2006.3.10.23:59ころ
1)
『正義なき国、「当然の法理」を問い続けて 都庁国籍任用差別裁判の記録』(鄭香均編著、執筆者:水野精之、富永さとる、金敬得、近藤敦、伊藤晃、新美隆、明石書店)
この本を手に取ったのは、
[AML 6111] 【本の紹介】なぜ国際人権は日本の国境で立ち止まるのか?(TOMINAGA,Satoru、2006.2.26)
を読んで興味を覚えたからでした。
あいにくまだ全部読めていないのですが、とにもかくにも早く多くの人に読んでもらいたいと考え、紹介させていただきます。
本書の中で、個人的に強く考えさせられたのが、上記のメールを投稿した富永氏による、
「誰にとって哀れな国なのか 「国民主権」の正体と二つの民主主義」
です。
私は某資格試験を受験する関係で、憲法の教科書と呼ばれるものをいくつか読んできましたが、ここに至ってようやく、「人権の普遍性」を真っ正面から見つめ、とらえる論文に巡りあえました。
そしてそれは、これまで個人的にどうしても理解できなかった「この国のかたち」をはっきりと理解させてくれるものでした。これからの憲法論議は、ここからスタートしてもらわなくてはと思います。
この章だけでも十分に、超お薦めです。日本という国の将来やこの国の社会のあり方はもちろん、この島国に暮らす1人の人間として自分自身の生を真剣に考える人は、ぜひお読みください。
もちろん、他にも、鄭香均氏の実体験がつづられ日本人である私もが我が身を振り返らずにおれなくなった手記「個をつかむ」や、近藤敦氏の鋭い分析と迫力ある批判が展開される「外国人公務就任権の国際比較と特別永住者のNational Originにもとづく差別」など、それぞれの書き手がそれぞれのスタイルと観点から、在日韓国・朝鮮人の地方公務就任権をめぐる訴訟の最高裁大法廷判決を論じており、バラエティに富み、飽きさせません。お得な1冊だと思います。皆さま、どうぞ!
2)
「多文化共生の推進に関する研究会報告書」(総務省)
後述する理由で、詳しく読む時間がありません。
ですが、懸念すべき部分があるとの指摘を、すでに耳にしています。
「多文化共生」といえば、上述の「個をつかむ」(『正義なき国、「当然の法理」を問い続けて 都庁国籍任用差別裁判の記録』所収)で、鄭香均氏が、強烈な異を唱えています。
私も日本社会には、「多文化共生」という美名の下、実際はマジョリティが優越的立場を利用してマイノリティに変化と順応、同化を迫るばかりという、いわば「マタンゴ」的な傾向があるのではないかと危惧しています。
皆さま、この報告書の行く末を、どうかしっかり注視していってやっておくんなさいませ。
3)
「「日本には人種差別がある」国連人権委員会が日本政府に勧告」(前田朗、『週刊金曜日』2006年3月10日号)(総務省)
『ディエン報告書』の内容を、前田朗氏がわかりやすく解説してくれています。本日発売号です。ぜひお読みください。
4)
本日をもちまして、本ブログの更新は、ブログ『ICCで「人間の安全保障」』とあわせて、しばらくお休みといたします。
惑星ダゴバへ、ジェダイの修行に出かけねばならなくなったのであります。
(ダゴバって、サンスクリット語で"神々の寺"を意味するんですね。恥ずかしながら、最近まで知りませんでした。)
修行は、7月いっぱいかかりそうです。
本ブログ自体を閉鎖するわけではありませんので、記事の内容やリンク先など、引き続きご愛顧いただければと存じます。また、3月27日に自動的にアップされる予定の記事が1つありますので、そちらもどうかお楽しみに。
出発前に、嬉しい本に巡り会え、紹介できて、幸せでした。とってもラッキーマン!
では皆さん、また会う日まで、ご機嫌よう!
MAY THE FORCE BE WITH YOU!
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