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2006年9月

「犯罪人引き渡し条約」ブラジル政府からの締結交渉申し込みを、日本の外務省は2003年から拒否していた

2006.9.29.23:00ころ

今年の春以降、マスメディアでにわかに脚光を浴びはじめたものの一つに、「外国人犯罪人引き渡し条約」があります。

1)

日本国籍の子どもを交通事故で死なせたブラジル人容疑者がどうしたわけか帰国してしまい、処罰できないでいるケースがあって、その被害者家族が条約締結を求める署名活動を展開。それがマスメディアでも大きく取り上げられるようになり、あれよあれよという間に、全国知事会が同条約の締結を国に要望することになり、外国人集住都市会議も、同様の要望をまとめました

要望内容を議論する外国人集住都市会議主催の集まりを取材した新聞社の中には、「外国人犯罪を許すな」という見出しをつけて報じたところもあったとか。
社会保障とか教育とか、他にもいろいろな要望がまとめられた中で、「犯罪人引き渡し条約」の件が、強烈に紙面で打ち出されたというわけです。

2)

たしかに、犯罪者を不処罰に終わらせるのは、理不尽です。
(参考→暫定ブログ『戦争の抑え方★軍備オフ:ICCでつくる「戦争のない世界」』
何らかの対処は必要です。

ただ、その正当な処罰を求める感情が、外国人嫌悪(ゼノフォビア)や人種主義(レイシズム)を煽る人たちに利用されないよう、注意することも必要です。
上述の署名活動を展開してきた人たちはその注意を慎重に払ってきたように見受けますが、彼・彼女らの努力を上回る突風が、どこからか巻き起こってきたような、実に嫌な感じを、外国人集住都市会議についてのその報道を知ったときは、禁じ得ませんでした。

同じような気分は、知り合いのブラジル人小学生が、この一件で実にいろいろなものに対して立腹しているんだと語ってくれたのを聞いたとき(たとえば、逃げちゃったブラジル人や、この事件をとらえてブラジル人全体が悪いやつみたいに言ってくるだれかさんなんかに対する怒りです)にも感じました。
それをきっかけに、本ブログでも「犯罪人引き渡し条約」について取り上げなくっちゃと、考えたこともありました。

でも、「犯罪人引き渡し条約」とか「国際司法共助」には、ちょっと調べただけではよくわからないことが多すぎて(「犯罪人引き渡し条約」を締結しても、必ずしも「引き渡し」が実現するとは限らないみたいだ、とか)、しかもくわしく調べる時間がない、という理由で、これまで取り上げないでいました。

3)

ところが、9月24日に浜松市で開催された「ブラジルへの逃亡容疑者の処罰について話し合うセミナー」で、ちょっと驚きの発言が出てきまして、それをきっかけに情報をある程度整理できました。
で、今、この記事を書いています。
その発言は、日本国籍者にとっても、ブラジル国籍者にとっても、きわめて重要な情報だと思うのですが、私の知る限り、マスメディアでは取り上げられていないようです。

まずは、そのセミナーの開催を伝える、毎日新聞静岡版(?)の記事をご覧ください。

犯罪人引き渡し条約:日伯比較法学会、逃亡容疑者処罰でセミナー−−浜松 /静岡
 ◇「二国間で司法協定を」
 ブラジルと日本の弁護士や法律の研究者で構成する日伯比較法学会(代表、渡部和夫・元ブラジル最高裁判事)のメンバーが24日、浜松市内でブラジルへの逃亡容疑者の処罰について話し合うセミナーに参加した。同会は「自国民を引き渡さないというブラジル憲法の原則を変えることは不可能。ブラジルで迅速に訴追できるような刑事の司法協定を2国間で結ぶことが解決へつながる」と主張した。一方、同日、浜松市を訪れた外務省の平田健治・南米カリブ課長は「個々のケースで(容疑者をブラジルが処罰できるように)手続きを進めたい」と、協定などは結ばず国同士で直接交渉していく方針を示した。
 セミナーは浜松ブラジル協会が主催。ブラジル大使館や総領事館、外務省などから関係者が一同に集まった。同学会は「代理処罰がなされなかったのは、事件の証拠をブラジルの裁判所に送る手段がなかったから。協定は必要」と強調した。また、ブラジルの上級検察官のイウリカ・タニオ・オクムラさんはブラジルで自国民の国外犯を処罰した例を挙げ「代理処罰の司法協定を結んでいる国もあり、まれなケースではない」とした。【望月和美】
毎日新聞 2006年9月25日

4)

あちこちで話題になっているので、ご存知の方も少なくないと思いますが、「犯罪人引き渡し条約」の締結は、一般的に言って、かなり難しいようです。
理由を簡単にまとめると、犯罪人引き渡しに関する「多国間のルール」はまだ成立しておらず、2国間条約などを国同士が個別に結んで対応しているのが現状であり、しかも、その2国間条約を結ぶこと自体が、両国の刑事司法制度や、犯罪と刑罰の対応度などが似ている国同士でないとむずかしい、というわけです。
実際、日本はアメリカと韓国としか結べていません。

ただ、韓国は、日本と同じく世界の趨勢に逆らったままの死刑存置国でありながら、大韓民国大検察庁(最高検察院)のサイトにあるように、ブラジルを含むけっこうな数の国と「引き渡し条約」を締結しています
ですので、日本がブラジルと同条約を締結することは、あながち無理ではないようです。

とは言っても、ことブラジルとの話になると、ブラジル特有の事情が関係してきます。
もし日本とブラジルの間で「引き渡し条約」が締結された場合でも、上の記事にあるように、ブラジルでは自国民を海外政府へ引き渡さないことが憲法で定められているので、特殊な例外(麻薬事犯など)にあたらぬ限り、ブラジル政府がブラジル国籍者の引き渡しに応じることは、まずありえないということです。

そこで、犯罪を犯した者の迅速な処罰を実現するうえでは、ブラジル政府による代理処罰制度の導入や、捜査資料のやりとりを外交ルートを経ずに司法部や検察部が直接行える2国間司法共助協定なんかの締結が、合理的な道だということになります。
日伯比較法学会がまさに説明していたことですし、上述の外国人集住都市会議も、「引き渡し条約」の締結のほかに代理処罰制度の確立などを求めていました。

ところが、日本の外務省は、浜松でのセミナーで平田健治・南米カリブ課長が語ったように、あくまで外交ルートを通した事件の解決に固執する方針のようです。
いったいなぜなのか? その方針の背景にはいったい何があるのでしょうか?

5)

このセミナー開催の約1カ月前に、毎日新聞に掲載された「記者の目」というオピニオン記事が、これまでの経緯をわかりやすくまとめているので、ちょっと目を通してください。

外国人犯罪 早期対策を(望月和美記者、「記者の目」、毎日新聞、2006年8月22日)
 国内最多のブラジル人1万8000人が住む静岡県浜松市で、ブラジル国籍の容疑者が帰国したため未解決となる事件が相次いだ。容疑者の居場所は分かっているのに、取り調べもできない。理由は日本とブラジルの間に「犯罪人引き渡し条約」などの取り決めがないからだ。
 容疑者が“逃げ得”した事件を取材するたびに納得できなかったが、日本が同条約を結ぶ国は米国と韓国しかなく、過去10年で実現した引き渡しは6件だけと知り、さらに驚いた。急速な国際化に、法の整備がついていけないのだ。容疑者の簡単な逃亡を許してはならない。この問題を放置すれば、まじめに働く在日外国人への偏見まで広げると思う。
 浜松市内のレストラン経営者、三上要さん(当時57歳)が店内で絞殺され、売上金約4万円が奪われたのは昨年11月だった。県警は翌月、現場に残った指紋から近所に住むブラジル人、アルバレンガ・ウンベルト・ジョゼ・ハジメ容疑者(34)の逮捕状を取った。しかし、容疑者は3週間前に帰国していた。県警は「条約がないから引き渡しは求められない」との説明に終始した。現場の捜査員は「苦労して容疑者を追いつめたのに。これまでもそうだった」と悔しがった。
 警察庁によると、国外へ逃げたとみられる外国人容疑者は昨年末現在で651人。うちブラジル人は86人で、中国人の281人に次いで多い。
 国連は引き渡し条約の締結を各国に勧め、モデル条文まで示している。だが、実際の締結は容易でない。中京大の愛知正博教授(国際刑事法)は「引き渡しには、相手国が容疑者の人権を侵害しないかが焦点となる。死刑の有無など各国の量刑の違いや、身柄拘束後の扱いの違いが常にネックになる」と話す。
 ブラジルでは麻薬犯罪と国籍取得前の犯罪を除き「自国民は他国に引き渡さない」と憲法で定めており、条約を結んでも実効性は薄い。相手国に要請し、「国外犯」として現地で逮捕・起訴してもらう方法もあるが、ブラジルの場合は前例がない。警察庁国際部に聞くと「容疑者が日本に戻る可能性もある。長い目で見てほしい」との答えだった。これでは被害者や遺族はやりきれないだろう。
 今年3月、浜松市に近い湖西市の山岡宏明さん(42)と妻の理恵さん(40)は街頭で引き渡し条約の締結を訴える署名活動を始めた。夫妻は昨年、車を運転中に衝突事故に遭い、後部座席に乗せた長女(2)を失った。信号無視の疑いが強かったブラジル人は帰国。「一度でも本人が謝りに来るべきではないか」と始めた署名集めだった。地元ブラジル人たちも「今のままでは許されない」と署名に協力した。
 この動きをきっかけに、条約に対する県民の関心は高まった。国会議員も動き出し、麻生太郎外相は4月の参院外交防衛委員会で「容疑者をブラジル国内で処罰できるよう両国間で交渉する」と表明した。県警は別の女子高生死亡ひき逃げ事件で帰国した容疑者への処罰を要請すると決めた。三上さん殺害事件でも要請が検討されている。
 事態は改善に向かったとも見える。しかし、なぜ犯罪者の引き渡し問題は放置されてきたのか。私には、これまでの政府が在日外国人の問題に真剣に取り組まなかったことの裏返しに思える。
 在日ブラジル大使館のパウロ・タヒセ・ダ・フォウントウラ参事官によると、ブラジルは03年以降、出稼ぎ先から子供の養育費を送金しないなど、同国では罪に問われるケースを含む民事手続きの迅速化や司法協力を日本に求めてきた。そのたびに日本は「優先事項ではない」と回答したという。参事官は「これまで消極的だったのに、今になって特定の事件をきっかけに交渉を始めるべきではない」と困惑を隠さない。
 外国人の受け入れを緩和した90年の出入国管理法改正から16年がたつ。職を求めて来日する外国人は増え続け、定住する人も多い。工場で働くブラジル人が多い浜松市や愛知県豊橋市、群馬県大泉町などは01年、「外国人集住都市会議」を結成した。社会保険への加入や子供の就学が徹底されるよう政府に訴えてきたが、進展はほとんどないままだ。受け入れ緩和から16年たっても、政府は在日外国人を「労働力」としか見ていないのだろう。
 ブラジル人の事件を取材するたび、「同国人として恥ずかしい」というブラジル人の言葉を聞いた。秩序を保ち、犯罪を許さない社会の基本は法にある。国際化は今後も加速する。政府は外国人を取り巻く法律の整備を急ぐべきだ。

この記事の中で理解しづらいのが、在日ブラジル大使館のパウロ・タヒセ・ダ・フォウントウラ参事官が、「「これまで消極的だったのに、今になって特定の事件をきっかけに交渉を始めるべきではない」と困惑を隠さない」と書かれている下りです。
だって、この記事では、2003年以降、ブラジル政府が日本政府に求めてきたのは、あくまで民事面での協力が主であって、「犯罪人引き渡し条約」の件は求めていなかったように見えます。
なのに「困惑」するなんて、「この参事官は、事態の重大さをまったく認識していないぞ」と思えませんか?

6)

ところが、この「わかりづらさ」を解消し、誤解を解いてくれる発言が、上述のセミナーの席上でありました。

その発言と、その後得られた情報をまとめると、実は、

ブラジル政府は、日本政府に対して、2003年の時点で、「民事司法共助協定」の締結・「刑事司法共助協定」の締結や、ブラジル人受刑者をブラジルで受刑させる制度の設立、在日ブラジル人の社会保障に関する協議の開始、そして、何と「犯罪人引き渡し条約」の締結へ向けた協議の開始を打診しており、2004年にも、翌2005年のルラ・ブラジル大統領訪日に向けた交渉の中でも同様の打診をし、でも、日本の外務省に拒否されていた、

というのです。(打診された内容のうち、これまでにかろうじて進展があったと言えるのは、両国の社会保険制度の比較検討が行われることになった、ことだけのようです。)

かような経緯を考慮に入れると、上記「記者の目」で、在日ブラジル大使館のパウロ・タヒセ・ダ・フォウントウラ参事官が、「「これまで消極的だったのに、今になって特定の事件をきっかけに交渉を始めるべきではない」と困惑を隠さない」と書かれていることの意味が、きわめてはっきり見えてきます。

「事態を軽く見ていたのではなく、前々からこの問題に取り組もうとしていたのに、これまでは日本側から拒否されていた。ところが今年になって、急に、ブラジル人やブラジル政府が非難されるようになり、交渉を強要されるようになった。これはいったい、どういうことだ? どんな意図が背後にあるんだ?」

参事官は、そう思ったのではないでしょうか。

7)

このような経緯がセミナー会場でブラジル大使館からの出席者によって暴露された後(実はそれ以前に公表されていた、との話もあります。未確認ですが)、外務省からの出席者は、「多国間で条約を結ぼうと思った」などと、にわかに理解しがたい言い訳を口にしていたとか。また、秘密交渉の内容を一方的にばらして許せない、と怒ってもいたそうです。

外交儀礼についてくわしくは知りませんが、外交交渉の場で提示した議題や相手国の反応をを公開することは、マナーに反するのでしょうか。(最近では、パキスタンのムジャラフ大統領が、当時のアーミテージ米国務副長官から脅されていたことを暴露しましたこともありました。)
もしそうなら、上記「記者の目」の取材中に、ブラジル政府が「犯罪人引き渡し条約」締結交渉を進めたいと要望してきたことをパウロ・タヒセ・ダ・フォウントウラ参事官が明確に語っていなかったことが、外交上の慣習に基づくものであったと推察できます。

なるたけマナーを尊重しようとした、でも、ブラジル人やブラジル政府の立場が悪い方へ追い込まれるばかりで、日本政府は手助けもしてくれない。ああ、どうしたものか。

悩みが読み取れます。

そして、今春以降高まってきた「犯罪人引き渡し条約」締結キャンペーンで、ブラジル人あるいはブラジル政府が一方的に「悪役」の立場に追い込まれてきたという状況の中で、その誤解を解いて在日ブラジル人の立場を守るために、ブラジル政府がそうした情報を開示するのは、きわめて当然のことに思えます。

8)

上述のように、私は、加害者の処罰を求める被害者の声が、それをゼノフォビア(外国人嫌悪)やレイシズム(人種差別)に結びつけようとする人たちに利用されてしまうのではないかと、危惧を抱いていました。そういう悲しい例は、拉致被害者の家族会だけで、もう十分です(これについては高嶋伸欣氏の『拉致問題で歪む日本の民主主義〜石を投げるなら私に投げよ』をご参照ください)。

しかし、こんな事実を知ってしまった今となっては、外務省までもが、「事実を隠したまま、ブラジル人(や日系人、さらには外国人全体)を不利な立場に追い込んでいこう」「日本国民の不満がブラジル人やブラジル政府に向かうように仕向けよう」と考えていたのではと、邪推したくもなります。
外国人嫌悪(ゼノフォビア)や人種主義(レイシズム)を煽り、外国籍者たちをスケープゴートにして排外主義を煽ってきた、ここ数年の日本政府の政策とも完璧にシンクロしますし

まあ、単なるお役人根性で、何もかも外交ルートで解決させることにして、自分たちの威信だか権益だかを守りたかっただけかも知れませんけど

9)

いずれにしても、国際化社会に未対応の法制度の谷間で苦しむ日本国籍者たちの利益など、外務省がどうでもいいと考えてきたことはたしかと言えましょう。
怒怒怒怒!!!

※1 ブラジルとの間で同条約を締結することの法律上の問題は、 来日外国人犯罪対策としての司法共助、代理処罰制度について(細江 葉子 (国連アジア極東犯罪防止研修所)、(社)日本ブラジル中央協会発行 会員向け隔月刊誌『ブラジル特報』 2006年9月号掲載)が、詳しく書いています。興味のある方は、ご参照ください。 ただ、この記事を読んだ後には、日本側からのブラジルへの書類送達などにだけ、やたら時間がかかっているという印象が残るかも知れませんが、実態は違います。ブラジル側から日本国内への書類送達などでも同様で、それどころか、在外ブラジル人に送った民事関係書類のうち、日本に送ったものだけが圧倒的に届かない、たとえばアメリカには、日本在住者の4〜5倍のブラジル人が住んでいるっていうのに、なぜか日本へ送ったものだけが、という事情があります。だからこそ、ブラジル政府は、2003年の段階から、民事司法共助協定の締結交渉を、日本政府へ呼びかけてきたのです。ブラジル政府にとっての優先事項として。そして、その呼びかけを断り続けているのが、他ならぬ日本政府です。)

※2 上記セミナーでは、日本側出席者によって、日本での「危険運転致死傷罪」の法定刑と、ブラジルでの「過失致死罪」の法定刑とを比較させて、「ブラジルの刑罰は甘いんだ」と印象づけるような姑息な議事進行が行われたそうです。 この手の手段を弄して、外国への悪印象を広めようとする連中には、まったくもって、反吐が出ます。 皆さま、そういう手合いに騙されぬよう、ゆめゆめご注意ください。よろしくお願いします。

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「三国人発言」を繰り返した石原東京都知事に公開質問状を送付(「外国人人権法連絡会」)

2006.9.28.01:50ころ

「外国人人権法連絡会」が、「三国人発言」を繰り返した石原東京都知事に公開質問状を送付したそうです。

回答期限は10月3日(火)だそうで、さあ、どうなるでしょうか?


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祝!『ダーマ&グレッグ』DVD化決定!!!

2006.9.25.23:00ころ

異文化背景を持つ者同士が幸福に共生していくための秘訣をユーモラスに示してくれる傑作コメディ(と私が思ってる)『ダーマ&グレッグ』が、いよいよDVD化!!!!!

『ダーマ&グレッグ』シーズン1 DVD-BOX、予約開始!(たのみこむ)

以上、夜の臨時ニュースでした。

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在留許可求め、東京入管前でデモ/「治安悪化説に異論」(東京新聞インタビュー)

2006.9.24.22:30ころ

1)
在留許可求め、東京入管前でデモ(TBS HEADLIES、2006.9.24)映像あります。

日本で生まれた子どもを持つオーバーステイの外国人らが在留特別許可を求めて、24日、東京入国管理局でデモを行いました。  このデモには、様々な事情から日本でオーバーステイになった5ヶ国の外国人ら100人が参加しました。  彼らは港区の東京入管前で、日本で子供が生まれていることなどを考慮に入れて、日本政府に対し、人道的に滞在が許される在留特別許可を出すよう求めました。  また、中には家族が入管に収容されている人の姿も見られ、建物の外からマイクを使って母国語でメッセージを送るとともに、家族の仮放免を入管側に訴えました。  現在、日本にはこうした外国人が22万人いますが、東京入国管理局に対するデモはこれが初めてのことだということです。

「不法滞在」になってしまった人たちとその家族らが、今春成立した改定入管法で直面する問題の一端が、外国人の2007年問題シリーズ(西京入国管理局、2006.7.9〜)で紹介されています。

「テロリスト」や「犯罪者」と「不法滞在者」とをいっしょくたに取り扱う改定入管法、そして現政権の考え方、やり方には、激しく強い疑問を禁じ得ません。

『外国籍住民との共生にむけて—NGOからの政策提言』(移住労働者と連帯する全国ネットワーク編、現代人文社)が提示したような、現行の「出入国管理計画」にそった流れとはまったく違う視点から生み出される抜本的な改革提言・政策こそが、今、必要なのだと思います。

2)
久保大・元東京都治安対策担当部長へのインタビューが、東京新聞に掲載されたようです。

治安悪化説に異論(加古陽治記者、東京新聞「核心」、2006.9.25)
(2007.3.13追記。東京新聞のサイトからはもう記事が消えています。冬枯れの街さんでどうぞ!)

【関連記事】
『治安はほんとうに悪化しているのか』東京都治安対策担当部長(前)の懺悔あるいは告白(当ブログ、2006.7.16)
『治安はほんとうに悪化しているのか』書評on読売新聞!!(当ブログ、2006.7.25)

(おまけ)
「外国人犯罪」の宣伝と報道(英訳付き、コムスタカー外国人と共に生きる会)他(2006.07.07)
『治安はほんとうに悪化しているのか』東京都治安対策担当部長(前)の懺悔あるいは告白(2006.07.16)
『治安はほんとうに悪化しているのか』書評on読売新聞!!(2006.7.25)
在留許可求め、東京入管前でデモ/「治安悪化説に異論」(東京新聞インタビュー)(2006.09.24)
「またテロですよ!」(非国民通信)を読んで(入管法改定案に関する国会会議録より)(2006.10.15)
共謀罪審議に松島みどり議員が登場(入管法改定案に関する国会会議録より)(2006.10.22)
虚構の上に立ついやしの「極右」か、現実の上に立つ節度ある「極右」か(2006.11.19)
【超お薦め!】『犯罪不安社会』を読んで、明るい2007年へ!(2006.12.25)
「外国人犯罪」不安にどう立ち向かうか/「来日外国人」数の試算(2007.1.3)
「リピーター=凶悪犯」か?/人と人との連帯の可能性と素晴らしさと(2007.1.12)
法治国家で窮鳥懐に入れば大岡裁きに遠山桜!/在留支援のためのお願い2つ(2007.1.23)

コムスタカー外国人と共に生きる会

インターネット新聞『JANJAN』
『マヤカシの「外国人犯罪増加」論〜「人種差別」と「棄民」を生む社会の行方〜』(2004/04/15)
『マヤカシの「外国人犯罪増加」論〜「人種差別」と「棄民」を生む社会の行方〜』(全4回の第2回)(2004/04/16)
『マヤカシの「外国人犯罪増加」論〜「人種差別」と「棄民」を生む社会の行方〜』(全4回の第3回)(2004/04/17)
『マヤカシの「外国人犯罪増加」論〜「人種差別」と「棄民」を生む社会の行方〜』(全4回の第4回)(2004/04/18)

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【笑って大天使(ミカエル)!】シンポジウム:人身取引の防止をめざして〜国際機関の経験に基づく実践モデルと新たな視点の探求〜

2006.9.24.21:00ころ

イベント情報です。
人身取引の防止をめざして〜国際機関の経験に基づく実践モデルと新たな視点の探求〜

日時:2006年9月28日(木)9:30〜17:00
会場:上智大学 国際会議場(2号館17階)
主催:国連薬物犯罪事務所(UNODC)、上智大学、国際移住機関(IOM)
後援:外務省、独立行政法人 国立女性教育会館(NWEC)、人身売買禁止ネットワーク(JNATIP)
参加費:無料

ちょっと不謹慎っぽい本記事のタイトルは、川原泉・大先生・原作の傑作コミック『笑う大天使(ミカエル)』から拝借しました。
なぜかってゆーと……ここでは秘密。原作、または映画をご鑑賞ください。はい。

……えっ、京都シネマ、いつの間にか上映しちゃってた!? で、もう終了してる!?????


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平沢勝栄議員の「テロ予告」!?(入管法改定案に関する国会会議録より)

2006.9.22.23:00ころ
(2007.12.19.02:00ころ、この色の部分を追記)

本日は、閑話休題ってことで、入管法改定案に関する今春の国会会議録を読んでいて、政府答弁の論理性・非論理性とは別に、気になった発言を、紹介してみます。

その発言は、2006年3月17日、衆議院法務委員会で、なされました。発言者は、トップバッターとして質疑に立った平沢勝栄議員(自民党:公式サイト)。発言番号は同日の第034番。以下、問題の発言部分の抜粋です。

 時間が来ましたので、最後の質問にさせていただきます。  今回の入管法の改正は第一歩ですけれども、これから将来に向かってもっともっと、とりわけテロの面では、あるいは犯罪もこれから非常に凶悪化していきますから、もっともっと制度面の整備が必要になってくると思いますけれども、これについて大臣の御所見を最後にお伺いできますか。

「これから将来に向かってもっともっと、とりわけテロの面では、あるいは犯罪もこれから非常に凶悪化していきます」などとは、そういうテロないし犯罪計画に関与ないし計画を関知している人間でなければ、ちょっと断言できないことではないの?! まさか平沢議員とその背後にあるナントカカントカが、前代未聞のテロや犯罪を計画中ってわけ!?

これがホリエモン・偽メール騒動で名を落とした、あの永田(前)議員や前原(前)民主党代表の発言だったりしたら、笑って聞き流せるのですが、しかし、平沢議員となると……。
だって、平沢議員は、あの騒動で、真っ先に偽メールを入手した、という恐るべき情報網と情報収集力をお持ちの議員なのであります。
その平沢議員がこんな発言をするってことは、本人が直接関わってるかどうかはともかく、やっぱり……そーいうことなのでありましょうか!?

ここで、安倍晋三の「日本CIA構想」「日本NSC構想」に孕む危険性(ジャパン・ハンドラーズと国際金融情報、2006.8.24)や『 9・11テロ捏造—日本と世界を騙し続ける独裁国家アメリカ』(←これについては、こちらの記事&コメント欄もご覧ください)がんばれ野党連合! 北朝鮮経済封鎖は 日本版9.11の序章だ!(新党を欲する人 〜 立憲平和党本部、2006.9.20)や、さらには新首相が次に画策していること…?(路上日記@なんで屋、2006.9.21)、そして、安倍晋三が改憲を急ぐワケ(きっこのブログ、2006.9.22)なんかを読むと、一層猛烈な勢いで妄想に突っ走りたい衝動にかられます。ああ、トンデモ本が書けそうな気になってきました。

いや、冷静に考えても、上記新首相が次に画策していること…?(路上日記@なんで屋、2006.9.21)、そして、安倍晋三が改憲を急ぐワケ(きっこのブログ、2006.9.22)なんかで取り上げられている「未確認計画」におあつらえ向きの法律が制定され、その各自治体版の計画が立案・作成中なわけで、かなりヤバゲな香りがします。そう、あの「国民保護法」そのためのあれこれです。

この邪推が「単なる揚げ足取り」に過ぎないことを心底願っていますが、
「テロの脅威」で恐怖を煽って、人権制限、人権侵害を正当化しようとする平沢議員の手法には、
「さすが、霊感商法の総元締である統一教会の合同結婚式に祝電を送ったりするお人らしいなあ」
と、あまりうれしくもない感慨を禁じ得ませんでした。うーむ。

それにしても、もし共謀罪なんてのが成立したら、私なんかが平沢議員みたいな発言を道ばたで口走っただけでも、お縄になっちゃうんでしょうか。「マバタキだけでもアウト!」って話だから、きっとそうなんだろーなー。
くわばら、くわばら。

「入管法改定案に関する国会会議録より」シリーズ
1.【入管法問題】参院・衆院与党議員への宣戦布告(2006.05.09)
2.平沢勝栄議員の「テロ予告」!?(2006.09.22)
3.「またテロですよ!」(非国民通信)を読んで(2006.10.15)
4.共謀罪強行採決阻止のためのお役立ち情報、かも。(2006.10.20)
5.共謀罪審議に松島みどり議員が登場(2006.10.22)
6.教育基本法をイジる前に「外国人・民族的マイノリティ人権基本法」「人種差別撤廃法」の制定を!(2006.11.12)
7.「寛容の精神」のない国と、他の人間を平気で「人間以下」と見下す者/「多民族共生教育フォーラム2006愛知」から教育基本法改定を目論む日本政府へ(2006.11.13)
8.河野洋平・太郎父子、塩崎恭久&石原伸晃、議会制民主主義の破壊(2006.11.16)
9.「望ましい監視社会」!? 荒井正吾・参院「教育基本法に関する特別委員会」委員長(予定←変更アリマシタ)(2006.11.16)
10・外国人実習生への性暴力/植草一秀氏事件から見える「適正手続」問題(2006.12.27)
11.外国政府・メディア・市民に知られまいと日本政府が隠す目的(2006.12.30)
12. 「永住者」の扱いに関する立法事実と、政府による議会制民主主義の破壊(2007.1.10)
13.衝撃or当然(?)の検索フレーズ/政府と女性蔑視/国民投票法案バナー(by SOBAさん)(2007.1.28)
14.テロ犯と誤認、11億円賠償:カナダ首相、第三国移送で謝罪(2007.1.31)
15.テロの種まき、テロ対策!?(2007.3.17)
16.外国人の生体情報採取・蓄積・流用システムの問題点(2007.9.4)


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「お年寄り、子ども、障害者、お客さま」は宝物(タンザニアでは)(『世界の母さんニッポンに生きる!』(2)より)

2006.9.21.00:10ころ

ようやく、『世界の母さんニッポンに生きる!』(2)(NHK、プレミアム10、2006.9.11放送)を見ることができました。

【番組紹介】 ここ数年結婚する夫婦の20組に1組は国際結婚。実に15分に1組のペースで国際結婚カップルが誕生している。その中でも特に、家事や子育て、仕事やグループ活動と、日々精力的に暮らす外国人妻たちのバイタリティーは目を見張るものがある。  「世界の母さんニッポンに生きる」は、日本で暮らす外国人妻たちの明るく前向きな生き方を紹介する番組である。前回は、30代から40代の主婦層から大きな反響をもらった。2回目の今回も、日本全国から探した4人のたくましい“肝っ玉母さん”が登場する。  フィリピン人母さん二瓶マリーさんは、東京の江戸前寿司店のおかみさんとして人気者、タンザニア人母さん小林フィディアさんは、アフリカから雪国・長野のりんご農家に嫁いできた。ブラジル人母さん奥山ルジミラマリさんは、滋賀県の和太鼓グループに、親子で参加、ロシア人母さん久郷アンナさんは、国境と20歳の年齢差を乗り越えて結ばれ、しゅうとめと新しい料理の研究に励んでいる。  いずれも日本人の夫や家族と固い絆で結ばれて、地域の人々と触れ合う、元気な外国人女性である。  彼女たちをリポートするのは、パックンマックン、河島あみると芳本美代子の4人。ゲストには、西川ヘレンを迎え、イギリス人母さん吉村ビクトリアさん自慢のイギリス家庭料理も紹介する。  言葉や文化の違いを乗り越え、家庭や地域の大黒柱となった母さんたちの姿を通して、元気と勇気と生きるためのヒントを伝える。

番組の中で小林フィディアさんが語っていましたが、タンザニアでは「お年寄り、子ども、障害者、お客さま」を宝のように大切にするのだそうです。
とっても素敵なこのタンザニア文化のこころが、日本にも広まってほしいと思います。

また、番組の冒頭あたりで西川ヘレンさんが、西川きよしさんとの結婚について、「京都と四国の間での結婚でもある」という趣旨の発言をして、「さすが!」と思いました。

一口に「日本」といっても、地域で文化は実にさまざま。
世代間の文化的差異も、今ではかなりのものだと思います。
かくして異文化間結婚は、日本人同士の間だって、たっくさん行われているはずなのです。昔も今も。いや、今は昔よりもっと!

※この番組は大阪放送局の制作だそうです。いい仕事だと思います。
 未見の方は、再放送の要望をNHKへ、ぜひお送りくださいませ!!


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SAY NO TO RACISM again and again:東京都バージョン

2006.9.20:01:00ころ
(2006.9.20:01:50ころ、関連記事を追加)

石原東京都知事の発言に関する、先週の記事です。

石原知事、また「三国人」 治安対策めぐり発言
 東京都の石原慎太郎知事は15日に都内であったシンポジウムで、国の治安対策を批判し、「不法入国の三国人、特に中国人ですよ。そういったものに対する対処が、入国管理も何にもできていない」と発言した。石原知事は00年にも「三国人」と発言して各方面から批判を浴び、「意図した意味と異なり、差別的に使われていた言葉だった」とした上で、「今後は、誤解を招きやすい不適切な言葉を使わない」と表明していた。
 シンポは、民間団体が主催し、テロなどに対する危機管理がテーマ。
 石原知事は00年4月の陸上自衛隊の式典で、「不法入国した三国人、外国人が凶悪な犯罪を繰り返しており、大きな災害では騒擾(そうじょう)事件すら想定される」と発言。その後、「辞書では『当事国以外の国の人』という意味で出ており、私もこの意味で使った」「在日韓国・朝鮮人をはじめとする一般の外国人の皆さんの心を傷つけたのは不本意で遺憾だ」などと説明していた。(asahi.com、2006.9.16

枯れは、じゃなくって、彼は、先月末には、こんな発言もしています。

姜尚中氏の福岡応援に石原知事反発 「怪しげな外国人」
 五輪の国内立候補都市を巡り、石原慎太郎・東京都知事が、福岡市の応援演説をした姜尚中・東大教授に激しく反発、「怪しげな外国人」などとかみついた。
 姜教授は演説で「金持ちの、金持ちによる、金持ちのためのオリンピックで、世界に勝てますか」と東京を批判。すると、続く東京側のプレゼンテーションで石原知事が「さっき、どこか外国の学者さんが東京は理念がないとおっしゃっていた。何のゆえんだかわかりませんが」と発言。その後の祝賀パーティーのあいさつでも「怪しげな外国人が出てきてね。生意気だ、あいつは」などと述べた。
 姜教授は在日韓国人2世で、熊本で生まれ育った。(asahi.com、2006.8.31

相も変わらずの石原都知事のこういった発言は、日本も批准している「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(人種差別撤廃条約)」第4条(c)が指摘する「国又は地方の公の当局又は機関が人種差別を助長し又は扇動する」に該当するものでありましょう。ならば、日本政府は、この発言に対して、断固たる措置をとる国際法上の義務があるはずです。


第4条 締約国は、一の人種の優越性若しくは一の皮膚の色若しくは種族的出身の人の集団の優越性の思想若しくは理論に基づくあらゆる宣伝及び団体又は人種的憎悪及び人種差別(形態のいかんを問わない。)を正当化し若しくは助長することを企てるあらゆる宣伝及び団体を非難し、また、このような差別のあらゆる扇動又は行為を根絶することを目的とする迅速かつ積極的な措置をとることを約束する。このため、締約国は、世界人権宣言に具現された原則及び次条に明示的に定める権利に十分な考慮を払って、特に次のことを行う。
(c)国又は地方の公の当局又は機関が人種差別を助長し又は扇動することを認めないこと。


第1条 1 この条約において、「人種差別」とは、人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限又は優先であって、政治的、経済的、社会的、文化的その他のあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有するものをいう。
第2条 1 締約国は、人種差別を非難し、また、あらゆる形態の人種差別を撤廃する政策及びあらゆる人種間の理解を促進する政策をすべての適当な方法により遅滞なくとることを約束する。このため、
(e)各締約国は、適当なときは、人種間の融和を目的とし、かつ、複数の人種で構成される団体及び運動を支援し並びに人種間の障壁を撤廃する他の方法を奨励すること並びに人種間の分断を強化するようないかなる動きも抑制することを約束する。

ここで、「日本政府は、国籍による差別は「この条約が禁じる差別ではない」みたいなことをいっているぞ」というツッコミがあるかも知れません。たしかに、そのページには、そんなふうなことが書かれています。でも、非常にビミョーな言い回しなんですよね、これが。

私は、日本のように「単一民族幻想」の極めて強い社会で「国籍による差別」をすることは、そのまんま「異民族への差別」につながる危険性が極めて高いわけで、それはまさに「人種差別撤廃条約」が禁じる種類の差別を生むものとして、やはり同条約が禁止していると考えるべきだと思います、原則として。

外務省による上の説明は、私の考えと同じ意味のことを言っているようでもあり逆のことを言っているようでもあり、真意が何ともつかみにくいわけですが。

まあ、石原都知事は「中国人には犯罪者のDNAがある」などと発言したこともあるくらいなので、今回の発言も「人種差別撤廃条約」が禁じる種類の「民族的若しくは種族的出身に基づく」一連の差別発言の一部として把握できるでしょうから、こんなことをわざわざ論じる必要はないような気もします。

それにしても、石原都知事の差別発言に、なぜにかくも日本政府は甘いのでしょうか。2000年の発言の際にはよくわからなかったのですが、最近、ようやく答えが見えてきました。
先の加藤紘一氏の自宅放火テロの際の、政府高官や与党政治家たちのぞんざいな対応(権力とマイノリティ、2006.8.29「小泉首相やっと加藤紘一氏の実家放火について言及、なんとマスコミ批判を展開」)を思い起こしてくださいませ。
要するに、政府の方針に逆らわないテロやレイシズム、民族差別は、どしどしやってもらいたいと、そういうことなのでしょう。

さて、いよいよ本日は自民党の総裁選だそうですが、すでに、「安倍晋三は極右の歴史修正主義者だ」という認識も世界各地に広まりつつあるようで(権力とマイノリティ2006.9.15、森田実の言わねばならぬ[352]2006.9.16など)、東京都知事までこんな調子では、日本人すべてが極右だとかレイシストだとか歴史改竄主義者だとか、誤解されてしまうおそれすらあるように思います。

東京都知事選をこれまで棄権してきた東京都民の皆さん、そろそろ現・都知事をなんとかしてくらはい。お願いします。

【関連記事】
警察庁などによる「外国人犯罪」関連統計の発表って「人種差別撤廃条約」の第2条(e)、第4条(c)、第7条違反じゃないの?(多文化・多民族・多国籍社会と「人としての権利」)
『治安はほんとうに悪化しているのか』東京都治安対策担当部長(前)の懺悔あるいは告白(本ブログ、2006.7.16)
「外国人犯罪」の宣伝と報道(英訳付き、コムスタカー外国人と共に生きる会)他(本ブログ、2006.7.7)


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「「在日」高齢者が抱える問題、想像力働かせ理解を」/外国から来た子の高校進学率と、「新カースト制」社会への道

2006.9.13.21:00ころ

1)
湖国の人たち:オピニオン’06 県立大人間文化学部講師・河かおるさん /滋賀(服部正法記者、毎日新聞滋賀版、2006.9.12)

「「在日」高齢者が抱える問題、想像力働かせ理解を」
という見出しで始まり、
「自分が「知らない」ということを知る。自分と立場の違う人を簡単に理解出来るとは思わないこと。しかし想像力を働かせること。他者への想像力の大切さをもっと知ってほしい。」
との提言で終わります。

ゼノフォビア(外国人嫌悪)やレイシズム(人種主義・人種差別)が大手を振って徘徊しはじめている今、こういう記事が掲載されることは、とても重要なことだと思います。服部記者と毎日新聞滋賀支局に、感謝のエールをお送りします。Good Job!!

2)
都立高ヘイキタイ/NPOが外国人向け受験塾(文・井上仁/写真・市川和宏、東京新聞、2006.9.13)

外国からやって来て日本で暮らす子どもたちの高校進学率は、日本人に比べて圧倒的に低いようです(『外国籍住民との共生にむけて/NGOからの政策提言』(移住労働者と連帯する全国ネットワーク編著、現代人文社)第6章参照)。
日本政府はあえてその現状を放置し、低賃金の単純労働者階級を国内で育てようとしているのではないかとか、新カースト制度の創出や、新・身分制社会の到来を、誰かがわざと引き寄せているのでは、とさえ思えるくらいに。

もちろん、そんなことを望む人って、ほんの一握りだと思うのですが、実際にそういった現実の状況(進学率の圧倒的な差)があるわけで、その現実を肌で感じながら育っていく日本人の子どもの心にどんな意識が芽生え、育っていくのかを考えると、ちょっと怖いものがあります。

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そこが知りたいQ&A−朝鮮代表の入国が拒否されているが:「人権侵害」日本政府に非難集中(朝鮮新報)/社民党入管難民問題ブロジェクト(成田空港レストハウスの謎(part1))/国民保護法と外国籍者保護、ICC規程批准の動き/『戦場にかける橋』とジュネーブ条約、「平和的レジスタンス」/「こぐまさんたちの大合唱」から「ニャンコちゃんたちの大合唱」へ!(『ジェダイの帰還』)

2006.9.12.21:00ころ

1)
そこが知りたいQ&A−朝鮮代表の入国が拒否されているが/「人権侵害」日本政府に非難集中(姜イルク記者、朝鮮新報。2006.9.12)

2)
成田空港レストハウスの謎(part1)(保坂展人のどこどこ日記、2006.9.11)

3)
各地で「国民保護計画」なるものの作成が進んでいるそうですが、ほとんど顧みられていないのが、戦時下における外国籍の人たちの保護だと思います。
外国籍の人たちは平時でさえ人権を制限されていたり生活のさまざまな場面で差別を受けていたり、はなはだしい場合はレイシストたちによって暴力的に迫害されたりしているわけです。それがいざ、戦時となれば、どうなることか。

幸いなことに、「日本政府がICC規程(国際刑事裁判所規程)の来年度中の批准へ」動き出しているそうで、批准が実現すれば、日本で暮らす人びとは、国籍を問わず、「ICC規程という国際法とそれによる裁きの威嚇」によって守られることになります。自暴自棄に追いつめられた者でもない限り、日本本土への攻撃は今まで以上に躊躇することになると思います(『戦争の抑え方☆軍備オフ ICCでつくる戦争のない世界』をご参照ください。戦時下における在留外国籍者の権利については、第3章 外国籍者、在外邦人と戦争/1.「国民保護法」の憂鬱以下にまとめています)。

どうせ報道規制くらいにしか使われないだろう「国民保護計画」なんかをつくるより、今なすべきことはたくさんあるはずです。

4)
国際法といえば、映画『戦場にかける橋』で、故・アレック・ギネス氏演ずる英軍将校が、「ジュネーブ条約」を盾に闘い抜くエピソードが印象的でした。故・阿波根昌鴻氏の「平和的レジスタンス」とも呼ぶべき活動を思い起こさせる、興味深いエピソードです。未見の方は、ぜひご覧ください。

5)
故・アレック・ギネス氏といえば、『スター・ウォーズ』旧3部作で、オビ・ワン・ケノービを演じていました。
そして明日、またしてもファンの心に「つけこんで」、じゃなくって、ファンの心を見透かしたように発売されるのが、『スター・ウォーズ』旧3部作のリミテッド・エディション DVDです。

なんでも、初公開時のものが収録されているとかで、音楽の流れとか、いろいろ場面の追加された「特別編」よりいい感じではあるまいか、と思いますが、これは記憶違いの勘違いかも。

私のお気に入りの最終話『ジェダイの帰還』のラストシーンは、「特別編」や、DVDボックスに収録された最新版では、悲しげな楽曲が締めくくります。

しかあし、初公開時のバージョンでは!
なんとラストは、「こぐまさんたちの大合唱」!!! しかも、チョーあかるい!!!!!

あれを久々に見ることができるのであれば、このリミテッド・エディション DVD、やはり買わねばなりますまいか。う〜む。。。
(ちなみに、「特別編」以降のラストシーンの楽曲は、よく聞いてみると、「ニャンコちゃんたちの大合唱」でした。にゃにゃにゃにゃあ〜にゃあ〜にゃ!)


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日野といえば土方さん!「朝鮮人学校生徒らの保護者への補助金減額に「反対する会」が日野市に誕生」(JANJAN)

2006.9.10.23:30ころ

AMLにも流れていた情報を、うっかり見落としていました。しかも第1次集約期限は今日だったとは! あと30分しかない!!!
朝鮮人学校生徒らの保護者への補助金減額に「反対する会」が日野市に誕生(金英鐘、『インターネット新聞JANJAN』、2006.9.7)

膝方さん、じゃなくって、土方さんの生まれ故郷、日野市でいったい何が起こっているのか。
詳細はよくわかりませんが、「マイノリティの教育に関する権利」の重要性がようやく認識されはじめた感のあるこの21世紀の日本社会で、日野市は危なげな方向へ進みはじめているのかな、と思います。

残りあとわずか30分!
賛同いただける方は、よろしくお願いします。


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自民党は「ナチスの後継者」/研修生 千葉養豚場殺人/改正入管法からみえるもの:国の情報、データベース管理が外資の意のままになる/パスポート電子申請システム廃止で驚きの赤字額/なぜ日本国籍がないと調停委員になれないのか〜司法参画における人権差別/瀕死のセーフティネットを救え! 賛同のお願い/外国人を装ったコンビニ強盗逮捕/在日朝鮮人の再入国許可に制限 ミサイル発射以降/障害者への差別を禁止 初の権利条約採択/ブラジル人労働者に組合脱退を教唆 武庫川ユニオンが県労委に救済申し立て

2006.9.4.22:30ころ

いろいろ忙しくて時間がとれないうちに、お知らせしたいニュースがたまってしまいました。今回は、ニューストピック山盛りです。おかげでタイトルが大変なことに!

1)
今時、時給450円の残業代とは、。「研修生 千葉養豚場殺人」続報。(雑談日記(徒然なるままに、。)、2006.9.3)

2)
改正入管法からみえるもの:国の情報、データベース管理が外資の意のままになる(SENKI, 2006-08-05)(エクソダス2005《脱米救国》国民運動、2006.8.18)

3)
パスポート電子申請システム廃止で驚きの赤字額(保坂展人のどこどこ日記、2006.8.28)
パスポート電子申請システム廃止で驚きの赤字額(続)(保坂展人のどこどこ日記、2006.9.4)

4)
なぜ日本国籍がないと調停委員になれないのか〜司法参画における人権差別(情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士、2006.8.20)

5)
[AML 8986] 瀕死のセーフティネットを救え! 賛同のお願い(mari yamamoto、2006.8.29)

6)
外国人を装ったコンビニ強盗逮捕…計11件の犯行を供述(サンスポ.COM、2006.8.28)

 大阪府警は27日までに強盗容疑で高槻市安満東の町、無職、高須賀英郎(31)と同市野田、塗装業、大森雅之(27)の両容疑者を逮捕。調べでは4日未明、茨木市室山のコンビニで店長らを包丁で脅し、レジのトレーごと約12万円を奪った疑い。「マネー、マネー」「シッダウン(座れ)」などと外国人を装っていた。18日深夜にも高槻市のコンビニから約22万円などを奪った疑い。7〜8月だけで計11件の犯行を供述。高須賀容疑者は昨年12月からの犯行もほのめかしている。

こんなこともある、というわけです。ぼくだって、仮に今、強盗とかするのなら、きっとアジア系あるいは南米系外国人のふりをするでしょう。

7)
在日朝鮮人の再入国許可に制限 ミサイル発射以降(朝日新聞、2006.8.27)

8)
障害者への差別を禁止 初の権利条約採択   国連委(東京新聞、2006.8.26)

9)
救済申し立て:ブラジル人労働者に組合脱退を教唆 武庫川ユニオン、県労委に /滋賀(毎日新聞、蒔田備憲記者、2006.8.18)

◇業務請負会社相手に
 竜王町にある工場の構内下請け会社に勤め、組合活動をしているブラジル人労働者に対し、労働組合法に違反する組合脱退を教唆する行為をしたとして、労働者が加盟している「労働組合武庫川ユニオン」(兵庫県尼崎市)が、横浜市中区の業務請負会社を相手に、不当労働行為の救済申し立てを、17日までに県労働委員会に行った。
 申立書によると、この会社が業務請負をしている竜王町の工場に勤務していたブラジル人15人が今年3月、「武庫川ユニオン」に加盟、分会を結成した。2回の団体交渉をしたが、会社側は賃金・一時金の要求を拒否。組合側は5月31日にストライキをした。
 会社側は6月、組合員数人に「組合と代理人抜きに話がしたい」「組合を辞めたら、ストライキでカットしたお金を返す」「交渉を何度やっても会社は回答しない」などと個別に交渉。ストライキでカットした賃金と皆勤手当として約3万7000円を受け取り、9人が組合を脱退したという。組合側は「組合活動への介入で、不当労働行為に当たる」と主張している。
 会社の顧問弁護士は「介入の事実はないということを、真しな姿勢で審査の中で明らかにしていきたい」と話している。【蒔田備憲】

1970年代以降、日本の労働運動は下火になってきたようです。
でも、格差社会を憂える人が増え、深刻な労働環境、生活環境に苦しむ人が増えている昨今、新たな労働運動の時代が到来しつつあるのかも知れません。
そういう運動をつぶすためにも、自民党政権は「共謀罪」などを準備しようと必死なのだと思います。

10)
ブッシュ大統領、「イスラム過激派は、ファシスト、ナチス、共産主義者、20世紀の全体主義者の後継者だ」と批判(京都新聞、2006.9.1)

嘘八百を連呼して、その嘘があたかも真実であるかのように信じ込ませていくって、ナチスお得意の宣伝手法です。しかも、その手法でスケープゴートをつくっていくという点で、「外国人犯罪の脅威」や「不法滞在者は犯罪の温床」などとデマを流して国民を洗脳してきた自民党は、まさに「ナチスの後継者」といえましょうか。

そんなわけで、雑談日記(徒然なるままに、。)さんのところの安倍晋三とヒトラーの画像を使ったGIFアニメ、かなり鋭いところをついている気がします。くわばら、くわばら。


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