複国籍PT


2022年3月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
無料ブログはココログ

あわせて読みたい

  • あわせて読みたいブログパーツ

« 【コメント返答(1)】若い世代へ伝えたい期待 | トップページ | 【コメント返答(3)】「大久保住民」さんへの答えに窮して、両さんに助けを求める?……の巻 »

【コメント返答(2)】文化の「無常」を受け止め、共生のための新たな社会変革を

2006.11.29.00:31ころ

虚構の上に立ついやしの「極右」か、現実の上に立つ節度ある「極右」かに、
sadatajpの「基本を押えて」さんの
一つの集団の基準は一つ、多文化共生は無理からトラックバックと、以下のコメントをいただきました。


>トラックバックしました。特に後半部分を読んで欲しい。
>右派は不満のはけ口とか叩きたいとかでなく心底出ていって欲しいと思ってるのですよ。日本に合わせるという意味で懐に入ってくれるなら大歓迎するんですけどね、違う文化持ったままで入られるのは嫌なんですよ。ホントは叩くのも嫌。関わりたくない。只々出ていって欲しい。という事なのですよ。
>
>その良し悪しはともかく、ありのままを受け止めて下さい。

すごく率直なコメントで、sadatajpさんの訴える心情は、もちろんありのままに受け止めるほかありません。

そのうえで、トラバをいただいた記事の内容について、私見を述べてみたいと思います。

前提としてまず、

「文化」と「人あるいは文化が共存していくための社会的ルール」とを分けて考えることが必要だ、

という私の考えを、まず提示しておきます。
そこがsadatajpさんの記事では、そこが不分明のように思いますので。

さて、上記記事中で、私が賛意を覚えるというか、極めて論理的だと考える部分をまず引用してみます。

>可能なのは多文化並存か文化統一しての共生です。 >このどちらかです。多文化共生は不可能です。

>多文化共生を主張してる人の意見の中身は一つの文化での統一です。
>文化の尊重と言ってはいますが実際やってるのは文化の破壊です。
>既存の文化を破壊して新たな文化を創造してその新たな文化で世界を統一する。
>これが多文化共生を主張してる人の意見の中身です。
>目指すのが統一ですから取り込みに熱心ですが、
>目指すのが統一ですから新たな文化を押し付ける事にも熱心です。
>個々の意見の尊重なんて口では言ってますが実際は尊重しません。
>考えを変えて合わせる事を絶対的に求めます。
>そうしないと文化が保てないのでそうします。
>これがいわゆる左派、革新派と呼ばれる人の考え方です。

佐倉さんへの返答の中で書いたように、マイノリティに同化を迫る今の日本の文化は変容すべきだ、私は考えています。

その点では、あまり嬉しい話ではありませんが、現在の安倍政権とも同じとも言えます。
なぜなら、安倍政権は、今の「日本文化」が彼らにとって都合がよろしくないから、教育の場からそれを変容させようとしている。
一方、私は、マイノリティの子どもたちにとって、そして日本の子どもたちにとって上記のような「日本文化」は好ましくない、日本の将来にとってもよい結果は残さないと考えているから、教育のあり方やシステムを変えるべきだと考えている。
構図は、ずいぶん似通っている気がするのです。

マイノリティにマジョリティへの同化を求める日本文化は日本の子どもにとっても好ましくない、と考える理由は、そのような文化の中では、自文化と他文化との圧倒的な階層意識、上下意識が自然に芽生えてしまうからです。
そして、そのような意識がいったん生じてしまうと、そこから抜け出すことはなかなか難しい。いまだに日本社会に、明治以来のアジア蔑視感情が深く広く根づいているように。

上記引用部分に続けて、sadatajpさんは、次のように述べます。


>右派はこの逆です。
>既存の文化を守ろうとします。それを否定する新たな文化なるものを否定します。
>自国の文化を尊重するだけに他国の文化も尊重します。ただし勝手にどうぞという尊重ですが。
>目指すのは世界の統一でなく自国の独立です。個々に独立しての多文化並存です。
>自国文化で世界統一なんて考えません。考えはするかもしれませんが直ぐに止めます。
>自国の文化を守りたい為に他の文化の流入を嫌うからです。
>一緒になるより距離を置くことを望むようになります。
>個々の意見は尊重します。但し違えば出ていけと言います。
>他所でやる分にはどんな考えでもいいと許すけど、同じ場所では許しません。
>考えを変える事を求めない代わりに出ていくことを求めます。
>そうしないと文化が保てないのでそうします。
>これがいわゆる右派、保守派と呼ばれる人の考え方です。

こういう思想的立場が存在することは、私も認識しています。と言うか、外国にルーツを持つ子どもたちを支援する活動に関わっていると、こういう考えの人に立ちふさがれることが少なくありません。

ただ、現実に日本社会の中でこのような立場にこだわる人たちは、他文化にルーツを持つ子どもたちだけでなく、自分自身をも苦しめることになるのではないでしょうか。

他文化にルーツを持つ子どもたちを苦しめる、という点については、あらためて説明する必要はないと思います。そこで後者について説明してみます。

sadatajpさんは、「自国の文化を守りたい」と書かれていますが、その「自国の文化」ですら、実は、外部からのさまざまな影響を受けて絶えず変容しつづけてきたものなわけです。
そのダイナミズムの中にこそ、「文化」は生き生きと生き続ける。
今私たちが「日本文化」と考えているものですら、それが「明治以降」に「日本文化」として新たに作られたものだったりパッケージ化されたものだったりする。しかもそれは、朝鮮半島や中国大陸、ヨーロッパ諸国などからの影響を受けてつくられてきたものでもある。

一方で、日本社会の経済的繁栄を基礎づけている日本人や日本企業の活動が、自動車にしろアニメにしろ、諸外国においてその国の伝統文化を破壊あるいは変容させることによって成り立っている。

日本社会も日本文化も、他者との接触などを受けて変容しつづけてきたものであり、他者にも影響を与え変容をもたらしてもきており、この傾向は、経済活動や人の国境を越えた移動が常態となった現代社会においては、なおさら強まります。
その変容を無理に抑えようと望むことは、仏教的に言えば、「無常」の中で「執着」を生むことに他なりません。
それは「多様性が存在することを認めない小宇宙」を求めることであり、しかしそれは無理な話ですから、自分自身を苦しめることになっていきます。さらには、

>考えを変える事を求めない代わりに出ていくことを求めます。

と、「他文化の排斥」を求めるようになり、他者をも苦しめることになります。
「日本の文化」以外のルーツを持つ人、それを大切にしたいと願う人(日本国籍であることも少なくありません)が今も、そしてこれからも、日本社会では暮らしていくことになるでしょうから、このような思想は、そういう人たちに酷な結果だけをもたらします。

また、sadatajpさんはこうも言います。

>一つの集団の中では基準は基本的に一つです。 >同じ基準を持つ者達の集まりが一つのまとまった集団です。 > >一つの集団の中では基準は一つでなければまとまりません。違う基準を持つ者が同じ集団に入ってしまうと違う基準を持つ者と衝突します。衝突し、基準の違いで分かれて互いに争うようになります。一つの集団の中に二つの集団が出来て、その二つの集団が互いに争うようになります。一つの集団の中の基準は一つなので、どちらの基準を集団全体の基準とするかで争うことになるのです。この争いは一つの集団の中に異なる基準がある限り収まりません。争いを収める方法は三つ。

ここで語られている「基準」は、「社会的ルール」と置き換えた方がふさわしいだろう(あるいはわかりやすいだろう)と思います。
そうでなければ、「思想・信条の自由」すら認められない国家社会の存在を肯定することになってしまいますので。

争いを収める方法として、sadatajpさんが挙げているのは「弾圧」か「排斥」、あるいは「共存のための新たな基準(ルール)を定めること」です。
そしてsadatajpさんは、残念ながら、「新たなルールを決める」ことの可能性を、ほとんど信じておられないようです。

たしかに、sadatajpさんが解説される「右派、保守派と呼ばれる人の考え方」に従えば、そのような結論に落ち着くのが自然かも知れません。

しかし、「右派、保守派と呼ばれる人の考え方」をとらない私は、上で述べたような理由から、多文化・多民族・多国籍な日本社会においては、「共存のための新たなルールを定める」ことこそが、最も合理的かつ人道にかなった道だと考えます。その道をこそ進むべきだと、これからも声を大にして訴えつづけるつもりです。

実を言うと、変容を迫られるのは、sadatajpさんもお気づきのように、日本文化の側だけではありません。
日本で暮らすようになった外国にルーツを持つ人たちは、その文化を日本に持ち込むとは言っても、それをまったく母国の形そのままで維持するのは難しいという現実があります。言葉にしても生活習慣にしても。

「多文化共生」という概念について、最後に書いておきたいと思います。

「多文化共生」という語には、マイノリティの側にも違和感を感じている人が少なからずいることは、マジョリティの側の人たちにも留意してもらいたいところです。日本人が圧倒的に強い立場にある社会状況で目指すべき「多文化共生」とは何かを考えるとき、実はそこに直視すべきさまざまな問題が横たわっていると思うからです。

そして、いつか、マイノリティの側が感じている「違和感」を超克する何かが生まれたとき、「多文化共生」という言葉が、真に輝きを発することになるのだと思います。
相互に変容し合いながら、さまざまな文化が多様性を尊重されて、この社会に存在する時がやって来て。

とまあ、ここまでは一般論、抽象論での話です。
sadatajpさんからコメントをいただいたのとほぼ同じ時期、「寛容の精神」のない国と、他の人間を平気で「人間以下」と見下す者/「多民族共生教育フォーラム2006愛知」から教育基本法改定を目論む日本政府へに、東京の大久保に住んでおられる方から、生活実感に基づいたコメントをちょうだいしました。そのコメントは、上に書いたようには簡単に割り切れないものがあることを教えてくれます。

次回は、その大久保住民さんのコメントを紹介しつつ、考えを進めてみたいと思います。

ただ、今日は疲れたので、この辺で。
大久保住民さま、回答は今しばらくおまちください。


Banner2←何か感じていただけましたら、クリックひとつ、お願いします。

にほんブログ村 ライフスタイルブログへ←「おおっ」と思われたら、クリックひとつ、お願いします。

« 【コメント返答(1)】若い世代へ伝えたい期待 | トップページ | 【コメント返答(3)】「大久保住民」さんへの答えに窮して、両さんに助けを求める?……の巻 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

外国人労働者・移住労働者」カテゴリの記事

国際結婚」カテゴリの記事

多民族国家ニホン」カテゴリの記事

連帯でGO!」カテゴリの記事

コメント返答シリーズ」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

» 【署名】目指すは10万人! イラクに今こそ平和を!! [Some Kind of Wonderful]
ニューヨークを基盤に活動する市民団体、The Res Publicaでは、ただ今イラクの平和を求める停戦キャンペーンを展開中!以下は停戦キャンペーンのウェブサイト Ceasefire Campaign: Stop the War およびMLの記事から抜粋・翻訳したものです。 To : ブッシュ大統領へ From : 世界の市...... [続きを読む]

» 自民党復党は国民に対する裏切りだ & 安倍氏は優柔不断のまま何もできず・・・+αのアレコレ [日本がアブナイ!]
  PCがまたご機嫌斜めになり、昨日書いていた記事のつづきが消えてしまった。(涙) <教基法の改正16条について書いていたものの一部も。(泣) 両方とも改めて、 書き直すです。・・・何か急に左クリックが機能しなくなることがあって、超不便。>  TBもうまく行かないところがあり。コメント欄のレスも遅れがちで、すみません。  今回は自民党の復党問題を中心に書きたいと思う。またMore部分に、オマケ?で *αのアレコレも書いてみた。      27日、自民党がいわゆる造反無所属... [続きを読む]

» 野党共闘は 強闘の精神で!  [らんきーブログ]
以前にも書いた いよいよ参院選^^えっ?ちょっと早い(笑)で来夏の参院選の簡単なまとめです。 我ながら表まで作ったりしてよく頑張ったなって感じでもう一度アップします(笑) Q. 参議院議員が半数ずつ改選されるの... [続きを読む]

» 「共謀罪」メディアは傍観 [競艇場から見た風景]
「共謀罪」が緊迫してるのにメディアはまったく傍観してる状況。 頼りは「保坂展人」さんのブログ。もう新聞も止めることにしたバィ! 新聞屋さん契約切れてますので、今月で止めますわ。意味ないもんね~ぇ! 「共謀罪審議」を【保坂展人のどこどこ日記】より引用して報告し..... [続きを読む]

» 幸せなら目を覚まそう! [競艇場から見た風景]
郵政反対派12人が復党願 自民、平沼氏受け入れぬ方針 これで現職議員の扱いについて決着がつき、11人が復党すれば党所属の衆院議員は305人となる。だが、各世論調査をみても復党への世論の反発は強いうえ、調整の過程で中川幹事長と青木幹雄参院議員会長らとの執行部..... [続きを読む]

» 自民党に投票させないプロジェクト開始 [そぞろ日記]
「私の住民税が3倍になっているんです。計算間違いじゃありませんの?」 彼女は常日 [続きを読む]

» 拙速ですが:【ブログ連合】会員募集開始します。 [平和のために小さな声を集めよう]
さて、拙速の観は否めませんが、私の提唱する「ブロガーズ連合」(仮称)のメンバー募集を始めます。 参加(ブログをもっていても、いなくても結構)応募される方は、下記のメールアドレスに、「ハンドルネーム」、「ブログ名」(ある方のみ)、「ブログURL」、「メーリン..... [続きを読む]

» 彼らが優しくなれるとしたら [非国民通信]
代理出産の是非を審議 政府、学術会議に要請  塩崎恭久官房長官は30日午後の記者会見で、代理出産の是非を含む生殖補助医療全般の在り方について、法務省と厚生労働省が同日、日本学術会議に審議を要請することを明らかにした。政府は学術会議の答申を受け、必要な法整備に乗り出す構えだ。  この結果はどうなるでしょうか。今よりももう少し、子供が産めない女性にも優しい社会に向かってくれるようだといいですね。  ま、私は自分が子供... [続きを読む]

» 『外貨預金』や『投資信託』はギャンブル(追記1) [関係性]
 前回ブログにコメントを交えて、ここでもう一度整理していく。私へのコメントとそれへの返事が次のものである(一部修正)。  una:TB有難うございました。  外貨預金の仕組みが少々分かりました。  クワバラクワバラです^^;    unaさんのブログ「気の向くまま」       http://blue.ap.teacup.com/una3310/  morichan:unaさん  いつもコメント有難う御座います。  私は会社経営をしていますが、金融機関との関係を断ち切って経営ができるわけではあり... [続きを読む]

» 『外貨預金』や『投資信託』はギャンブル(追記2) [関係性]
 (つづき)  「銀行の投信、検査強化」(朝日新聞11月24日付け朝刊)で、金融庁と証券取引等監視委員会は銀行の投信販売の重点検査に乗り出したことを掲載している。  「銀行の投信販売は98年に解禁され・・預金と違って元本が保障されておらず、急激な取引量の増加に伴い苦情も増えている。・・銀行が販売した投資信託の残高は03年12月の16兆5千億円から06年10月には45兆7千億円と3倍近くに急増し、証券会社と匹敵する規模に成長した」と。  そして、「『定期預金を中途解約して投信にしたほうが有利になると... [続きを読む]

» 「愛国心」問答〜なぜ私は教育基本法の改定に「反対」するのか [ある国際人権派の雑食系ブログ。(仮)]
先日、当ブログに『国家が国民に「愛国心」を涵養させるための教育を行うのはホンマに「当然なこと」なの?』と題した記事をアップしたところ、コメント欄にて複数の方達から反論・質問等のご意見を頂きました。このエントリでは当該コメント欄で私が行った返信投稿を整理し....... [続きを読む]

» 「共謀罪」ネットビラ [競艇場から見た風景]
【共謀罪】ネットビラ ↑ 画像をクリック 人工樂園さんから頂いたネットビラを掲載しました。サムネイル版にしてます。少し画質が悪いですが、読めると思います。 【著作権法改正】厳罰化とネット規制で、こんなビラ掲載もヤバイ状況? この国は本当にどんな「国」なんです..... [続きを読む]

» 多文化共生でなく文化融合。 [sadatajpの「基本を押えて」]
これは「【コメント返答(2)】文化の「無常」を受け止め、共生のための新たな社会変革を」へのレスです。 安倍政権だけでなく、右左関係無く、誰もが統一しての共生を望んでます。あなたもです。 あなたが合理的且つ人道にかなった道と考える「共存のための新たなルールを定... [続きを読む]

« 【コメント返答(1)】若い世代へ伝えたい期待 | トップページ | 【コメント返答(3)】「大久保住民」さんへの答えに窮して、両さんに助けを求める?……の巻 »