2005.12.25.18:30ころ
1)
広島小1殺害:三重在住のペルー人、謝罪込め遺族へ折り鶴(毎日新聞、2005/12/18)
こういう記事を読むと、なんとも複雑な気持ちになります。
1人の犯した犯罪が、ここまで在日同国人を追いつめてしまっているとは。
その背景には、日本社会が外国籍のマイノリティに向ける視線の厳しさ、残酷さがあるように思えてなりません。
2)ウェブのニュースでは見つけられませんでしたが、三重県で在日外国人の支援活動を行っているグループが、県庁の記者クラブに対して、刑事事件が起きたときに容疑者の国籍を報道しないよう、申し入れをしたそうです。
報道の自由が民主主義社会に貢献する価値を考えると、難しい問題をはらんでいることでしょう。
しかし、日本社会で外国籍の人たちが置かれている状況を思うと、そして、犯罪報道に容疑者・被告人の国籍に関する情報がどれほど必要かを考えてみると、この申し入れに賛同したい気持ちが強まります。
●広島女児殺害事件報道の波紋──外国人差別をあおる過剰報道(いったい地球はどうなってんの? カルロス小林の妄語録)
●犯罪報道について(1) 「外国人犯罪」報道における外国人差別(松本妙子/コムスタカー外国人と共に生きる会、2005/12/23)
のほか、後掲のサイトも、どうかご参考に。
3)
今朝の毎日新聞に、
刑法犯は減っているのに「体感治安」が悪化
と題する特集記事が掲載されていました。
全体的に冷静な内容だと思います。
ですが、今年の内閣府調査で「今の日本で悪い方向に向かっている分野」(複数回答)として、47.9%の人が「治安」と回答した理由として、
「小学生殺害事件など、事件の質が以前より悪くなっていることに加え、少年事件の凶悪化、外国人犯罪が増えていることも、大きな要素となっている」(土本武司・白鷗大法科大学院教授/刑事法)
とのコメントが掲載されているのは、どうした見識でしょう?
「事実に基づく報道」が大切なのはもちろんであり、「土本教授がそのようにコメントしたこと」自体は事実なのでしょう。
しかし、「土本教授のそのコメント」が「事実に基づいていない」としたら?
何らかの補足をするか、そのコメントを掲載するのをやめるか、どちらかを選ぶべきはずです。
●「人間尊重の多文化・多民族・多国籍社会へ!」の「粉砕!プロパガンダ」コーナー
●アムネスティ「多文化共生キャンペーン」
●『外国人包囲網—「治安悪化」のスケープゴート』(このブログのサイドにサムネイルがあります)
●【絶望書店日記】2004/11/16 ウェブが旧メディアを凌駕する歴史の転換点を示すひとつのやり方
などを踏まえて、私なら、土本教授のコメントなど掲載しません。だって、
「事件の質が以前より悪くなっているとか、少年事件が凶悪化し外国人犯罪が増えているとか、事実に反することをマスメディアの報道で信じちゃってる人が増えているのが、大きな要素となっている」
のが、真相でしょうから。
※ 個人的には、「体感治安」なるものの「悪化」には、マスメディアの報道のあり方以外にも、警察庁や政治家たちが繰り広げてきたプロパガンダ、そして日本国籍者の多くが持つ「現在/将来に対する不安感」が、大きな要因になっているのだと思います。
でも、胸を張って断言できます。「この推測は、あくまで推測! 私などには実証できない!」と。
※ 「体感治安」については、
●犯罪報道について(2) 刑法犯11%減 210万件(松本妙子/コムスタカー外国人と共に生きる会、2005/12/23)
も参考になると思います。
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