわけです。

特に不安を誘うのが、「実行を容易にする行為をするおそれがある」という非常にあいまいな法文です。
このようなあいまいな文言を使ってテロリストの認定が行なわれるとすれば、言論・出版・集会といった表現行為が、テロリストを(精神的に)支援したなどとしてここに含まれる可能性が否定できません。

そんなことを非常に不安に感じているところへ、この植草氏の事件です。
日本人に対してすら、刑事訴訟手続がどうにも怪しい感じで運用されているとなれば、不安倍増内閣、じゃなくても、不安は増します。

思えば、「在留資格制度の範囲内でしか外国人には人権は認めない」とした有名なマクリーン事件最高裁判決は、在日アメリカ人が日本でベトナム反戦デモに参加したことを理由に、在留資格の更新を認めない、というものでした。

杉浦正健法務大臣(当時)は、退去強制事由のあいまいさを追及されて、自分たちは正しく運用するから間違いない、心配するなとの主旨を答弁しました(2006.5.9.発言番号021)。

しかし、国旗・国家法案の審議において、当時の野中広務官房長官は、「国として強制したり、あるいは義務化することはございません」「また、国民生活に何ら変化や義務が生じ、影響を与えるものではない」と答弁たにもかかわらず、その後の経緯は、皆さま、ご存知のとおり。公立学校で国歌斉唱が強制され、訴訟が提起されるに至っています。(当時の小渕恵三首相の説明については、「ホワイトカラー・エグゼンプションとアンケート」(非国民通信、2006.12.26)をどうぞ)。

誤った認定に対して、防御権を行使しようにも、防御権の基礎となる「認定の具体的根拠」を開示するかどうかも運用に任されているなど、手続保障があまりにも不十分なこと。これもまた、重大な問題です。

たとえば、三浦正晴・法務省入国管理局長(2006.5.9.発言番号081、085)は、「法務大臣によるテロリスト認定行為」は行政処分ではないので、「行政不服審査法」上の不服申立てや認定に対する取消訴訟の提起はできないうえ、同法には「外国人の出入国又は帰化に関する処分は不服審査法の適用除外である」という規定もある、と言います。そして、認定後の具体的な手続には「現行の退去強制手続の不服申立の制度」がそのまま適用されて、その手続の中で言わば三審制のような形になるので手続保障は十分だ、と説明します。
しかし、退去強制手続では、通常の訴訟における三審制と違い、入管当局の警備官・審査官そしてその所掌大臣たる法務大臣が「告発する者」と「裁く者」の両者を兼任するわけで、これは極めて危険なシステムであり、「三審制のような形」などと言える代物ではありません。

ちなみに、イギリスでは、同時多発テロ直後に制定された反テロリズム、犯罪及び安全保障法に、今回日本が導入するのと同様の、主務大臣の認定によるテロリスト容疑者の身柄拘束、退去強制が規定されていましたが、欧州人権条約の「人身の自由」「差別の禁止」に反すると、日本の最高裁に当たる上院上訴委員会が判断し、2005年には廃止されたのだそうです。(難波満参考人、2006.5.11.発言番号006)。

とまあ、在日外国人の人権保障のためにも、日本人の人権も保障されねばどーにもこーにもならんだろー、というわけで、SOBAさん作成のバナーを遅ればせながら紹介させていただいた次第です。

せっかくなので、もう一つ、SOBAさん作成のバナー、転載しておきます。



くわしくは、
今年最後を飾る決定版強烈バナー、「日本の9・11絶対に忘れない」、kojitakenさんに背中押された(かな?)(笑)(雑談日記(徒然なるままに、。)、2006.12.26)
をどうぞ!

「入管法改定案に関する国会会議録より」シリーズ
1.【入管法問題】参院・衆院与党議員への宣戦布告(2006.05.09)
2.平沢勝栄議員の「テロ予告」!?(2006.09.22)
3.「またテロですよ!」(非国民通信)を読んで(2006.10.15)
4.共謀罪強行採決阻止のためのお役立ち情報、かも。(2006.10.20)
5.共謀罪審議に松島みどり議員が登場(2006.10.22)
6.教育基本法をイジる前に「外国人・民族的マイノリティ人権基本法」「人種差別撤廃法」の制定を!(2006.11.12)
7.「寛容の精神」のない国と、他の人間を平気で「人間以下」と見下す者/「多民族共生教育フォーラム2006愛知」から教育基本法改定を目論む日本政府へ(2006.11.13)
8.河野洋平・太郎父子、塩崎恭久&石原伸晃、議会制民主主義の破壊(2006.11.16)
9.「望ましい監視社会」!? 荒井正吾・参院「教育基本法に関する特別委員会」委員長(予定←変更アリマシタ)(2006.11.16)
10・外国人実習生への性暴力/植草一秀氏事件から見える「適正手続」問題(2006.12.27)
11.外国政府・メディア・市民に知られまいと日本政府が隠す目的(2006.12.30)
12. 「永住者」の扱いに関する立法事実と、政府による議会制民主主義の破壊(2007.1.10)
13.衝撃or当然(?)の検索フレーズ/政府と女性蔑視/国民投票法案バナー(by SOBAさん)(2007.1.28)
14.テロ犯と誤認、11億円賠償:カナダ首相、第三国移送で謝罪(2007.1.31)
15.テロの種まき、テロ対策!?(2007.3.17)
16.外国人の生体情報採取・蓄積・流用システムの問題点(2007.9.4)


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【閑話休題】人気blogランキング

2006.12.25.04:20ころ

らんきーブログさんの記事に説き伏せられ、
あんち・アンチエイジング・メロディさんの記事にさらに一押しされて、
人気blogランキングに登録してみました。

少しでも多くの人に、当ブログで取り上げているようなテーマに関心を持ってもらうきっかけになればいいなと、期待しています。
ランキングの方は、更新の滞りがちな昨今でもありますし、まあ、なるようになるでしょう。

さて、今回の登録を機に、過去の記事すべてに「人気blogランキング」用のボタンを組み込んだのですが、
過去記事を眺めていると、わずか1年の間に、ブログの調子も私の文章も、ずいぶん変わってきているような気がしました。
最初はメモ代わりにブログを使ってみようと思っていたのが、いつの間にか、情報の蓄積・参照用に重点が移ってきてるみたいだなあとか、さすがの私も年相応に人間が丸くなってきたなあ、とか、
妙に感慨深かったりして。

ともあれ、皆さま。
今後ともよろしくお願いいたします。


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【超お薦め!】『犯罪不安社会』を読んで、明るい2007年へ!

2006.12.25.03:25ころ ほーほーほーほー、さんたくろーす!!!

『犯罪不安社会〜誰もが「不審者」?』(浜井浩一・芹沢一也・著、光文社新書)

浜井氏と芹沢氏の、それぞれ論理的で説得力のある各自の分析が、相互作用をもってますます説得力を増してくという、実にエキサイティングな一冊です。

浜井氏の著作に注目してきた者としては、「よくぞまあ、ここまで氏の研究や分析のエッセンスを詰め込んだ、しかも非常に読みやすく!」という点でも、驚愕させられました。

また、凶悪犯罪をめぐる言説を論じる芹沢氏の文章の鋭さには、本書にかける氏の意気込みを感じました。

エキサイティングなのは、両氏の本書にかける熱意の表れなのかも知れません。

そして私は、
「本書はまさに全国民必読の書であります!」
と断言するのですが(微力ながら)、その理由は、はい、以下で解説してみます。

私が犯罪統計に関心を持つようになったのは、2003年の秋でした。

ちょうどその頃、日本政府による『「外国人犯罪が急増して治安が悪化している」キャンペーン』や『「不法滞在者は犯罪の温床」キャンペーン』が大々的に展開されはじめており(それ以前から毎年ずっと展開されていたのかも知れませんが、私は残念ながら、知りません。同年春まで、長いこと、趣味で『沖縄タイムス』を購読していたせいで、それ以前の「本土側の事情」があまり把握できていないという弱みがありまして……。沖縄では米兵の犯罪の方が関心が高かった印象があります。日本政府が「外国人犯罪の急増」などとアピールしても、そういう実感もなく優先課題ともとらえていなかったであろう沖縄の地方紙では、その宣伝が取り立てて報道されていなかった可能性があるのです)ブラジル国籍の妻を持ち、外国籍の友人・知人も少なからずいる私にとって、外国人に対する偏見がこれ以上強まっては困る、という切羽詰まった不安がありました。

たぶんその頃だったと思います。ある地方都市の駅前交番で、「不法滞在者を見かけたらすぐ通報を!」という内容のメッセージが、電光掲示板に流れているのを目撃したのは。

「見かけでわかる不法滞在って何それ? 結局、外国人を見たらすぐ通報しろってことなのか!?」
などと、妻や友人たちと、頭を抱えておりました。

もちろん、国籍や在留資格を犯罪と結びつけて考えることの危険性は、冷静になればわかってもらえることのはずです。

しかし、政府の発表は統計に基づいているらしく、しかもまさか政府がウソをついているなどとは普通は思わないでしょうから、
大多数の国民は、「そうか、外国人犯罪が急増しているのか」とか「不法滞在者って犯罪の温床で危ないのね」とか、素直に受け止めるのが自然な流れです。
そして、その結果、外国人を犯罪者予備軍と見なす風潮が形成され、強化されていく。当然の結果が、目に見えています。

不安はつのるばかりでした。

そんな折、まず出会ったのが、コムスタカー外国人と共に生きる会の中島真一郎氏による犯罪統計の分析です。

中島氏の分析からは、統計数字が、政府によっていかにいびつな形で解釈され、国民世論の誘導に利用されているかを知りました。また、統計数字の読み方、集め方も学びました。

で、当時更新していたホームページの「粉砕!プロパガンダ」の項で大騒ぎ(「空騒ぎ」が正確かも)を始めたわけですが、
その甲斐あって(?)、あるメーリングリストで教えてもらえたのが、雑誌『法律時報』に掲載された浜井氏の発言の数々でした。

「犯罪白書」の作成にも携わったことがあり、しかも当時すでにアカデミズムの世界へ転身していたという浜井氏の分析は、私をおおいに勇気づけてくれるものでした。以来、氏の言論活動に注目してきました。

なかなか一般読者の前に登場する機会はなかったようですが、浜井氏はその後、毎日新聞大阪版では大きくインタビュー記事が掲載されたり、たとえば『外国人包囲網』では、「外国人犯罪」に関する分析も展開してくれたりと、活躍の場を広げてきています。

そしてその分析と主張に、私は、やはり勇気づけられてきたのでありました。

とまあ、私が犯罪統計などに関心を持ちはじめたのは外国人に関する部分からなのですが、なんと、憂慮すべき問題は、実は「外国人」に関するものだけではなかったのです。

浜井氏の統計分析によれば、当然のこととして広く一般に受け止められている「少年犯罪の凶悪化」や「治安悪化」という言説は、実はそれを裏付ける事実など統計数字からはまったく導き出せないという、「外国人犯罪の急増」や「不法滞在者が犯罪の温床」などの言説と同レベルのもののようなのです。
「少年犯罪データベース」もご参照ください。)

それどころか、統計から見えてくるのは、「むしろ少年犯罪の高齢化が進んでいる」「非行から抜け出せない大人が増えつつある」傾向だというではありませんか(最近容疑者が逮捕された、愛知県岡崎のホームレス殺人事件——28歳の大人が、中学生たちを指図して犯行に及んだと発表されているあの事件——は、その例だと思います)

しかし、現実の政治・行政の世界では、そうした統計から読み取れる事実・現象を一顧だにせず、「私はこう思うから、こう対処すべきだと思う」という「信仰に基づく治安政策」がガンガンとられています。
何が問題で何が解決に必要かもきちんと考えられないまま、まさに「虚構にもとづくいやしの治安政策」がとられるばかりなので効果が上がるはずもなく、「体感治安」がマスメディアのリードで悪化するばかり……。こうなると、日本社会はもうお先は真っ暗です。
ため息ついて、逃げ出したくもなります。

さあ、そこで、
この悪循環に終止符を打つべく、満を持して出版されたのが、この新書判、『犯罪不安社会』なのです。

しかも、芹沢一也氏という、絶好の共著者を伴って!!!!!!

実を言うと、本書を読むまで私は、芹沢一也氏の著作を読んだことがありませんでした。名前も、知らなかったというか、目にしても覚えていませんでした。恥ずかしながら(汗)。

芹沢氏が本書で受け持つパートは、凶悪犯罪をめぐる言説の変遷と、そこから生まれたとも言える「地域防犯活動」がもたらすものについての分析です。

そしてその過程が、また、浜井氏の分析との相互作用が、実にエキサイティングで、本書全体の主張の説得力を、すさまじく高めています。また、両氏の専門と個性の違いが、本書に心地よいアクセントを与え、読みやすさを倍加させています。

芹沢氏は、統計と刑務所での勤務体験をベースに論じる浜井氏とはまったく違う観点から、異なる対象を分析しているのですが、ここでも実は「エビデンス(科学的根拠)に基づかない治安対策」がなされていることへの批判が、論理的に導きだされていくのです。

「エビデンス(科学的根拠)に基づかない治安政策」は、処方を誤った薬オカルトチックな疑似科学に基づく治療法のようなものです。
私たちの暮らしを破壊してしまう恐れの方が、まぐれ当たりで望ましい結果を生む確率よりはるかに大きい。

「エビデンス(科学的根拠)に基づく治安政策」への転換を成し遂げて明るい未来を築くためにも、どうか皆さん、まずは事実の確認のため、ぜひ、本書をお読みください。

本書では、たとえば、無期刑は運用上、ほぼ終身刑化しているという、巷間伝えられているのとはまったく逆の実態なども紹介されておりますので、目から鱗がこぼれ落ちまくること、必至です。
本書を読めば、「エビデンス(科学的根拠)に基づく治安政策」への転換の必要性を、存分に感じとっていただけるに違いありません。

おそろしいことに、「信仰に基づく治安政策」「エビデンス(科学的根拠)に基づかない治安対策」は、学校でのイジメ問題や、有害図書規制・有害ゲーム規制などについても展開されているようです(冬枯れの街などをご参照ください)。

また、今春の「入管法改定」に関する国会審議でも、永住者の扱いなどについて、実は同じように「信仰に基づく法改定」が主張され、「エビデンス(科学的根拠)」は提出されぬまま、改定がなされてしまいました。
おそらく、今の日本における政策の大半は、「エビデンス(科学的根拠)」に基づくのではなく「信仰に基づくもの」ではないかと、私はその会議録を分析した体験から疑っております。

かくして、私は、本書『犯罪不安社会』は、そうした問題を見つめなおすきっかけをも提供してくれる、
「まさに全国民必読の書でありますっ!
と、断言するのでありました(微力ながら)。

※補足1

犯罪加害者の厳罰化を求める声の高まりが、さまざまな正の成果を生みながらも、影のようにつきまとう負の側面をも生み出してきたことが、本書では指摘されています。あまり意識することのなかった視点ですが、「犯罪人引渡条約」の問題を考えたことがあったおかげで、すとんと腑に落ちました。

先日、ブラジル人を殺害したと疑われるブラジル人がブラジルへ帰国した、という事件に絡めて、「犯罪人引渡条約が締結されていないこと」を持ち出すニュース解説を耳にしました。
でもたぶん、あの犯人はブラジルで処罰されることになるんじゃないかと思います。
犯行地がどこであれ、自国民を殺害した犯人を被害者の国籍国が裁く法制度が、ブラジルでもおそらくとられているはずですので。日本の刑法と同じように。
つまりあの事件の場合、日本もブラジルも、犯人にとって安住の地ではありえない。そう思うのです。

※補足2

「外国人犯罪」関係の分析は、残念ながら本書では掲載されていません。
それでも、刑務所に収容された外国人に関する記述から、かなりのことは読み取っていただけるのではないかと思います。
(本書が好評なら、続編でそのあたりも掲載されるかも知れません。本書を編集した安原さんによると、浜井氏による分析原稿があったそうですので。)

(おまけ)
「外国人犯罪」の宣伝と報道(英訳付き、コムスタカー外国人と共に生きる会)他(2006.07.07)
『治安はほんとうに悪化しているのか』東京都治安対策担当部長(前)の懺悔あるいは告白(2006.07.16)
『治安はほんとうに悪化しているのか』書評on読売新聞!!(2006.7.25)
在留許可求め、東京入管前でデモ/「治安悪化説に異論」(東京新聞インタビュー)(2006.09.24)
「またテロですよ!」(非国民通信)を読んで(入管法改定案に関する国会会議録より)(2006.10.15)
共謀罪審議に松島みどり議員が登場(入管法改定案に関する国会会議録より)(2006.10.22)
虚構の上に立ついやしの「極右」か、現実の上に立つ節度ある「極右」か(2006.11.19)
【超お薦め!】『犯罪不安社会』を読んで、明るい2007年へ!(2006.12.25)
「外国人犯罪」不安にどう立ち向かうか/「来日外国人」数の試算(2007.1.3)
「リピーター=凶悪犯」か?/人と人との連帯の可能性と素晴らしさと(2007.1.12)
法治国家で窮鳥懐に入れば大岡裁きに遠山桜!/在留支援のためのお願い2つ(2007.1.23)

コムスタカー外国人と共に生きる会

インターネット新聞『JANJAN』
『マヤカシの「外国人犯罪増加」論〜「人種差別」と「棄民」を生む社会の行方〜』(2004/04/15)
『マヤカシの「外国人犯罪増加」論〜「人種差別」と「棄民」を生む社会の行方〜』(全4回の第2回)(2004/04/16)
『マヤカシの「外国人犯罪増加」論〜「人種差別」と「棄民」を生む社会の行方〜』(全4回の第3回)(2004/04/17)
『マヤカシの「外国人犯罪増加」論〜「人種差別」と「棄民」を生む社会の行方〜』(全4回の第4回)(2004/04/18)

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「パッチギ!」続編は東京・枝川で 朝鮮初級学校が舞台(asahi.com)

2006.12.22.01:00ころ

外国人にICカード 登録情報の一元管理へ政府原案(2006.12.19、asahi.com)

このニュースを今春の入管法改定と合わせて読むと、かなり恐ろしく陰険な未来図が浮かび上がってきます。

「かなんなあ……この重大さ、もっと大騒ぎになってもいいと思うんだけど」

と頭を抱えているここ数日ですが、
ひとまず今日は、嬉しいニュース(実は旧聞)を一つ、紹介します。

「パッチギ!」続編は東京・枝川で 朝鮮初級学校が舞台(2006.12.14、asahi.com)

 05年から日韓で公開され、国内の映画賞を総なめにした井筒和幸監督(54)の映画「パッチギ!」の続編「パッチギ! LOVE&PEACE」が来年5月に公開される。製作配給元のシネカノンが14日、製作発表した。朝鮮学校が主題の一つである同作品は、京都の朝鮮高校の若者たちを描いた前作から一転、今回は東京の、小学校にあたる朝鮮初級学校が舞台の一つとなる。
 11月23日。東京都江東区枝川の東京朝鮮第2初級学校(宋賢進(ソン・ヒョンジン)校長)の講堂に、休日にもかかわらず1、2年児童20人が集まった。授業ではなく映画のエキストラとして「紙芝居を見る子どもたち」を演じた。
 「じゃあ本番いこう。用意、アクション」
 井筒監督の声が響き、カメラが回ると、にぎやかだった子どもたちもすぐ静かになった。紙芝居は、オオカミに学校を取り上げられそうになり、ヒツジたちが立ち上がるという話。愉快な場面になると、脚本通りに元気な笑い声をあげた。
 パッチギは「頭突き」「突破」という意味の朝鮮語。前作は68年の京都を舞台に、差別に負けず踏ん張る朝鮮高校生と、在日の少女に恋する日本人少年が登場した。
 続編はその6年後、主人公一家が東京に移り住み、前作で生まれた赤ちゃんが6歳になって朝鮮学校に入学する設定。主人公たちの役名は残るが、出演する俳優のほとんどが入れ替わる。
 前作の公開以来、全国各地の在日コリアンから「続編はぜひうちの町で撮って」という要望が相次いだ。井筒監督やシネカノンの李鳳宇(リ・ボンウ)社長(46)は当初、続編の舞台に東京の足立区や荒川区を想定していたが、枝川を見て「学校を中心に町がまとまっている。当時の雰囲気を残す長屋もある」とほれ込んだ。
 枝川の朝鮮学校は、都有地である校庭の明け渡しを求め、都から提訴されている。裁判を機に、国内に加え韓国でも「民族の学校を守ろう」と支援運動が広がった。李さんらは裁判支援イベントの上映会に招かれたのを機に枝川を知った。「朝鮮学校は映画の重要なテーマ。枝川の学校をめぐる厳しい状況は自分たちの問題意識にも合う」と意を強くしたという。
 枝川での撮影は10月末から12月初旬まで7回にわたり、朝鮮学校校舎や校庭、近くの民家であった。建物の一部を70年代風に造り替え、登場人物が働くサンダル工場のセットも特設された。
 地元に住む在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)支部役員・李相慶(リ・サンギョン)さん(29)は、映画スタッフと地域との橋渡し役を務め、住民や朝鮮学校生徒ら200人をエキストラとして出演させる手配に駆け回った。「地域が全面協力し、スタッフが『撮りやすい現場だ』と喜んでくれた。住民のつながりは濃い地域だが、映画の舞台になり、朝鮮学校への関心がさらに高まったと思う」
     ◇
 <キーワード:枝川の朝鮮学校> 敷地約5000平方メートルの8割は東京都から賃借してきたが、都は学校の財政難や歴史的経緯を考慮して72年、90年までの無償貸与を決定。期限切れ後は買い取り交渉もあったがまとまらなかった。03年8月になって、都内の住民が「学校が都有地を不法占有している」と住民監査を請求。都監査委員が是正勧告したのを受け、都は同年12月、学校法人「東京朝鮮学園」を相手取り、校舎撤去や校庭明け渡しを求めて東京地裁に提訴した。

私が『パッチギ!』を観たのは、遅ればせながらの先月でした。祇園会館という京都の名画座(?)で上映しているのをたまたま新聞の映画欄で知り、速攻で劇場に出かけました。

この映画、ずいぶん前から友人に薦められていたのですが、近所のレンタルビデオ店ではいつも貸出し中で、観ることができずにいました。
まあ、その貸出し中が続いたおかげで大スクリーンで観れたのだから、人間万事塞翁が馬、と言えましょうか。観に行った甲斐、おおいにありました。

喧嘩のシーンには「そこまでやるか!?」と痛みさえ感じながらも、笑って泣いて、よくぞこの深刻なテーマをこれだけのエンターテイメントに仕上げたものだと、激しく感服し、
また、見慣れたご近所の風景があちこちに飛び出してくるのがまた楽しく、ご当地映画としても堪能しました。

ちなみに、これはどこまで真実かわかりませんが、映画の舞台となった頃に舞台となった朝鮮学校に通っていた学生たちは、「高校生相手にあんな激しいことはしとらん。相手はやくざやった」と語ったと、噂に聞いております。

で、この超絶エンターテイメントの続編が制作されるというだけでも嬉しいニュースなのに、しかも、その舞台が、東京枝川の朝鮮初級学校となるというのですから、こりゃまたオドロキモモノキサンショノキ! 嬉しさ無限大です!!

公開は来年5月。
4月の東京都知事選の後というのがなんだか微妙ですが、
井筒監督やシネカノンの李鳳宇社長らに感謝の念を捧げつつ、公開を待ちたいと思います。


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改定教育基本法をひっくり返すために/「ワーキングプアII」再放送のお知らせと中国人研修生、「地獄への競争」

2006.12.17.23:00ころ

教育基本法の改定が国会でなされてしまいました。

しかし、諦めるのは、まだ早いです。

今春の入管法改定をひっくり返せないかと考えている私の目から見ると、
今回制定された新・教育基本法をひっくり返すことなど、「外国人の人権」が前面に出ざるを得ない「入管法ひっくり返し計画」に比べれば、はるかにたやすいことに思えます。
だって、日本人有権者自身の権利や将来に直接に関わってくる法律、それが教育基本法なのだと、直観的に理解してもらえるはずなのですから。

まあ、実を言うと今春の入管法改定も実は同じような結果につながるものだと思うのですが、入管法の場合、そこまで理解してもらうために、いくつもいくつも、誤解や先入観という名の山を越えねばなりません。しかし、教育基本法に関しては、そのあたりでスルーできるところが、かなり多いはずです。

私が入管法をひっくり返す上で必要かなと考えてきた要点を、あまり整理できていませんが、いくつか挙げてみます。

1)あきれるほどいい加減で杜撰な国会審議で改定がなされた→議会制民主主義の機能を政府が進んで破壊している。(例)質問に答えない答弁。役立てない参考人意見。必要な情報の隠匿。
2)
どの議員がどんな発言をしているか、詳しくチェックして、落選運動や選挙応援に役立てる
3)
法律を運用するうえで極めて重要な意味を持つ内容(採取した利用目的や利用方法など)を法律に書き込まず、すべてを行政府の運用に任せる。→恣意的運用のおそれ(あ、これも憲法違反か)
4)
役に立たない政府の約束→だからこそ、法律で重要な事項をしっかり定める必要性があるのに……。(例)国旗・国家法の成立過程をご参照あれ→これからもっと悪いことが・・・(非国民通信)
5)
法律の違憲性
6)
法律と、国際法上の義務との衝突

こういった点を、資料をきちんと整理して、ウェブできっちり訴えていくとともに、ウェブにもつながっておらずマスメディア以外に情報源を持たない人たちにも、なんとかして広く伝えていくことが肝要だと思います。

言うは易く、行なうは難し、というのはその通りですが、
教育基本法に関する限り、入管法の場合のように排外的な風潮なんかと闘うことなく、それができるはずなのです。

以下に、本ブログの教育基本法関連の記事を挙げておきます。何かの参考にしていただければ幸いです。


教育基本法をイジる前に「外国人・民族的マイノリティ人権基本法」「人種差別撤廃法」の制定を!(2006.11.12)
教育基本法をイジる前に「寛容の精神」のない国と、他の人間を平気で「人間以下」と見下す者/「多民族共生教育フォーラム2006愛知」から教育基本法改定を目論む日本政府へ(2006.11.13)
【コメント返答(3)】「大久保住民」さんへの答えに窮して、両さんに助けを求める?……の巻(2006.12.03)
教育基本法改正は子どもの権利条約違反!(『週刊金曜日』2006.12.1号)(2006.12.08)
イベント報告記事/書籍『日本の中の外国人学校』/DVD『となりに生きる外国人——多文化共生って何?』(2006.12.11)

『NHKスペシャル』ワーキングプアⅡ 努力すれば抜け出せますか(12月19日(火)深夜【水曜午前】0時00分〜1時15分再放送)

遅ればせながら、観ることができました。
この社会が現実に抱えている問題、現実の姿を浮き彫りにしようとする、素晴らしいドキュメンタリーだったと思います。

ところが、と言いますか、

ワーキングプア・いくら働いても報われない(その3)(お玉おばさんでもわかる政治の話、2006.12.11)
格差社会の中のワーキングプアという貧困(花・髪切と思考の浮游空間、2006.12.12)

などによると、
「「ワーキングプアになったのは本人の責任、なんでこんなものを放送するのだ」といった類」の抗議が寄せられたり、番組制作スタッフへの内部圧力がかかってきているそうです。

内部圧力って、>『ETV特集』への安倍晋三たちの政治圧力の話を彷彿とさせますね(市民権なき国民の国/拉致問題でますます歪む日本の民主主義と、報道規制その決定的証拠)。

それはさておき。

このワーキングプアⅡ 努力すれば抜け出せますかでは、岐阜県の繊維業界の話が取り上げられていました。
岐阜の繊維業界と言えば、以前、『週刊金曜日』でもレポートがありました(『週刊金曜日』現代の女工哀史——中国人実習生)。関心を持たれた方は、ぜひバックナンバーを取り寄せてみてください。異様で恐ろしい世界が、そこには広がっています。

今回の番組では、
大雑把に要約すると、時給200円や300円で働く中国人研修生が働くライバル工場のせいで零細業者がつぶれていく、という事態が報告されていました。

そのときにナレーションのニュアンスがちょっと気になったのですが、
このような事態が生じてしまったのは、外国人労働者が日本に入ってきたことが根本的な原因ではありません。

法定の最低賃金以下で研修生に単純労働をさせるという、研修制度の本来の目的を逸脱した経営を行なっている企業と、それを黙認してきた日本政府にこそ、事態の責任はあるのです。

在日外国人の人権をないがしろにすることが、結局は日本人の首をも絞めてしまう例の一つだと言えるかも知れません。
内橋克人氏は、「地獄への競争」といった表現(うろ覚えです……)で、事態を表現していました。

そんなことを考えながら番組を観ていて思ったのは、
外国人単純労働者の公式的な導入や移民の受け入れをもし実施するとすれば、
「安価な労働力」の確保が目的になってしまってはならない、ということです。

フィリピンから介護士、日本から毒性廃棄物?(3)では、

人権保障の観点から、「外国人・民族的マイノリティ人権基本法」「人種差別撤廃法」の制定や、
「すべての移住労働者とその家族の権利保護に関する条約」の批准などを実現するのが先決だと考えます。

と書きましたが、日本人の生活を守るためにも、そして、排外的な風潮がこれ以上日本社会に広まるのを防ぐうえでも、これらの実現は必要なのだと思います。

まあ、これまで本ブログで書いてきたことを思えばあまりにも当たり前の推論なんですが、
なんだかんだと慌ただしい年の瀬のせいで、これ以上、考えを進めることができておりません……。

ともあれ、再放送があるそうなので(12月19日(火)深夜【水曜午前】0時00分〜1時15分再放送)、見逃した方は、ぜひ、この機会にご覧ください。
京都も舞台になってますし……(鬱)。

※外国人研修生に関する最近の書籍としては、『外国人研修生 時給300円の労働者 壊れる人権と労働基準』外国人研修生問題ネットワーク編がおすすめです。

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「埼玉 となりのイスラム教徒」(ドキュメント72時間)/外国人障害者バス乗車拒否裁判

2006.12.12.00:30ころ

外国人障害者バス乗車拒否 仙台市に55万円賠償命令(Sankeiweb、2006.12.01)

 外国人の風ぼうや障害者であることを理由に、市営バスに乗車拒否されたとして、パキスタン出身のガンガット・グラーム・フセインさん(60)=仙台市太白区=が同市に165万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、仙台地裁であった。
 畑中芳子裁判官は「運転手が人種の違いや、身体障害を理由に暗黙のうちに差別的取り扱いをした」と指摘し、法の下の平等を定めた憲法や人種差別撤廃条約などに違反したと認定。精神的苦痛を与えたとして市に55万円の賠償を命じた。
 判決などによると、フセインさんは来日後に日本国籍を取得、左半身にまひがある。
 平成15年10月、パキスタンから来た友人に会うため、仙台市内でバスを待っていたところ、バス停を約22メートル過ぎて停車した。
 このバスにいったん乗って「荷物を取りにいく」と告げ、運転手も承諾した。しかし、バス停まで戻ろうとすると、運転手が待たずに発車させ、乗車を拒否した。
 判決は「運転手はフセインさんが足の不自由な身体障害者で、人種的な意味で外国人と認識していた」と指摘。「バスの遅れはわずかで、停車による渋滞も引き起こしていなかった」として、運転手の故意または過失による差別とした。

人種差別、障害者差別の両面から問題となる事件です。
しかしおそらく、日本人の障害者に対してであれば、このような扱いを運転手がなすことはなかったのではなかろうか、とも思います。

とまあ、フセインさん側の勝訴は嬉しいながらも、こういう事件が起きること自体に鬱々とした気持ちになっていたところで、NHKが嬉しいドキュメンタリーを放映してくれていました。

埼玉 となりのイスラム教徒(ドキュメント72時間、2006.12.05)

イスラム教徒と聞くと、アルカイダやテロリストとついつい重ねて見てしまう人が今や日本社会の大勢だと思います。その誤解を解くきっかけになる、良質なドキュメンタリーだったと思います。

未見の方は、ぜひ再放送のお願いを、NHKヘ!


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在留特別許可のガイドライン(イラン人一家、強制退去へ)

2006.12.11.07:00ころ
2006.12.12.00:30ころ。関連記事へのリンクを末尾に追記

イラン人一家、強制退去へ  猶予1カ月、夫婦と娘2人(東京新聞、2006.12.08)

 約16年前に来日して不法残留状態となり「帰国すると生活が困難になる」との理由で1家4人の在留特別許可を求めているイラン人のアミネ・カリルさん(43)=群馬県在住=夫婦が8日、東京入国管理局に出頭し、入管側から在留を許可しない方針が伝えられた。
 この日は強制退去の猶予措置である仮放免期限に当たり、約1カ月の延長は認められた。アミネさんの長女マリアムさん(18)は群馬県内の短大に合格し、保育士を目指しているが、4人は仮放免中に準備を整え、出国しなければならない。
 アミネさんは1990年に来日。翌年に妻(39)と当時2歳だったマリアムさんを呼び寄せ、96年に2女(10)が生まれた。4人は99年に在留特別許可を求めて東京入管に出頭したが認められず、強制退去処分を受けた。
 2000年に処分取り消しを求め東京地裁に提訴したが、今年10月の最高裁決定で敗訴が確定。これまで仮放免の延長を重ね、在留特別許可の再審査を求めていた。
 2女も地元の小学校に通っており、アミネさんは「日本語しか話せず、日本の文化しか知らない子どもたちはイランで生活するのは不可能」と主張している。
(共同)

法務省の在留特別許可に係るガイドライン在留特別許可に係るガイドラインの策定について参照)を読むと、積極要素(4)に該当するように思えるのですが、日本政府としては消極要素(2)に挙げられている2つ目の例にあたるとして、これを重視したということでしょうか。
もしそうであれば、積極要素(4)など、ほとんど意味をなさない無意味なお飾りに思えてきます。

新たな賤民層がつくられる時代を、今まさに私たちは生きているのだと思わずにいられません。


(関連記事)
「外国人犯罪」の宣伝と報道(英訳付き、コムスタカー外国人と共に生きる会)他(2006.07.07)
『治安はほんとうに悪化しているのか』東京都治安対策担当部長(前)の懺悔あるいは告白(2006.07.16)
在留許可求め、東京入管前でデモ/「治安悪化説に異論」(東京新聞インタビュー)(2006.09.24)
虚構の上に立ついやしの「極右」か、現実の上に立つ節度ある「極右」か(2006.11.19)
【超お薦め!】『犯罪不安社会』を読んで、明るい2007年へ!(2006.12.25)
【「外国人犯罪」不安にどう立ち向かうか/「来日外国人」数の試算(2007.1.3)
法治国家で窮鳥懐に入れば大岡裁きに遠山桜!/在留支援のためのお願い2つ(2007.1.23)


インターネット新聞『JANJAN』
『マヤカシの「外国人犯罪増加」論〜「人種差別」と「棄民」を生む社会の行方〜』(2004/04/15)
『マヤカシの「外国人犯罪増加」論〜「人種差別」と「棄民」を生む社会の行方〜』(全4回の第2回)(2004/04/16)
『マヤカシの「外国人犯罪増加」論〜「人種差別」と「棄民」を生む社会の行方〜』(全4回の第3回)(2004/04/17)
『マヤカシの「外国人犯罪増加」論〜「人種差別」と「棄民」を生む社会の行方〜』(全4回の第4回)(2004/04/18)


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イベント報告記事/書籍『日本の中の外国人学校』/DVD『となりに生きる外国人——多文化共生って何?』

2006.12.11.06:54ころ

虚構の上に立ついやしの「極右」か、現実の上に立つ節度ある「極右」か(2006.11.19)

を書くきっかけとなったイベントの報告記事を紹介します。

加藤紘一・野中広務氏の“在日”観 <講座報告前編>(姜咲知子記者、インターネット新聞JANJAN、2006.12.02)
加藤紘一・野中広務氏の“在日”観 <講座報告後編>(姜咲知子記者、インターネット新聞JANJAN、2006.12.05)

<在日から見える社会>基調 加藤紘一氏 道徳的優位大切に 歴史に素直でありたい(2006.12.06、民団新聞)
<在日から見える社会>基調 野中広務元官房長官
歴史を鏡に歩もう 「参政権」の停滞は遺憾
(2006.12.06、民団新聞)
<在日から見える社会>手つなぎアジアに活路を(2006.12.06、民団新聞)
<在日から見える社会>市民講座が好評 青年会(2006.12.06、民団新聞)

そのまたきっかけとなった
「寛容の精神」のない国と、他の人間を平気で「人間以下」と見下す者/「多民族共生教育フォーラム2006愛知」から教育基本法改定を目論む日本政府へ(2006.11.13)

で紹介した「多民族共生教育フォーラム2006愛知」に関する記事も紹介しておきます。

〈多民族共生教育フォーラム2006愛知〉 兵庫、静岡に続く協議会を(2006.11.20、朝鮮新報)

母国語学ぶ権利保障を 制度的支援へネット設立(2006.11.29、京都新聞)

フォーラム会場で発売された書籍『日本の中の外国人学校』(月刊「イオ」編集部)もお薦めです。
※紹介記事(朝鮮新報、2006.11.28)

ところで、インターネット新聞JANJANでは、最近、
DVD『となりに生きる外国人——多文化共生って何?』を見て(本多良子記者、2006.12.02)
というDVD紹介記事もありました。

その最後の一段落に、こうあります。

 最後に、このDVDは、小学校から、大学あるいは社会人教育まで、日本社会に生きる外国人との共生を考える教材資料としては最適だと思うが、この1枚8000円という価格設定は疑問だ。図書館価格は倍額である。売りたくないのか、売れないものとみなしているのか。

たぶん、後者でしょう(涙)。


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フィリピンから介護士、日本から毒性廃棄物?(3)

2006.12.10.14:30ころ

フィリピンから介護士、日本から毒性廃棄物?(2)(2006.11.26)
で、日本での批准はどうなったんだろうと書いていましたが、

外国からのヘルパーや看護婦(野原の小さな家、2006.12.09)

からトラバをいただいて、すでに参議院の外交防衛委員会で批准が可決されたと知りました。

厚生労働委員会などで議論する必要はない、ということなんでしょうか。
国会会議録検索システムで「経済協定」「フィリピン」で検索をかけても、それらしい審議がなされたとの結果は出てきませんでした。

日比経済協定を承認/共産党は反対 “政府に対策なし”/参院委(2006.12.06、しんぶん赤旗)

という記事を発見。そこに、次のような一節があります。


緒方氏(緒方靖夫議員、日本共産党)は、日本人にさえ、多くの差別が起きているのに、弱い立場の外国人への対策がないもとで、双方に問題が起こる可能性を指摘しました。

この懸念に同意します。

人権保障の観点から、「外国人・民族的マイノリティ人権基本法」「人種差別撤廃法」の制定や、
「すべての移住労働者とその家族の権利保護に関する条約」の批准などを実現するのが先決だと考えます。

また、介護の現場のことは詳しくありませんが、野原の小さな家さんが表明している介護現場で起こりうる問題への懸念にもうなずくところがあります。

国会でも極めて慎重な論議があってしかるべきだと思うのですが、
とりあえず何でもいいから既成事実をつくってしまえ、
という形で国会自体が動いているように見えます。
障害者自立支援法なんて恐ろしいものも、こんな感じで可決されたんでしょうか。

フィリピンから介護士、日本から毒性廃棄物?(1)(2006.11.04)
フィリピンから介護士、日本から毒性廃棄物?(2)(2006.11.26)
で触れてきた「環境」の観点については、情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士さんが紹介しておられる、
「リサイクル」の名の下に日本のごみがフィリピンへ?~政府の戦略に懸念(ENVIROASIA、2006.11.10)
もご参照ください。


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【人権週間ギャラリー展】差別と戦争Ⅱ「民族差別と同化政策 −アイヌ、沖縄、朝鮮−」(東本願寺)/NHKスペシャル「ワーキングプア2」

2006.12.09.13:30ころ

本日は手短に、イベントとテレビ番組のご紹介です。

京都の東本願寺で、下記の展示などが開催されています。

【2006年度人権週間ギャラリー展】差別と戦争Ⅱ 「民族差別と同化政策 −アイヌ、沖縄、朝鮮−」

このテーマに関しては、こちらの記事でほんの一部を紹介した『人類館 封印された扉』という書籍を、あらためてお薦めします。

明日夜、NHKスペシャルで、『ワーキングプア』に関する第2弾を放映するそうです。
「ワーキングプアⅡ 努力すれば抜け出せますか」


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教育基本法改正は子どもの権利条約違反!(『週刊金曜日』2006.12.1号)

2006.12.8.11:30ころ

先週金曜日発売の『週刊金曜日』2006.12.1号に、【教育があぶない!2006】という特集が掲載されていました。

◆教育基本法改正は子どもの権利条約違反! 安倍首相は子どもたちを〝怪物〟の餌食にする気か(木附千晶)

教育基本法を改正したい安倍首相は、どんな子ども時代を過ごしたのだろう。
著書からはやはり、自己肯定感や信頼感を保障するようなおとなとの関係は見られない。
「子どもの権利条約」の視点から、改正案を読み解いた。

保坂展人衆議院議員インタビュー 「教育基本法改正は戦前復帰のはじまりだ 」
井上哲士参議院議員インタビュー「 道徳心ない文科省に教育語る資格なし 」

など、教育基本法改定を考えるうえで、重要な記事が掲載されています。

ここでは、「教育基本法改正は子どもの権利条約違反!」という記事に添えられた表「改正案は子どもの権利条約とこんなに違う」(子どもの権利のための国連NGO・DCI日本支部代表、福田雅章氏・作成)の内容を紹介します。
この表の改正案に関する記述は、各種諮問機関の答申および国会での政府答弁などを参考に、子どもの権利条約については2回にわたる勧告や乳幼児の権利と教育に関する注釈を参考にしたものだそうです。限られた紙面スペースの関係か、わかりづらくなっている部分もありますが、そのまま転載してみます。


【子ども観】
子どもの権利条約:尊厳を持った一人の人間主体
教育基本法改定案:未熟にして、管理と選別の対象
【教育目標】
子どもの権利条約:個人の尊厳を持った市民として生きることができるように、一人ひとりの子どもの心的・肉体的能力を最大限に引き出すこと。
教育基本法改定案:(1)分に応じて国・経済界・社会に貢献できる人材の育成。(2)国定の道徳および公共心を身につけた日本国民の育成。
【教育手段】
子どもの権利条約:親や教師等との間に「安心と自信の持てる受容的な人間関係(居場所)」を形成し、そこに生まれる自己肯定感(生きる力・好奇心)と共感能力(痛みの心・同苦)を通して、人としての自律性と道徳性を開花させる。
教育基本法改定案:教育内容と達成度の基準を国が定め、競争と規律を用いて指導・教化し、選別・序列化する。
【子どもの地位】
子どもの権利条約:意見(非言語的・理不尽な欲求を含む)表明権を行使することによって受容的な人間関係を形成し、自らの成長発達(教育)のプロセスに主体的に参加する存在。
教育基本法改定案:公教育における指導教化の客体であり、規範意識(学校の権威に服従する術)を身につけていない子どもは、公教育の場から直ちに排除される。
【教育の場の形成】
子どもの権利条約:成長発達主体である子ども自身、およびその援助者である親および教師を中心に、相互関係生の中で形成される。
教育基本法改定案:(1)法律の規定と命令、(2)内閣府に設置される振興計画会議の決定する、競争と統制に関するシステム・基準と人事・予算配分基準、および(3)それらの下達を受けた教育委員会や校長の命令によって形成される。
【親・教師の地位】
子どもの権利条約:子どもの成長発達の場における不可欠な受容的な対応者として、親および教師は相互補完的に教育の第一次的な責務を負い、国はその責務の遂行を物質的・精神的に援助する。
教育基本法改定案:(1)教師は、上記「教育の場の形成」の(1)〜(3)の上意下達に基づく命令の執行者。(2)親は、公教育の担い手ではなく購買者となり、家庭で子どもに規範意識を植え付ける責務を負う。
【地域との連携】
子どもの権利条約:子どもの受容的な人間関係の形成を援助・補完する(居場所や生活の場としての学童保育の保障)とともに、子どもの遊びの権利を担保する場やサービスの提供。
教育基本法改定案:(1)規範意識を欠く子どもに対する警察等の介入の強化。(2)子どもの安全および“心の教育”のための地域的取り組み。(3)学童に代わる全児童対策としての遊び場の提供。
【教育における平等】
子どもの権利条約:親の資力、男女、障害を持った子ども、その他社会的弱者に対する積極的な援助、教育の質の保障、および差別の禁止。
教育基本法改定案:(1)親の資力による教育格差の増大。(2)男女共学規定の意識的削除。(3)障害児教育の峻別。

いよいよ今年も師走に入り、バタバタしてるうちに紹介が遅れてしまい、とうとう今日から書店にはこの次の号が並びはじめる事態に陥ってしまいました(汗)。
未読の方はどこぞで2006年12月1日号を入手して、記事本文をぜひお読みください。

また、こんにちは、DCI事務局です!によると、木附氏が、教育基本法「改正」で子どもが育つか?という記事の掲載を開始しています。こちらもあわせてご覧ください。

※関連エントリー
「多民族共生教育フォーラム2006愛知」開催のお知らせと教育基本法改定論議(2006.10.26)
「寛容の精神」のない国と、他の人間を平気で「人間以下」と見下す者/「多民族共生教育フォーラム2006愛知」から教育基本法改定を目論む日本政府へ(2006.11.13)


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佐倉さんへの提案

2006.12.08.00:10ころ

佐倉さん、

長文のコメントを寄せてくださっていますが、
虚構の上に立ついやしの「極右」か、現実の上に立つ節度ある「極右」かの2006/11/29のコメントに書いたような理由で、
ちょっともう、佐倉さんのコメントに逐一返答する意欲が湧いてきません。

コメント欄を封鎖するつもりも書き込みを拒否するつもりもありませんが(貴重な意見があるかも知れませんし)、
そのまま放っておくと、なぜ私が佐倉さんに返答しないのかと疑問に思う新しい訪問者が次つぎに生まれる可能性がありますので、その疑問に答えるために私は本ブログの主宰・運営者として、佐倉さんのコメントがあるたびに、上記エントリーなどを紹介する必要に迫られます。
それはあまりにも嬉しくない負担です。

そこで、佐倉さんに提案があります。

ご自分でブログを立ち上げて、当ブログの記事へトラックバックを送る形に切り替えていただけないでしょうか。

無料のブログサービスも少なくないようですし、無理難題ではないはずです。

ご検討、よろしくお願いします。


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【コメント返答(3)】「大久保住民」さんへの答えに窮して、両さんに助けを求める?……の巻

2006.12.03.01:30ころ

前回のエントリーの最後でちょっとだけ触れましたが、

「寛容の精神」のない国と、他の人間を平気で「人間以下」と見下す者/「多民族共生教育フォーラム2006愛知」から教育基本法改定を目論む日本政府へ

のコメント欄に、
東京の大久保に住んでおられる方(署名に従って、以下では「大久保住民」さんと呼ばせていただきます)から、極めて重い問いかけが寄せられました。

東京の大久保といえば、コリアタウンとして、そして、外国籍住民との共生を目指す町づくり、地域づくりに積極的に取り組んでいる地域として、注目を浴びているところです。

ウェブで検索してみても、たとえば新大久保商店街振興組合は、1998年の段階ですでに、

「どこの国の人でもお客様として同じように接客しましょう。」
「だれでも楽しくお買物ができる商店街にしましょう。」

という方針を打ち出し、「天使のすむまち」を愛称にしているなど(うさちゃんっぽい天使もいます^^)、いわゆる「多文化共生」でイメージされるものを積極的に町づくりに取り入れてきているようです。
(「天使のすむまち」と聞くと、バンコクがタイ語で「天使の都」と呼ばれているのを思い出します。)

そこには、
「怪獣使いと少年」のパン屋の娘さん的な生き方や、
新葛飾署・亀有公園前派出所勤務の両津勘吉巡査長の語る「江戸下町文化」的「外国人とともい生きていく道」(※記事の末尾にその台詞を転載します)
が感じられて、個人的に非常に強いシンパシーを感じます。
こうした取り組みを続けておられる方たちに、遠く京都からではありますが、熱いエールを送りたいと思います。

前置きが長くなってしまいました。

まず、いただいたコメントの全文を引用してみます。

 東京の大久保在住の者です。多文化共生のまっただ中にいると仲氏の主張も佐倉氏の主張もどちらもうなづけるものがあります。
 当方にとって現在のコリアンニューカマーとの共生は現実問題であり、付近のゴミ出しからお知らせの伝達まで彼らに日本の仕組みをきちんと教え,場合によっては地域サービスの利用までサポートすることに追われています。
 一方、大久保ではコリアンニューカマーの増大により古くからの日本人が環境悪化を理由に引っ越すことが後を経ちません。その後をコリアンニューカマーが住んだりするので、こういう事態を由々しきことと見ている日本人も多いです。ここ数年他のアジアがコリアン系の店の増大により大久保を去ることも多くホントに多文化共生か?という事態もおこっています。
 最後に教育に問題ですが,大久保の小学校の中には外国人の親の割合が4〜5割のところもあり、そういう学校に子供を通わせている日本人は、「いつ民族教育の要求が出てきやしないか、そういう学校に自分の子供を通わせるのが適当か」を常に悩んでいます。多文化共生の裏側ですね。仲さんはこうした環境に住む日本人の考えをどう受け止めますか? なお、コリアンニューカマーの方達ですが不法滞在のオモニの中には深夜に子供を連れ出したり、学校に通わせていない人もいるようです。もともと出稼ぎに来るべき人でない人が無理矢理来ている訳で,まずはきちんとビザとってこいっていうのはまともな主張だと思います。

非常に難しいテーマが、しかも具体的問題となって表れています。
答えやすい後ろの方から、答えていきたいと思います。

最後の一文に、「大久保住民」さんは次のように書いておられます。

まずはきちんとビザとってこいっていうのはまともな主張だと思います。

そのとおりだと思います。
日本での生活(特に子どものケア)を十分に考えてから、(その前提として就労のためのビザをとってから)来日すべきだというのは、まったくもって同感です。

ただ、人の世の常として、誰もがきちんと法律を守って生きていける(生きている)わけではありませんし、もし今後、日本政府が単純労働のための滞在資格を設けたとしても、それが取れなくて観光ビザなどで来日して仕事を求める人が、なくなるとは思えないのが、また悩ましいところです。

いずれにせよ、子どもに罪はないのですから、子どもにとって最善の状況を提供できるよう、周りの大人がサポートしていくべきだという原則は、私としては、譲れません。
具体的事情次第で、帰国を薦める場合もあるでしょうし、日本での在留資格取得を目指す場合もあると思います。

しかし、その判断がまた極めて難しかったり、そもそもそういうサポートを他人が行なうこと自体もなかなか大変だったりするわけで、
子どものサポートで周りの日本人が疲れきってしまう、という事態も少なくないと思います。
そうなると日本人の側で「私はいったい何してるんだろう?」と思う瞬間も、自然と生まれてくるのではないでしょうか。なにせ、私にもあることですし。

そんな時に私の場合は、こういうことは日本人の保護者と子どもをサポートしている人にも起こりがちな状態なのだろうし、そういう思いをしながらも全国で、たくさんの人たちが、これまでも、そして今も奮闘しているのだろうなあなどと想像することで、どうにか踏みとどまれているのかな、と思います。子どものためを考えると放ってはおけないという思いが、もちろん核にはあって。

ともあれ、他人の子どものためにベストの状況を作り出すべく、四苦八苦あるいは創意工夫している大人の姿勢を見て育つ日本の子どもたちが将来築いていく社会は、闇の部分に追いやられている子どもたちを放置し、排除していく大人たちを見て育つ子どもたちが築く社会と比べて、はるかに人にやさしく、日本人自身にとっても過ごしやすい社会になっていくに違いないと思います。そこに望みを託したいと思います。

もちろん、自分の子どもをほっぽり出していては、アカンのでしょうけど。

少し前で、「大久保住民」さんが、こう問いかけてくれています。

大久保の小学校の中には外国人の親の割合が4〜5割のところもあり、そういう学校に子供を通わせている日本人は、「いつ民族教育の要求が出てきやしないか、そういう学校に自分の子供を通わせるのが適当か」を常に悩んでいます。多文化共生の裏側ですね。仲さんはこうした環境に住む日本人の考えをどう受け止めますか?

保護者の方々の悩みを間違えてとらえている可能性がありますが、ひとまず、次のように考えました。

「民族教育の要求」と言っても、今の日本の教育体制の中で想像できるのは、たとえば外国にルーツを持つ子ども向けの継承語教育・母語教育、特別な時間を設けての民族文化紹介などにとどまるでしょうから、あまり日本人の保護者の方が心配なさる必要はないのでは、と思います。

私としては、せっかくだから、日本人の保護者の子どもが同じ地域で暮らす子どもたちのルーツにつながる言語を学ぶ機会を設けては、と思うのですが、そういう取り組みは難しいのか、あまり聞いたことがありません。

ただ、教育バウチャー制度など、受験競争を核に据えて、なんだか学校間格差を強化する方向を目指す政権が誕生してしまっている現実を見ると(なんと我らが京都市の教育長が教育再生会議なんかの委員になって、その手のシステム導入を声高に叫んでいるようです……)、小学校に子どもを通わせている段階とはいえ、ますます厳しくなりそうな受験社会、学歴社会を想像して、不安を持つ保護者の方が出てくるのは自然だろう、と思います。受験に向けた教育に時間や力を割いてほしい、と。

しかし、私は、多様な文化背景を持つ子どもたちが共に遊び、学ぶ場があることは、子どもの人間的な成長にとって大きなプラスになることだと思っており、一方で、それをマイナスと思わせてしまう日本社会の現状も認識しているつもりであるがゆえに、即効力のある特効薬的な解決策が見つからず、答えに窮してしまって文章もこんな感じにのたうちはじめてしまいます……。

抽象的に言えば、結局は、そのプラス面を伸ばす学校運営に保護者や先生たちが試行錯誤しながら取り組んでいくことが、子どもたちにとって大切であり、同時に、地域にとっても大切なのだと思います。

ところが、教育行政への中央政府からの管理が強まっていくとなると、地域の特性を活かした試み自体が難しくなるおそれがあります。
そんな意味からも、今回の教育基本法改定は、かなり問題があると思い、また、なおさら今現在の保護者の方々の不安を解消できるような言葉を、つむぎだせないでいるのです。

「大久保住民」さんは、前段で、こんな事態を報告してくださっています。


 一方、大久保ではコリアンニューカマーの増大により古くからの日本人が環境悪化を理由に引っ越すことが後を経ちません。その後をコリアンニューカマーが住んだりするので、こういう事態を由々しきことと見ている日本人も多いです。ここ数年他のアジアがコリアン系の店の増大により大久保を去ることも多くホントに多文化共生か?という事態もおこっています。

コリアンタウンとして名高くなるのにつれて、他のエスニック系のお店が大久保を離れていくことが多いのであれば、それが「ホントに多文化共生か?」と問いかけたくなるのは、もっともなことだと思います。

私個人は、同じ地域の中にいろいろなエスニック料理を楽しめるお店がたくさんある方が嬉しいと思う人間なのですが、京都の町も、なかなか私の思うようにはなってくれません。
お気に入りのレストランがつぶれてなくなることも、長いこと暮らしていると、ぽつぽつあって、資本主義社会の中では仕方がないと考えながらも、残念に思う気持ちは否定できません。

古くから住んでいる日本人が、環境の悪化(「変化」と言いたいところですが、「悪化」ととらえる心情も理解できます)を理由に町を離れていき、その後に、その「環境の悪化」を引き起こしたのと同じルーツを持つコリアンニューカマーが住むようになる。それを由々しき事態ととらえる。その心情も、理解できます。

おそらく、そういう心情を抱きながらも、もし今ある「人の移動」を禁止するような方向へ走りはじめると、人が土地に縛り付けられていた封建時代のような不自由で差別的な社会に逆戻りしていくでしょうから、そうではない道をなんとかして見つけ出そう、切り開こうとして、新たな町づくりに取り組んでいる人も少なくないのではないかと想像します。

国境を越えた人の移動がこれだけ活発化してきて、しかも日本が、世界の中では2番目の経済大国として、多くの人たちを引きつける「都会」として地球社会の中にあり、しかも、大久保は、その日本の中でも「最大の都会」の中にあります。

日本社会全体の中でも、大久保は、それこそ「多文化・多民族・多国籍」化の最先端となっているわけで、
そこで町の運営を担う人たちは、町のあり方や町づくりの方向性(と言うより、町のあり方を常に試行錯誤しながら更新していく、バージョンアップ、と言う方が適切かも知れません)について、自問自答しながら、進んでいかざるを得ないのが実状だと思います。

ただでさえ、正解も模範解答もない問題に取り組んでいるうえに、国家というものが現に社会の大枠をつくっている現代社会で育ち暮らしてきた私たちの心の中に微妙な感情が生まれてくるのも無理からぬ話だよなあと思えるセンシティブな問題も、そこでは意識せざるを得ないことが多々あるはずです。

「いろいろ大変なことはあるでしょうけど、少しでもその状況を楽しみながら、体を壊さず、その努力を続けていってください。たぶんそれが、今できる最善のことのはずです」

町で今も暮らしている人たちには、そう伝えたいのですが、
町を離れる道を選ばざるを得なかった人たちにかけるべき適切な言葉は、見つかりませんでした。

「あなたたちの前途に幸いがありますように!」

そう祈るのが、精一杯です。

ここで、ふと思い出したので、紹介しておきます。

現実に押される形で多文化主義へと進んできたオーストラリアの歴史が、
「マルチカルチュラリズム(多文化主義)のゆくえ—オーストラリアの人種・エスニック問題をめぐって」(杉本 修平)
にまとめられています。「共産主義者同盟(火花)」という、激しく熱いタイトルのサイトです。

こちらでのコメントのやりとりをしている時に見つけた記事でして、今後の日本社会、日本人の進路を考えるとき、示唆に富む内容が書かれていると思います。

その後、「大久保住民」さんへコメント欄を通して質問が寄せられ、「大久保住民」さんは次のように答えてくださいました。ありがとうございます。


>質問ですが、韓国の方にゴミの出し方など日本のルールを教えたら、
>彼らはちゃんとそれに従うのでしょうか。
 彼らも千差万別でひとくくりには出来ないと思いますが多くの方は従います(現在韓国でもゴミの分別は進んでいるそうですね)。
 が、一部住民そして韓国料理店のゴミ出し(まき散らし?)はトラブルの元になってます。子供を幼稚園とか小学校に通わせるような人はそれなりの職に就いていたり生活環境が安定しているひとなので問題はない例が多いようです。一方無計画に来日する何とかなるだろう精神丸出しの人は商売に失敗するとか、なにか騙されたりして劣悪な環境におかれる場合もあって突然失踪したり、部屋に知らない人と住むようになったりで、日本のルールなんか考える暇などないって感じの人もいますね。
 まあこういう些細なトラブルの日常を経ながら大久保のコミュニティは日々変化しているわけです。こういうことが好きな日本人もいれば、苦々しく思っている人もいます。多文化共生には良い面もあるが,悪い面もあるというのが自分の実感です。 

私の知る範囲でも、韓国では、地域差もあるのかも知れませんが、ゴミの分別や省量化が、わが町京都(今秋、ようやく指定ゴミ袋が導入されました)なんかに比べると、はるかに進んでいるようです。

長々と書いてきましたが、「大久保住民」さんの問いかけに、きちんとお答えできたか、自信がありません。

最後に、上でちょっと触れた『こち亀』の両さんと中川巡査の会話を紹介して、大久保で、そして他の地域で、「多文化共生」の地域づくりに取り組んでいる方たちへのエールに(なるかどうかは怪しいですが)代えたいと思います。

両津勘吉氏は、江戸下町文化について、部下の中川巡査との会話の中で、次のように語っています。(秋本治・著『こちら葛飾区亀有公園前派出所』90巻「ペット・マンション!の巻」より)

中川「外国の人達が多くなりましたね」
両津「だからうちの署でも係をつくって対応しているんだよ。しかしまだ勉強不足でだめだ! だから20カ国語話せて外国の文化にも詳しい中川や麗子に(道案内の通訳が次つぎに)回ってくるんだ! 外勤で忙しいのに!」
中川「僕の方はかまいませんが!」
両津「日本は島国のせいか 外から入ってくるものに対してこだわる。そのくせわがままだ。この間みたいに米ひとつとても日本中大騒ぎになるかなら。国産米以外は米じゃないといわんばかりだ! いやなら他に何だって食べりゃいいんだよ! 国が違えば米の作り方も考え方も違うのは当たり前だ。人・食品・製品すべてがその国の文化なんだから」
中川「言葉より文化を学ぶ事の方が大切なんですよ、本当は!」
両津「そうだろ」
中川「毎年100万人くらい海外旅行へ行っても買い物だけですからね。その国の文化をひとつでも学んでくるといいんですけどね」
両津「ゆとりがないからな! 日本人は。7日間でヨーロッパ5か国なんてムチャするからな、旅行会社は! お金の単位を覚えてる間に旅行が終わってしまう(EU統合の前の話です)」
中川「本当ですね」
両津「修学旅行でみんな馴らされすぎている! 寝不足で京都の寺を20軒回らされてみろよ、どこが薬師寺だか竜安寺だかわからなくなるぞ。本来、江戸下町文化ってごった煮じゃん! いろんなやつが江戸に来て長屋に集まるだろ。そこには見えも気取りもないんだよ。長屋の形状からみんな『お隣さん』だからな、すぐ親しくなれるわけよ。だから取り敢えず「いらっしゃい』だよ。それから考えりゃいい!」
中川「懐が深いですね!」
両津「わしなど米がなくともラーメンだけで1年間暮らせる自信がある」


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