先週の『週刊SPA!』移民国家ニッポンの近未来図/通り魔とハチと(『治安が「あぶない」は「あぶない」』河合幹雄)
2006.8.11.00:30ころ
1)
今週号(8月15・22日合併号)が発売される直前の月曜日、なかなかありがたい記事が掲載されていると聞き、あわてて購入しました。
移民国家ニッポンの近未来図(『週刊SPA!』2006年8月8日号)
「どうしたんだい、へへい、扶桑社!?」
驚かれるかも知れませんが、この特集に関する限り、私は扶桑社さんと共同戦線を展開させていただきたいと思います。もっと前から知っていれば、発売中にどしどし宣伝できたのに〜と、悔やむことしきり、です。
バックナンバーを入手できる方は、ぜひどうぞ!
他の記事には当ブログの管理人として頭が痛くなるものもあるにはありましたが、
捨身成仁日記 炎と激情の豆知識ブログ!さんが紹介している「報道されない未解決事件の"その後"」のような、逆方向で「おおっ!」と唸らせてくれた記事もあります。
とりあえず、小見出しごとに、記事の内容をちょっとだけ紹介します。番号は便宜的に私が打ったものであり、記事本体にはありません。
1)「外国人労働者受け入れで、国の収入が5兆円以上アップ」
→野村證券の試算です。5年で人が入れ替わる「出稼ぎ型」よりも「定住型」のほうが日本政府の税収などにおける経済的メリットが大きいそうで、この項は、名古屋市立大学の村井忠政教授の次のコメントでしめくくられています。曰く、「移民は日本の活力になる。積極的に受け入れるべき」「現在、日本の不法滞在者数は22万人といわれています。彼らのほとんどは、無権利状態に置かれながらも日本人が嫌うようなキツい仕事を引き受けている。彼らの身分と安定的な雇用環境を保障し、税金や社会保険料を払ってもらうようにするというのは、双方にメリットのある政策だと思います」
注釈を添えてみます。未認可就労者(不法就労者)も税金を天引きされているはずです。消費税だって払ってますし。社会保障は、雇用保険とか健康保険とか年金とか生活保護とかいろいろ種類もありますし雇用・就労形態もいろいろあるようなので、私もよく知りません。たとえば雇用保険って、今はやっぱ無理??
2)「犯罪の増加を名目に外国人労働者を排除する日本政府」
→コメントは、おなじみコムスタカー外国人と共に生きる会の中島真一郎氏です。
3)「まるで国がからんだ人身売買? 外国人研修生・実習生制度」
→コメントは、移住連運営委員の鳥井一平氏。この制度、暴力団関係者が関わってるみたいです。この制度によって「日本の先端技術を学ぶことができ、日本人と同じだけの賃金ももらうことができる」と説明され借金をして来日した中国人実習生の、悲しいコメントも紹介されています。曰く、「来る前は日本の文化や人情にも興味があったし、憧れと希望でいっぱいでした。でも、今は日本という国に失望しています」
4)「現場から慎重論続出のフイリピン人看護師受け入れ」
→コメントは、財団法人アジア・太平洋人権情報センター藤本伸樹氏。
5)「先駆者に学べ!外国人労働者と共生する方法」
→浜松市の「多文化共生政策」の内容と、現在、難民として在留特別許可を受けた男性を雇用している運送会社社長のコメントが紹介されています。
6)「移住してくるのは、単なる「労働力」ではなく「人間だ」」
→ここのコメントも、移住連運営委員の鳥井一平氏。
さらに、
「ジダン頭突き事件」の背景にあるフランスの移民事情とは?
として、稲葉奈々子・茨城大学助教授の解説が紹介されています。
→「ジダン頭突き事件」について興味をお持ちの方は、Zidane 選手のインタビュー(全6回。「学校行かずにフランス語!」)や、本ブログの以下のエントリもどうぞ!
SAY NO TO RACISM/『拉致問題で歪む日本の民主主義 〜石を投げるなら私に投げよ』/「9条守ろう! ブロガーズ・リンク」
諦めることなく SAY NO TO RACISM AGAIN
2)
『治安が「あぶない」は「あぶない」』(河合幹雄、知のWebマガジンen)
ポイントを的確に突いています。
記事の中で個人的に特に印象に残った部分を引用させていただきます。その前後にどのような論理が展開されているか、皆さま、どうか原文もお読みください、グラフもご覧ください。
この年間数件や二、三十件といったレベルがどの程度のことなのかを理解するために、再び、死因の統計を見てみよう。それによると、「スズメバチ、ジガバチ及びミツバチとの接触」つまりハチに刺されたことにより2003年に27人死亡している。「ネズミと犬以外の哺乳類による咬傷又は打撲」つまりクマなどに襲われた場合、15人、毒ヘビによって8人となっている。これでもって、人間である通り魔は、動物たちより安全であったということが主張したいわけではない。日本でクマや毒ヘビにやられる確率と比較して、どれほど、通り魔事件が滅多にないことであるかを自覚してほしい。その年に数回しかない事件を、大きく報道し続けて、治安悪化の印象を与えてきたことをマスコミは反省すべきであろう。安全対策論としては、先にハチからはじめるべきであろう。
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>社会保障は、雇用保険とか健康保険とか年金とか生活保護とかいろいろ種類もありますし雇用・就労形態もいろいろあるようなので、私もよく知りません。たとえば雇用保険って、今はやっぱ無理??
雇用保険と労災は不法滞在外国人であろうとも一部の例外を除いて入らざる得ません、
一方の健康保険も国民健康保険法には国籍要件はなく、法文上は、たとえ不法滞在だとしても、加入できることにはなっている。ただ、不法滞在外国人の多くは、その加入手続きの際に、自分が不法滞在だということがばれてしまうことを恐れて、加入しない人がほとんどだそうです
投稿: 社労士受験中 | 2006年8月11日 (金) 10時37分
社労士受験中さん、はじめまして、そして、ご教示ありがとうございます。
労働関係は詳しく知らねばならないと思いつつも、まだ勉強できていない分野です。今後も何かお気づきの点がありましたら、受験勉強の邪魔にならない範囲でお教えいただけると非常にありがたいです。どうかよろしくお願いします。
この件に関して、国会の会議録を調べてみたところ、労働基準監督課長の次のような答弁がありました。平成1年というから、1989年の参議院での話です。
参議院 法務委員会 - 3号 平成01年12月07日(発言番号120)
「説明員(氣賀澤克己君) 労働基準監督機関といたしまして、外国人労働者から申告、相談あるいは労災補償の給付の請求ということがありまして、それに関連して不法就労者であるということが判明した場合の取り扱いにつきましては、今法務省などからお答えがありましたのと同様な見地に立ちまして、こういう人を出入国管理行政機関に対して情報提供をするということにいたしますと事実上不法就労者からの申告、相談あるいは労災補償請求というものの道を閉ざしてしまうということになりまして、労働基準関係法違反の発見なり是正の端緒を失う、そして本来の行政目的の達成を困難にするということにもなりかねませんので、私どもそういう場合には原則として出入国管理行政機関に対して情報提供は行わないというような扱いをすることにいたしておるところでございます。」
学校教育の分野でも、オーバーステイになっているとか外国人登録がない場合とかで、入管への通報をおそれて、公立学校への就学申込をためらわざるをえないという状況が、あちこちで見られるようです。そういう子でも受け入れるし通報しないという自治体の方が、ぼくの知る限りでは多数派なのですが、例外もやはりありまして。
子どもの就学と入管法の通知義務については、
http://homepage3.nifty.com/jiro02/doc/Doc20031115.html
http://homepage3.nifty.com/jiro02/doc/Doc991204.html
なども触れています。
投稿: 仲@ukiuki | 2006年8月11日 (金) 19時53分
非常に気になるのが、「みちくさ Michikusa」(【連載/夏休み企画1】改定入管法の問題点/すべての外国人から指紋を!? (4))で渋谷次郎さんも触れている、「法務省や入国管理局が管理する外国人のデータは、しだいに結び付ける作業が進んでいる。」という点です。
その作業の先には、在日外国人に関する情報が一元化され徹底管理されて、上記コメントで書いたような状況下で何かを行政府に申請した場合にも、「窓口担当者が入管に通報しなくても通報したと同じことになってしまう」未来が、今は「縦割り行政」のおかげで曲がりなりにも救われていた人たちがより悲惨な状況に追いやられる社会が、出現するのではないか。そんな心配をしています。
(本ブログ今年2月の関連エントリーが外国人集住都市会議「規制改革要望書」に対する危惧、そして……です。労働基準監督課長の答弁を前にも見たと思ったら、このエントリーで引用してました。)
また、そうした一元管理を、やがては日本国籍の人たち皆にも同じように及ばせたいというのが中央政府の本音のようですから、オーウェルの描いた『1984』ビッグブラザーの世界がまさにこの日本全土を覆う日も遠くないのかも知れません。
投稿: 仲@ukiuki | 2006年8月11日 (金) 21時59分